・うーん、チートーどんなチートーこんなチートでホンマにええんかなチートー
・うーん、オリジナル設定がなんか多すぎやしないかうーん
その解決方法
・神様転生なんだからセーフでしゃ
・そもそもAC二次創作でオリジナル設定が皆無なものこそ皆無でしょ。長く書くんだからしゃーない
というわけで、リンクス戦争終盤に何があったか編、始まります。
ネクストACは、パイロットであるリンクスの脳との間にデータの共有を行う事で動く。AMS適性が高い者は、頭の中で思い描くだけで、そのイメージ通りにネクストACを動かす事ができる。
その為、極めて高いAMS適性を待つジャンヌのクレピュスキュールのコックピットの中は簡素な作りである。座席と、携帯ゲームや食料などを収納するラック。それくらいしか存在しない。
クレピュスキュールのコックピットで、ジャンヌの膝の上に座るリリウムは、その何も無い空間の中でただただ混乱していた。
唐突に狂ったようにマイクに何かを言ったかと思うと。今度はヘッドホンをつけて鼻歌混じりに足踏みをするジャンヌ。スクリーンも無く、外で何が行われているかを知らないリリウムは、この親しいと思っていた人間の突然の変調についていけないでいる。
……もし、ここで外が見えていたらリリウムは更なる混乱に陥っていただろう。
ジャンヌがノリノリに行っていること。それは、紛れも無い大量殺人であった。ビートを刻んでグレネードを放ち。ギターソロに合わせてハイレーザーを放つ。リリウムは知らない。ジャンヌがその右腕を使って時たま優しく少女の肩を揉むたびに、数百人単位で人が死んでいることを。
時折響く身体全体を震わす衝撃。その度にリリウムは驚きジャンヌの胸に顔を埋めてしまう。
リリウムは、この時のジャンヌの顔こそ眺めるべきなのだ、有澤製グレネードの炸裂する光を眺めるこの女の顔は、見ているものに恐怖すら抱かせるほどの恍惚とした顔をしていた。自らの行為により人命が消し飛ぶ快感は、彼女の脳を支配し尽くしている。その脳内麻薬の接種を理性で制御できているからこそ、彼女は獣では無く狂人であるともいえるのだが。
放送から十数分後、周囲が静かになった。と、ジャンヌがヘッドホンを外し、収納ラックの中に入れる。
「オーケー。リリウム、移動しよう」
「え、あ、はい……」
ブースターの駆動音と振動が下から響く。身体がジャンヌの身体に押しつけられ、その暖かさに安心を覚える。
いきなりネクストに乗せられて、北欧が目的地と伝えられたものの、詳しい場所などわからない。
本当なら、疑いを抱くべきなのだろう。まだ小さいとは言っても、リリウムもある程度の常識はわかる年齢だった。
だが、疑ってどうなるというのだろうか。この世界に、リリウムを守ってくれるのはこの人しかいないのだ。それなのに、疑ってもしも嫌われてしまったら、その時こそ真の意味で一人ぼっちになってしまう。それに、こんなにもこの人は暖かいのだ。それでいいではないか。
ジャンヌすら気づいていない事だったが、リリウムは狂人への依存を始めていた。当然といえば当然かもしれない。事実として、彼女を守り通したのは彼女なのだから。
数十分後、減速しながらネクストが動きを止める。
「よし、ついたよ。降りよっかリリウム」
いつもの、リリウムが知るジャンヌに戻る。
優しい、いつも家を訪れていた時のその表情。奥の見通せないその顔に、リリウムは笑顔で頷き返した。
「イレギュラーは今どこに?」
「機体は第四格納庫に、パイロットは第二格納庫にいます。何人かが監視の為についてますが……」
「わかった、すぐに行く。」
無線を切ったテペス=Vは、すぐにシルバーバレットから降りると第二格納庫へと向かった。
機体は、先ほどの戦闘で大規模な損傷を受けていた。間違いなく、あのイレギュラーがいなければ死んでいた。
直接見て、その異常性がわかった。あのイレギュラーは、一歩も動かずにあのオーメル・イクバールの連合部隊を退けた。通常兵器だけで無く、セロやジョシュア・オブライエンにさえもあの大型砲を直撃させて二機を撤退させている。
