魔法の世界にこんにちは   作:ぺしみんと

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わりとはやく書けて良かったです。
サブタイは頭空っぽにして考えてしまったものです。

前話のウーノのセリフを修正しました。マシになってればいいなあ……。


30話 びっくりどっきりとっておき

 不意にスカさんが立ち上がった。

 

「せっかくの来客だ! 私の研究を見せてあげようじゃないか!」

 

 え、それ大丈夫? 俺消されたりしない? ちょっと見たいけど。

 チラリとウーノさんを見る。難しい表情。

 

「ドクター、見せるといっても、何を?」

「戦闘機人に決まってるじゃないか」

「ドクターそれは明確にアウトです」

 

 戦闘鬼神? やべえ超強そう。というか明確にアウトってスカさん何見せようとしてんのさ。

 

「説明しよう! 戦闘機人とは、調整された人体へ機械部品をインプラントした、人と機械のハイブリッドなサイボーグなのだよ!」

「何いきなり説明始めちゃってるんですか……」

 

 ウーノさんがスカさんの隣でため息混じりに言う。

 成程、鬼神じゃなくて機人か。サイボーグと聞いてみなさん何思い浮かべます? 俺はサイボーグ忍者です。

 

「機械埋め込むとか拒絶反応みたいなの無いの?」

「そこは私のクローン技術を使ってほほいのほいだね!」

「やっべぇモロ倫理違反だわ」

 

 マッドサイエンティストじゃないですかやだー。

 

 

「……思ったより反応が薄いわね」

「まあ、知り合いにもいましたし」

 

 リスティね。あれ、あいつは正確にはクローンではないんだっけ? でも妹さん達はクローンだったはず。フィリスには度々お世話になってます。

 

 俺の言葉にスカさんが反応した。

 

「なんと! それはまさかプロジェクトFではないか?」

「たぶん違うわ」

「なんと……」

「似たような技術はどこにでもあるだろ」

 

 そんながっかりした表情すんなよ。

 

「因みにプロジェクトFというのは、先程ドクターが言ったクローン技術のことね。正確には、その基盤だけれど」

「説明はありがたいけどそれ知って俺消されるとか無いよね?」

「大丈夫よ。少し調べれば出てくることだから」

 

 あらそうなの。ならちょっと安心。

 

「戦闘機人のことも、知ってるだけなら何の問題も無いわ。……ここで見たことを言ったら殺すけど」

「はっははーさっき俺に気絶させられたくせに何を言っとるのかね」

「ドクターが電源切ってただけで質量兵器は腐るほどあるのよ?」

「すいません調子乗りました絶対言いません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカさんがとっておきとやらを見せてくれるらしい。

 そうして連れてこられたのは、生体ポッドが並んだ空間。不気味ですわ。

 

 スカさんはその前に立ち、両腕を大きく広げた。

 

「見たまえ! コレが私の最高傑作! 戦闘機人『ナンバーズ』だ!!」

 

 おお~。

 

「あんまりよく見えないんだけど」

「そうだろうそうだろう!」

「ぱっと見何がすごいか分からないし」

「そうだろうそうだろう!」

 

 ちょっとコイツ殴りたくなってきた。

 

「抑えて下さい。テンションが上がっているだけなんです」

 

 ウーノさんになだめられる。この人はあれか、割りと簡単にハイになっちゃうタイプの人か。

 

 ……というかさ。

 

「全員女性なんだけど」

「野郎に興味はないからね」

 

 いっそ清々しいな。

 

「実はウーノも戦闘機人なのだよ」

「えマジで!?」

 

 そう考えると完成度高えな! ここまでの美人さんをスカさん一人で作ったのか。

 

「必要とあらば、君の遺伝子を使ってさらにもう一人作ることができるが?」

「やだよ遺伝子提供なんて、おっそろしい」

「可愛い女の子にして『おにいちゃん☆』とか言わせることも可能なのだよ?」

「スカさんの言い方が気色悪かったから却下で」

 

 鳥肌が立ったわ。

 そんなことより、何人いんのさ?

 

「ウーノが長女で、既に稼動してる子が後五人ほどいる。予定では合計12人姉妹だね」

「大家族かよ」

 

 男一人に女12とはマハラジャも良いとこだな。ウーノさんに世話してもらってるし、メイドロボじゃないんだぞおい。

 メイドロボと言えば月村んとこのノエルさん達がいたね。彼女達はロケットパンチができたっけ。

 

「じゃあウーノさんロケットパンチできるのか」

「貴方は何を言ってるの……?」

「ロケットパンチとな?」

 

 スカさんが食いついた。ノエル達について懇切丁寧に説明して差し上げる。勿論個人情報は控える。俺も名乗ってないしね。

 

「メイドロボとは、いやはや燃えるじゃないか!」

「むしろ萌えるよね!」

「「ハァーッハッハッハッハ!!」」

「なんでドクターのテンションについていけてるんですか……」

 

 珍獣を見るような視線を向けてくる。残念、俺は常に思考はしてもノリとテンションに身をまかせちゃう系男子なのさ!

