緋弾のoutlaw   作:サバ缶みそ味

13 / 28

 刃牙の第二部、死刑囚編がアニメ化すると聞いてテンションマックス。復習ということで第一部のアニメを鑑賞中

 OPはイントロがいいんですけど…歌が(ズコー


13話 O Toi La Vie  ①

 ノブツナは戦慄した。目の前にいる大男はかつて東京を騒がせたかの5人の死刑囚の1人、ドリアン。一時幼児退行をしていたと言っていたが、体はまったく衰えておらず老いを見せないくらいに強く、そして静かに殺気を放っていた。

 

「…いつから俺達の事を知ってるんだ?」

 

 ノブツナは恐る恐る尋ねた。相手が何故こちらの名を知っているのか、何故自分を探しているのが分かっているのか。ドリアンは白髪のヒゲをさすりながら考える素振りを見せ考え込んでいた。

 

「久々にこの地に戻ってきたということで神心会の独歩氏に挨拶に行こうかと向かっていたところ、君達を見かけてね。武偵が何か用かと後を付けてみたら私を探っているというのを知ったんだ」

 

 気配を悟られることなく後をつけられ、しかも簡単に侵入されたことにしてやられたと睨む。そんな事なぞ気にせずにドリアンはヒゲをさすりながら物珍しそうに二人を見つめる。

 

「これまで屈強な警官や戦いを求める格闘家達を相手にしてきたが…今度は坊や達が相手だとはな。私もご老体だとなめられたものだ」

「これでも一応武偵なんですけどね…」

 

 いつ仕掛けてくるか、ノブツナは身構えながらドリアンの様子を伺っていた。かのファイター達ならばったり出会った時が試合開始、もう戦いは始まっている。ドリアンは相変わらずヒゲをさすっているまま。ノブツナはちらりと後ろにいるレキに相手が動いたらすぐに迎撃にまわるよう目で合図をした。

 

 そのノブツナの隙を待っていたかのようにドリアンは動いた。ヒゲをさすっていた手を開き、ノブツナに向けて強く息を吹きかけた。その手から勢いよく飛んできたのは何本もの小さく硬いヒゲの毛だった。目に入らないようにノブツナは片腕で防ぐ。更にドリアンはポケットからライターを取り出し、中に仕込んでいる目視ではとらえにくい特殊繊維のワイヤーを引っ張り出した。防いでいた腕に絡めさせ切断しようとひらりと飛んできたのが見えた。

 

「レキ‼ソファーの下!」

 

 ノブツナは大声で呼びかけた。後ろに下がっていたレキはソファーの下を探り出し、FN P90を取ってドリアンに向けて撃ちだす。レキがP90を取り出したところをみたドリアンは撃たれる前にライターを投げ捨て後ろへと下がった。ノブツナはLARグリズリーを構えて追うがドリアンは待ち構えており、仕込んでいた棘付きのメリケンサックを付けた左手で強烈な拳を速く放った。咄嗟に両腕で防ぐが衝撃までも防ぐことができず腕にミシリと激痛が走り、ブツナは激痛に耐えながらキッチンへと吹っ飛ばされた。

 

 ドリアンは次にレキへと標的を変えて襲い掛かる。レキはP90を撃とうとするが、それよりも早くドリアンの蹴りが振り下ろされた。しかも靴の先端と踵に刃物を仕込んでおり斬りつける勢いで踵落としをした。レキは銃で防ぐがドリアンの力が強く、刃物が次第に顔に近づいてきた。

 

「…っ」

「軽く遊びの程度でやっているのだが…実に残念だよ」

 

 ドリアンはつまらなさそうに見下す。独歩や神心会の連中ならまだしもこんな子供が相手では楽しめない。世も末だとため息をつき、止めを刺そうと力を込めてもう一度叩き込もうとした。

 

 その時、ぞくりと後ろから殺気を感じた。振り向くとノブツナが刀を引き抜いて斬りかかろうとしてきていた。刀が振り下ろされる寸前にドリアンは身をかわす。刀は空を切るが、はらりとドリアンのヒゲと髪の毛が舞い、服に斬られた跡がうっすらとついていた。その刀の速さと今のノブツナの込められている殺気にドリアンは嬉しそうな笑みをこぼす。

 

「そうだよ。これだ!これぐらいの勢いで来てもらわないと!」

「うるせー!てめえをまずい病院食しか食えなくなるようにしてからとっ捕まえてやるからな‼」

 

