世にリリウムのあらん事を   作:木曾のポン酢

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ACfAやってたら書きたくなった。

とりあえずお付き合いお願いします


AC4編
プロローグ


事実は小説よりも奇なり。とは良い諺だと私は思う。25年という短い人生だったが、書物よりも突飛な出来事には両手両足の指では足りないくらい巡り合った。

なぜ私が、白装束を着て頭の上に天使の輪を乗っけているというわけのわからん状況でこんなふうに考えているかというと、人生のクライマックスにて最高に奇なる出来事と顔を合わせてしまったからだ

 

「……書類ミス、ですか」

 

先ほど、目の前に現れた大柄で父性溢れる白ひげの男に言われた言葉を繰り返す。どうでもいいが、なぜ顔付きやら服装は某イタ飯屋の壁にかかっている絵画に描かれている神のような姿なのに、頭には閻魔様の帽子を被っているのだろうか。宗教観がメチャクチャだ。これで天国がコーラン的な上にラグナロクに備えて戦いを繰り返すような場所だったらワシャ笑うぞ。

 

「本当にすまない……」

 

白ひげはそう頭を下げる。お付きのものの数を見る限り、冥界ではなかなかの重役であるらしい。

 

「君の人生は、あと105年ほど残っていたんだ。だけど、こちらのミスで癌にかかってしまって」

 

そう、癌。私の死因は胃癌だ。だが、後悔の無い人生ではあったので満足だと思う。刹那的享楽的に楽しく過ごした。両親も先に逝き、愛犬も既にこの世にはいない。まぁ死ぬならこのタイミングかなぁとは思っていた。彼女を作れなかったのはあれだが。

 

「ふむ、そうですか……」

 

しかし、そんな心情を無視して顔ではコンビニで店員のミスによりレジが長くなっている壮年のサラリーマンみたいな苦い表情を作る。まぁ、世界最高齢になる可能性があったのに死んだってのは惜しいし。

その表情を読み取ったのか、白ひげが申し訳なさそうな顔をする。おら、そっちのミスなんだからお詫びをプリーズせぇや。プリーズ。プリーズオワービ。お詫びくれんとワシャ許さんぞ。

 

「償えるかどうかはわからないが、私の権限で君には優先的に転生、もしくは転成の権利をあげよう。いま生きる世界以外でも構わない。出来るだけ希望通りの転生先にしよう。それに望むなら幾つかの特典も与える。それでどうだい?」

 

赦そう

 

「それで大丈夫です。すいませんがお願いします」

 

私は即、礼をした。交渉は苦手であるし、わたしの皆無な想像力でもってこれ以上のお詫びは思い付かない。

 

「では、こちらへ。君の新たな人生をどのように生きるかを決めよう。」

 

ホッとした表情で白ひげが言う。こういう表情をされると、ゴネないで良かったと感じる。さて、ではキャラメイクをしようか。興奮から歩幅が大きくなる。当然だ。今から私は、人生という世界最高のロールプレイゲームを、チートキャラでもって駆け巡ることができるのだ。同級生から初めてバグアイルーを受け取り、一瞬でアカムトルムを撃破した時以来の心のときめきが、身体全体を支配する。

 

待ってろよ新たな世界

私が滅茶苦茶にしてやるからな

 

 

 

目を開く。視界が狭い。口を開く。呼吸をする。空気が不味い。いや、あの世の空気が清廉で美味すぎたから比較して不味く感じているだけかもしれない。

まず周囲を見る。

コンクリートで出来た体育館みたいな建物だ。部屋には、幾つかの大きな機械と自分。そして初めて生で見る愛しき相棒の姿がある。

 

「クレピュスキュール……」

 

歓喜のあまり口から言葉が零れ落ちる。そこに立つのは、ACfaにおける私の愛機であるクレピュスキュールだ。私がいままで見たヘッドパーツの中で一番美しいと確信している063ANと、流麗なボディ。右手には金色の名刀、左手には蒼色のハイレーザーライフルを見て確信する。そして、彼女が背負う凶悪なそれをみて、さらなる歓喜に包まれる。

 

「白栗コアにOIGAMIを背負えている!!」

 

私がfaに抱いていた一番の不満である白栗コアにOIGAMIが背負えないという仕様。それが素晴らしき神様パワーにより消滅していた。

目の前に立つ美しき巨人は、その2つの羽根の付け根の間に強大凶暴な大型グレネードを背負っていた

 

「良かったァァァァ!!OIGAMIを背負っても重量過多にならないようアセンやチューンして良かったァァァァ!!!」

 

うっきうきだ。身体が勝手に踊りだす。

 

「あ、そうだ。自分の姿はどうなっているかしら」

 

