ユウキがキリトを選んでいたら   作:壺井 遼太郎

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スリーピングナイツ

ユウキの後を追いかけていると、24層より上に飛び始めた。どこに行くのか考えていたら、急に曲がった。曲がった所は27層、現在の最前線。

 

27層は他の層と比べると大分暗い。外周部から入る光も僅かな物で、暗視魔法が無いととてもじゃないが見えない。苦手な魔法を使い、暗視のバフをかけるとユウキを追いかけた。

 

主街区も例外でなく暗い。だが、建物から漏れ出ている光で、フィールドよりは見える。ユウキは建物の中に入ると、早く来て。と言わんばかりに手を動かす。急いで向かい、店の中に入ると先程まで暗かった所にいたせいか、中からの光が痛い。

 

「じゃあ紹介するね♪ボクのギルドスリーピングナイツでーす♪」

 

スリーピングナイツのギルドはユウキを合わせて6人しか居なかった。最初に自己紹介を始めたのはサラマンダーだった。

 

「初めまして、ぼくはジュン、宜しく。」

 

次にノーム

 

「あー、テッチって言います。」

 

レプラコーン

 

「始めまして、私はタルケンと言います。」

 

自分と同じスプリガン

 

「私はノリよろしくー。」

 

見た目だけで分かる程のヒーラーの特徴を持つウンディーネ

 

「シウネーです。」

 

「そんで、ボクが一応リーダーのユウキです♪ボク達に協力してくれてありがとう♪」

 

協力をするとは言ったが、肝心の内容を聞いていなかったので、聞くことにした。

 

「え~と?協力の内容聞いてないんだけど?」

 

「あそっか、ボク何も教えてなかったし、名前も聞いてなかった♪」

 

ずてー、と椅子から落ちたりテーブルに倒れたメンバーだが、先程から気になっていた。ユウキを合わせて6人全員、動きに違和感がない。SAOで2年間過ごしたおれ達でも、ここまでのアバターに滑らかな動きをする者は数えられる程度しか居なかった。

 

「じゃあ先におれの名前から、おれの名前はキリトだ、宜しく。」

 

「ごめんねー、キリトさん。何も言わずに連れてきて。」

 

「あ、キリトさん。協力の内容は私が説明します。」

 

ここにどうぞ、と席を用意され、そこに座ると。シウネーが喋りだした。

 

「私達はとあるコミュニティーサイトで知り合ったメンバーです。それで皆で沢山の世界を旅してきました。このメンバーは最高の仲間です。それでも私達は4月から忙しくなるので、引退するのですが、その前にこの世界に私達が居た。と言う記録を残したいんです。それで7人目を決めるために、私達の中で最強のユウキに任せたんです。」

 

「それでどうしようと?」

 

シウネーに聞いた質問を代わりにユウキが答えた。

 

「ボク達ね、この層のボスを倒したいんだ。ここにいる7人で。」

 

「え、ええぇぇぇ!!」

 

確かに7人までなら、第1層の生命の碑に名前を残せる。だが、レイド隊でも苦労するボスを7人で倒すのは無茶がある。が、逆に全員から希望の眼差しを向けられると断れない。

 

「わ、分かった。じゃあ明日、この宿で。」

 

「私とタルケンは夜は駄目なんだ。」

 

「午後3時は?」

 

「それなら大丈夫。」

 

「じゃあ明日午後3時にここに集合。」

 

「了解♪」

 

皆がログアウトしてから、宿に部屋を取って、自室に入った。

 

「こんなギルド2回目だな。」

 

ふと考えていた言葉を口で呟いていた。

 

昔、そこまで強くなくとも、攻略組に入ろうとしたギルドを思い出していた。

 

「ユイ。」

 

「ふああ、はいパパ。」

 

「寝てたのか、アスナ達にメッセージを送ってくれ。しばらくパーティは組めないって。」

 

「分かりました。」

 

ユイにメッセージを送るのを頼み、アイテム整理をしていた。

 

「なぁユイ、ユウキ達の事どう思う?」

 

「SAOのデータには皆さんのデータは存在していませんでした。でも皆さん攻略組の精鋭部隊より強いです。」

 

「やっぱりか~。あの動き方はおれ達でもそうそう出来ない。」

 

「ですが、2年間過ごしたパパ達と同等のステータスです。それが少し妙です。」

 

「余り先入観持ちたくないから、もう言わなくても良いぞ。」

 

「はい、では私は戻ります。」

 

「お疲れ。」

 

労いの言葉をかけると、ユイはポケットの中に戻っていった。

 

そのまま、未だ分からない疑問が頭に残りつつも、眠気が襲ってくる。目を閉じると電池が切れた様に眠った。


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