魔法の世界にこんにちは   作:ぺしみんと

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今更ですが、UA1,000超えました。
感謝感激でございます。


6話 意地を張る

 やあ。2年生になったよ。特に代わり映えのない日々を送っているよ。学校生活に触れておくと、テストは全教科77点をとることに全力を注いでいます。これがなかなか難しい。配点がわからないと、どこを間違ったらいいのかわかんないからね。体育なんかは、幻のシックスメンになれるよう頑張ってます。ミスディレクションを駆使して縁の下の力持ちを演じてます。

 

 最近は何をしてるかというと、サバイバルの知識を蓄えてます。何の為かは勿論、無人世界でのサバイバル生活の為である。まだ諦めてないよ、サバイバル。

 

「だめだっつってんでしょうが」

 

「そこをなんとか」

 

 デバイスもあるんだし。

 

「そんな危ないマネ、許せるわけないでしょう」

 

 つったってねえ。全然勝てねえんだもん。できることはジワジワ増えては来てるけど、このままじゃいつまでたっても勝てる気がしねえよ。俺には特にやらなくちゃいけないこととかはないけどさ、猫とはいえ、女性に負けっぱなしってのはね。せめて一回は勝ちをもぎ取らなきゃ。

 

 このままじゃ、ダメなんだよ。やっぱり、一つ殻を破る必要があると思うんだよ。その為には実戦を、訓練じゃない本当の実戦を経験しなくちゃ。

 

「命を落としたらどうすんのよ」

 

「覚悟の上」

 

 ぶっちゃけ俺の存在自体生きてんのか分かんないしね。俺の元の体は生きてんのか、『晃一』の精神は生きてんのか、さっぱりわからん。ある意味では、俺は死んでんのかもしれない。

 

「あんた、本気で言ってんの?」

 

「無論」

 

「ふざけないで頂戴」

 

「ふざけてない。命を賭ける」

 

 命を賭けるのくらい、なんでもないさ。それよりも、俺のちっぽけなプライドと、二次元への憧れを優先したいだけ。

 

 リーゼ達とにらみ合う。ここは退かんよ、絶対に。

 

「……そこまで言うなら、しょうがないわね」

 

 アリアが、ため息を吐きながら言う。

 

 ktkr!

 

「ただし」

 

 what?

 

「私と模擬戦をして、一撃でも当てて見せなさい。こっちは手加減なし。全力で行くわ」

 

 ……really?

 

「生き抜く力があることを、証明して見せなさい。卒業試験よ」

 

 ……ちょちょ、ちょっと待って。俺はリーゼ達に勝てるほど強くなる為に、今交渉してなかったっけ? その為に本気のアリアに一撃当てろとか、

 

 アリアの卒業試験がルナティックすぎる。

 

 

 

 

 

 

 ……もう、やるしかないならやってやんよ。

 

 場所は我が修行の場、名も知らぬ山!

 

「準備はいいかしら?」

 

 いつかのように、審判はロッテ。ただ前回とは違い、俺もアリアも、最初から空中である。

 

「準備はいいな? ジェイド」

 

『……本当にやるんですね?』

 

 勿論。

 

 俺は大きく息を吸い、ゆっくり吐き出す。そして、叫ぶ。

 

「当方に迎撃の用意あり!!」

 

 いくぜ。

 

「 覚 悟 完 了 」

 

 

 

 

 

 

 

 まずは先手必勝。

 

『フォトンバレット ディバインシューター』

 

 直射弾と誘導弾を同時に打ち出す。アリアも飛び回りかわしつつ、誘導弾をメインにして打ち込んでくる。いつもより量が多い。ほんとに手加減なしのようだ。

 

 俺は弾幕の中をかいくぐり、距離を詰めていく。

 

 アリアは後退しようとする。そうはさせない。誘導弾をアリアの後ろから向かわせる。誘導弾はプロテクションで簡単に受け止められる。だが、一瞬動きが止まった。その隙に俺は距離を詰め、近距離からバスターを撃とうとする。しかしその瞬間、俺の背後から誘導弾が襲ってきた。昔は背後からの攻撃には全く反応できなかったが、今はある程度は反応できる。体を捻り、誘導弾を避ける。アリアはもう離れている。俺も一旦距離をとる。

