タグにオリデジを入れようか検討中。と言っても、完全オリジナルはやらないのでどうするか悩んでいます。精々、クロスウォーズのデジモンに世代をつけるか、既存のデジモンの色と設定の微妙な変化ぐらい。
流石に暴れ過ぎたのか、球体展望台が崩れ落ちそうになっていた。
「いかん崩れるぞ!」
「みんな、この上に乗ってくれ!」
僕が急いで魔法陣を展開して足場を形成する。ゆっくりとしたに降りていくエレベーターみたいに利用可能なものを構築したのだ。
「お前、どんどん人間離れしていくな……」
「言いっこなしですよ。とにかく、ゆっくりとですが降りていきます」
全員が乗ったことを確認して、徐々に地上に下ろしていく。球体展望台も崩れて下に転がり落ちていってしまった……形を保っているあたり、意外と頑丈らしい。
「あぁ……これからどうするか」
「知り合いに頼んで復興の手配するわねー」
「私も色々と掛け合ってみよう」
「えっと、失礼ですが……どんな伝手が」
「私は元軍人ー。一時期はNGOなんかもやっていましたー」
「まあ私はただの大学教授ですよ。仕事柄色々と伝手があるだけです」
「で、その息子は今や魔法使い――カノン、お前んちどうなってんだ」
「僕に言われましても……魔法使えるようになったのも偶然によるところが大きいですし」
それ言ったらデジモンのパートナーなみんなも結構なものだと思う。太一さんは割と普通の家なのだが、みんな結構裕福な家だよな。
空さんの母親なんて華道の家元だし、ミミさんはたしか父親がミュージシャンか何かだったと思う。海外にも何度もいけるぐらい裕福らしいし……実はお父様凄い方なのではないでしょうか。あと今更だけどミミさんだけパジャマっすね……ああ、バケモンにつかまったのか。
あとは丈さんの家は代々続く医者の家系なんだそうだ。
「っと、ハイ到着でーす」
「……なんだか驚くようなことばかりだな」
「親父、気持ちは分かるが……カノンは例外だからな」
「ヤマトさんまでひどいです…………」
まったく、霧のせいもあって制御に気を使ったっていうのに……え、霧?
「おい、ヒカリにタケル……どうしたんだよ暗い顔をして」
「お兄ちゃん、まだ霧が晴れてない」
「――そういえば、まだ霧が深いな」
ヴァンデモンを倒したのに、まだ結界が解けていない? 起点は破壊したのに魔力が消えていないってどういうことだ……なんだろう、とても嫌な予感がする。
だが、今のところどうすることもできない。太一さんも苛立って落ちていたヴァンデモンの仮面を蹴り飛ばしていた。
「くそっ――ヴァンデモンを倒したのになんで霧が晴れていないんだよ!」
「お母さん、大丈夫かな……」
「どうなってんのよー!」
騒いでも仕方がないことだけど……さて、どうしたものか。
「カノンー、何かわからないのー?」
「生憎とこの霧のせいで何が何だかだよ」
「そうか……しかし、随分とボロボロになったな」
みんなも結構激しい戦いになったみたいだし、割とボロボロになった場所もあるみたいだ。
「みなさん来てください! ゲンナイさんからメールが届いています!」
「なんだって!?」
全員ですぐさま光子郎さんの下へ集まると、彼はメールを開いてくれた。このデフォルメされたおじいさんがゲンナイさんか……
『喜べ子供たちよ! ヴァンデモンを倒すヒントが見つかったぞ!』
いや、倒したところなんだけど……やっぱりまだ何かあるのか?
で、すぐにそのヒントが表示される。画像も添付されており、デジ文字で書かれた石板のようだ。
『古代遺跡で見つかった予言の詩じゃ――はじめにコウモリの群れが空を覆った。
続いて人々がアンデッドデジモンの王の名を唱えた。
そして時が獣の数字を刻んだ時アンデッドデジモンの王は獣の正体を現した。
天使達がその守るべき人のもっとも愛する人へ光と希望の矢を放った。
そして奇跡が起きた』
え、それだけなの――と思ったのだが……これは全てが解読されているわけではなかった。ウィザーモンのおかげか、不思議と文字が読める。
ゲンナイさんの語った内容と別の文章が頭に入ってくる。文字が崩れているが……悪しきものによる力の解放。獣は――ダメだ。ここらへんはもう読めない。
他にも文章があるが――
『もう一つ、よくわからんのじゃが――
運命の子は始祖と共に飛び立ち、やがて究極の敵を呼び覚ます。
先ほどの予言と一緒に書かれているため関連していると思われるが、今のところよくわかっとらん。究極の敵と言うのがどうにも気にかかる。十分注意するんじゃぞ!
