世にリリウムのあらん事を   作:木曾のポン酢

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時たま読み返したりすると、ジャンヌの話し方にすごいムカつく時がある。


てんしはあくまのようにわらう

「どうして……お前が……そんな……こんな……」

 

全ての反応が遅い。両腕のプラズマライフルをプリミティブ・ライトへと向け。放つ。曲?せやな、裏表ラバーズかな。

 

「グッ…………!?」

 

これで一万は削ったかな?

 

思いっきりプリミティブ・ライトを蹴りつけ、さらに後方へのクイックブーストを行って距離を取る。

 

「なーにぃーひっさしぶりだっちゅうのにその言い方はー?こちとら命の恩人さんよー?」

 

絶えずQB、煽りの高速反復横跳び。ヘイヘーイ!!

 

「何が……この……!」

 

怒り、恐れ、悲しみ、etc、etc、もひとつおまけにetc……。いろんな感情がごちゃ混ぜになった呟き。

 

「コジッ!プルプルだね!武者震いかな?臆病者の怯えかな?どっちだろうね!コジッジッジッ!」

 

「悪魔がッ!!」

 

悲痛にすぎるメノ・ルーの叫び…放たれるは大型ミサイル。稼働するガトリングガンの音。さらに重バズーカまで!?あーん!こんなのアクアビットマンに当たってしまったら一撃でスクラップだよーん!

 

当たればね。

 

核をプラズマライフルで撃ち落とす。ガトリングの射線を外し続ける。重バズーカ?あぁ、いい奴だったよ。

 

「ざ・ん・ぞ・う・☆」

 

なお、この言葉は残念それは残像だきゅん☆という言葉を略したものである。がはっ!

 

クイックターンが間に合っていないおっぱいに、背後からプラズマライフルをプレゼントフォー・ユー。また一万くらい削れたかな?

 

「ッ……!」

 

んー!声になってない!悲鳴が声になってない!諦めて!お願い!!まるで私がイジメでもしてるみたいじゃない!!

 

やっとプリミティブ・ライトが振り返る。私?もう射程外に離脱してるわよ。

 

「このォッ……!」

 

おぉ、いい……。乙女の怒りが溢れてる……!どこぞの霞・ユーティライネンとは違った怒りだ。でもなんでそんなに怒られてるのかな?ぼくがやったのは初対面で滅多切りにして同僚をコジマ塗れにしてぶっ殺しただけなのに!ハハッ!そりゃ怒るわ!!

 

「ノォッロマェー!!」

 

煽りのQB!ガッハッハ!粗製以外のGAマンにこの最強災厄アクア☆ビットマンが負けるわけなかろうがァッ!!

 

……しかし、かわいそかわいそさんなのです。折角私が助けてあげた尊い命なのに。私によって奪われようとしている。皮肉!らせん階段!カブト虫!廃墟の街!

 

放たれるは核ミサイル、溢れんばかりのガトリング弾、そしておまけに重バズーカ!うん!GAマンが放つに美しい弾幕のオーケストラ!イチジクのタルト!カブト虫!ドロローサへの道!カブト虫!!

 

「特異点ッ!!!」

 

核?迎撃。ガトリング?何よりも厚いコジマの守りと連続QB。重バズ?なんであんな事に……!ジョット!天使!紫陽花!カブト虫!

 

「特異点ッ!!!!」

 

はい!プリミティブ・ライトの懐へ瞬間移動〜!パイタッチ〜!プラズマライフル〜!

 

「………………!!!」

 

プリミティブ・ライトは肉薄した距離を上手く戦えるような武器は持っていない。正直、この時点で詰みだ。

 

だが、もうちょい遊びたい。わちきが救った命だし、わちきが好きにしていいよね?

 

秘密の皇帝

 

 

 

加速する

 

 

 

世界が、アクアビットマンが、私が、二段QBを、二段QBで、連続し、キャンセルし、吹き飛び、跳躍し、加速し、さらに加速し、驚くべき事に加速する。

 

いまごろ、プリミティブ・ライトには、あのおっぱいちゃんには私のことはどう見えているのだろうか。ちゃんと、消えられただろうか?うーん、ジャンヌ!自己を客観的に見ることができないからわかんにゃい!!!

 

「こんな……そんな……!」

 

どんな?と言わんばかりに真正面から頭にタッチでぽぽぽぽーん!1発おみまいプラズマぼーん!わーい吹き飛んだ!