だが、決して感謝を言いに行くわけではない。
イレギュラーの狂気は、テペスも聞き及んでいた。霞スミカへの凶行を始め、その動きに一切の一貫性は見出せていない。それが、唐突に仲間になろうだなんて言ってきても信じられるわけがなかった。
通路を抜け、第二格納庫へ入る。
まず1番はじめに目に入ったのはミセス・テレジアの不健康な顔つきと色の抜けた長髪。前に、あの暗さと陰のある雰囲気が良いと語っていた研究員を見たが、テペスはGAEにいた頃の、あの朗らかな姿の方が好きだった。
そして、幾人もの兵士に囲まれた童女と幼い少女。
「まさか、アレがイレギュラーだというのか?」
「……らしいわ、あのACから一緒に降りてきたのだって」
どちらも、見た事のないパイロットスーツを着ている。それに、とても容姿が良い。
まず、大きな方……といっても、背は140程度であろう……で目につくのは、その左腕と右眼だ。左腕は肩から先が無く。室内を循環する空調に合わせでヒラヒラと中身の無い袖が揺れていた。
右眼は眼帯で隠されていた。対になる左眼には黄金に輝く瞳があり、童女の眼帯の下には同じ色の瞳がある……もしくは、あったのだろう。
身体つきは、細いが服の上からでもわかるほどに筋肉が付いている。髪はくすんだ金色。肌は白く、生気も微かにしか感じられない。だが、その顔が浮かべる笑顔には嫌というほど人間味に溢れていた。
もう一方……童女の傍に隠れるようにし周りを警戒している幼い娘の方は、それこそ人形のようだった。手入れの良くされた銀色の髪、ルビーを思い浮かべる緋色の瞳、向こう側まで透けて見えそうなほどに薄い白い肌。そのどれもが人間などという愚かな生物に与えるには不相応な程に美しい。その身体細さもガラス細工の如く繊細な印象を与え、一種の触れがたい魅力を醸し出していた。
「おっと、また一人。そちらのご婦人と同じパイロットスーツを着ておられるようで……ということは、テペス=Vさんでしょうか?」
大きな方がえらくかしこまった喋り方で話し出す。先ほどの、あの万物を馬鹿にしたような放送とは真逆だ。右腕は頭に添えている。おそらく、抵抗の意思は無いことを示しているのだろう。
「……あぁ、そうだ」
テペス=Vは不快感を隠さずに返答をする。一言、言葉を交わしてわかった。評判通り、こいつは狂人だ。
「あら、なにドン引かれてるんですか。まさか貴方までも私めを狂人だとおっしゃりたい?」
あぁ、そうだ。そんな気味の悪い笑顔を浮かべるのが常人であるものか。
「……まぁ、良いでしょう。個人的には、リンクスなんざ全員狂人だと思うのですが」
「狂気の類が違うよ。お前は」
「……そう言われたらなにも言い返せないですねぇ」
ふっ……と、先程までとは違う笑顔を浮かべる。年相応というか、そんな表情を。
「……で、その小さな子どもは?」
ミセス・テレジアが、人形のような娘を指差す。
「あぁ、この子ですか?」
自らに話題が移ったからだろうか。状況を理解しきれてないらしい少女は軽い震えと共にイレギュラーと思われる女に抱きつき、その影に隠れる。
「私の被保護者ですよ。まぁ、そうですね。この子こそ、私がアクアビットに身を寄せようだなんて考えた理由の一つですよ」
イレギュラーが、少女を抱きかかえる。少女はそれに抵抗せず、それどころかその胸に顔を押し付けていた。その姿から、少女がイレギュラーに対して多いに信頼を寄せていることが分かる。
「理由……だと?」
「えぇ、まぁ、アレです。」
と、ここでイレギュラーは少女に耳打ちをした。少女はそれを聞くと驚いたような表情を作り、そして頷く。
それを確認すると、イレギュラーは笑った。また、あの気味の悪い笑顔。この世界の万事が楽しいといった、そんな酔いすら見える表情。それを崩さずに、彼女は言った。
「私達を保護していただきたい。対価は私と……このリリウム・ウォルコットのリンクスとしての腕です」
場所を移動する。平時は来客用に使っている部屋だ。
「ふぇー、お洒落な部屋」
……こいつは、思った事を口に出さずにいれないのか?