それでは、検討を祈る』
それだけ言うとメールは閉じられた……あ、メールだから一方的にしかしゃべらないのか。
後半は読む前に言われてしまった……しかし他にも色々と書かれているようなのだが…………ダメだ。よくわからない。
力の解放ってのも気になるが……意味がかぶっている部分があるし、流してもいいのか? むしろ究極の敵について考えた方がいいだろう。
「なんだよ究極の敵って……ヴァンデモンよりもヤバいやつが出てくるってのか?」
「たしかにそうとも取れるんですが……でも運命の子が呼び覚ますんですよね」
「となると、もしかして――」
そこで、子供たちとデジモンたちの顔が一斉にこちらへ向く。いや、パンプモンとゴツモンは除くが。
「まあ僕なんでしょうね――でも究極の敵なんてヤバそうな奴、僕が封印を解くとかそんなわけないでしょうに」
呼び覚ますって書いてあるけど、みんなを危険にさらしそうな存在にちょっかい出さないっての。
というか始祖ってなんだよ……
「始祖、最初のもの。カノン君、何か心当たりはありませんか?」
「さぁ……さっぱりですが」
「カノン、最初のデジモンとかそういうのじゃないのか? それも心当たりはないのか?」
「いや、父さんそんなこと言ったって――いるな、ここに」
「ええ!? どいつなんだカノン! 最初のデジモンって!?」
「太一さん揺らさないでください。気持ち悪くなる……」
「あ、悪い」
うっぷ……吐きそう。
顔を扇いで吐き気をさます……何とか落ち着いた。
「まあ、ドルモンのことですよ。こいつ、プロトタイプデジモンの生き残りだから」
「というわけで、プロトタイプです!」
「なるほど、デジモンのプロトタイプ……つまり始祖というわけですね。運命の子が運命の紋章を持つカノン君だとすると、納得はできるのですが……」
「でもカノンが俺たちの敵を呼び覚ますと思えないしな」
たぶんゲンナイさんもそこがよくわからなかったのだろう。結局、究極の敵って何なんだよ。光子郎さんを見てみると、何かを考え込んでいるが……
「とにかく、考えていても仕方がない。まずは行動だな」
「太一さんの言う通りよ――それに、アタシはやく着替えたい!」
「そういえばミミちゃんパジャマだものね……ビッグサイトに行ってお母さんたちのところにも行きたいし…………」
「ボクも両親を迎えに行かないと」
となると、ミミさんや光子郎さんの家の方に行ってから、全員でビッグサイトに行くべきだろうか。
決まると速いもので、すぐさま移動することになったんだが……
「おーいカノン! 置いてくぞ!」
「今行きます!」
……またな、ウィザーモン。
◇◇◇◇◇
光子郎さんの両親もすぐに出てきて、ミミさんも着替えが終わった。近くに家があり、荷物を取りに行った丈さんはというと……運よく捕まらなかった兄と合流できたようだ。なんでも、押し入れに入っていたのだと。
大学生だが、医学知識もしっかりと持ち合わせているらしい。これはこの状況だと心強い。
「二手に分かれるか。私たちはお台場から脱出できないか試してみる」
石田さんがそう言い、ヤマトさんとタケル君が一緒にボートで脱出を図るようだ。
となると、残りの人たちでビッグサイトに行くわけか。
そういえばさっきから父さんが何か考え込んでいるな……
「ふーむ」
「どうしたの、父さん?」
「いや、先ほどの予言だが――どうにも暴食というのが気になってな」
「暴食?」
「獣の数字といい、こちらの神話に照らし合わせているとも考えられるんだ。暴食、七つの大罪……ベルゼブブ…………」
「流石にそこら辺の知識はあまりないんだけど……」
不穏当なセリフが聞こえるんだが。不安になるからやめてほしい。
しかし、結構な大所帯だな。パンプモンとゴツモン、なんで鼻歌混じり?