気づいたように一人呟く。まぁ、喉から発せられているのが美しいソプラノ声なのでほぼ問題はないが、一応念のためだ。

まず、先ほどから一切見えてない左眼の辺りを触る。

そこには、皮でできた眼帯がされていた。それを外す。やはり左眼は見えない。クリア。

次に髪を触る。サラサラとした素晴らしい手触りだ。一本抜いてみると、輝く美しい金髪。クリア。

そのまま腕。白く、細いが引き締まった右腕と、白魚のような美しい右手。そして、肩と肘の間でちぎれ、痛々しい傷跡を残す左腕。クリア。

胸……………………………………………………

 

はぁ〜母親以外の胸ってこんなのなのかぁ!!前の人生で触りたかったなぁ!!小さいがこれからの成長が期待できる良い胸だなぁ!!クリア!!!

次腹筋!引き締まってる!割れてる!クリア!

脚!!細い!白い!綺麗!引き締まってる!クリア!

足!こっちも綺麗!香りはフローラル!クリア!

よし!とりあえず肢体は完璧だ。これで顔が破滅してたらあれだが、最悪の場合は整形がある。神様にも恩はあるが。詫びでもらった身体なので親の恩よりは薄いはずだ。身体を弄るのに躊躇はない。

と、手元に手鏡が落ちているのに気がついた。痒いところに手が届くサービスだ。

では、顔を見よう。なんの心配もなく鏡を覗いた私の目の前にいたのは……

 

美しい少女だった。簡単に言うと、FGOのジャンヌ・オルタをロリ化して左眼に眼帯をしたような顔立ちだ。白い肌、整った顔立ちに性格の悪そうな目付き。眼帯をどかすと、光のない義眼が不気味に光る。

完璧だった。すべて要望通りだった。最高だぜ神様、このクソッタレな世界において、私は貴方の永遠の信徒となる事を約束しよう!そう心が叫んでいた。

さて、では初試乗と洒落込むか。

階段でもって壁にあるキャットウォークへと登り、そこから機体に近づく。

周囲の整備メカは自らの主人が愛機に乗り込もうとするのを感じたのか、自動で離れていった。素晴らしいAIだ。

クレピュスキュールのコアに乗り込む。手元には説明書が置いてあった。

それに従い、自らの身体を接続する

 

『パイロットの接続を確認。メインシステムを起動します。』

 

突如視界が飛んだ。

いままでよりも、高い、高い視点から万物を見下ろす。間違いない、これはクレピュスキュールが見ているものだ。

 

「そうか!リンクスってのはこんな景色を見ながら戦争をしていたのか!」

 

あぁ素晴らしい。閉じた右眼からとめどなく涙があふれるのを感じる。ネクストと同期している間は身体を上手く動かすことができないので、この涙を拭けないのが少しもどかしい。

さて、とりあえず初フライトだ。

 

「少し飛んでくる。隔壁を開け!」

 

そうマイクに向かって言うと、ゆっくりと目の前のシャッターが開く。

よし、まずは歩くことに集中しよう……と考えたが。思った以上に素直に一歩がでた。

そのまま二歩、三歩と歩みが進む。つけてよかった、史上最高のAMS適性という設定。自分がゲームで出来るレベルのことは最初から出来るという設定。自分、努力嫌いなのよ。

そうして秘密基地から出て、さらに洞窟の中を歩き、外へと出る。

名も知らぬ山の、八合目あたりにある洞窟から出た自分の目の前には荒廃した世界が広がる。枯れた大地。萎れた建物。空だけがやたらと蒼いのがなんともアンバランスだ。日本から来た自分にとっては、地獄のような場所だ。

だが、それがいい。第二の人生なのだ、これくらい変わってなければ。

ブースターに火を入れる。身体は驚くほど軽い。直ぐに空を飛べた。

 

「ククッ……」

 

あぁダメだ。もう、ダメだ。こりゃ、ダメ、だ。

 

「クハッ!クハハッ!!クハハハハハハハハッ!!!」

 

まるで地獄の大魔王のような笑い声が自然と身体中からこみ上げてくる。こんなに、こんなに楽しいことがあってたまるか!!

