ユウキがキリトを選んでいたら   作:壺井 遼太郎

8 / 13
オリジナルの話です。どうぞ


アルブヘイム横断レース

アルブヘイム中都アルン上空

 

「さぁ!!始まりました!!アルブヘイム横断レース!!ルールは簡単。アルンからシルフ領領主館の上のチェックポイントを通って、そのまま西から一週し、一番早くシルフ領主館の上に戻って来た人が優勝です!!ですが、チェックポイントを通らないと、リタイアになりかねません。そして、妨害するモンスターを倒してもよろしいですが、プレイヤーを倒した瞬間、即刻リタイアです。では、優勝候補の二人にインタビューしましょう!!ではリーファさん、今回のレースはどうなると思いますか?」

 

「そうですねぇ、私達シルフの様な軽量級の妖精が有利だと思いますね。」

 

「具体的に言いますと?」

 

「シルフ、ウンディーネ、ケットシー、プーカ、スプリガンですね。インプ、レプラコーン、サラマンダー、ノームに軽量級のアバターが出るのは珍しいですからね。」

 

「ありがとうございます。では、キリトさん、ってキリトさんはどこに?」

 

「さっき逃げました。」

 

「なんで逃げてるんですか!!」

 

「キリト君、こう言うのって、誰かに任せて逃げる事は少なくないんですよ。」

 

当のキリト本人は、地上のインタビューから逃げ切り、上空の集団の中に紛れ込んでいた。

 

「目立つのは柄じゃないからな。」

 

一人で呟き、少し前に移動すると、ノリ、ユウキ、シリカ、シノン、アスナが見えた。

 

「あれ?他の皆は?」

 

「あぁ~、皆エギルの屋台の手伝いに行って、クラインは仕事中。」

 

「それよりキリト君はインタビューから逃げない。」

 

「目立ちたくないんだよ。そろそろスグも来る頃だし。」

 

「キ~リ~ト~君!!」

 

勢い良く、ゴツン!!と音が鳴り頭を押さえ、ゆっくりと後ろを振り向くと、腕を組んで仁王立ちしているリーファの姿だった。

 

「なんで逃げてるの!!呼ばれたからには最後まで居ないと駄目でしょ!!お陰で全部私が答えたんだけど!!」

 

「ご、ごめん。でも、ALOに関してはおれよりリーファの方が詳しいじゃないか。」

 

「だからって、丸投げにしない!!分かった!!」

 

「は、はい。」

 

空中で正座をさせられ、皆から笑われている中、アナウンスが聞こえ、カウントダウンが始まった。

 

「絶対負けないからな。」

 

「ボク達だって♪」

 

カウントが0になった瞬間、一気にトップスピードで飛行した。しかし、反応速度の物で最初に飛び出すのはユウキの方が早かった。

 

「待てぇぇぇ!!」

 

「言われただけじゃ待たないよ♪」

 

ALOでは、コントローラー無しで飛ぶには、イメージ力ではなく、慣れるまでずっと練習しなくてはならない。が、スピードはイメージ力により、どこまでも上げられる。並のプレイヤーでは、スピードをいつもより少し上げるだけで恐怖心ですぐに減速する。それは逆に言えば減速せずに飛べるプレイヤーも居ると言うことだ。

 

「ちょ!!二人共速すぎ!!」

 

「追い付けません。」

 

「二人だけ完全に独走ね。」

 

「シノのんこの状況でも冷静。」

 

「アスナもね。」

 

やる気の無い返しをして、順位を予測する。恐らく現在の順位は一位がユウキ、二位がキリト、三位が今の自分達の誰か、それより後ろは諦めたのか減速している。

 

「今回のレースが最後なんじゃないかな。」

 

「うん。たぶんね。」

 

スプリガン領上空

 

「このままじゃボクが一位だよ♪」

 

「まだまだチェックポイントは4つあるぜ!!」

 

