やはり折本かおりは選択肢を間違えない   作:卯猫

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まずはじめに投稿遅くなって申し訳ありません。リアルが多忙でした。

先日中学校に授業しに行く機会がありまして私も参加してきました。
「教える事の難しさ」「伝える事の大切さ」を学ぶいい機会だったと思います。

ん?何が言いたいかですって?
そりゃもう「平塚先生まじぱねぇ!!」ってことです!
今回の経験で平塚先生に一歩近づけた気がしますw

ではでは物語について。今回投稿が遅れたのはこの話から次章にも影響してくるわけですよ。もう一回構成を見直していたことにしてください。

記念の十話のタイトルが「魔女」・・・なにやら不穏ですな~。
 あと今回ちょっぴり長いです。


十話「魔女」

翌日、わたしはクラスに違和感を覚えた。

普段なら元気よく挨拶してくれるクラスのみんな。しかし今日にいたっては「あ…おはよ」

「お、折本さんおはよう。」「…でさーこの前(ry)」など反応が頗る悪い。最後の人に至っては無視だからね無 視!

異様に感じてはいるが、なぜ無視されるような事態になっているのか呑み込めない。ひとまずは自分の席に着くことにする。

 

自分の席に着くとわたしより先に登校していたつみちゃんに疑問を投げかけてみる。

もしかしたら何か知っているかもしれない。

 

「ねぇ、つつみん…なんかクラスの雰囲気いつもと違くない?」

 

特に理由もなく、憂さ晴らしにつみちゃんをいじってみる。

 

「つつみん言うな!」

 

あーはいはい。あざといあざとい。

プクーと頬を膨らますつみちゃんはいつも通りの態度で返してくれた。

・・・今はこのいつも通りが少し嬉しい。

 

「でも・・・まぁ確かに視線をチラホラと感じるね。」

 

つみちゃんの言う通り、クラスの誰かしらの視線を感じている。

なんだかむず痒いなぁ…言いたいことあるなら直説言ってほしい。

こういう雰囲気、わたしは嫌いなんだけどなー。

 

「こういうの慣れないんだよね・・・言いたい事があるなら直接言ってくれればいいのに。」

「かおりん陰口とか嫌いだもんね~もしかしたら何か噂が広がってるのかもよ?」

「そうなのかな…わたし悪いような噂されるような事してないと思うんだけど・・・とにかくじれったくして仕方ない!んで、かおりん言うな!」

 

わたしもつみちゃんの真似をして頬を膨らましてみる。

 

・・・なによ、つみちゃんその目は・・・

 

目の前には苦笑いで「アーカワウィイナー」と棒読みする友達思いの親友がいた。

 

・・・やっぱ慣れない事をするもんじゃない。

 

恥ずかしくなって後ろを振り返ると、ボサッっとしている比企谷が登校してきたので挨拶をしてあげる。

 

「おはよ比企谷~」

「・・・お、おっす。」

 

え、何その返し…。

なんともつまらない返事を残して比企谷は席についた。

ま、まさか比企谷までわたしの事を・・・。

 

・・・ん?わたし比企谷に挨拶したことあったけ?・・・ないような…気がする。

なら、あの反応も仕方ないっか。

 

比企谷の反応がクラスのみんなと違うことに安心するわたしがいた。

 

 

慣れない空気間の中一時間目の準備を始める。

よし・・・今日は忘れ物してないな。二日連続で忘れ物してたら恥ずかしくて仕方ない。

 

「今日は忘れなかったぞ!」とドヤ顔で比企谷のほうを見る。

しかし彼は、今日も何もないはずの外を眺めていた。

えっと…今日は机くっ付けてないんだけど…なんで外を向いているのよ。

 

何を考えているか分からない彼の事はほっといて授業を真面目に受けよう。

いろいろ分からない事だらけの朝だったが授業は真面目に受けないとね!

中間試験も近いしがんばらないと。

 

さすがの比企谷も授業が始まると真面目に受け始める。

そうよ、ちゃんと受けなさい。

 

真面目に授業を受けている姿に思わず微笑んでしまう。普通のことなのにね。

 

 

一時間目が終わり次の数学の準備をしていると

 

「折本さーん、生徒会長が呼んでるよー。」

「はーい・・・なんの用だろう?」

 

今は中間試験前だから生徒会はないと思うんだけど・・・

などと疑問に思いながら教室の入り口に向かう。

 

「どしたの~百合ちゃん?」

 

我が中学の初めての女性生徒会長、花崎 百合。通称「子供生徒会長」

身長は140センチあるか分からない程度。その子供じみた見た目も名前の由来だが、それよりも彼女の言動すべてが可愛すぎることが一番の命名の理由である。そしてなによりハーフの女の子。もう、お人形さんみたいに可愛い!

