もしエルシィが勾留ビンを使えなかったら   作:天星

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 年内に何とか書けたぜ!
 というわけで投稿します。正真正銘今年最後の投稿です。




軽音楽部の恩返し
前編


 人間界の夏は素晴らしいです! 何て言ったって夏休みがありますからね!!

 たった1ヶ月半ですけど、日頃の勉強から解放されて遊べます!!

 

 勿論、遊ぶだけじゃなくて軽音の特訓もやってますよ!!

 

「オラァ! 良い音出してるか!!」

「はいっ!! サイコーな音を出してます!!!」

「全力全開だよっ!!」

 

 

「……このノリは軽音部として微妙に間違ってないか?」

「やる気があるのは結構な事でしょう。多分……」

 

 

 あれ? 京さんと結さんは静かですね。調子が悪いのでしょうか……?

 こんな時は私たちの音楽で元気付けてあげなければ!!

 

「やりましょう! ちひろさんっ!!」

「おうっ、やるぞエリーっ!!」

 

 

 

  ……そして、数時間後……

 

 

「よっし! 今日はこんなもんにしよっか」

「そうですね。丁度いい時間でしょう」

 

 程よい時間になったので皆でお片付けです! 使った物はきちんと元の場所に戻さなくては。

 結さんのドラムのように持ち運びが大変な物は勿論、他の楽器も大体がこの部室に置いておきます。持ち帰って自主練習する場合もあるのですが、夏休み中は練習したくなったら好きな時に学校に来ればできるのでそんな感じです!

 学校に来れないような時間帯だと皆が寝静まってるような時間なのでそもそも練習できませんからね。私は一応何とかなりますけど。

 

 

「あ、そうそう、この後ちょっと時間ある?」

 

 いつもは何事もなく解散するのですが、今日はちひろさんが待ったをかけました。何事でしょうか?

 

「まだ大丈夫ですよ~」

「今日は陸上部の方は休みだから大丈夫」

「私も~」

「う~ん……この時間だと後でお母様から怒られるかもしれませんが大したことはありませんね。何でしょうか?」

「「「「大したことだよね(ですよね)!?」」」」

「いえ、勝手に言わせておけばいいので本当に大した事はありません」

「……結って、結構なお転婆だよね。

 まあいいや。そういう事ならできるだけ手早く済ませよう」

 

 結さんの発言には驚かされましたが、気を取り直してちひろさんが話を始めます。

 

「みんなさ、この部室があって凄く助かってるよね」

「そりゃね。陸上部の練習も行きやすいし」

「私も助かってるよ。誰も居ない時なら勉強したい時にも一応使えるし」

「料金がかからないのもかなり良いですね。お金は有限なので」

「私も助かってます!! 凄い音を出しても誰からも怒られないので!!」

「おいエリー、たまに間違えてアンプのつまみを最大にするのは徐々にで良いから治していこうな?

 ここでは怒らないって言うより呆れられてるだけだから」

「うぐっ!! す、すみません……」

 

 お、怒られてしまいました……ほうきさんでもそうでしたが、調整つまみは昔から鬼門です……

 

「まあそれは置いておいてだ。

 この部室を用意してくれた桂木に何かお礼したいと思うんだよ。

 何か良い案は無いかっておもってさ」

「そう言えばそうでしたね。バタバタしていたのですっかり遅くなってしまいました」

「確かに……何もしてなかったね、私たち」

 

 神様への恩返しですか……う~ん……

 

「ってわけでエリー、何か意見は?」

「えっ私ですか!?

 えっと……神様はゲームが何よりも好きなので邪魔しないのが一番の恩返しかもしれませんね……」

「むむむっ、確かにそうかもしんないけど、それはイカンでしょう」

 

 やっぱりそうですよねぇ……どうしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとまず解散した後、私は神に~さまに直接たずねてみる事にしました!

 お礼はサプライズで行うので、あくまでもさり気なくです!

 

「神様! 今何か欲しいものありますか?」

「………………小阪達に伝えろ、礼など要らんと」

「ふえっ!?!? どどどどどうして分かったんですか!?」

 

 あ、アッサリとバレてしまいました!! 何がいけなかったんでしょうか……?

 

「欲しい物を人に聞くのは大抵はその欲しい物をその人に送る場合だ。

 だが、お前の単独犯だったら勝手に何かするだろう。そうしないという事は協力者が居て皆の意見を聞きながら調節しようとしているに違い無い。

 その上で、僕に贈り物なんてものを企んでそうでなおかつお前に協力を頼みそうなのはあいつくらいだ。

 部活動の件だろうからメンバー全員も関わってるから『小阪達が関わっている』となるわけだ」

「ほえ~、凄いですね神様」

「中川が関わってる可能性も一瞬考えたが……あいつならわざわざお前を使うような事もしないだろうからな」

「ちょっ、どういう意味ですか神様!!」

「まあそういう事だから、小阪にはちゃんと伝えてくれ」

「いやいや、そういうわけにはいかないですよ!

 何かお礼させて下さいよ神様!!」

「そんなもん自由時間をプレゼントしてくれるだけで十分だ」

 

 うぅ……私がちひろさんに言った事と同じような事を言ってますよ……

 ここで引いたら完全に収穫0なんですが……これ以上問い詰めても怒られるだけな気がします。どうしましょうか。

 そう考えていたら、姫様がやってきました。

 

「桂馬くん、少し良いかな?」

「手短に」

「大丈夫……だと思うよ。ちょっとした質問だから。

 桂馬くんはさ、どうして小阪さんの部活作りに協力したの?」

 

 あ、確かに気になりますね。今も自由時間しか要らないと言っている神様がわざわざ協力した理由は何でしょうか?

 それがプレゼントに繋がるかもしれませんね。流石は姫様です!

 

「……そう、だな。興味を持ったからだな。

 僕の事を散々バカにしていたあの小阪がその僕にあれだけ真剣に頼みごとをするんだ。

 奴が最後に何を成し遂げるのかを見てみたかった。それを児玉ごときに邪魔されるのは癪だったんでな」

「なるほどね。となると……しっかり演奏の練習をして上手くなった演奏を発表するのが一番の恩返しになりそうだね」

「……そうなるな」

 

 神様、面倒だからそういう結論に持っていこうとしてませんよね……?

 

「と、とりあえず神様も主張は分かりました! ちひろさんに言っておきます!」







 地獄に夏休みは存在するのでしょうか? 四季があるかすらも怪しいですが……

 それでは皆さん、また新年……と言うより明日お会いしましょう。
 よいお年を!

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