魔法の世界にこんにちは   作:ぺしみんと

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わたくし、初の物書きでございます。

どうぞよしなに。


Act.1 『hello』
1話 目が覚める


 気が付くと、そこは病院でした。

 

「!?」

 

 あ……ありのままに今起こったことを話すぜ! 俺は大学生として何の変哲もない日々を送っていた。だが、いつもどおりに就寝し、目が覚めたら……

 

 体が縮んでしまっていた!

 

 なにこれ。ここは……病院か? どこのだ? あーもう、「知らない天井だ」って言えなかったじゃないか! 違う、そこじゃない。パニクってるね。まあ、いきなり病院のベッドの上で、しかも体が縮んてるとか、普通パニックになるよね。むにーっとほっぺをつねる。痛い。普通に痛い。夢じゃないのか。まじかよ。

 

 落ち着け、俺。koolになるんだ。

 

 どうしてこうなった?

 

 1.タイムスリップ

 

 2.転生、または憑依

 

 3.APTX4869を飲まされた

 

 まともな選択肢がない件について。

 

 脳内で騒いでいると、誰かがノックしてきた。返事をしようか迷っていると、ドアが開く。ノックの意味は?

 

「おや? 目が覚めたようだね。よかったよ」

 

 そう言って入ってきたのは、外人っぽいお爺さん。やべえかっけえんだけどこの人。いかにも英国紳士って雰囲気。でも、なんか軍人みたいなガッチリとした体格。強そう。ビッグボスかと思ったよ。

 

「驚かせてしまってすまない。私の名はギル・グレアム。君のお父さんとお母さんの上司だよ」

 

 ん? 両親の職場は違ったはず。となると……まさかこれは憑依か? 選択肢2なのか?

 

 まじかい。んな馬鹿な。まさかそんなことがあるわ

 

「どうかしたのかい、晃一くん?」

 

 俺は、晃一くん……じゃなーい! 憑依決定ですねありがとうございました。

 

 

 

 

 

 というわけで記憶喪失ということにしました。本人の振りとか無理だもん。この体の子の記憶は本当にないし、嘘はいってないよね!

 

 グレアムさんは驚いていた。そりゃそうか。

 それでも、信じてくれたかは別にして、色々丁寧に説明してくれた。なんとなく雰囲気とかで察していたのかな? 何にせよありがたい。

 

 そこで語られる驚愕の事実。

 

 グレアムさんや俺の両親は魔法使いなのだそうだ。マジ異世界。最初は宗教かと思ったけど実際に魔法を見せられたら否定のしようがない。

 

 魔法かあ。これはあれだな、アニメやゲームのあんな技やこんな技が再現可能ってことじゃないですか。燃えるね!

 

 古夜晃一君の外見だが、まあ普通。イケメンではないけどブサイクでもない。ただ普通じゃないのは、なんと、左目が紅かった。虹彩異色症ですよ。

 

 まさかのオッドアイである。他が普通なおかげで、なんか目立つ。あと真っ赤で怖い。

 

 良い(?)話ばかりではなかった。

 

「父さんと母さんが、殉職?」

 

 両親はどうやら管理局というここでいう(ここは普通に地球の日本だった)警察のようなものに勤めており、犯罪者グループとの戦闘中、相手の自爆特攻から他の局員を庇い死んでしまったらしい。

 

 憑依よりも衝撃的だわ。そりゃ自分の両親とは違う人なんだろうけど、それでもこの体の子の両親は居ないのか。いきなり前途真っ暗だ。

 

 ……僕を主人公に作品を書くとすれば、それは『悲劇』だ。

 

 ふざけるのはやめとこう。

 

 ショックを受けた古夜晃一君は錯乱し、病院に運ばれ、今に至るというわけだ。

 

 晃一君の精神はどうなったんだろうか。

 …………考えんのはやめとこ。こういうの、答えが出る訳じゃないだろうし、泥沼にはまるだけだな。

 

