俺は今、はやてと二人でミッドチルダに居る。決してデートとかではなく、デバイスマイスターの試験を受けに来たのだ。
ここまで真面目に勉強したのは前世含めて初めてだわ。前世は割りと妥協してたし。
「晃一君、自信ある?」
「ぼちぼち。そっちは?」
「まあ、落ちはしないやろな」
周り結構年上多いのに言うじゃないか。
「だってマリエルさんに講師してもらったからなあ。これは落ちられへんよ」
確かにね。
マリエルさんとははやてが言った通りデバイスの師匠である。今日俺たちが受けるB級デバイスマイスターの更に上、A級デバイスマイスターなのだ。ミッド式のカートリッジシステムを高町達のデバイスに組み込んだのも彼女。
嬉しいことに、俺たちのデバイス造りも手伝ってくれているのだ。超頼もしい。闇の書事件解決の報酬に手伝いを頼んで良かった。
「そろそろ時間やし、行こか」
よっしゃ。
まあ、割りと余裕でした。出来た人から帰って良しとのことだったのでさっさと終わらせた。はやてよりも速く。中身大学生が本気で勉強したんだから負けるわけにはいかないよね。今ははやてが出てくるのを待っている。
つもりだったけど、じっとしてるのは嫌いなぼくちゃん。折角の地上本部ってことで散策中です。
「む? 子供が何故ここに居るのだ?」
結果、おっさんに捕まりました。
「デバイスマイスターの試験を受けに」
「ほう、では何故会場に居ない?」
「試験終わって、相方待つ時間潰しに散歩してました」
「もう済ませたのか。優秀だな。是非とも地上部隊に入って欲しいが、優れた人材は皆海や空にいくからな……」
なんか一人で落ち込み始めた。俺無所属ですけど、とは言わない。激しく面倒くさいことになる希ガス。
「そもそもだな……」
あ、これ長くなるわ(確信)
仲良くなりました。
なんか途中から愚痴聞くはめになって、適当に相槌打ってたら気に入られた。
なんとこのおっさん、レジアス・ゲイズさんは地上部隊のトップ、階級は中将の超お偉いさんである。この人、ミッドチルダの治安維持に相当熱心なのだ。
そこに俺が。
「管理局の要である地上部隊に戦力を割かないのは愚の骨頂ですね☆」
とうっかり口にしてしまったので、それが決め手だと思う。失言だった。
まあ、お偉いさんの知り合いが増えるのはプラスなので良しとしましょう。
「大分スッキリした。礼を言うぞ」
いやいや、特に何もしてませんよ。
「君のような若者も珍しいな。いつか一緒に飲みたいものだ」
「その時は是非!」
良い酒飲ませてくれそう。愚痴聞いた甲斐があったね!
はやてから結果が出たとの連絡。あとどこほっつき歩いてると怒られた。結構時間経ってたんだね。
「大事な相方置いて何しとったんや? ん?」
「ちょっと地上のトップと親睦を深めてた」
「私が試験やってる時に何があったんや」
あ、しっかり二人とも合格しました。
「それにしても、晃一君は古代ベルカ式のデバイスで良かったんか?」
帰り道、はやてに聞かれた。はやてのデバイスに合わせる形で、俺の新デバイスも古代ベルカの予定である。新なのに古代とは如何なものか。
「いやだって、古代ベルカ式使えたし」
そう。意外なことに俺には古代ベルカ式の魔法にもそれなりに適正があった。シグナムにちょっと教えてもらったら出来たのだ。
古代ベルカ式の魔法はレアスキルにも認定されるほど希少らしい。俺、才能あったよ!
「どんなのにしたいとかは決まっとるん?」
勿論。シグナムのレヴァンティンを見た時から決まってるよ。ガンブレード一択だってね!