 

「クレピュスキュール」

 

『はい』

 

呼ぶと、クレピュスキュールのAIが応えた。要望通りのマー○ボイスだ。設定だと、自分の声を編集したのがクレピュスキュールのボイスとしているので、自分も他人が聞いたらこの声なのだろう。流石だな神様。CVすら指定できるとは。

 

「いまこの世界で起こっていることを説明して」

 

『了解しました』

 

そういうと、クレピュスキュールは年表に従い歴史を語る。

 

曰く、企業との戦争により国家は解体されたと。

曰く、企業の勝利は、ネクストACのお陰だと。

曰く、今は企業の統治によって世界は成り立っていると。

曰く、今オーメル陣営とアクアビット・レイレナード陣営は、コジマ技術をめぐって緊張状態にあると。

 

クリア……

そう口が勝手に呟いていた。

世界も完璧である。AC4が始まる直前。アナトリアのレイヴンが、世界を破壊する直前。そんな最中に私はいる。

楽しみだ。なんたってすぐに、リンクスによる血に塗れた闘争が始まり。その後数年で、夢想家によるテロが世界を席巻する。

そんな中に、イレギュラーとして存在できる。こんなに心躍る状況はそう無い。年齢もできるだけ若く設定した甲斐があったってもんだ。わたしじゅうにちゃい!

 

そうして10分ほどビュンビュンとフライトを楽しんだ私は、そのままガレージへと舞い戻った。

 

 

ガレージに併設する自室(指定通り、前の人生の自分の部屋が完璧に再現されていた。いたせりつくせりすぎる。お客様は神様の精神かしら)のベッドに横になった私は、これからの人生の目標を紙に書いた。

 

1つ、リリウム・ウォルコットを手中に収める。

1つ、世界を滅茶苦茶にする。

1つ、AFを手に入れる。

1つ、生き残る。

 

うん、紙に書くとやろう!頑張ろう!って気が湧いてくる。

まず1つ目。リリウムを手中に収める。

 

いいよね、リリウムいいよね。fa三大萌えリンクスとはよく言ったものだ。なんたってたおやかだもんたおやか。たおやかだよ?たおやか〜。

だけどリリウム、fa本編だと2つのルートで敵対してしまう。まぁどっちの戦闘でもセリフが素晴らしいんから良いけど。いいよね、人類種の天敵ルートでのあの無感情を装いつつも怒りがこもった声良いよね。可愛い!月光で真っ二つにしたけど。

でもやっぱりキャワイイ女の子とは一緒にいたい。だから今回の人生では、私はリリウムをなんとか自分の仲間にして、一緒にこのクソッタレな世界を生き抜くのだ!くぅ〜〜勃つぅーTSしてるからもう無いけどおっ勃つよね。あ、昔知り合いの女性作家さんが言ってたセリフを思い出した。心のち○こが勃ってる状態だ。心のち○こ!ここちん!ここたま!ここが……私のち○この場所よ!!マギー!!?

 

つぎ、世界を滅茶苦茶にする。

いやぁ、こんな戦争、戦争、雨、戦争な世の中にいるんだ。滅茶苦茶にしなきゃ損でしょ。基本的に自分は後先考えず、その場その場で楽しいことをして生きるを是としているので、分裂した行動を同じ人格で行える。例えば旅団員にクラニアムの襲撃命じといて自分はクラニアムの防衛やるとか。

楽しみだ、好きに生き、好きに死のう。理不尽に死んでも良いけど、好きには生きたい。

……キャラはハイテンションなのがいいな。ベースはふざけてる主任+ハイテンション財団。そこにヴァオーやらをお好みで足しつつ。とりあえず新武器を手に入れたらOBしながら「扱いづらいパーツとかって話だが、最新型が負けるわけねぇだろ!!行くぞおおぉぁあ!!」とか叫ぼっと

クソ傭兵がぶっ殺してやる……は使い所あるかしら。

まぁとりあえず、楽しくいこうぜを目標に頑張る。

 

次、AFを手に入れる。

理由は簡単。わちき移動要塞だいちゅき。だから欲しい。シンプルだね。

 

生き残るも理由としてはシンプルだ、やるからには生きて全てを見たい。残念ながら自分はオールドキングとは違い、死について悟れていない。殺しはする。でも死にたくは無い。そんなテンションだ。頑張ろ。全てを焼き尽くそう。もがれる翼の断末魔ろう。

 

さて、目標も持ったので。早速始動だ。

この部屋の隣には、自分がacfaで稼いだ金が置かれている金庫を置くようにお願いしている。そう、2つのルートをクリアしたら一切の使い道が無くなる金がだ。全ミッション埋めた後もストーリーミッションをやり続け、金のカンスト目指して頑張り続けた甲斐が、いま私の隣にある。

 

一旦部屋から出て、隣の分厚い金庫の壁へと歩みを進める。指紋や瞳孔から本人確認をすると、扉が開いた。

ゆっくりと入る。深呼吸する。部屋から出る。

 

 

インクと紙の匂いが混ざった濃厚な空気がとても美味しかったです(こなみ)

 

 




バトルはまだしません。多分

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