空条承太郎と奇妙な女神の守護者達   作:( ∴)〈名前を入れてください

6 / 14
第6話

 

 

襲いかかってくる綾瀬を真正面から迎え撃つ体勢を取る承太郎。不良との喧嘩の時、相手が凶器を持っている事がザラにあったが故に、どんなに良い武器を使おうとも持ち手が駄目ならば意味が無いと理解している。承太郎はこの状況でも決して慌てない、どんな時でも頭は冷静に考え次の一手を考える。目の前いる綾瀬をどうすれば無力化出来るのかを考える。

 

「(取り敢えず…あの危なそうなモノを何とかしなきゃいかねーな)」

 

綾瀬の腕に付いている凶器はまるで触れれば絶対に死ぬ。そんな予感が承太郎の頭の中でよぎるっ!

ならば一体どうするのか、彼は自分の置かれている状況から最適解を考えるッ!

考えども考えどもどれもが博打のような手しか無い状態、その中でもマシな物を選ぶ。

 

「(悔しいがこれ以上の手は無い……か。やれやれ博打はあんまり好きじゃぁないんだがな)」

 

考え出した結論に苦笑したくなるがそれが最適解だと自分に言い聞かせ、行動する為に準備をする!

 

攻撃をされる瞬間カウンターの要領で躱しつつ羽交い締めにして行動不能にするのが最適解だと結論つけた承太郎は綾瀬の隙を逃さんとじっと睨みつける。

 

「(今だッ!)」

 

そして綾瀬が目の前に来た瞬間、承太郎は真正面から振り下ろされる凶器を躱して凶器が付いている腕を拘束しようと、その腕を掴もうとしたッ!

 

「なっ…なにィ!」

 

だが、承太郎の腕は虚空を掴むだけで何も掴む事が出来なかったッ!突然のスピードアップ! 綾瀬のスピードが急に速くなったのだ!承太郎が捉える事の出来ないほどにッ!思わず声をあげてしまうが、直ぐに体勢を立て直し綾瀬の姿を目で追う。その速度は普段の綾瀬とは段違いに速く…いや彼女の速さを例えるならば普段は女子の平均よりも少し速いくらいだが、今はまるで動物界のスポーツカー。チーターのような俊敏性を持っていたのだッ!

 

「(速すぎる…これじゃあ捉えることが出来ねーぜ)」

 

彼の周りをグルグルと回りながら隙が生まれた瞬間斬り捨てると言わんばかりに承太郎をジッと見詰めながら回りつづける。

 

目では追い掛ける事は出来るが身体は追い付ける事が出来ない、そして近くには腰を抜かした少女が1人。自分1人ならば色んな方法があるのだが、今は少女を綾瀬から守らなければならない。

チラりと少女を投げ込んだ方を見ればガタガタと震えながらこちらを見つめてくる少女。まだ立つことすら怪しい状態に舌打ちをしたくなるが無駄に動いて狙われるよりはマシだと結論をつける。

 

「こっちにきな!俺はここにいるぜ!」

 

承太郎の声に答えるように綾瀬は承太郎目掛けて突っ込んでくるッ!有り得ない速度で突っ込んでくる姿はまるで拳銃の弾丸だ!そのまま目の前まで来て振り下ろされる凶器ッ!キラリと街灯の光を浴びて光る刃物はまるで命を刈り取る形をしていたッ。その姿はまるで『鎌』!

 

今、綾瀬の腕には鎌のような物が付いているのだッ!そしてその鎌はそのまま承太郎目掛けて振り下ろされる!見てから避ける事は不可能ッ!

 

「キャァァァァッ!」

 

「…やれやれだぜ。やはり思った通りだったか」

 

少女の悲鳴が辺り一帯に響き渡る。自分を助けてくれた男が今、殺されようとしているのだ!だが承太郎は何一つ慌てないッ!至って平然としてる。絶体絶命の中ついに狂ってしまったのか!?承太郎はしゃがむ!そしてその上を鎌が横に振られるッ!

 

その振られた場所は承太郎の首元目掛けての一閃!大振りからの一撃はかなりの隙を生むッ!

 

「犯人に殺されていく死んだヤツらは皆首元を1発で切り降ろされて死んでいた。だったら狙う場所も良く分かるって奴だ」

 

「お前がキッチリと首筋を狙ってくれたお陰で避ける事が出来たぜ。ありがとよ」

 

承太郎はこの事件を止める為に行動していた。ならば新聞に載っているくらい大きな事件となっている問題を分からない筈が無い!被害者は首を一撃の元に切り捨てられていた!それを知らない承太郎では無いッ!

そして承太郎は身体を丸め、全力で踏み抜きながら綾瀬の中心めがけてその巨体を使ったタックルをぶちかましたッ!

 

「オラァァァッ!」

 

承太郎の巨体から生み出されるパワーはタックルを受けた綾瀬を吹き飛ばすッ!

何回転もして吹き飛ばされる綾瀬はそのまま地面をバウンドしそのまま地面に叩き付けられたッ!

砂埃が舞い承太郎と綾瀬の両者を阻むように巻き上がる。そんな光景を見て承太郎はバツが悪そうに呟く。

 

「ちと…やり過ぎたかもしれねぇな」

 

そして、茂みに放り込んだ少女をチラリと見て承太郎は震えている少女に手を差しのべる。少女はストレスの限界に来ているのかしゃくり上げながら泣き続けている。

 

「……立てるか?」

 

承太郎の言葉に泣きながらも差し伸べられた手を掴み顔をあげる。そして少女は承太郎の後ろを見て顔を恐怖で歪める。承太郎は後ろから感じる威圧感に冷や汗を流しながら軽口を叩く。

 

「あっ…あぁ……」

 

「…やれやれだぜ。あれで傷1つつかねぇなんてな……」

 

そこには傷1つ負っていない綾瀬の姿があった!そして綾瀬はそのまま鎌を振りかぶるッ!狙いは少女と承太郎二人ッ!二人纏めて切り捨てようとする鎌はブンッと振られるッ!

 

絶体絶命!もう助かる手は無いっ!承太郎はせめて少女だけでも助けようとした瞬間、頭の中で自分の知らない記憶が頭の中を巡った!それは自分の知らない光景!まるで刑務所の中!そこで誰かと戦っている自分ッ!

 

承太郎ォ!それは悪霊なんかじゃぁ無いッ!それはお前自身の精神のエネルギーが形を取った存在!

 

傍に立つ者からそれの名前は『幽波紋』それはもう1人のお前自身よォッ!

 

その瞬間カチリ、彼の頭の中で何かがハマった感覚がした!あの亡霊が何なのか理解が出来るッ!後はその名を呼ぶだけ!承太郎は心のままに叫ぶッ!

 

名付けよう!君の幽波紋は…「『星の白金!』」

 

「オラァァ!」

 

名を呼ばれた事により、スタンドは彼の意思に従い綾瀬を殴り飛ばすッ!青色の巨体!それはまるでアステカの戦士のような力強さを持った屈強な戦士!承太郎自身の精神の形ッ!

 

それは星のタロットが暗示するスタンド!『星の白金』暗示する物は『願い』『希望』『願いが叶う』!スタープラチナは殴り飛ばした先をキッと睨む。そして承太郎は戦闘で落ちそうになっている帽子をちゃんと被り直し宣言をする。

 

「綾瀬…こっからは第2ラウンドだぜ」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。