14話 談話とアフター
闇の書事件から、大分時間が経った。年も明けて、冬休みも明け、新学期である。
「随分と久しぶりに学校行く気がすんな~」
『色々、ありましたからね』
リインフォースが消えた後の話。
はやては思ったよりすぐに立ち直った。リインの分まで、守護騎士たちを幸せにしてやるんだとか。最初は無理してんのかと思ったけど、特にそんなことも無いようで。本当に強い子である。
今は足が治り始めているので、検査とリハビリの日々。まだ車椅子生活は続くみたいだが、何れ歩けるようにはなるらしい。
グレアムさんたちとも話をした。クロノから俺が気づいたことを教えられたらしく、事件の後すぐに話をしないかとのお誘いがあった。
「我々は、君を利用していたのだ。本当にすまない」
話を始めていきなり土下座しかねない勢いで頭を下げられたので流石にびっくりした。
何でも、グレアムさんは闇の書に因縁があるようで、何とか、闇の書を永久封印しようとしていたそうだ。そしてたまたま、はやてを見つけた。以来、両親を亡くしたはやての生活の援助をし、ずっと監視を続けてきたらしい。俺はその為のカモフラージュに利用されていた。リーゼ達が地球に行く隠れ蓑だったというわけである。
「あたしたちは良いから、せめて父様だけは許して……!」
「お願い……!」
リーゼたちも懇願してきた。
「……いや、まあ特に気にしてないし」
そんな気にするほどのことでもないし、お世話になりっぱだったからね。
「はやてには、話すんですか?」
流石に話すべきだと思うけど。
「彼女が大人になって、独り立ちした時、全てを話すよ」
どうやら話すタイミングは決めてるようだ。だったら俺から言うことなんてね。一番の被害者ははやてなんだし。
「じゃあ、はやて次第で。許すの許さないのは、俺からは何も言いませんよ」
これからも魔法の訓練に付き合ってくれよ? というと。リーゼ達に抱き締められた。
気持ち良かったです(小並感)
あと、ここまで来たら流石に気づいたと思うけど、やがみんからはやてに呼び方が変わった。やが……はやての強い要望があったからである。女の子のこと名前で呼ぶのは抵抗あるけど、まあ付き合い長いし。
学校についた。教室に入り、近くに居た奴に適当に挨拶をして、自分の席に座る。
「久し振りだな、晃一!」
「えっと、初めまして?」
「お前マジいい加減顔覚えろよ! 結構話してんだろ俺!」
クラスメイト君が話しかけてきたので挨拶したら、突然叫んで頭を抱えた。情緒不安定だな。
なんかごちゃごちゃ言ってたが、適当に聞き流す。担任が入ってきたら静かになった。
久々の授業。かなり面倒くさい。
昼休み。
弁当を広げる。ごく平凡な弁当である。
入学当初は私立なのに弁当なのかと文句を言っていたがもう慣れた。
いただきますと手を合わせると、俄かに教室が騒がしくなった。なに? 何かあった?
「お、おい! 晃一、お前呼ばれてんぞ」
またお前か。今日はやけに話しかけてくるな。てか俺? なんかしたっけ?
教室の入り口を見ると、
「あ、こういち君」
高町が居た。そういや、同じ学校でしたね。
「高町か。どうしたんだ?」
「えっと、ちょっと話があるんだけど、良いかな?」
話?