あー大変!GAちゃんの薄いPAが剥がされてダイナマイトボディがこの蒼天の下に露わに!!コイツァ18禁だ!!エロ画像だッ!!スケベェッ!!!

 

………………この時、私に天才的な発想が浮かんだ。普段から天才だと思ってたが、まさか本当に天才だったとは。さすジャン。

 

そう、一石三鳥くらいの妙案。私のお陰で未だ健気に頑張る命とおっぱいを救い、私の評価を上げ、アクアビットが徹底抗戦するとしても降伏するとしても使い勝手の手札を手に入れる妙案。とりあえず、PAを切ろう。あー、コジマが消えるー。

 

プラズマライフルを、プリミティブ・ライトの関節に合わせる。せーの!えい!

 

ボンッと爆発音、ECM、ついでに弾ける両腕

 

「まッ…………!?」

 

さてさて、ワシャワシャと高速で指を動かしながら、再びおっぱいを……たしか、この辺りに。うーん、まるでブラジャーのホックみたいだなぁ。外した事無いけど。

 

まぁでも!これは一度は外したことある……か……あった!

 

神から与えられたAMS適性。トワイライトをまるで自分の身体のように……いや、自分の身体以上に繊細に扱える。指の先まで神経が通ってるかのようなこの感覚。つまみを潰さないように、ゆっくりと、回す。

 

御開帳〜〜〜!!

 

「……………………!!!?」

 

うーん!パニック!プリミティブ・パニック!そりゃそうだ!戦闘中に御開帳されたら誰だってそうなる、俺もそーなる!

 

でだ、暴れんなよ?暴れんなよ?

 

その胴を、メノ・ルーの胴を、やさしく、やさしーく摘む。

 

「…………!!…………!?!」

 

叫んでる、暴れてる、でも、聞こえない。ヘルメットのお陰で表情も見えない。シュレディンガーのメノ・ルー。どんな顔をしてるかはわからない。たぶん、喜んでる。0コーム賭ける。

 

ゆーっくりとネクストとのリンクするコードをぶち切り。暴れるメノを近くに寄せる。

 

自分の身体がプリミティブ・ライトの残骸から離れ、落ちたら確実に死ぬ場所まで引き上げられる。ここで、メノの身体が固まった。諦めたのだろうか?それとも、恐怖で硬直したのだろうか。あ、気絶してら。

 

まぁ、いい、リンクスなのに捕虜になっちゃったおマヌケさんとはいえ、死んでもらったら困る。

 

「こちらトワイライト、敵ネクストは撃滅した。こっちの残骸も使い物になるかもしれないから回収した方が良いと思うわ。あぁ、あと捕虜一名。上物よ」

 

うーん!大量大量!これにて今週の絶対☆殲滅☆コジマ☆ビットマンは終わり!!来週もまたみてねー!!コジコジィ!!

 

 

 

十数時間後、輸送機が高速だからか。それとも私が乗ってるからか。もしくは人質を載せてるからか、理由はわからないが追手はかからなかった。

 

降りた時の周囲からの賞賛の声、抱きついてきたリリウムの暖かさ、そして……ヘリックスIとヘリックスⅡの残骸を見た時のあの顔。まぁ、色んなことがあった。葬式は、姉弟の姿を綺麗にしてから行うらしい。当然だ、あんなものは小さな子には見せちゃあいけない。

 

さて、私はとことことアクアビット本社を歩く。どうも、広いので迷いそうだ。リリウムには部屋で待ってもらってる。ほら、教育に悪いし?

 

一度全体の地図を見せてもらったが、この会社は地面に埋まったソルディオス砲のような構造をしている。地上から上よりも、地下空間の方がスペースとしては大きい。

 

エレベーターに乗り込み。地下へのボタンを押す。素晴らしいことに、監視カメラによって常時チェックはされてるらしいがそこそこの自由に動く権限を与えられていた。

 

チン!と到着する。場所は収容所。ここには、ダウンタウンなどによく落ちている類の人間が多くいる。

人生の1発逆転を目指してアクアビット社の門を叩き、命以外に価値が見出せなかった為にここで道徳とは掛け離れた実験の生贄になるのを待つ者たち。まぁ、確かに成功したら1発逆転であろう。

それらの様々な視線を無視し、少しばかりの慈悲から「彼らが死んだ後に異世界転生あたりで幸せになりますように」などと祈ってあげる。優しい!天使!

