7話 帰ってくる
地球よ! 私は帰っt(ry
二度ネタは駄目だね。
いやー半年ぶりの地球だ。この長閑な雰囲気よ。やっぱここは前世含めて故郷だからね。帰って来た~って感じがするよ。さて、
学校になんて説明しようかな。
わりと簡単にどうにかなりました。半年間、俺は不登校と言う扱いになっていた。リーゼたちがうまく処理してくれたらしい。ありがとうございました。
というわけで、久しぶりの小学校である。皆ちょっと背が伸びたね。それにしてもなんか騒がしくない?
「いや、半年間不登校の奴が急に来たら、皆結構驚くと思うけど」
クラスメイト君が話してくれる。確かに、そうか? それだけじゃない気もするけど。
「そりゃあ……」
まあいいや、どうでも。クラスメイト君の話を聞き流して、自分の世界に引き籠る。
皆からの注目が辛かった。居心地がすこぶる悪かったとです。
学校が終わった。今日は修行はお休みということにしてある。今日くらいゆっくりしろとジェイドに怒られた。
という訳で、帰りにまっすぐスーパーに寄る。食材が買える。この感動! 今日の夕御飯は豪勢にいきますか!
「あれ? 眼帯君やないか。随分と久しぶりやな」
食材を選んでいると、背後から声をかけられた。この声は、車椅子娘か。
「……よう、半年ぶりだな」
振り返りながら言う。今の俺はさながらイェーガー。
「いきなりキメ顔で何言っとんね……が、眼帯君が、眼帯君やない、やと……?」
失敬な。いつもニコニコあなたの背後に這いよる眼帯君ですよ。背後に這いよられたの俺だけど。って
「あ。眼帯し忘れてた」
紅蓮の左目剥き出しである。もしかして、学校で皆が注目してたのはこれか。サバイバル生活の間は眼帯してなかったから、すっかり忘れてたわ。面倒だし、もうつけなくても良いかなぁ。
それはそうと。
「流すんかい」
「後ろの二人は誰なの?」
めっちゃこっち睨んできてるんですが。ポニーテールと三つ編みツイン。俺なんもしてないよね?
「ああ、つい最近うちに来た、外国の親戚や」
いやいやダウトだろそれ。言わないけど。お前らのような親戚が居てたまるか。
「……よろしく頼む」
「……フン」
えー。警戒心マックスだね。特に気にしないけど。
「ごめんなぁ、二人ともまだ日本に慣れとらんから」
その割りに流暢な日本語、とは突っ込まない。
「それにしても、眼帯君が眼帯君やなくなっとるからな。何て呼べばええか分からへんし、折角やから、自己紹介せえへん?」
そういや、名乗ってませんでしたね。
「いにしえのよると書く古夜晃一です。以後よろしく」
名前の方はなんて言ったらいいか思い付きませんでした。
「八神はやてです。はやてでええよ。よろしゅうな、こういち君」
夜神とな。そうか、新世界の神になるのか。
「よろしくやがみん」
「ナチュラルにスルーされたんやけど」
「てめー! はやてを馬鹿にしてんのか!」
ロリッ娘に怒られたでござる。
特筆すべきこともなく。時間は穏やかにすぎていく。
サバイバル生活の苛酷さが嘘のようである。あの時の刺激のある生活も楽しかったなあ。
今居るのは我が愛すべき山の中。久しぶりに恭也さんと美由希さんとのお稽古である。
「しばらく見ないうちに随分と強くなったな」
「ほんとほんと。びっくりだよ」
褒められた。嬉しい。でもさ。
「それでも全然勝てないとか、どうなってるんですかねえ」
良い勝負はできるようになったよ。そこは間違いなく進歩だよ? でも勝てるイメージが全く浮かばないんだよ!
「まだまだ、追い付かれるわけにはいかないさ」
「私たちだって頑張ってるからね」
まだ強くなんのかYO。
命をかけてサバイバルしても特に変わったことはなかった。い、いいしぃ?↑ 結構色んな技再現できるようになったしい?↑
すこしだけ、むなしかった。
更に時間が進んで。夏の終わりといった頃。
ここ最近は夜神家と買い物で一緒になることが多い気がする。やがみんの今日の連れはポニーテールのシグナムと金髪のシャマル。
買い物が終わり、お別れといったところで、
「はやて。私はこの者と少し、話があるので。シャマルと先に帰って下さい」
と、なんかシグナムさんに拉致られた。そして人気の無いところへ。え、何? 超不穏。
そしてシグナムさんは立ち止まり、
「貴様、主に何の目的で近づいた?」
殺気を放ってきた。
反射的に構える。いつでもジェイドをセットアップできるよう用意する。
「やはり、それなりの腕はあるようだな」
まあ、それなりに鍛えてますから。それよりもこの状況が理解できないんだけど。
「大分前、シャマルに調べて貰った。貴様魔導師だろう」
え? やがみん魔法関係者なの? てか、やがみんと居る時は魔法一切使ってなかったのに。シャマルさんそんなことできんの?
