恥の多い吾輩の長いトンネルを抜けると、激怒した。
おはようございます、ジャンヌ・オルレアンです。朝起きた時に文学的に有名な一文を付け加えると、近代文学の名作のような人生を送れる健康法を実践中です。カンパネルラ。まてよ、名作近代文学ってどれもこれもだいたいオチがロクでもなくないか?なんでKとのみ刻まれたシュールな墓にしがみつきながら咽び泣かねばならぬのだ?終了!お疲れ!というわけでジャンヌ・オルレアンでしたー!ちゃんちゃん!
ちなみに現在時刻は午前2時です。リリウム寝た後ずっと布団に横になりながらACLRやってたので寝ていません。
しかし、なんであんな装備をしていたんだろうか、隊長は。確かに両肩バズ装備の隊長そんな強く無いけど。うーん、まぁACの良い所は自由なアセンブルにあるからなぁ。行き着いたのかなぁライウン砲に。辛かっただろうなぁLRのレイヴン。
などなどと適当な事を考えながら、とりあえずルートを一つクリアする。いやぁ、やっぱり、バーテックスルートは最高だよ。ほんと、泣けるね!!特にあいつの最期はもう号泣したもん!!
最高だよね、レビヤタン。特に量産型の勇姿は……よき……
しかし、暇だな。目が冴えに冴えている。このまま寝るというのもなんだかつまらない。どうせ明日はそこまで予定もないし……
むくりと起きる。リリウムを起こさないようにそーっと布団から抜け出し、ヘッドホンを装着。
音楽プレイヤーをポケットに詰め込み、深夜のアクアビット散歩と洒落込む。
アクアビット社はどこもかしこも常に清潔に保たれている。きゅっきゅきゅっきゅとリズミカルに床に足を擦らせ、道を行く。
10分ほど歩いた後、本社中央を貫く人間用エレベーターに乗り込んだ。10秒ほどどこを歩くか考えた後、そうだな最下層から色々覗こうかと、ボタンを押した。
アクアビット社は、大きく分けて三層に別れている。ネクストや兵器類のガレージ、そして実験場(4で自律ACと戦った所を思い浮かべてもらいたい)の存在する下層。アクアビット社の誇る精鋭研究員達が日夜技術の発展と次の戦争の為に命を削る中層。そしてそれらの人々の住居スペースや、商業区の存在する上層だ。湖底までのエレベーターで繋がっている広大な実験場も存在してるのだが、そこではもっぱらネクストの本格的な戦闘訓練や機動実験に使われており、今行っても何も面白いことは無い。
下層についてみると、丑三つ時とは思えんほど騒がしい。まぁ、理由は明白だが。
解析しているのはノーマルの筈なのに、嬉々として指揮を執るネクスト班の主席、パトリックに話しかける。
「おぉジャンヌさん!どうされました?」
昼の三時くらいじゃなきゃ耐えられないレベルの声である。タチの悪いことに、どうやら昨日は睡眠したらしい。いつもは120%程度のテンションが5倍に跳ね上がってる。自分もテンションは高い方なのだが、この体育会系の前に立つとどうも尻込みしてしまう。
「お疲れ、どう?何か発見は?」
「……実はね、私は思い始めたんですよ。彼の言ってる事は本当なのではってね」
藪から棒にどうした。
「……あの、異世界から来たってやつ?」
「えぇ!それくらいにこのノーマルには謎と技術が詰まっています!見ます?見ましょう!特に貴女は見るべきです!」
そう言って、早送りでもしているかのようにたったとパトリックは歩き始めた。私もついて行く。
主に、コジマ兵器以外の試験に使う地下試験場に来た。いま、そこでは解析を終え、各種兵器類の試験を行うオラクルの姿がある。
「ジャンヌさん。ハイエンドノーマルについての知識は?」
「殆ど無いわね。ネクストみたいにアセンブル可能ってくらい」
4系の公式小説、全然読んで無いのよね。
「まぁ、アセンブル可能なノーマル程度の認識で大丈夫です。国家解体戦争前に一時期流行はしたんですが。高コストな割に企業が量産するノーマルとは性能があまり変わらないのですぐに廃れたのです。ですが……」