 苛立って怒っているノブツナに対し、ドリアンはニッと不敵な笑みを見せる。かつて戦った独歩氏程の殺気とまではいかないがそれでも格闘家達の他にこんな殺気を込めた相手がいたことが嬉しかった。

 

 ドリアンは楽しみながらノブツナが振るう刀を刃物の付いた靴で防ぎ、躱しつつ後ろへ下がり、更に挑発していく。

 

「さあもっと、もっと殺気を込めて‼そうでないと私を倒せないぞ?」

「うるせえよ‼あとてめえはもう詰みだ!」

 

 ノブツナが苛立ちながらドリアンを睨んで告げる。その瞬間に顔に弾丸が掠めた。飛んできた先を見ればレキがドラグノフを構えて狙いを定めていた。気付けば自分がいる場所は玄関へと続く長い廊下。

 

「部屋に逃げ込んでも袋のネズミ。踵を返して逃げようとしてもレキがお前のアキレス腱を射抜いてダウン。観念してお縄につけ!」

 

 ドリアンは口笛を吹き、無言で狙いを定めているレキと刀の切っ先を向けているノブツナを見た後にふっと笑いだした。

 

「成程…私が先ほど言った事は謝ろう。君達は殺す勢いで戦いつつ、殺さないようにしているのだね」

「まあ一応武偵法9条があるもんでな」

 

 日本では武偵法9条で武偵は殺人を禁じられている。半ば皮肉を込めてノブツナはぶっきらぼうに返す。しかし、ドリアンは愉悦な笑みをこぼした。

 

「だが…多くの人間を殺めた死刑囚だった私にはわかるよ。二人とも、()()()()()()()()のではないのかい?」

 

 ドリアンの言葉にノブツナとレキはぴくりと反応した。ドリアンはにっこりとしながらノブツナを見つめる。

 

「特に君は‥‥私に向けた殺気とあの目つき。私が推測するには戦場に出て、多くの人間を殺めたんじゃないかな?」

 

 ドリアンの問いにノブツナは無言のまま、じっと睨んだまま答えなかった。何も言わなくてもドリアンは嬉しそうに頷く。

 

「よし、決めた。その気にさせるために今度少し派手なイベントを持ってこよう。それまでに私を殺す気でくるか、それとも武偵や司法の誇りに賭けて私を捕まえるのか答えを用意してくれ」

「いや、あんたはここで捕まえる気でいるんだけど?」

「‥‥」

「そうかそうか‥‥」

 

 ぶっきらぼうに答えたノブツナと無言で狙いを定めているレキにドリアンは少し残念そうにしながらすぐそばにある部屋のドアを開けた。

 

「ところで…君達はガソリンがお好きかな?」

 

 ノブツナとレキはすぐに気づいた。ドリアンが開けた部屋から気化したガソリンの臭いが鼻に伝わってくる。間違いなくあの部屋にはガソリンが撒かれ、気化したガソリンが部屋に充満している。

 

「君達が帰って来るのが遅いから各部屋に撒いたガソリンが気化してしまってね。流石の私もこれは急いでお暇しなければならない」

 

 ドリアンはそう言いながらポケットからM67破片手榴弾を取り出し、ピンに指をかけた。青ざめているノブツナに対してニッコリと笑った。

 

「それじゃあまた会おう!」

 

 ドリアンは笑顔でピンを引き抜いて部屋へと投げ込んだ。それを見たノブツナは咄嗟に踵を返して駆け出し、レキを姫抱っこして窓を蹴り開けてベランダから海へと飛び降りた。

 

 その数秒後、爆炎を吹き荒らしながら爆発が起こる。あと数秒遅れていたら爆発に巻き込まれていただろう。海へとダイブし、もくもくと巻き上がる炎と黒煙を見てノブツナはげんなりとした。

 

「なあレキ、修理費って請求できるかなこれ…?」

「隣にも被害が出ているようですから難しいですね」

 

___

 

「お前のUAV、全然役に立たなかったぞ」

「なん…だと…」

 

 武偵寮で爆発が起きたという事で他の武偵達が駆けつけ、びしょ濡れのまま事情聴取を受けたノブツナはムスッとした顔で野次馬に紛れていたジークに文句を言った。しかしジークは全く反省していないようで他人事かのようにテヘペロとお茶目に返す。

 

「メンゴメンゴー。こんな時もあるさ」

「ぶん殴っていいよな?」

 