応対するのはテペス=V。残念なことに、技術者集団たるアクアビットには、見知らぬ狂人と面と向かって話せるような人材は枯渇していたし、同じリンクスだからこそ話せる事があるだろうという理由から彼女の扱いはこの老兵に一任された。
少女の方はミセス・テレジアが相手をしていた。これも、小さな子供に対して1番自然に触れ合えるのが彼女しかいなかったからだ。
他にも、何人かの研究員や将校が同席する。
イレギュラーは席に座ると、表情以外は面接に臨む新入社員のような姿勢をとった。
「さて、なんでも質問をどうぞ?」
「……まず初めに、どうして今、アクアビットの側に立つなどと?」
将校の一人が質問する。テペスが気になるのもこの部分だ。なぜいきなり、それもこんな敗色が濃厚になって……
「理由は三つ。一つ、こっちが企業の庇護が必要な状況になったから。一つ、受け入れてもらうなら後が無さそうな所ほど可能性が高いと考えたから。一つ、アクアビットに対して直接的に敵対行動をとったことはない為に感情的に比較的受け入れてもらいやすいと考えたから。以上」
スラスラと述べていく。こんな状況だというのに、この女は余裕すら漂わせている。
「庇護が必要な状況とは?」
「あの少女、リリウム・ウォルコット。アクアビットは大企業なんだから知っているとは思いますが。私実は南極に行きまして……」
南極、スフィア。BFFが脱落した中、サイレントアバランチと共にレイレナード陣営に残ってくれた二人のリンクスが散った地。
そこに、イレギュラーが現れたという情報があった。占領の為に南極に上陸したGAの陸上部隊を殲滅し、去っていたという情報。数時間後、今度はブリテン島のある街に降り立った。これに関しては、BFFが徹底的に情報を秘匿している為に詳細はわからない。ただ、その街にウォルコット家の屋敷があるというのはわかっていた。
「そこで、頼まれたんですよね。ウォルコットさんから、リリウムを頼むって」
「頼むというのは?知り合いだったのか?」
「いや、今際の言葉なので。1番大事なものを目の前の人間に託したってだけだと思います」
「なぜ南極にいたんだ?」
「リリウムに兄や姉を護ってくれと頼まれたから。リリウムとは知り合いだったのよ」
「……なぜ、ウォルコット姉弟が南極にいたと分かったんだ?リンクスの配備状況は極秘事項だが……」
イレギュラーの表情が変わる。しかし、それは焦ったような種類のものではない。
どちらかというと、その言葉に楽しさすら感じているようだった。
「うーーーん!!そうだねぇーーー!!そこ気になっちゃうよねーーー!!」
唐突に口調が変わる。本当に予想ができない女だ。
「……勘かな?なんか、こう、匂った?」
「……ふざけているのか?」
思わず、口を挟んでしまった。
「いやまぁ、なんというか、それ以外に伝えようがなくて……。できれば他の質問を……あー。うん、同様の理由によりアマジーグやアンジェとかの件も聞かないで欲しいです……」
途端にしおらしく答える。感情の上下の起伏が全く予想できない。何なのだこいつは。
その後も質問は続く。なぜレオーネの基地を襲撃したのか。あのネクストは何処から提供されたのか。どこに身を隠していたのか。などなど。
「レオーネの霞スミカに恨みがあった。誘い出して復讐しようと思ってたから。まぁ、向こうは覚えてないだろうけど」
「ノーコメント。あぁ、でも、どんな機体で構成なのかとかは解析してくれても構わないよ」
「グレートブリテン島に隠れ家がある。どうやって用意したかについてはノーコメント。あぁ、色々と残しているものがあるからいつか荷物取りに行きたいなぁ」
イレギュラーも、聞いた内容に殆ど答えてゆく。(なお、研究者たちは機体の解析をしても構わないという言葉を聞いた途端に一人を残して飛び出して行ってしまった)
「さてさて、こんなものかしら?」
1時間ほどの聞き取りを終える。イレギュラーは自らの首をもみながら、他に質問は?と視線を投げかけてくる。
「……とりあえずはこんな物だ。また後で聞く事になると思うが」
