デジモンアドベンチャー BLAST   作:アドゥラ

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描いている途中、10回ほどバグってヤバかった今日この頃。

色々と改定作業をしていく中、時間の穴埋め作業を始めました。


7.未来へ進むために

 風邪をひいた。暖かくなってきた時期とはいえ、海の中に入ってそのまま激しい運動(戦闘)をしたあと夜まで寝転がっていたら……そりゃあ風邪をひくに決まっている。

 ちなみに、ドルモンまで風邪をひくという始末。適応し過ぎやしやしませんかね。

 

「カノン、うるさい……」

「あー頭に響く」

 

 ちなみに、ドルモンに進化しているのは体力の低いドリモンよりかは治りやすいのではという考えの下からである。エネルギー消費を抑えて幼年期とも考えたが、抵抗力を下げるよりかはいいかと判断した。

 僕はそんな便利なことできないので、普通に薬をのんで安静にするしかないのだが。

 

「あぁ……暇だな」

 

 でも、眠気が出てきた。寝た方が治りが良いだろうしとっとと寝た方が……

 意識が遠くなってきたのを感じる。これなら、すぐにでも眠れるだろうと――――意識が暗転し、僕の意識は再びどこか遠いところに旅立った。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 気が付くと、巨大な樹の目の前にいた。あたりには石碑のようなものも存在しているし、ファンタジー物のRPGの世界みたいだ。

 樹を見上げてみると、先の方はまるで焼け焦げたのか枯れたのか、ボロボロになっているのがわかる。

 

「なんだ、コレ」

 

 僕はこれを知らない。だけど、どこか懐かしいと同時に何か言い知れぬ悪寒が駆け巡る。

 これに触れてはならない。そう思うのだが、これに触れなければならないような気もするのだ。触れたが最後、後戻りはできないというのに――――体が勝手に動き出し、樹に触れようとして――

 

 ――――強烈な悪寒が、その場から僕を後ろに下がらせた。

 

「――誰だッ!」

 

 言葉に応える声はない。だが、悪寒の主はすぐに現れた。

 全身を緑と銀の鎧に身を包んだ悪魔。十枚の悪魔の翼を持った謎の人物――いや、カノンにはそいつが何者かが分かった。以前感じたプレッシャーにも似た雰囲気。

 

「デジモン……しかも、究極体?」

「――――排除スル」

 

 反撃しようと、左手が雷に包まれ――――

 

 

 一瞬で間合いを詰められた。

 すぐにドルモンを呼ぼうとしたが、何もすることができずに奴の攻撃を喰らっている自分に気が付く。

 

「――――あ」

「排除、完了」

 

 肩から腰まで、斜めに切り裂かれた。がくりと、力が抜けていく。膝をつき、意識が消えていくのを感じる。

 ドルモンを探すが、あたりにはいない……そもそも、ドルモンって誰だっけ?

 自分の名前がわからなくなる。自分はいったい誰だったのか、何者なのかがわからない。そこで、奴が止めを刺そうとしてくるのを感じた。

 だからここで終わり。これでおしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、なかなか面白い旋律(コード)を感じたかと思えば……君はまだここへ来るべきではない魂の持ち主だ。あるべきところに帰るといい。幸い、君はただ魂だけが迷い込んだだけに過ぎない。

 私の力で元の場所に戻してあげよう……まだ君の物語は幕を開けたばかりだ。これから先、過酷な運命が君を待ち受けるだろうが――今度ここに来るときは、一人じゃないはずだ」

 

 

 最後に、巨大な右手を持つ誰かの姿が見えたが――すぐに視界が暗転した。だけど不思議と恐怖はなく、誰かのあたたかな手の中にいたような気がする。

 天高い場所に光が見え、元あるべき場所へと戻るのがわかる。

 

「がんばりなさい――自分たちの可能性を信じるのだ、その先に進むべき道が見えるだろう」

 

 背中を押されるように、僕の魂はあるべき場所へ、あるべき姿で戻っていく。

 どこかでずれた歯車が元に戻っていくのを感じる。まだ、この場所にくるには速すぎたのだろう。次に来るときは、なすべきことをした後だ。まだ、やるべきことがある。

 不思議なことだが、肉体から魂が離れている間は僕がすべきことやこれから起こることを文章の形で読むことができる。もっとも、肉体に魂が戻ればそのことを思い出せなくなるが。

 ただ、大事なことだけは予感としてもっていくことができた。

 三年後。僕だけじゃない。本当の戦いはその年に始まる。世界を揺るがす大事件まで、あと三年。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「――――ッ」

 

 何か大事な夢を見ていた気がする。体をなでてみるが何ともない。いや、何を不安がっているんだろう。何もないはずなのに、なにか恐ろしい目に遭った気もする。

 前回の戦いでは勝利したはずなのに、なぜか敗北感を感じている。

 