学校で100人に聞いたら100人が可愛いと答えるだろう。

 

生徒会長選挙では自ら立候補したという。演説の時のかわいさで投票率95%という偉業を成し遂げて当選した。もちろん勉学でも立派な成績を残しており、ほとんどの教科で一位を取っているらしい。

唯一国語では勝てない生徒がいるとか…。まったく百合ちゃんに一位をあげてやりたいとは思わないのかな。

 

つまり生徒会長として百合ちゃん以外の適任者はいないくらいの人格の持ち主である。

 

「あ、かおりちゃんちょっと問題があってね・・・。だから、その・・・放課後来てくれると嬉しいな?」

 

上目使い、赤く染めた頬、潤んだ瞳!ああ、もう抱きしめたい!

卑怯なほど可愛い見た目に女子であるわたしもときめいちゃう!

 

「うん!もちろん!」

 

即効の肯定。

こんな可愛い子のお願いなら応えちゃう!いや、全力で答えるね!

 

「よかった~じゃ放課後生徒会室で待ってるから。他の生徒会の人には言ってないから一人で来てね。個人的な・・・相談があるの。」

「?・・・りょーかい。」

 

それだけ伝えると、いそいそと自分の教室に帰っていく。相談ってなんだろう…ま、放課後になれば分かるか。

 

それにしても可愛いな~。

わたしじゃなくて、ああいう子がモテるべきだと思う・・・。

 

もう・・・神的な扱いなのだろうか。そうだとしたらこの学校はもうダメなのかもしれない。

 

 

 

百合ちゃんとお別れした後、呼んでくれた子にお礼を言って自分の席に戻る。

 

すると・・・比企谷がこちらを見ていた。

 

「・・・なんかよう?」

「あ、すまん。なんでもない。」

 

ムカッ・・・なんでもないわけないでしょ!ずっとこっち見てただろうが!!

ずいぶん素行が悪い生徒がいたもんだ・・・。

 

これは生徒会の一員として更生させなければいけないなぁ~。

 

「な に よその態度!気なるじゃない!教えろぉ~!!」

「おま、ちょ、やめろって!」

 

私は比企谷の頭をくしゃくしゃと手で揉む。

・・・む。こいつ男児の癖に異様に髪質いいな。サラサラしてるし…ちゃんとケアすればすごい美髪になるかも。

 

揉んでいると一部引っ掛かる髪がある。

なんだこのアホ毛。撫でても撫でても立つんだけど・・・面白くなってきたので伸ばしたり引っ張ったりしてみる。

 

「どうなってるのよこのアホ毛・・・全くいうこときかないんだけど。」

「こういう髪質なんだよ。あんま触んな痛ぇんだよ。」

「あ、ごめん。・・・で、なんでこっち見てたのかなぁ~?」

 

謝るけどアホ毛をいじることはやめない。少し撫でるように触ってあげる。なんか癖になりそう。

結果的に後ろから比企谷の顔を覗く姿勢になり、比企谷と話す。はたから見ると仲良しとか思われてんのかなw

 

「・・・・・・・・・・・・いや、あの生徒会長ちっけなぁとね。」

「何よその間・・・あ!!もしかして比企谷百合ちゃんに惚れてんの?」

 

顔を真っ赤にしちゃって~百合ちゃんを好きなことを隠したかったのか。可愛いとこあんじゃん。

そりゃ、あんだけ可愛い子だったら惚れるのも分かる。

 

「いや、そういうわけじゃないが。」

 

あれ?今度は即答。うーん…百合ちゃん見てたわけじゃなかったのかな。それじゃなんでこっち見てたんだろう。

 

「あんま見すぎると嫌われるから気をつけな~」

 

とりあえず気まずい雰囲気になるのは嫌なので適当に会話を切る。

比企谷の拘束を解除してあげ、自分の席に自分の席に着く。

 

「…お前もな。」

「え、なんだって?」

「んや、なんでもねぇよ。」

 

何て言ったのか聞き取れなかった。なんて言ったのだろう?

 

比企谷はカバンの中から本を取り出して読みはじめてしまったので、追及するのはやめておこう。

 

 

 

放課後、生徒会室を訪れる。

結局、何についての相談なのか検討もつかなかった。…百合ちゃんが恋・・・いやまさか、あの子に恋愛はまだ早い(確信)。

扉を二回適当にノックして入ると、他の役員は居らず百合ちゃん1人が広い生徒会室に座っていた。

 

「百合ちゃーんきたよ~」

「あ、かおりちゃん。…とりあえず座ってくれるかな?」

 

出迎えたらそこには百合ちゃんが!なんてすばらしいのだろう。一家に一台百合ちゃんを常備する未来は遠くないかもしれねい。

って何言ってんだわたし。少し冷静になろうよ…。

 

「それで、相談って何?」

「うーんとね…とりあえずこれを見てくれるかな。」

 