「ふむふむ、了解いたしました。で、私はこれからどうなるの?今からビックボックスでも襲撃する?それとも私の高〜いAMS適性を活かした実験素体?もしかして世の中そう上手くはいかないから監禁して飼い殺し?」
……本当に、落ち着きというものを知らないのだろうかこいつは。
「テペス=V、彼女の身体の検査をしても良いですか?AMS適性もですが、あの機動を出来る身体というのが気になります」
そう言ったのは、唯一この場所に残った研究員だ。瓶の底のような分厚いメガネにモヤシのように細い身体という、アクアビットの多くの研究員を象徴する姿を持ったこの男は、リンクス部門の主席研究員をしており、テペスとも付き合いが長い。
「あぁ、大丈夫だ。この機会に調べられるモノは調べ尽くせと言われている。準備は進めているのか?」
「えぇ、勿論。すぐにでも」
「では移動しようかイレギュラー。」
そう言ってテペスが立ち上がろうとすると、イレギュラーから声をかけられる。
「あ、AMS適性を調べるなら。ついでにリリウムのも調べてもらいたいんだけど」
「……リリウム・ウォルコットをか?さっきも言っていたが、何故彼女をリンクスなどにしようと?あの姉弟に護ってくれと頼まれたのだろう。リンクスなんざ、そんな状況からはかけ離れた職業だと思うが?」
「理由は二つ。ひとーつ、彼女の夢はリンクスなのよね。さっきも聞いたけど、その夢は変わってなかった。幼い子どもの夢を叶えて上げようと思うのも被保護者の役割でしょ?そしてひとーつ、匂いでわかるけど、ありゃなかなかの玉よ。それこそ、BFFで例えるならメアリー・シェリーすら超えかねない才能を持ってるね」
一連の検査を終えたイレギュラーとリリウム・ウォルコットを待たせ(ミセス・テレジアは…未だリリウムに付きっ切りである、どうやら少女の事を気に入ったらしい)データ解析中のリンクス部門の研究室に入る。
と、そこには呆然と……だが、どこか興奮した面持ちの研究員達に溢れていた。
「あぁ、テペス……これを見に?」
主席研究室……名前は、ルークと言う……が、薄気味悪い笑顔を浮かべながら二枚の紙を掲げる。
「そうだ、で、どうだったんだ?お前らがそんな顔をする時は大概ロクでも無い時だが。」
アクアビットの研究員全てに言える事だが、彼らは自らが飛んでも無い発見をした時に凄まじく気持ちの悪い笑顔をする傾向がある。しかし、ここまで気持ちの悪いのは兵器開発部門がネクスト搭載用のコジマキャノンの理論を発表した時でも見た事が無い。
「常識的に素晴らしい方と非常識的に素晴らしい方どちらから見ます?」
「……じゃあ、常識的に素晴らしい方から」
「では、これを……」
そう言って渡されたのはリリウム・ウォルコットの検査結果。身体的特徴を示す欄には殆ど何の問題も無い。だが、注の欄に肌のメラニン色素の含有量は極めて少ないと書かれている。
「視力に問題は無かったんですがやはり日光には弱いようですね本人のヒアリングでも日傘無しでは外に出なかったと言っています」
ルークの興奮が口調でわかる。慣れてないと、彼の捲したてるような口調は聞き取る事さえ難しい
そして、肝心のAMS適性は……
「A+だと?」
AMS適性は、それぞれAからDまでに分けられていた。Dがギリギリ適性がある程度で、これに該当するのがGA社のローディーやアナトリアの傭兵などの、粗製と言われていた者達である。
殆どのリンクスはC、BランクのAMS適性だ。Dなどは戦場に出しても殆ど戦力にならず、Aランクになると殆ど存在しない。だからこそ、このレベルのリンクスが各社の中心戦力となる。
Aランクにもなると、レオーネの霞スミカ、イクバールのサーダナ、レイレナードのアンジェ、BFFのメアリー・シェリー、ローゼンタールのレオハルト……などの、どれもオリジナルの中でも上位に位置する猛者や、企業の切り札となっているようなエースばかりになる。
そして、それらよりもAMS適性が高く……だがランクを変える程の差異は無い者には、+の数によってその能力を表している。A+の数は四人、ベルリオーズ、アスピナの二人のリンクス、そしてこのテペス=Vのみ。
ちなみに、A++に分類されるのは現状ただ一人。オーメルの天才坊やのみだ。
横に書かれた詳細情報も、テペス=Vと並ぶほど優秀な数だ。