「……三年」

 

 不思議と、その数字が出てきた。具体的な意味は分からなかったけど、それだけは忘れてはならないというかのように頭に残り続けている。

 握る手に力が入る。ああ、僕らはようやくスタートラインに立った。三年も時間がある。その間に出来ることは多いだろう。ノートを取り出し、頭に浮かんだものを書き出していく。

 今までみたデジモンの姿と、デジコアインターフェースに触れたことで得た情報を合わせながら目標を定める。

 

「んぅ……カノン? どうかしたの」

「ああおこしちゃったか……今回のことで痛感したけど、こっちにデジモンが出てきた以上デジタルワールドとつながるゲートみたいなのがあるんじゃないかと思って、今まで見たデジモンの特徴を照らし合わせていた」

「ふーん……で、何かわかったの?」

「ああ。そこらへんは特に関係ないってのが分かった」

「ってそれだけ?」

「それと、成熟期で満足していちゃだめだなって」

「?」

「やっぱりさ……目指すなら、究極体だろ」

「――――うん。そうだね」

 

 口には出さず、お互いの拳を付き合う。先は長いだろうけど、僕らは信じている。目指す先にあるものを。この胸のワクワクは止められないのだから。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 まあ、そんな決意も新たにまずは風邪を治したわけだけど、そんな光景を見られていたのだろうか。元軍人の母の琴線に触れてしまったのか、今とんでもない所にいます。

 

「さあ、二人とも頑張って!」

「いやいやいやいやいや、何言ってんですか貴女は!?」

「ママさん正気!?」

 

 セスナから飛び降りろと無茶ブリされています。いや、6歳の息子になに言ってんのこの人!?

 

「ママはねー、カノンちゃんはパパみたいに学者さんになるかなーなんて思ってたのー……でもねー、やっぱり男の子なのねー。あの男らしい顔を見たとき、私の軍人魂に火が付いたわ。さあ、頑張ってらっしゃい!!」

「スパルタ!?」

 

 ドルガモンの背に乗って空を飛ぶ訓練がしたいんだけど、人目につかない場所を知らないかと相談しただけだった。そのはずだったんだ。その際、かなり心配されたし無茶ばっかりしてと怒られたんだけど……自分の決意とか、思いとか色々語ったせいなのだろうか。さらに斜め上の無茶を強要された。

 いきなりハワイに連れてこられて、セスナの中に……で、落ちて進化させて飛べと。

 

「さあ、プレゼントした飛行帽は被っているわね! それがあれば風を受けても大丈夫!」

「子供用だよねこれ――ねえ、革製だけど子供用の市販品なんだよね!? そうだと言ってください……」

「ママさん、あのこの高さから落ちたら流石に死ぬと思うんだけど」

「大丈夫、ドルちゃんには翼があるでしょ」

「淡白!?」

「さあ――レッツゴーよ二人とも! 下でお父さんが待っているから頑張りましょう! 大丈夫! 落ちてもキャッチできるわ!」

「「物理的に無理――――ああああああああ!?」」

 

 いきなり機体が動いて、外に放り出される。嫌な浮遊感の後、落下する感覚が――――

 

「ど、ドルモン!」

「分かってる――――進化ッ! ドルガモン!」

 

 ドルモンの体が光に包まれ、肥大化していく。すぐに僕の体をキャッチし、空に羽ばたく。っていうかこんな無茶しなくても普通にしてくれれば良かったのに……

 

「極端すぎるな……よし、ちょっと懲らしめるか」

「分かってる――ガアアア!!」

 

 流石に攻撃はしないが、母さんの操縦するセスナを追いかける。母さんも慌てて逃げる――どころか、軽やかにかわすんですが。え、どういうこと?

 こちらが追いかければ、それに合わせるように機体を巧みに動かして躱す。操縦技術が予想の数倍上なんだが……それでも逃げたくはない。ドルガモンに進行方向の指示をだし、母さんの動くルートを予測しながら追走していく。

 

「風で体がうまく動かないのに、なんであんなにアクロバットな動きができるんだよ!?」

「慌てるなドルガモン! 風の動きを読んでいるとしか思えないけど、どうやって読んでいるのか――たぶん経験からかな。だったらこっちは肌で感じた風で予測するしかない」

 

 母さんはどうやって緩急の付いた動きをしているんだ? っていうか普通のセスナじゃないよなアレ。どんな伝手で軍用機っぽいのを借りてきたのか……慣れ過ぎているあたり、自分のと言い出しても驚かないよ。

 でも風が強いのに逆らっても――いや、逆らわなくていいのか。

 

「ドルガモン、翼の角度だ! 風を受ける角度を調節しているんだよ! 風に逆らうんじゃない――風の力を使うんだ」

「――――ッ!」

 