 

「……背後からの攻撃にも、反応できるようになったわね」

 

「……そりゃあ、あんだけボコられ続ければな」

 

 何度後ろからぶっ飛ばされたことか。

 

「意地でも当てる!」

 

 俺が攻撃を当てれるとするなら、やっぱり近距離だな。近づくとそれだけ避けるのが厳しくなるけど、懐に潜り込めれば、勝機は少しはある。

 

 ……はあ、やっぱり、俺には特攻しかないのかねえ。

 

『フォトンスラッシュ』

 

「おおおお!!」

 

 魔力刃を生み出しアリアに向かって全速力で突っ込む。目を凝らして、襲い来る魔法を切り落として突っ込む。ある程度の被弾は覚悟して、一気に決め……!?

 

「ぐぁ!?」

 

「簡単に距離は詰めさせないわよ」

 

 いっだぁ!? 威力も本気かよ!? 今までと比べ物にならないぞ!?

 

 堪らず引き下がる。アリアはここぞとばかりに畳みかけてくる。痛みに気を取られている場合じゃない。防御しながら後退する。

 

「随分と容赦ない攻撃だなあ、おい」

 

「馬鹿には良い薬になるでしょ。それに、非殺傷にしてるから死にはしないわ」

 

「苦しんでも死ねないとか。それなんて拷問?」

 

 くそっ。当たり前だが、向こうは近距離警戒しまくってんな。意表をついて遠距離から……いや、最初と同じ展開になるだけだな。結局のところ突っ込んで攻撃をぶち当てるしかない、かな? あとは騙し討ちか。

 

 根性見せるしかねえか。畜生め。

 

 もう一度、全速力で突っ込む。当然のようにアリアが誘導弾を撃ってくる。もっと集中しろ。一つ残らず切り落とせ!

 

「おおおお!!」

 

 どんなに頑張っても、何発かは当たってしまう。それでも歯を食いしばり、右手を突き出す。

 

「マスタースパァァァク!!!!」

 

 思いっきり魔力を込め、砲撃を撃つ。

 

「なかなかの威力ね。でもこれじゃ、最初とおなっ!?」

 

アリアの「後ろ」でジェイドを振りかぶる俺。やったことは初めての模擬戦の時と基本は同じ。マスタースパークでアリアに攻撃をし、かつ視界をつぶす。その時に突っ込んだ勢いを殺さないよう、進行方向と斜めにプロテクションを展開、壁を蹴って跳弾のようにアリアの背後にまわったのだ。

 

 ここだっ!!

 

「飛天御剣流 龍槌――!?」

 

『マスター!!』

 

 な!? 体が、動かなっ!

 

「どんな時も後ろに注意よ」

 

 勝ち誇った表情のアリア。これは、バインドか。まさか。

 

「近づいて来たら確実に決める為に背後から攻めてくると思ってたわ!」

 

 やばい、読まれてた!!

 

 超至近距離からアリアの本気の弾で撃たれまくる。

 

「があああ!?」

 

 痛いなんてもんじゃない。全身の感覚がこそぎ落とされていくようなおぞましい感覚になる。治療魔法をかけようとしても回復が追い付かない。バインドを解除する余裕もない。ただ只管、一方的に撃たれ続ける。

 

 

 

 

 

「……もう、限界ね」

 

 しばらくして、俺は全身ボロボロになっていた。辛うじて、ジェイドは落としてないが、ぎりぎり引っかかってるような状態だ。

 

「……う゛ぁ」

 

『マスター! これ以上は危険すぎます!』

 

 意識がはっきりとしない。全身の感覚がない。

 

「ほんとに一人でサバイバルをするなら、これより危険なことになるかもしれない。私ほどの相手は居ないだろうけど、沢山の魔法生物に囲まれることもあるでしょうね。向こうは非殺傷設定なんてしてこない。本当に死ぬかもしれないのよ」

 

 アリアが、近づき、語りかけてくる。

 

「あんたは確実に強くなってる。だから、焦ってはいけないわ」

 