 

……なんだろう。ここ最近、どうも命というものを軽く見るようになってきた気がする。

 

さて、そんな廊下の果て。他よりも少しばかり豪華な部屋の前に立つ。

 

まずドアを開ける。もう一つドアがあり、守衛が二人座っている。自分の姿を見ると礼をしたので、こちらも返す。

 

「少しばかりお邪魔するよ」

 

あぁ、どうぞと守衛が先に進むよう促す。ありがとうと返し、ドアを開いた。

 

入った部屋の向こう側、歩幅にして三歩ほど先に、設備の整った牢屋があった。ここは、士官やら重要人物を収容する為の部屋らしい。

 

いま現在、そこの住人は一人壁に向かい祈ってある。おぉ、十字架のネックレスか。いいね、戦うクリスチャンの鏡だ、

 

「…………」

 

こちらに気づいてないのだろうか。それとも、無視をしているのだろうか。どちらにしても、入ってきたのは誰かはわかってないだろう。

 

ゆーっくりと息を吸う。そして、渾身のメロメロボイスで語りかけた

 

「めーのーちゃん、あっそびましょー」

 

瞬間、メノ・ルーが振り向く。あー、おっぱい、プラチナブロンド、長髪、おっぱい、前髪メカクレにより瞳にかかる陰、おっぱい、普段は温和そうな雰囲気、おっぱい。うん、これが印象だな。なんというか、オタクが好きそう。なんか、こんなキャラどっかで見たことある。なんだっけ、デレマス?うーん、記憶が薄い。え、私の好みなのかどうなのかって?大好き。てかおっぱい生で見るとバカみたいにデカイなおい。

 

メノは驚きの余り目を皿の様に丸くし、そして目の前の情報を処理しようと四苦八苦してる様だ。

 

「どーしたにゃー?折角遊びにきたのにー」

 

彼女を追い詰めた者の声を、このどっからどう見てもただの隻腕隻眼の美少女の声帯から放つ。それを聞いてメノは、腰を抜かし、だが這うようにこちらに近寄ってきた。

 

「こ……こんな……こんな小さな娘が……」

 

ちなみに中身は25.6の男の子だにゃん。へけっ!

 

 

 

その日は、ほんとうに一瞬で過ぎ去った。

 

アフリカでのレイレナード残党との相当任務中。GA本営から連絡があった。

南極のスフィアにネクストの反応あり。すぐにネクストは急行せよ。

 

ローディーさんは、エグザウィルでの最後のザンニさんとの戦闘で怪我を負っていた。命に別状は無かったが、それでも数ヶ月は戦線復帰は難しいらしい。

だから、南アメリカにいたエルカーノさんと合流して、一緒にリンクスの討伐へ向かった。

 

それからは、あっという間だった。エルカーノさんは落ち、私もやられてしまった。あの悪魔に、あの、人を人と思っていないであろう化け物に。

 

コックピットを開かれて、身体をつまみ上げられて、私は恐怖のあまり失神してしまった。目が覚めたら、アクアビット本社の中。そこで、自分が捕まってしまったことに気付いた。

 

尋問は紳士的なもので、そこまで強く証言を強要されたりはしない。1時間ほどで終わり、私は残りの時間を祈る事ですごした。

 

頭が真っ黒に塗り潰されたような感覚。霧は払う事ができる。だが、闇は?光すら飲み込む闇は、どう払えば良いのだ?

 

何も思い浮かばない。神父様の姿も、子どもたちの姿も、ローディーさんも、エルカーノさんも、何も、誰も、みな闇の中にいる。

 

少しでも思い出そうと、少しでもこの恐怖から逃げ出そうと。祈り続ける。

だが、声が跳ねる。耳が煩い。私の祈りなど関係ないとばかりにあの嘲笑うような声が身体全体を支配する。

 

食事をする気力も無い。寝るだけの体力も無い。ただただ祈り続ける。

 

「めーのーちゃん、あっそびましょー」

 

あの、声。しかも、真後ろから。

 

驚いて振り返る。だが、そこにいるのは恐ろしいあくまではなく。まるで天使のような少女の姿。

一瞬、自分の頭を疑った。まだ思春期すら向かえていないような、幼い女の子が立つには。ここは余りにも不自然な場所だ。

 