一気に加速してユウキの隣に並んだ。しかし、後ろから飛行してくる音が聞こえて来る。後ろを振り向いても誰も居ない。耳鳴りかと思ったが一秒後にそれが幻聴では無いことが分かった。

 

「ヤッホー!!お兄ちゃん、ユウキさん。」

 

「スグ!?」

 

「え?いつから居たの?」

 

「二人共前だけ見てたから周りの事何も見えて無かったでしょ。だから低空飛行でバレない様に飛んでたの。」

 

「やられた。」

 

「でも、私の作戦をマネされたけどね。」

 

「え?それってどういう」

 

「イエーイ!!今度は私が一番!!」

 

「ノリ!?」

 

「え?と言う事は。」

 

ユウキと共に後ろを振り向くと、アスナ、シノン、シリカが同じく低空飛行で追走している。

 

「こうなったらもう一回全速」

 

「無理だよお兄ちゃん。もうとっくに翅が速度限界。」

 

「な、なにぃぃぃ!!」

 

だが、おれが限界ならユウキも限界の筈なのにユウキはまだ速度を維持している。理由はすぐに分かった。ユウキは障害物の多い所を飛んでおれをまこうとしていた。だが、それ事態が罠だった。ユウキは障害物で手間取っているおれを置き、障害物の上を走っていた。僅かに休ませるだけでも翅の飛行速度時間は大きな差が生まれる事を利用したのだ。

 

「ALOのエアレイド、マスターしてるにも程があるだろ。」

 

徐々に減速していき、少し休みもう一度全速で飛んだ時には、ユウキ達は残りチェックポイントの数が二つ、おれは三つの差が生まれた。

 

「やっぱりボク達、速すぎたんじゃ。」

 

「そりゃあ、後方の集団が殆どが諦めてリタイアすればね。」

 

「もう次のレースは無いと思うけど、今回で最後なら一位をもう一回取る!!」

 

そう言い、リーファは全力で飛んだ。それを見ていた全員が見逃す筈もなく一気に加速した。スピードには、ユウキとリーファが有利だった。一気に最後のチェックポイントのプーカ領主館を飛び抜いてゴールに向かう。現在の順位は一位リーファ、二位ユウキ、三位ノリ、四位タイ、アスナ、キリト、五位シノン、六位シリカ

 

「負けるかぁぁぁ!!」

 

「おおおと!!ここでリーファ、ユウキ、キリト、アスナが並んだぁぁ!!ゴールまでは残り10メートル、はたして優勝は誰だー!!」

 

「そうだ!!」

 

「おおと、ユウキ選手僅かに後ろに下がった、速度限界でしょうか?」

 

「プレイヤーを倒すのは無しなんだよね♪」

 

「え?」

 

全員が同じ反応をし、後ろを振り向くと、ユウキが剣を《肩に乗せて、片手を突き出していた》。

 

「え!?あれってまさか!?」

 

「そんなのありかよぉぉ!!」

 

ユウキが繰り出そうとしている技は、ユウキと同じ片手剣使いのリーファとキリトには即座に理解出来た。嫌、それ所かキリトは、SAO時代では最も得意とし、ALOでも使う場面は多い技だった。

 

「いくら何でもヴォーパルストライクは無しだろ!!」

 

「倒さなかったら何でもあり♪」

 

ヴォーパルストライクを発動し、横を一気に通り過ぎるとそのままゴールラインを突っ切った。

 

「優勝はユウキ選手!!まさかのヴォーパルストライクによる見事なゴールでしたー!!」

 

ほんの少し遅れてゴールにたどり着き、表彰式を迎えた。結果は、

 

一位ユウキ、二位キリト、三位リーファ、四位アスナ、五位ノリ、六位タイ、シノン、シリカで第二回アルブヘイム横断レースは、第三回の開会は未定となり、横断レースは二つの意味で幕を閉じた。




原作のストーリーを無視しました。

原作通りに行くと誰が優勝なのか分かると思ったので、原作を無視しました。申し訳なさありませんでした。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。