作者はラブコメとはなんたらと思いながら、久しぶりにオトメン見てます。
ですが、なんと明日はテストの結果発表ということもあり、精神は鬱気味ですわ。
千早「いや、頑張れよ」
作者「お前にもわかる時がくる」
千早・椎名「・・・・・・」
姫神明子っていうなまえを姫神志穂という名前に変えました。
え、誰だそれは?
第四話をご参照!
「え、何してるの?」
「え?」
千早が空き教室に入るなり声をかけてくる人物がいた。京凪であった。今回は前回のように着替え中というラッキースケベは発動しなかった。
「ああ、生徒会長殿」
「いい加減肩書きじゃなくて名前で呼んで欲しいんだけどな」
「えっと、藤野先輩?」
「何故そこが疑問形なのか聞きたいんだけど。まぁ、いいわ。それで、何があったの?」
「うーん、まぁ厄介なことに。実はカクカクシカシカで」
「いや、漫画じゃないんだから」
~事情を説明~
ある程度の事情を聞いた京凪はフムと考え込む。数秒して京凪は言った。
「分かった。ここは戦闘能力の高い私が囮になるから。その間に十村君はダッシュでプリントを職員室に届けて。そしたら帰れるから」
「あ、自分の戦闘能力認めたんだ。よし、分かった。詳細な作戦は俺が考える」
「いいの?」
「こう見えても戦術ゲーは強い方なんだよ」
それから五分程度色々と考えた結果、京凪の後ろから千早が声かけをする。と言うものである。
二人はそれから直ぐに準備して廊下に出る。
血に飢えた男子生徒の目の前に京凪が現れ、その後ろから千早が注目するような声掛けを指示する予定。であったのだが、壁にコソッと隠れた千早の周囲にいつの間にか男子生徒たちが集まっていた。
「え・・・」
「ふっ、お前のリア充ライフもここまでだな」
「リア充を野放しに出来るほど俺たち出来た人間じゃねーんだよ」
「死ね死ね死ね」
「ぐりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
(おい、最後の人語喋ってねーぞ。ていうか、まさか直ぐに囲まれるなんて予想もしてなかったわ)
と、所定のポジションに京凪が現れるが、千早の方を見てこめかみを抑える。
「ちょっと!あなたたち!何をやっているんですか!」
そんな大声を張り上げながら京凪が男子生徒たちを押し分けて千早の目の前に立つ。まさかまさかの登場に男子生徒たちはビビる。
(正面から対エロ魔人兵器を投入出来たのはいいが、意外にもビビるだけ。いつもなら逃げ出すのにこいつらヤバイな。こうなったら・・・最終手段を・・・くっ、許せ生徒会長)
そう思った千早は徐に目の前にいる京凪の前スカートを手で掴むと一気に上へと持ち上げた。鮮やかでスムーズなその動きに京凪を含む全体の反応が遅れる。
「黒だ」
千早がそう言った途端、彼の顔面に向かって京凪の肘が飛んできた。しかし、その反応を知っていた千早はそれを華麗に回避する。
心の中で謝りながら男子生徒の輪を潜り抜け、一気に職員室へと駆け抜ける。
「あとでぶっ殺す!!!」
女性とは思えない野太い声で叫ぶ京凪に心の中で謝る。絶対許してもらえないんだろうなと千早は思いながら前を向いた。
「はぁ・・・はぁ・・・失礼しまーす」
ガラガラと職員室へたどり着いた彼は担任である姫神志穂教諭の机に行く。
「あら、十村君。どうしたんですか?そんなに息を切らして」
ほよよんとする姫神教諭に体力を回復させながら、完璧に解答欄が埋まった課題のプリントを姫神教諭に渡す。
「えっ、あの量をもうやったの?」
課題プリントをスラスラと見たあとに「はぁ」とため息をこぼしてから千早の目を見る。
「普段からこれくらい頑張ってくれたらいいんだけどなぁ」
「いや、それは申し訳ないです」
「まぁ、十村君ならいざって時に頑張ってくれるからいいんだけどね。いいよ、これで。もう帰るのかな?」
「はい、約束があるので」
「約束?ああ・・・今日はクリスマスイブだもんね」
「先生も何かないんですか?」
「もー、十村君。そういうのを独身の女性に聞いちゃダメですよ?」
メッと千早の額を小突いてくる姫神教諭の愛らしさは随一である。
「それじゃぁ、俺行きますね」
「はいはーい、デート楽しんで」
一度礼をした千早はやることが終わったと軽い気持ちで職員室が出る。堂々と帰れると思った千早が感じる空気は素晴らしいものであった。
(さぁ、帰ろうか)
千早は大きく伸びをして清々しい気持ちで学校を出ようとした時、見てしまった。多くの男子の屍の中に佇むのは対エロ魔神兵器。たった数分のことだというのに千早のクラスにいる男子生徒十名が倒されてしまった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという効果音を背景に覚醒した藤野京凪はギロリと千早の方を見る。そして、目が合ってしまった。
「ふっふっふっふっふっ・・・・・・うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・・・・っ!」
千早が目を覚ますとそこには真っ暗な空が広がっていた。千早が起きるのを待っていたかのようにタイミングを待って雪が降ってきた。雪は彼の頬で溶け、水となる。
「・・・・・・あああああっ!しまったぁぁぁ!」
バッと出した携帯端末の画面には二十時とあった。それを見た千早は今一体どういう状況なのか錯乱した後、状況をなんとか整理して飲み込む。
「よ、よし・・・落ち着こう。落ち着こう。俺が寝ているのは中庭のベンチ。おk、そこまでは大丈夫。問題は今日のデートの集合が駅に・・・十九時集合であること」
再び千早は携帯端末を見る。時刻は二十時。
「う・・・ああああああああああああああああっ!」
ダッシュで靴を履き替えて正門を抜ける。千早はそうして走りながら携帯端末をもう一度確認すると、椎名からのコールが数十件ほどあった。
当たり前だ。デートの集合時刻よりも一時間も遅れているんだから。
「いやいやいやいやいや!俺のせいじゃないから!絶対俺のせいじゃないんだからぁぁぁぁぁぁ!」
千早の声は聖なる夜へと轟いた。
降りつく雪も諸共せずに千早は走り続ける。激しい戦闘の後だと言うのに彼は全力で走り続ける。途中、凍った地面に滑って思いっきり地面に身体を打ち付ける。
それでも尚走り続けた。
「取り敢えず、椎名にコールを・・・って・・・」
画面を見ようとするが、プツンと携帯はそれ以上何も言わなくなった。
「ぢくじょぉぉぉぉぉ!!」
必死に走った千早はやっと駅へとたどり着いた。駅には他に大量のリア充たちが犇めいていた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
息を切らしながら駅の周りを色々と見て回るのだが、千早の視界に彼女が映ることはない。
「やっぱ・・・はぁ・・・クソ・・・」
駅前にあるベンチに息を整える為に座る。
「皮肉だ・・・デートに行く為に策を講じたのにその策に逆に足を絡め取られるなんてな。いや、自業自得か・・・」
自らの欲の為に他人を犠牲にした結果がこれ。まさにしっぺ返しとはこのことであった。ここにいても何も変わらない。帰ろうと千早がした時、
「なーにしてんの?」
「なにって・・・幾ら自分のせいじゃないとしてもデートに一時間遅刻するとか・・・ないよなぁ・・・・・・・・・・・・って!」
ガバッと千早が顔を上げるとそこには彼の恋人である如月椎名の姿があった。
「・・・なんで?」
(俺はきっと世界一アホ面をしていただろう)
次回もお願いします。