 優しく、諭すように。

 

「だから、ここは負けを認めなさい」

 

 

 

 

 

 

 

「 だ が 断 る 」

 

 

 

 ポスッと。アリアの背中で音がした。

 

「……え?」

 

 アリアが驚き、背後を見ると、魔力球が一つ、背中にくっついていた。

 

「……あなた、まさか」

 

「……へ、へ……当たったぞ、攻撃……」

 

 そう。マスタースパークで視界を潰した時、俺は回り込むのと同時に、実は魔力球を一つ生み出し忍ばせていた。ろくに魔力の籠ってないミソッカスな魔力球を、機会が来るまで、ずっと待機させていたのだ。

 

 どんなに撃たれ続けても、魔力球が消えないよう、必死に意識を繋ぎ止めていた。

 

「この勝負……俺の、勝ち、だな!」

 

 そこで俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 これは驚いた。ここ数年で一番の驚きだ。

 

「まさか、アリアに勝つとはね」

 

 アリアはぶすっとしたまま晃一を抱きかかえている。

 

「認められないわ、あんなの」

 

「でも、攻撃は攻撃、一発は一発でしょ?」

 

 黙り込む。黙って晃一に治療魔法をかけ始めた。ふふっ。相当悔しいみたいね。

 

「いやー、あんだけボロボロになってもチャンスを狙い続けるとか、相当な馬鹿だね」

 

「馬鹿ってレベルじゃないわ。異常よ」

 

『……マスターの名誉の為に、馬鹿に留めておいて下さい』

 

 それで名誉は保たれるのだろうか?

 

 ぶっちゃけアリアの方が正しいと思う。あそこまでボロボロになっても意識を保ってるのがまず異常。更に、魔法を保ち続けてるなんて。

 

「ま、それはそうと、勝負は晃一の勝ちだからね。色々大変だよ?」

 

「……そうね。約束は約束」

 

 お。割とあっさり負けを認めたな。

 

「しょうがないでしょ。あそこまで意地を見せられて、認めないわけにもいかないでしょう」

 

「お、デレ期?」

 

「からかわないで頂戴。……それに、このくらいは応えてあげないと」

 

 ……それもそうだ。

 

 私たちは晃一を利用している。私たちの、悲願の為に。

 

 『監視』の保険、カモフラージュに晃一を利用してるだけだが、必死に強くなろうとするこの子を見てると、どうしても、罪悪感が燻る。

 

 だから私たちは、悲願の関係のないところでは、できるだけこの子の、力になろうと思うのだ。

 

 

 

 

 

 

 祝! サバイバル決定!

 

 あの勝負から数ヶ月、季節はもう冬になった。何をしてたのかというと。サバイバルの為の準備をしてました。リーゼ達に知識を叩き込まれたのよ。サバイバルは認められたけど、危険すぎるのは認められないってことでいくつか条件を付けられた。

 

 期間は半年。行く世界の情報はしっかりと身に着ける。ってことです。どんな魔法生物が居るとか、何が食えて何が毒かとかね。

 

 その他にも対集団戦の訓練にリーゼ達にボコられたりとか。そんなこんなのうちに大分時間が経ってしまった。

 

 そして今日。ついに出発の日。

 

「無茶はしないように」

 

「生きて帰んなさいよ」

 

 見送りに来てくれたリーゼ達。ほんとにご迷惑をおかけしました。自覚はあります。

 

「サンキュー、ロッテリア! 愛してるぜ!」

 

「「とっとといけ」」

 

 解せぬ。

 

 




季節は冬。そして半年間のサバイバル。何が言いたいかというと

無印編に主人公は関わりません。A’s編からの参加になります。

主人公の現在のステータスは
肉体は戦闘民族高町家に及ばない、それなりのレベル
魔法の才能はなのはたちに遠く及ばない、でも無印のなのはたちには良い勝負できるレベル(勝てるとはいってない)

くらいの感じです。

あんだけ無茶な修行してこのくらい。前世は一般人なんで妥当かと。


おまけ 無印編の時

地球 

なのは「スターライト、ブレイカァァァァァ!!」

どっかの世界 

主人公「フタエノキワミ、ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

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