「いやぁ、ヴァンデモンもいなくなって心配事が一つ消えたからさ!」
「そうそう」
「でも事件は解決していないし、終わったとしてもデジタルワールドに戻らなくちゃいけないだろうが」
「それはそうなんだけどねー」
「帰る前に旨いもの食べたいし」
「そういえば全然ご飯食べてなかったな……かといってこの状況で食べ物なんて……ビッグサイトの売店なら何かあるかな?」
お金はちゃんとおいておくのは当然だけど物色した方が良いかもしれない。まだ何かあるんだとしたら、ドルモンたちの体力も心配だし――と、そこで街中に白衣のようなものを着ている人影が見えた。
「え――?」
「どうした?」
「なんか白衣見たいのが見えたような……」
「もしかしてバケモンか?」
「かも、しれませんね――ちょっと追いかけてきます!」
「おいカノン!」
「みんなはビッグサイトへ行ってください!」
デジタマのことが心配だけど……パンプモンとゴツモンがいるから大丈夫か。アイツらも普段はふざけているが、デジタマを見たときは大切に扱おうって感じだったし。
デジモンの本能にデジタマを傷つけないようにって刻まれているのかもしれない。
そんなわけでドルモンと二人で白衣が見えた方を追っているんだけど……まーた第六台場が近くなっているよオイ。レインボーブリッジも見えてきたが――あちゃぁ、崩れてる。徒歩でお台場から脱出はできそうにないな。
と、そこでやっとこさ白衣の人物に追いついたわけだが――その人は見覚えのある人物だった。
「おやおやぁ――たしか、橘教授のご子息でしたねぇ」
「あなたは……古崎さん、でしたっけ」
なぜこの人がここにいるのだろうか。たしかに白衣は着ていたが――っと、ドルモンが見つかるのはまずいか? とも思ったがこの人は驚いた様子が無い。バケモンたちを見たからか? 丈さんのお兄さんみたいに偶然助かったってところか? でもそれにしては落ち着き過ぎているような……
妙な違和感を感じ、警戒をするが……どこか飄々としている。
「……」
「あまり変な勘ぐられはしてほしくないんですがねぇ……君は杉田マサキという人間をご存知ですか?」
「…………いえ、わからないですけど」
「そうですか。その様子だと本当に知らないみたいですねぇ……不穏な空気ですし、私は退散いたします
それだけ言うと、古崎さんは去ろうとして――そうだ。父さんに聞きそびれていたことを彼なら知っているかもしれない。
「獣の数字って知っていますか?」
「黙示録ですね。666が獣の数字とされています」
666……妙な胸騒ぎがする。お台場に戻った方がいいのではと思い、すぐに引き返そうとしたところ――古崎さんの姿が見えなくなっていた。
「え?」
「においまで消えている……どこに行ったんだ?」
なんだか不気味な人だったが……とにかくお台場まで戻るしかないか。
「666――時刻だとしたら、時間が無いぞ!」
「6時6分6秒だね……」
デジヴァイスを取り出し、ドルグレモンまで進化してもらう。何があるかわからないし、完全体になってもらったが――その時だった、どこかで感じた覚えのある悪寒が、体を駆け巡ったのは。
「――――ッ、この感じは……」
「ああ、前に感じたことがある」
ドルグレモンの背に乗り、悪寒の発信源まで行ってもらった……台場公園。そこには、かつて見たことのある全身黒一色の男が佇んでいた。
殺気とも違う威圧感。体中にビリビリくる、このオーラ。
「……また会ったな坊主」
「――――お前、一体何者だ」
「そんなことはいいんだよ……それより知っているか? この場所はヴァンデモンの野郎がアジトに使っていた場所だ」
「こんな近くにあったのか!?」
まったく気が付かなかった……彼は足でトントンと、地面を蹴っている。その様子からするに、地下に異空間か何かを形成していたってところか……
「ほう、理解が速いな――なるほど、順調に成長しているようだ」
「……もしかして、わざと僕らを呼び出したのか?」
「ああ。その通りさ。まあ、ある奴に借りがあってな……お前をここに留めておくのが目的だ」
「何を――」
「そうら、始まったぞ」
その声と共に、フジテレビの方で轟音が鳴り響く。空にはコウモリの大群があふれており――巨大なヴァンデモンの仮面へ吸い込まれていっていた。影が起き上がり、人のような形へと変貌していく。
「なんだよ、あれ」
「お前だって気が付いていたんだろ……アレがヴァンデモンの正体だ」
瞳に、いつものように情報が入ってくる。ヴェノムヴァンデモン、究極体――ああやっぱりか。アレがヴァンデモンの正体。完全体を上回るスペックを持っていたのは……
「本来の姿が、究極体だからかッ」
「ご明察だ――」
すぐさま奴のところへ向かおうとすると、銃声が鳴り響いた。足元には穴……そして、男の手には拳銃が握られていた。
「言っただろ。お前をここに留めると」
「なんで……お前、いったいなんなんだ」
「一から十まで説明するのは俺の趣味じゃねぇ――ただ、この場にいろ。あとは時が解決するさ」
ドルグレモンが男を睨むが、顔に冷や汗が流れている。この男、今のぼくたちよりもはるかに強い……
向こうでは戦いが始まっているというのに、僕らは動けずいる。思わず手からは雷撃が飛び出ているが……速度で勝てるイメージがわかない。
――雷と暴食が出会うであろう――
その時、なぜかその一文が頭をよぎったが――その言葉の本当の意味を知るのは、何年も後のことだ。今はまだ、知る由もないし、ただ目の前の障害をどうにかするしか考えが回らなかった。
自分でも回収しきれるか怪しい伏線の嵐だ。
構想している話をやれれば自然と回収できるように仕込んではいますが……
ウィッチェルニーとイリアス。
アドベンチャーではさらにダゴモンの海や暗黒の世界、02ラストの謎の世界など、いくつ世界があるんだあそこには……
デーモンも別次元から来ているらしいし。
あ、もしかして暗黒の世界かデーモンの次元ってダークエリア?