百合ちゃんはかばんの中から一枚のプリントを差し出す。

 

「なに・・・これ」

 

たった一枚のプリントだがとても分かりやすくわたしを攻撃していることが分かった。

 

 

『生徒会書記の折本かおりは男を手篭めにする魔女である。』

 

 

一瞬驚きはしたがわたしには悲しい感情とかそういう悲観的な感情は存在せず、ただ怒りの感情だけが、このプリントの向こう側の存在へと向いていた。

 

「今朝学校にきたらこれが生徒会室前に張ってあったの。私は生徒会室に用事があって結構早く来てたんだけど、何人か朝練習がある生徒に見られちゃったみたいでね・・・。」

 

百合ちゃんが申し訳なさそうに現状を説明してくれた。

 

「百合ちゃんのせいじゃないから!!気にしないで!わたしが何かやらかしたのかもしれないし!」

 

手をブンブン振って否定を表現する。天使にこんな顔させたら全校生徒に怒られちゃうよ。

 

「かおりちゃん…大丈夫なの?私が言うのもなんだけど結構ひどい事されてるんだよ?」

「そりゃ、怒ってはいるけどね。あははー・・・まだ実感がわかないっていうのかな、なんか初めてのことでどうしていいか分かってないのかも。」

「そっか・・・でも、放っておくわけにもいかないよね?」

 

だよね・・・犯人捜そうにも全校生徒に噂はもう流れている。わたし個人が弁明しても取り返しのつかないことになるかもしれない。そうなれば、私以外にも被害が及ぶ可能性が出てくる。

 

「とりあえず、しばらくは相手がどうでるのか見てみる事にしようかな。今のとこいじめにあっているわけではないし…。」

「じゃ・・とりあえず様子見ってことで。で も!かおりちゃん何かあったらすぐに私に言うんだよ!」

 

天使はいつでも優しい。・・・でも頼ってばかりもいられない。

できれば百合ちゃんを巻き込むことは避けたい。

まずは自分で考えるべきだ、どうしてわたしが標的にされたのか…相手は男なのか女なのか。自分一人で探れることはたくさんある。

いったん家に帰って考えてみよう。

 

「ありがと百合ちゃん!わたし帰って少し整理してみるね。」

「…。」

 

百合ちゃんは無言で見送ってくれた。わたしの気持ちを汲んでくれてたのかも。はたまた、なんて声をかけたらいいか分からなかっただけかもしれない。

 

「失礼しました~。」

 

ガチャリと生徒会独特の重い扉が閉まる。

 

「魔女・・・か。」

 

プリントに書かれていた文字が脳にこびりついて離れない。

たった二文字の単語がわたしを悩ませる。

 

 

 

まだ夕方のはずなのに暗い・・・・。

廊下ってこんなに暗くなるんだっけ。そもそも夕方ってこんな暗かったけ。

 

何人かの生徒がこちらを向いている。どの生徒も皆不気味な笑顔でこちらを覗いてくる。

 

「ああ魔女だ」「魔女」「折本かおりは魔女」

 

どうして笑ってるの?どうしてそんな怖い顔で笑っているの?

どこからか聞こえてくる「魔女」の声。

しだいに人が増えているような気がする。

 

やめて・・・やめてよ!!わたしは魔女はなんかじゃない!!

 

「魔女」「魔女」「魔女」

 

もうやめてよ…お願いだからこっちを見ないで!!

暗い廊下。何人もの気持ち悪い笑顔と「魔女」の歓声。

 

 

怖い怖い怖い。   

 

 

どうしてわたしを笑うの!!!

魔女って呼ばないで!!  わたしが何をしたっていうの!

 

怖いという感情がわたしを渦巻いていく。

学校というものが一瞬で暗闇と化す。

 

「や・・めてよ。やめてよ!!」

 

わたしはいてもたってもいられず走り出す。

暗い暗闇の中を。不気味な歓声の中を。

 

 

わたしだってまだ中学生。

恐怖という感情に慣れているほど大人にはなれてなかった。

恐怖という感情がこれほど大きくなるとは思わなかった。

 

 

わたしはまだ知らなかったんだ。

 

「折本かおりという人間がひどく脆い人間だったということに。」

 




過去の天使、花崎 百合たそ~の登場です。
完璧に私の趣味ですね!合法ロり最高!

今回折本がかわいそうなことになってしまいました・・・。
中学生だった折本にはもちろん耐えられることができません。

誰がこんなことをした張本人なのか予想してみてくだい。
ま、読者のみなさんならもうお気づきでしょう!あの人です!

感想・評価・・・・してくれてもいいんだからね!
・・・やめて!そんな冷たい目でみないで!!もう後書きのネタが思いつかないの!!

毎回のことながら、誤字報告もよろしくお願いします!

では、また次回!
投稿はあまり遅刻しないようにしたいと思います。

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