メノは気付いた。左腕が無い。右眼も無い。

ここで、ある可能性が思いつく。……アクアビットからは、余り良い噂は聞かない。非人道的な実験を行ってるとも聞く。もしや、この娘はそんな実験から逃げてきたのでは?しかし、そんな娘が、こんな純粋な笑みを浮かべるだろうか。

 

少女は微笑みながらこちらを眺めている。まるで、私の事を観察しているように。

 

そして、ゆっくりと口を開け……

 

「どーしたにゃー?折角遊びにきたのにー」

 

あの声が聞こえた。

 

恐怖の余り、身体が立つ事を拒否する。膝が床を叩き、身体が重力によって地面へと押さえつけられる。

 

だが、目前に何としても滅さねばならない相手がいる。メノ・ルーは、身体に残った全ての力を振り絞り、少女へと近づいた。

 

近くで見ても、その姿は変わりようが無い。だが、気付いた。この純粋にみえた笑顔は、いや、余りにも純粋で、純粋だからこそ、そう、なんだ、なんだこれは、なんで、こんなに

 

なんでこいつの笑顔はこんなにも真っ黒なんだ

 

「こ……こんな……こんな小さな娘が……」

 

闇だった。メノ・ルーは、常人にはこの少女から覗き込むことすら不可能な闇を見た。

 

なぜそんな物が見えたのかはわからない。メノ・ルーが、イレギュラーへの恐怖のために勝手に彼女の中にそのようなイメージを見たのかもしれない。もしくは、本当にジャンヌの中にそんな闇があるのかもしれない。

 

だが、間違いなく。彼女はそこに闇を見た。自らの頭の中にあるものよりももっと黒く。そして万物を吸い込み、破壊する真の闇を。

 

「へけ?どうしたんだい?」

 

あくまは、てんしは、わたしにちかづいてくる、そのあいだには、てつのはしらしか、わたしのてがとおりぬけるだけのすきまが、わたしは、すべてを、すべてをふりしぼり、おそれるな、そうだたちあがれ、こいつはけさなきゃいけない、みんなをまもるために、みんなをしあわせにするために、みんなのために、みんなのためにみんなのためにッ!!

 

メノ・ルーは鉄格子を支えに、それをよじ登りながら、無理矢理立ち上がる。そして身体を持たれかけながら、手を、てを、のばす。てんしはのほそいくびに、てがカカる。二つノ手ガかカル。全力デ、全力疾走デ力をかける。おれろ、おれろ、おれろ、オレろ、おレロ、オれロ、オレロ、オレロ、オレロ、オレロ、オレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロオレロッッッッッ!!!!!!!!シネェェェェェッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!

 

「つんつんっと。おー、おっぱいやわらけー」

 

ナゼだ!?なんでこんなに力を入れてるのに!?なんでこいつのくびは!!こんなにも硬くて!全く!まったく何も無いかのようにしゃべるんだ!?なんだこいつはッ!?

 

「悪魔がァッッッッッ!!!!」

 

「いやぁ、そのきょだいマシュマロっぱいの魔性には勝てませんわ」

 

力を込める。込める。なんとしても、折る。バキボキと、音が聞こえる。やった!おレテル!悪魔の首を…………!!

 

「わー、すげー、手が砕ける音してんのにまだ力が弱まらないや」

 

なんだ……!なんなんだお前は……!!

 

「さて、このくらいかな?いやー、大人の女性の触れ合いはやっぱりいいね。こんどミセス・テレジアにとかによしよししてもらおうかな。」

 

「…………ッァ!?」

 

激痛が走る。左腕が掴まれ、無理矢理首から引き剥がされる。そして右腕も。手に、激痛が、痛い、あぁ、骨か、血が、痛い、なんで、こんな、

 

「もー、大事な人質なんだからご自愛お願いしますよー。じゃ、わたしはこれで。元気そうで安心したよ!」

 

まて、という声も出てこない。手を伸ばすだけの力も残っていない。あくまは、ひらひらと手を振り、去っていく。

 

ドアが閉じる音を聞き、メノ・ルーは意識を手放した。それから三日間ほど、彼女は寝続けた。酷い夢を見た。崩れ去った教会の中で、ただただ祈り続ける夢を。




どうしてこうなった……信じてくれ……本当はもっとフレンドリーな形で触れ合いがすすんでfA編のカラードにあるカフェでメノ・ルーが嫌な顔をしながらもジャンヌは無理矢理同席してコーヒー飲んでるみたいな描写をやる予定だったんだ……かってにメノが首をしめたんだ……

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