 ノブツナはすぐさまジークにげんこつをいれる。人を探すUAVでさえも見つけることができなかったことよりも、すんなりと武偵寮に侵入されるほどのセキュリティの甘さに舌打ちした。このままでは学園にもあっさりと侵入されるに間違いない。

 

「自慢のハワコネ社の製品でも見つけるのは難しいか…やっぱ鳰を呼び戻して捜査するしかねえか」

「ああそれよりもなんだが…我がハワコネ社のUAVには色々な探知機能が搭載していてな。丁度この寮の辺りを飛ばしてたら、部屋に盗聴器が仕掛けられていたことが分かったぞ!」

 

 ドヤ顔して自慢してくるジークにノブツナは面食らった。

 

「は?俺の部屋にか?」

「いや。お前の隣、キンジの部屋だな。そりゃあもうすっごい数。面白そうだったから逆探知も試みたんだ!それからキンジは何処にいるか探してたら、白雪ちゃんと浴衣デートしてやんの!」

 

 ノブツナはキンジの警戒の無さに呆れていたが、ふと気づいた。いちいち自慢してくるジークにまさかとノブツナは恐る恐る尋ねる。

 

「お前、まさかそれに夢中でしばらく飛ばすのを忘れてた、とか言うんじゃねえよな?」

「あっ…」

 

 ふと思い出したかのようにはっとしたジークにノブツナは思い切り頭突きをしてやった。のたうち回るジークにキレ気味に怒声をとばす。

 

「お前何してんだよ!?」

 

 もしかしたらその間にドリアンを見つけ、知らせる事が出来たというのに、ノブツナは大きくため息をこぼした。

 

「はあ…結局何の成果もあげられなかったってか」

 

 ドリアンを探すも、見つける事ができず、しまいには迎撃されて逃げられた。この捜査で得られたのはお隣は盗聴器が仕掛けられていたこと、デュランダルも既に先手を打っていたことがわかっただけ。それよりも白雪の護衛もといデートに帰ってきたキンジにどう説明しようか悩んだ。

 

「隣まで爆発の被害が出てるし、どう言い訳すればいいか…」

「ドーナツ作りに失敗したって言えばいいじゃないか?」

 

 そんなレベルじゃねえとツッコミを入れて項垂れる。そんな時、ふとノブツナは思い出す。

 

「あれ?レキのやつ、遅いな…」

 

 ノブツナは不思議そうにあたりを見まわした。レキの事情聴取もすでに終わっているはずなのに中々戻ってきていない。

 

「ノブツナさん、こっちです」

 

 キョロキョロしているノブツナに後ろから声がかかる。振り向けば大きなバスタオルを羽織っているレキがいた。しかし、レキも未だにびしょ濡れのままで、濡れた制服がぴったりと肌に引っ付いたままだった。

 

「あれ?レキ、替えの服とかは…?」

「すみません。どうやら替えの制服も焼失してしまったようです」

 

 レキは無表情のまま鎮火したであろうノブツナの部屋の方へ視線を向けていた。ノブツナもやっちまったなと遠い眼差しで同じくその方へ視線を向ける。

 

「あちゃー…制服も請求できっかな…というか明日からどうしようこれ」

 

 とりあえず、ドリアンの追跡を続けつつもう一度対策を立てなければならない。直ぐにでも何処かで鳰を呼び戻して話をしようと考え込む。移動先を決めたノブツナはレキに伝えようとチラリと見ると濡れた制服を脱ごうとしていた。ぎょっとしたノブツナはすぐに引き留めた。

 

「ちょ!?何してんの!?」

「いえ、濡れたままではいけないので脱いで水気を取ろうと…」

「うん、わかるけどさ!?他の人達が見てるからやめような!?」

 

 事情聴取で来ている教務科の他に、爆発を聞いてやってきた野次馬や他の武偵達も来ている。こんな面前で脱がさせるわけにはいかない。写真を撮ろうとしているジークを殴ってからレキを説得する。

 

「なら…ノブツナさんだけの時ならいいのですか?」

「うん、そういう問題じゃなくて…いや寧ろ嬉しいけど、やっぱだめだからな!」

 

 ノブツナはこの先大丈夫かと頭を抱えた。





 狭い場所でスナイパーライフルで撃つか、それともアサルトで撃つか、そこら辺は知識はありませんので申し訳ございません…
 
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。