「どんな輩か、見極めようとしていたが、いまいち掴めなかったのでな。直接、確かめることにしたわけだ」
なるへそ。たださあ。
「……こーいち知ってるよ。こういう時、何言っても結局信じてもらえないってこと」
「ああ、その通りだな」
うわぁお。潔いな。
「ただ」
シグナムさんが一瞬で甲冑っぽい姿に。手には何やら機械的な剣。
「斬れば分かる」
「そんなみょんなこと言わないでもらえますかねえ!?」
シグナムさんが斬りかかってきた。ジェイドを構える。
『フォトンセイバー』
魔力刃を出して斬撃を受けとめる。重っ。
更に攻めてくる。連撃が続く。こっちは伊達に恭也さんにボコられてない。身体強化をして全て捌く。
決め手に繋がらないと判断し、シグナムさんが下がる。
俺は追わない。
「どうした、反撃してこないのか?」
「いやいや、まず俺は戦いたく無いんですけど」
俺は修行は好きだが、バトルジャンキーではない。修行になるような戦闘なんかは好きだけど、こういうのはちょっと……。
「ならば、無理矢理にでも攻めさせるさ」
やだ、シグナムさんたら強引。全く嬉しくねえよ。
『マスター。さっさと攻めて、認めてもらった方が楽なのでは?』
そうなんかねえ。……しょうがない。
『二幻刀』
片手にもうひとつ魔力刃を生み出す。神田ユウのイノセンスを元にした、柄も魔力で作った魔力の剣だ。
「じゃあ、こっちからも攻めるから、お手柔らかにね」
今度は俺が突っ込み、両手の剣でシグナムさんに斬りかかった。反撃させないように色んな場所を斬りつける。シグナムさんは冷静に全ての攻撃を受けとめる。
「なかなかの攻撃だ」
そういうと、反撃してきた。俺は片方で受け止め、片方で攻撃する。シグナムさんは身を翻して躱す。
向こうは近接特化のようだ。後退し、弾幕を張る。
「この程度」
全て避けられた。だが、向かうが撃ってくる様子はない。やはり遠距離からが安全策か?
「シュランゲバイセン」
「うわっ!?」
シグナムさんの剣が蛇腹剣のように伸びて襲ってきた。なんだあれ蛇尾丸かよ!? ある程度は遠距離も対応してるわけか。
落ち着け。ああいう武器は、伸びきったとこを狙うんだ。
更に距離をとり、追いかけてくる刃から逃げる。
ここだ!
「ヴォーパルストライク!」
突進して突きを繰り出す。
「むっ!」
紙一重で躱された。SAOだったら硬直があったが、ここでは関係ない。振り返り、大きく一歩、踏み込んだ。
「
「ぐぅっ!?」
身体強化を全開にして一気に八連撃。剣では防ぎきれないと判断したのかプロテクションを張られ防がれた。シグナムさんが後退する。
「……今のは、危なかった」
惜しかったね。ぶっちゃけ、子供だと思って力を見誤ってたろ。
「子供と思って侮っていたようだ」
プロテクションで防がれたけどな。
「次の一撃には全力を込めよう」
勘弁してつかぁさいよ。
ガシャコッと。なにやら不穏な音がシグナムさんの機械剣から鳴った。目を凝らしてみると、剣から何かが飛び出た。……あれは、薬莢か?
ちょ!! まてまてまてウェイトウェイトウェイト! あれは、まさか、ガンブレードじゃないか? やべえ超かっけえ!!
「紫電一閃‼」
あ゛
見るからにヤバそうなのが迫ってくる。
咄嗟に剣を十字に構え、防御する。尋常じゃない威力。魔力刃を砕かれ俺は吹っ飛ばされた。
そうして壁に叩きつけられ、俺は気絶した。
目を覚まし、体を起こす。体感的にはそこまで意識を失ってはいないと思う。ジェイド、どんくらい寝てた?
『5分ほどです』
5分か。
いやー負けたわー。何最後のアレ。やっべえ威力だったぞ?
『変なことに気をとられるからです』
何故わかったし。インテリジェントデバイスにはサトリ機能もあんのか?
「目が覚めたようだな」
「あ、シグナムさん。いやー見事に負けました」
「シグナムで良い。なかなか楽しい戦いだった」
楽しんでたんですか。
「どうやら、悪い奴では無いようだ。主の為とはいえ、今までの非礼、どうか許して欲しい」
いや、それは良いんだけど。途中からは殺気もほとんど無くなってたし。
ところで、その主っての何さ?
「……闇の書のことも、知らないのか?」
闇の書とかどう考えても黒歴史じゃん。いや待て。夜神……闇の書……成程。つまり、デスノートか。
「できれば名前を書かないで頂けると嬉しいのですが」
「どうやら何も知らないようだな」
え?
帰ってきたけど勝てない主人公。
彼の中では八神家は夜神家です。
追記 シグナムとの決闘の時期を変更しました。秋→夏の終わり