 まずは自分のことだ。

 

「俺はいったいどうなるんですか?」

 

「お金の面では私が管理、支援させてもらうよ」

 

 グレアムさんいい人そうだしその辺は安心か。

 

「他に何か要望があればできるだけ応えさせてもらうよ」

 

 なんかやけに甲斐甲斐しい気がする。……いや、これは疑いすぎだな。厚意は素直に受け取っておこう。

 

「ありがとうございます。じゃあ、ひとつだけ」

 

 どう生きてくにしろ、これは絶対に譲れない。

 

「俺に魔法を教えてください」

 

 やっぱ憧れるじゃん、魔法。

 

 

 

 

 

 退院してから数ヶ月が経ちました。絶賛一人暮らし中の古夜晃一4才です。魔法の練習に精を出す日々を送ってます。

 

 といっても、グレアムさんも忙しいので、週末に使い魔である猫のロッテリア姉妹に魔法の基礎を教わっています。

 

「略すんじゃないよ」

 

 何故わかったし。姉がリーゼアリア、妹がリーゼロッテである。

 

 今日の講師は妹のリーゼロッテ先生。かわいい。

 

 使い魔は人型になれるのだが、なんとこの姉妹、人になっても猫耳は残っているのである。ネコミミ、ケモミミ、ケモノミミである。超かわいい。

 

「よーし、じゃあ始めるよー」

 

 そんなことを考えてるうちに修行スタート。

 

 といってもまだ基礎なので、そこまでスパルタになることはないはず……なのだが。

 

「いやーなんというか、ぎこちないねー。才能無いんじゃない?」

 

 ひでぇ。容赦ない。

 

 まあ実際その通りなんだけどね。悔しい、でも感じちゃう!

 

「頭はそれなりにいい自信はあるんだけどなあ」

 

 この世界の魔法は、なんというか理系なのである。プログラムだのなんだの。

 

 これでも理系の大学生だったし、4才のこの体としては十分すぎる頭だとは思うのだが。

 

「そりゃあ、まあ、そうだけど」

 

 何でだろうか。

 

「ん~……何となく理由は分かるわ」

 

 kwsk。

 

「あんた頭が固いのよ。子供の癖に」

 

 頭が固い、とな? まあ確かに。中身わりと大人だし。それはあるかも?

 

 どうすればやわらかくできるか。

 

 ……はっ! そうか、成程ね。

 

 俺が閃いた、というよりは思い出したのは某風祝さんの言葉である。

 

『常識にとらわれてはいけないのですね!』

 

 そうだな。魔法が俺の常識に当てはまる訳がない! このセリフは真理をついている!

 

 常識を捨てろ。

 

「わかった。次はいける」

 

「急にどしたの?」

 

 

 

 

 

 結果からいうと、コツをつかみました。

 

「何があったの?」

 

「真理を悟った」

 

「馬鹿言うな」

 

 怒られちった。

 

「まったくもう。……今日はもうおしまい。しっかり三食食べて、健康に過ごしなさいよ?」

 

 なんだかんだいって面倒見のいいリーゼロッテさん大好きです。

 

 そうしてリーゼロッテは帰った。来週はアリアが先生だね。

 

 さ、買い物にいかなきゃ。

 

 

 

 

 

 買い物をしながら、そろそろ体も鍛えなきゃな~なんて考える。

 

 やっぱ漫画の技を使えるようになるためには、それなりの体が必要だと思うんだ。

 

「すんません、そこのドレッシング取ってくれませんか?」

 

「これですか? はいどうぞ」

 

「あんがとなぁ。車椅子だとどうしても届かなくて」

 

「大変ですねえ」

 

 でも何したらいいんだろ。体の鍛え方なんてわかんないからなぁ。

 

 

 

 

 とりあえず、逆立ちで町内一周でもするか。

 

 

 

 




主人公はわりとのんきです。

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