「弁当食ってからで良いか?」
話が長引いて飯が食えないのは嫌です。
「え? 一緒に食べようよ」
キョトンとする高町。いやいや、ここでいったら他の三人も居るでしょう。そこで弁当とか流石に気まずい。
「悪いけど、先約が居るからね。どこに行けば良い?」
「あ、じゃあ、屋上にきて。絶対だよ!」
そう言って、高町は戻った。屋上とか使えたのか。良いな、今度行ってみようか。いや、今から行くんだった。
席に戻る。すると、
「お、おい晃一! お前なのはちゃんと知り合いだったのか!?」
クラスメイト君が問い詰めてきた。
「知り合いっつーか、知り合いの知り合い?」
はやてだったり恭也さんだったり。
「つか、お前も知ってんのか」
「ばっかお前、なのはちゃんといったら、聖祥美少女四天王の一人だぞ!?」
「馬鹿と言ったな貴様」
「あ、ハイ、スミマセン」
まったく。そういや、前にそんなのが居るって言ってたような。確かに、あの四人組はかわいいよね。将来絶対美人になる。
それにしても、高町が美少女四天王、ねえ。これは士郎さんに要報告だな。あの人なら自分の娘がそうな風に言われてたらかなり喜びそう。上手くいけばシュークリーム奢ってくれそう(ゲス顔)ただ失敗すると娘の自慢を一時間以上聞かされることになる。
飯を食べ終え、屋上に行くと、予想通り四人組が居た。うっわあ、超アウェー。
「あ、来た」
「まったく、遅かったじゃない!」
金髪二人が言った。文句言うなよ。
「ま、まあまあ。落ち着いてアリサちゃん」
紫、確かすずかとやらが宥める。
「で? 話ってのは?」
早速本題に入らせてもらおう。
「あ、えっとね。こういち君も魔導師なんだよね?」
「一緒に戦っといて何を今更言っとるか己は」
高町に思わず突っ込んでしまった。
「わ、わかってるよ! でも、事件の時はあんまり話せなかったでしょ? だから、こういち君のこと、教えて欲しいなって」
はやてちゃんやヴィータちゃんとも仲が良いし、と高町が言う。そっちが本音だろ。
「ここに居る人は、皆魔導師なのか?」
「あ、私とアリサちゃんは違うよ。クリスマスの時に知ったんだ」
多分すずかが言った。そーなのかー。
「話すのは構わないけど、せめて名前は教えてくれ。話し辛い」
「こういち君、お兄ちゃんたちと知り合いなの!?」
高町驚愕。
「ああ。だから高町は名前自体は知ってたよ。散々妹自慢、娘自慢を聞かされてきたからな」
うちの娘はかわいいだとか。うちの妹は賢いだとか。
「にゃああああ!?」
悶える高町は放っておく。
「そういや、月村って、忍さんの妹かなんか?」
忍さんとは、たまに翠屋でバイトしてる女子大生のことである。なんと、恭也さんと付き合ってるのだ。もげろ。
「あ、そうだよ。お姉ちゃんのこと知ってるんだ」
あの人とは、なんというか、ソウルフレンドというか。あの人良い趣味してんだよね。その忍さんの妹か……。
「……今日は、風が騒がしいな」
「えっと、でも少し、この風、泣いてます?」
「急に何言い出してんのよ、あんたたち」
赤目じゃない金髪のバニングスが突っ込んでくるが関係ない。ネタが通じる!
「月村! お前って奴ぁ……!」
「あはは、まあ、お姉ちゃんの影響だけどね」
ソウルメイトが増えたぜ。やったね!
「ってことがあったんだよ」
場所は八神家。買い物帰りに真っ直ぐやって来た。
「ええなあ。すずかちゃん達とも友達になったんか」
友、達……?
「なんでそこで不思議そうな顔しとんねん」
いや、ただの知り合いって認識だわ。尚、月村はソウルメイト。
「すずかちゃんだけ好感度高すぎやろ」
お前はネタをスルーされた時の恥ずかしさと虚しさを知らないな? ネタが通じるというのは重要なんだぜ。
「まあそれは関西人として何となくわかるわ」
お前似非だろうが。
夕飯をいただいた。今回は安全に食べ終われたのでデザートタイムである。
「晃一! 今日は何味だ!?」
「聞いて驚け、期間限定の華もちだ」
ソファに座ってヴィータと二人でアイスを食べてると、はやてが隣に座った。なんか話でもあんのかい?
「私な、罪を償う為に、管理局の手伝いをすることに決まったんよ」
唐突。あとはやてに罪はないんじゃ?
「いやいや、皆に沢山迷惑かけてしもうたからな。晃一君には一応、報告しとこうと思って」
へー。
「あとな、私、デバイスの勉強、頑張ることにしたんや」
……それは。
「うん。リイン二世の為に、色々勉強せなあかんと思って」
そうか。
「俺も今勉強してるんだよ。ジェイドのメンテを一人でできるようになりたいからな」
あとは、アームドデバイス作りの為に。
『後半が本音でしょう』
拗ねんなよ。あと心読むなよ。
「だから、まあ、なんかあったら手伝うよ」
「……晃一君が優しい」
「熱でもあんじゃねえか?」
はっ倒すぞてめえら。
事件が終わってからは大体こんな感じである。
ここまで読んでくださった皆様に最大限の感謝を。
Sts編ほとんど考えてないのでやるかどうかは分かんないです。やらないならやらないなりに完結という形に持ってきたいとは思っております。
一度も出てませんが主人公は忍とはけっこう仲がいいです。