いや、ほんとあのロマン武器を再現できるとかまじ胸熱。俺の心がエンドオブハート。被ってるしそれじゃ俺死んじゃいますねぇ……。
「なあ、それやったら今度、私の知り合いに会ってくれへん?」
はやての知り合い?
「せや。カリムっていって、私が結構お世話になっとる人なんよ」
そーなのかー。
「晃一君のこと、幼馴染みみたいなもんですって話してたら、是非あってみたいって言っとってな」
まあ、付き合いの長さ的にはそうだよね。
「聖王教会の騎士もやっとるんやで」
「あ、パスで」
「なんでや!?」
えーだって、ねぇ? 教会とか、宗教柄みはちょっと……。偏見なのだろうが、よく知らない宗教に深く関わるのはちょっと危ないと思う。
「むー」
はやてはむくれ顔をしている。そんな顔されてもやだよ。面倒くさいじゃん。
ため息を吐くはやて。
「まあ、今回は諦めるわ」
金輪際諦めて下さい。
「あ、でも古代ベルカ式の魔法使うなら100%聖王教会のお世話になることになるで」
え。
「ガンブレード使うんやったら絶対関わらなあかんしなーだったらわたしの知り合いの方がええと思うんやけどなー」
貴様ッ! 謀ったな……! てかこれ俺に選択権無くねえ? 今度は俺がため息を吐いてしまう。
「分かった。会いに行きますよ」
「計画通り」
最近お前もネタかますようになったよね。その顔芸はなかなかのもんだわ。
そんなこんなでやってきました聖王教会。広いな。探検したくなってきた。
「うろちょろせんといてな」
先手をとられた。ちっ。
仕方ないので大人しく付いていった。カリムさんとやらのところへ行く途中、はやては色んな人に挨拶していく。大変だねえ。印象を良くする為とか、色々ありそうだ。
カリムさんの部屋に着いた。
「カリム、あたしや、入るで」
呼び捨てとは、年はそこまで離れてないようだ。
部屋に入ると、二人の女性が居た。金髪の方が口を開く。
「あなたが晃一君ですね。初めまして、私はカリム・グラシア。聖王教会の騎士です。はやてとは親しくさせて頂いています」
「初めまして。古夜晃一です。どこにでも居る学生です」
「ダウトや」
黙らっしゃい。
金髪、カリムさんがにこやかに笑う。
「一度話をしてみたかったのよ」
談話タイムというわけですね。
まあ、良い人だったよ、カリムさん。俺はカリムさんの護衛のシスターシャッハと仲良くなったけど。彼女近接戦のプロだってね。なんと彼女の武器、トンファーである。かっこいいよね、風紀委員長だよ。咬み殺しちゃうんでしょ?
シグナムともよく模擬戦してるんだって。俺のことはシグナム経由で聞いてたそうだ。その流れで模擬戦に誘われたがテストの後で疲れてるので丁重にお断りした。疲れてなくてもお断りしたい。俺は戦闘狂じゃないんだって。
「仲ようなれたみたいで良かったわ」
そっちも頼りにしてる人が良い人そうでなによりです。
「また会いに行こうな」
「あ、それは遠慮しときます」
「なんでや!!」
また行ったら今度はシスターシャッハに模擬戦申し込まれそうなんだもん。
「晃一君て、あんだけ修行しとるのに、なんで模擬戦は嫌いなん?」
別に誰かに勝ちたいからとか、誰かの為にとかじゃないからね。二次元の技を再現するっていう自己満足の為にやってるだけだから。戦いは目的じゃないんだよ。
「変なの」
まあ、自覚はあるよ。だって中身が異常だもの。
主人公の知り合いが増えました。
主人公についての説明を一つ。
彼は顔と名前を覚えるのが苦手というよりは覚える気があまりありません。しかし覚えといたほうがいいと思った人、主にお偉いさんであれば覚えます。
クラスメイトの名前を覚えてないのは、特に関わるつもりも必要もないからです。
なのは達は闇の書事件がきっかけで覚えました。