「この結果が常識的だと?世界にAMS適性が無い人間が何億人いると思ってるんだ。天才の一人をこんなに早い段階で見つけたというのに?」
「えぇこんなの見た後にはそれは驚きこそすれ常識的ですよ」
そう言って、ルークはもう一枚の紙を渡す。気のせいだろうか、あの瓶底メガネが一瞬煌めいたように感じた。
テペスは紙を受け取り、それに目を通す。
そこには、彼の常識とはかけ離れた結果が並んでいた。
ジャンヌ・オルレアンになろうとしている男は、書類に自分の未来の姿を書き記していく。
「うーん、血中にナノマシンとか人工筋肉だとかそんなのはなんか生温いなぁ」
自分の作る自分の身体である。どこをどういじっても良いというのはなかなかに楽しい。
「神経系は光ファイバーに換装したしー、色々と弄り回したけどー、身体になんかもうちょっとなんか良い感じの強化をなんかかましたいなぁー」
むむむと記憶のページをぺらぺらり、と、良い感じの強化をかました人間該当一人
「アームストロング上院議員!!!」
そうだ、あれくらいやっときゃネクストの殺人的な加速にだって耐えられるだろ!副産物的に身体がクッソ硬くなるけどもんだい無いよね!人工筋肉や骨もガッツリカーボンナノチューブあたりで強化!より人体を効率的に!よりマッチョに!メンテナンスフリーで!ぐはははははは!!ぐぇっはっはっはっはっ!!!よぉし!!あと不老つけよう不老!!呪いじゃねぇぞ!!人体が殆ど人工物だからだ!!!ニェッヘッヘッヘッヘッ!!!!
あ、あと早死にしたく無いからコジマや放射能は無効っと。
ぐぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!
当時、その部屋の近くを歩いていた天使やら鬼やらに、「あそこの部屋に地上の大罪人か悪魔を監禁してるのでは?」という噂が立っていたのはまた別のお話である。
・人体の殆どが人工物で構成されている。臓器、筋肉、骨格はおろか、神経系まで徹底的な置き換えが行われているのが確認できた。←スキャンで確認できた部位のみ。
・血液中にナノマシンの存在を確認。これにより対G耐性を高めてると思われる。しかし、血液の採血は唐突な身体の硬化により不可能。被験者曰く、これもナノマシンの効果という。要検証。←あらゆる衝撃に対応するナノマシン?
・毛根細胞から数種類の未発見の遺伝子を確認。さらに、コジマ汚染によるダメージが皆無である。←遺伝子との関係性を要検証←新人類の可能性?
・左眼も義眼であり、超小型のカメラの存在が確認されている。(被験者曰く暗視、赤外線感知等々の機能を持つ。)右眼はガラス玉。
・自己申告であるが脳内にレーダーやセンサーが埋め込まれており、これによる感知も行えるとのこと。
「サイボーグ……ということか?」
テペス=Vは、まるでコミックの中の住人のようなイレギュラーの情報に眩暈を感じつつ、そう尋ねる。
「極めて近いですねおそらくACの操縦に最適な身体改造を繰り返した結果だと思われますしかし使われている技術はほとんどが未確認のものでいったいどこのだれがこんな素晴らしいものを……………」
テペス=Vも、ネクストの操縦のために幾らか身体を弄っていた。肉体の年齢も、実際の年齢を考えたらずっと若い。だが、これは、これほどまでに身体をいじるというのは……
数多の注釈がつけられた診断結果を読みつつ、1番最後、AMS適性についての欄が目に入る。
そこには、他の真っ黒になるまで字が埋め尽くされた枠と違い。ただ一つの記号のみが記されていた。
∞ と
「……ルーク、このAMS適性についてだが」
未だにイレギュラーの身体について語る主席研究員の言葉を遮り、テペスは震えた声で尋ねる。
「ん?あぁそれですか簡単な話ですよ数値を書いたら永遠に終わらないので記号で済ませました。」
「……桁が違うということか?」
「桁?それは違いますよテペス」
「……違う?とは」
「貴方は車の速度と光の速度を比べて桁が違うだなんて評するのですか?」
その余りに突飛な喩えに、だがルークの真面目そのものな瞳に、思わずテペスは天を仰いでしまった。
なんなのだ、奴は。
次回、ジャンヌの取り扱い等について