 

「これはさっそくウーノに搭載しなければ」

「待って下さいドクターそれ冗談ですよね?」

 

 ジョーダン、ジョーダンだよぉ……。

 

「この娘達はそれぞれ、固有技能と固有装備を持っていてね。詳しい能力についてはまあ秘密なのだが、強いよ」

「この人なんで聞いてもないこと喋っちゃってんの?」

「自慢したかったんですよ……」

 

 ウーノさんがぐったりしてきた。俺もテンション高いのが長続きする訳じゃないのでぶっちゃけしんどい。

 

「この戦力ならば、管理局の崩壊も夢じゃない!!」

「テロ発言しやがったぞコイツ」

「どうかね!?」

「ここで俺に振るの? テロ発言されて俺は何を言えば良いの?」

「点数でもつけてあげれば良いんじゃないですかね」

 

 ウーノさん投げやりになってるけどコレ多分大事故よ?

 

「まあまあ、採点してくれたまへよ」

「√3点」

「切り換えの速さとまさかの無理数に流石のドクターも戦慄を禁じ得ないのだが」

 

 何点かって聞かれたらそう答えたくなるもので。あと自分で言っといてアレだけど、これ何点満点だ?

 

「ふむ、採点理由を聞いても?」

「興味なし、以上」

「即答ですか……」

 

 いや、俺管理局所属じゃないし。はやて達に関しては、まあ、何とかなるでしょう。あいつらなら何があってもダイショーブさ。既に2回程、地球救ってるし。彼女達が主人公と呼ばれる人種なのだろうさ。

 

「面白いもん見れたし、俺はそろそろ帰るよ」

「もう行くのかい? 一杯酌み交わしたいと思っていたのだが」

「残念、まだ俺未成年」

 

 もともとサバイバルをしに来たんだ。あんまり道草食ってばかりではいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古夜が研究所から出ていき、ジェイル・スカリエッティとウーノが残る。古夜の出ていった研究所の入り口を見ながら、スカリエッティが言う。

 

「なかなか面白い人間だったじゃないか」

「はあ……しかしドクター、いいのですか?」

「何がかね?」

「計画のことです。戦闘機人も見せてしまっては、支障が出てしまうのでは……?」

「問題ないだろう」

 

 ほぼ断言するスカリエッティにウーノが眉を潜めた。ウーノの疑問に答えるためか、スカリエッティは言葉を続ける。

 

「彼にとって、管理局は本当にどうでも良い存在のようだ。というより、周りのことは殆どがどうでも良いのだろうね。それに……」

「それに?」

 

 

 

「彼は狂ってる」

 

 

 

 スカリエッティの言葉に、ウーノは目を微かに見開いた。変わったところはあったが、話していておかしな点は無かった。ドクターとの会話以外ではむしろ平凡な男だと感じていたが。

 

「私とは方向性が違うから、『狂っている』という表現は正確には違うのかも知れないがね」

 

 言外に自分は狂ってるというスカリエッティ。彼には狂人としての自覚があった。倫理や道徳を簡単に捨てる狂気を理解していた。

 

「だから、計画の邪魔はしてこないと?」

「少なくとも、ここをチクったりはしないだろうね。勝手にやってくれと言うだろう」

 

 聞きはしなかったが、聞けばきっと、あの男はそう言う。スカリエッティはそう確信に近いものを感じていた。

 

「私の『欲望』も、どのように進んでいくかは分からない。どの欲が台頭してくるのだろうかねぇ。それによって計画のフィナーレも変化してくるだろう」

 

 自分のことのはずなのに、どこか他人事のようにいう。

 

「果たしてそこに、彼はどう絡んでくるのだろうか……」

 

 そして心底愉しそうに、顔を歪める。

 

「……本当に、面白い男に出会ったものだ」

 

 直後、研究所に高笑いが響いた。

 




狂人に狂ってる言われちゃった主人公。ドンマイ☆
意味深なこと言ってるけどとりあえずは頭空っぽにして読んでいただけたら幸いです。

次でsts前は終わりの予定でございます。

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