ガン!とパトリックが強化ガラスを叩く。彼は笑みを浮かべながら、オラクルを指差した。
「あのノーマルAC……いえ、オラクルにはあんなハイエンドノーマルとは比べ物にならない程の技術が詰まっているんです!高威力かつ、ノーマルに搭載可能なまでにコンパクト化された背部レーザーキャノン。リニア効果を利用し、高い弾速や衝撃を持つライフル。コアに装備された、自律、攻撃を行うオービット兵器、そしてあのブレード……!」
「ブレードに何か秘密が?」
「そうなんです!もうレイレナードのブレード開発に関わってた技術者が悔しがる程の技術が彼処には詰まっていたんです!」
そこから、パトリックはブレード光波の話をし始める。
私はというと、レイレナード……と聞いて、そういえば最近研究者が増えてきたなと思考していた。ACfAでは多くはオーメル社に吸収されていたが、同胞が比較的元気なこっちの世界では、なかなかの数がアクアビットにも流れているということなのだろう。
「これらの技術を次期主力ネクストACや、計画中の量産型ノーマルに使う事ができれば!間違いなくアクアビット社の復興に大きな力となるでしょう」
……モロモロ聞き逃してはいけない言葉が聞こえたぞ。まず自社ネクストだって?トーラスマンにEOでもつけるのか?ただでさえ死んでいるEN周りにトドメを刺すつもりなのか?そして量産型ノーマル?トーラスがノーマル作るの?正気?本当にやるの?
最高だな、おい。
「あぁ、勿論!ジャンヌさんの新型にも詰め込みますよ!」
「新型?」
尋ね返す。技術研究の為にバラバラになったクレピュスキュールの代わりに、私には新たな乗機として、ラグナロクが回されていた。今は湖底の試験場で各種試験や調整をしているのだが……
「あれじゃなくて、また新しく建造するの?」
「そうです!ネクスト班で拡張の為のパーツ等を考えていたら、どう考えても新しく設計し直したほうが効率的になると判断しましてね」
どんだけ無茶苦茶な改造をしようとしたんだよ
「完全新規にジャンヌさんの為に設計、調整をする事になりました。えぇ、完全にジャンヌさん専用機です。安心してください、他の天才程度のリンクスでは、間違いなくAMS接続をした途端に廃人になります。あ、違うな。搭乗した途端コジマ汚染で死にますね。訂正します。」
頭おかしいのか?
恐ろしい事に、アクアビット社は現在開発分野において、資金という唯一のストッパーが解除されていた。理由は単純である。私が持ち込んだ大量の金だ。
……自分が言うことでは無いが、もう少し色んなものを疑ったほうが良いと思う。何度か研究者達に私の身体の出所が気にならないかなどと尋ねたことがあるが。「そんな事に気を揉む時間があるなら、その技術を研究・発展させることの方が多いに効率的だ」と真顔で言っていた。……まぁ、私としては気楽で良いのだが。
速足で歩いてきた元GAE社の技術者とすれ違う。手には、オラクルと思われる機体の図面。プラズマライフル等を開発している技術者達が、レーザー部門の立ち上げ上申をすべきかどうかを話し合っている。新型ネクスト開発のコンペにおいて、見事量産を勝ち取った若いアーキテクトは、目を輝かせながらオラクルの姿を眺めている。技術者達は興奮した面持ちで、このもたらされた技術を吸収し、応用しようとしている。
アクアビット社は、急速に回復している。もたらされた数多のイレギュラーを駆使し、その力と発想を、企業の罪の清算に、人類の未来の為に使っている。
今後、トーラス社として彼らが完全に一つにまとまれば、それこそかつてのレイレナードやアクアビットを凌ぐほどの力を持つ事になるだろう。
fA、ロクでも無い事になりそうだな。ジャンヌは心の中で笑った。
「ですが、問題がありまして……」
ん?
「出力を上げすぎて、QBを連続して使用すると自壊する可能性があるんですよ」
頭おかしいのか?
テンションが落ち着いてきたので、のんびり2日ごとの投稿になりそうです。