 その言葉と同時に、ドルガモンの動きが変わる。一気に加速して意識が飛びそうになるがしっかりとドルガモンにつかまると同時に、集中する。

 母さんに追従し、そのまま追い越す。一瞬、母さんの顔が見えたが驚いていた気がする――でも、それをしり目に僕らは更に前へと進む。

 

「負けてられるかッ!」

「――――グオオオオオオ!!」

 

 ドルガモンが咆哮を上げ、一気にスピードが上がる。先ほどまでとは飛行スピードがケタ違いだ。ただ翼で飛んでいるわけではない。まるで、見えないジェットがついているようにスピードが上がっているのだ。

 デジモンについて勝手に限界を決めていた。翼があるからと言って、そのまま飛んでいるわけでなかったのだ。翼はいわば飛行能力をもつという象徴なのだ。ドルガモンというデジモンは飛行能力をもっており、その能力によって飛行を可能にしている。

 

「すげぇ……」

 

 その後は一通り空を飛んで、飛行の感触を確かめた。少々飛ばし過ぎたからか、大分疲れたけどこの感触はかなりいいものだと思う。ドルモンも同じみたいで、さっきから興奮しっぱなしだ。

 だけど……飛行場に戻った時に母さんが父さんにガチで怒られているのを見たときは冷静になった。うん、流石にアレは人としてどうかと思う。後で聞いた話だと、母さんはどうも大分スパルタな方だったらしく、昔はその筋じゃかなり有名だったとか。今でも伝説になっているみたいだ。ああ、それで現職の方がキッチリした敬礼をしていたのか。

 まあ、母さんが暴走したのも最初のうちで、あとは色々と教えてもらった感じだ。飛行場についても場所を確保してくれたのはうれしかったし。

 

 その後はみんなでハワイ観光をして日本に帰ることとなる。火山を見て回ったり、ビーチで泳いだり。

 それなりに楽しかったし、面白かったのだが……僕は生粋のトラブルメーカーなのか、なんかよくないものでも憑いているのか……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 ちょっと一休みと、何か飲み物でも買おうとしていた時のことだった。

 奇妙な電子音が聞こえ、デジヴァイスが何かに反応を示しているのに気が付いた。というか、こんな反応初めてなんだけど。

 

「デジヴァイスが反応しているって、初めてだよな」

「だね。近くに何かあるのかな?」

「……行ってみるか」

「うーん……嫌な感じはしないし、大丈夫だと思うよ」

 

 ドリモン(基本的に人が多い所では、常にぬいぐるみのふりをしている)もそう言うので、反応を頼りに進む。それほど遠くない場所に、洞窟を見つけたのだが……あからさまに怪しい。

 しかし、ドリモンも嫌な感じはしないと言っているし、僕も危険な予感は全くしない。

 

「だけどなんか関わらない方が良いような気もしなくもないんだ」

「どっちなのそれ」

「……ここで帰った方が気になるか。仕方がない。いくぞ」

「はーい」

 

 ドリモンを一応進化させ、奥に進んでいく。真っ暗だけど大丈夫かな――と思っていたら、少し進んだら急に先が見えるようになってきた。まるで、3Dのゲームでマップを移動した時みたいな感じだ。現実世界にそういうテクスチャを貼ったらこういう風になるんじゃないか?

 

「ん? テクスチャ?」

「くんくん……デジモンのにおいがする。結構強いみたいだよ」

「嫌な予感は?」

「まったくしない」

「なら大丈夫だろ」

 

 まあ、たぶんデジモン関連だとは思っていたが、本当にデジモンがいるとは思わなかった……そのまま進んでいくと、なんか部屋っぽい場所にでて……ソファーの上に人が眠っていた。

 中東とかアラビアンナイトに出てきそうな服装の女性。年のころは10代後半から20代前半にみえるが、なにより特徴的なのは頭の上の耳と、二つの猫の尻尾。よくみると下半身は人間のそれではない。明らかに未確認生物――違った、たぶんこの人がデジモンだ。

 

「人型のデジモンもいるのか――なんだろう、どこかで人型も見たような気がする」

「っていうか、なんでこんなところにデジモンがいるの?」

「僕に聞かれてもなぁー」

 

 っていうか、人が来たのにこのネコミミデジモンは寝続けているし……ふみゃぁという声も時々聞こえる。

 と、そこで流石に気が付いたのか彼女は目を開けて……

 

「…………ぐぅ」

「「二度寝すんのかよ!?」」

 

 世の中には、危なくはないけど面倒なことがある。ひとまず、その教訓だけは得られた。

 結局彼女はいったい何者なのだろうか……




原作開始まで、ちょっと色々とやっていきます。

色々なところからネタを引っ張ってきていますが、名前を出していないで特徴だけ書いたデジモンが数体出ました。さあ、名前がわかるかな。

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