緋弾のoutlaw   作:サバ缶みそ味

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 何年振りかの投稿‥‥こちらはゆっくりと更新していこうと思います。

 これまでのお話となんか書き方が変わっていしまっておりますが、ここから統一していこうと思います。

 あと死刑囚編がアニメ化するという噂を聞いてつい


12話 お宅訪問

「ったく、電話をかけたら上空から落ちてくるのはやめろっていってんだろ」

「HAHAHA‼これが私のアイデンティティー‼」

「んなもんいらねえよ!」

 

 ノブツナは呆れながらいつまでも喧しく高笑いをするジークを睨む。脱獄した元死刑囚、ドリアンの捜索を協力するよう鳰とジークに電話をしたところその3分後にジークがスカイダイビングをしてやってきたのだった。天井に穴が開く大事に至らなかったが、ノブツナの師匠である本部から『もっと友達を選べ』と苦笑いをされた。

 

「それにしてもジーク、随分とやる気満々だな」

「当たり前じゃないか!あのドリアンを捕まえに行くのだぞ‼もうドキが胸胸‼」

 

 すでに袴着に着替えてやる気満々ではしゃぐジークとは反対にノブツナは憂いながらため息をつく。言わずもがなあの元死刑囚を探して捕まえにいかなければならないのだからである。

 

 東京ドームの地下にある地下格闘技の格闘家達と、最強最悪と呼ばれた5人の死刑囚の格闘は東京を騒がせた。元々は武器の使用を認めていなかったルールがこの場では武器もあり、戦う場所も戦い方、戦う人数も有限がないノールールで行われたことにより公共の場が危険にさらされたのである。警察のみならず、武偵も出動したのだが、彼らには全く歯が立たず止めることもできなかった。

 

 さらには折角の我々の戦いを邪魔をするなと両陣営から喝を入れられたことにより完全な司法の敗北と化していた。おかげでマスコミや新聞やニュースなどメディアから総叩き。さらにはアメリカの囚人、ビスケット・オリバや地上最強、範馬勇次郎の介入により更に武偵や警察叩きは悪化した。これが原因により、日本の武偵はビスケット・オリバを目の敵にしているのであった。

 

「ほんとなんでオリバさんは俺ら武偵にそんな無茶なことを頼むのやら…」

 

 ノブツナは深くため息をついた。承った以上、やるしかないし戦うしか止める方法はない。気を引き締めて、歩みを止め目的地である高層ビルを見上げた。

 

「ノブツナさん、ここは…?」

 

 気になったのか、レキは高層ビルの壁画を見ながらノブツナに尋ねた。壁画には空手着を着た禿頭の男が虎を倒す絵が描かれていた。

 

「まずはドリアンについて情報収集だ。一応、本部師匠が伝えてくれているけども…やっぱ緊張するよなー」

 

 ノブツナは半ば緊張していた。気合いの入った怒声が外からでも響いてくる。ノブツナ達はそのビルへと入っていった。正面玄関を通り、4階へと上がり練習場と書かれた部屋を開けると、そこでは空手着を着た逞しい体格の男たちが気合いの込めた声を上げながら拳で空を突き、高く蹴りを入れ、再び拳を突く、と空手をしていた。

 

「ここは神心会空手っていうフルコンタクト系空手協会だ。日本全土に100万人もの会員を持つ日本一の格闘団体なんだとさ」

 

 無表情であるが目を丸くしているレキにノブツナは説明をした。厳つい男達ばかりであるが、子供向けの殻て教室だけでなく女子空手等々、老若男女問わず神心会空手は広く伝わっている。中でも東京にある本部には創始者と館長が尋常でない程強いと言われている。そんな空手の様子を見ていたノブツナ達のところに長身で体格もでかく、厳つい顔つきの男が睨み付けながら近づいてきた。

 

「おい…お前達、ただの見学者じゃなさそうだな。俺らになんか用か?」

 

「HAHAHA‼その通りである!俺は道場やry」

「あ、あははは…ちょ、ちょっと武偵の捜査活動でご協力頂きたいことがありまして…‼」

 

 いきなり道場破りだとぬかすジークの口を封じてノブツナは引きつった笑顔で誤魔化した。男はさらにじろりと睨みを利かす。ノブツナはレキにも手を貸してもらおうと視線を向けるが、肝心のレキは興味なさそうにしていた。更には道場内の厳つい男たちが一斉にこちらを睨み付けてきた。このままだと蹴っ飛ばされて追い出されてしまい兼ねない。ノブツナは焦り始めた。

 

 

「末堂、そう睨んでやるな。本部から電話があってな、この子達は俺に会いたいようだ」

 

 ふと後ろから声がかかり、振り向けばかなりの筋肉質な体格をした白のスーツを着た、眼帯を付けた禿頭の男がいた。ノブツナだけでなくレキもジークもその男はただ者ではないという気配を察した。

 

「お前さんが本部が言ってた犬塚信綱だな?俺がこの神心会空手の総帥、愚地独歩だ」

「ど、ども…師匠から聞いています」

 

 にこやかに差し伸べてきた独歩の手をノブツナは恐る恐ると握手をかわす。そんなノブツナの様子に独歩はクスクスと笑う。

 

「なに、取って食ったりしねえよ。ここでもなんだ、場所を変えるかい?」

 

 一見気さくな好々爺に見えるが、かの独歩は虎殺しとも呼ばれるほどの空手の使い手であり、地下闘技場にも出場した男だとノブツナは知っていた。独歩の案内で応接室へと向かい、ソファーに腰かける。独歩はニコニコとノブツナ達に視線を向けながら深く腰掛けた。

 

「さて‥‥武偵の坊や達は俺に何を聞きに来たんだ?」

 

「それは是非とも空手の御指南をry」

「ちげえだろ」

 

 さっそく割り込んできたジークにげんこつを入れ、ノブツナは真剣な表情で独歩に尋ねた。

 

「独歩さん、率直に聞きます…貴方や神心会の方達と戦った死刑囚、ドリアンについて…」

 

 その言葉を聞いた途端、独歩の顔から笑顔が消え、真顔で見つめ、ぞくりと殺気がのしかかってきた。ノブツナとレキが感じたのは明らかな殺意。しかしここで怖気づいてしまうともう顔を見る事さえできなくなってしまう。二人は重い殺気に耐えた。

 

「…冷やかしにきた、と言うわけでもねえみてえだな。なんでそんな事を聞く?」

 

 笑顔のこもった口調ではなく、完全に殺しに来ているような重い言葉にノブツナは答えた。幼児退行していたドリアンが突然回復したこと、アメリカの収容所から再び脱獄しこの東京に潜んでいるという事、ビスケット・オリバからドリアンを捕まえてくれという依頼を受け、自分は探るために情報収集をしているという事を独歩に話した。

 

「俺は一度も会ったことがありません…ドリアンはどういう男だったのか、どんな戦いをしたのか、彼と戦ったことのある貴方に伺いに来たんです」

 

 ノブツナの話を聞いて独歩は無言のまま煙草に火をつけて静かに一服した。自分達に対する殺気は消えたがどう出るかわからない。独歩は煙を吐いてノブツナ達に視線を向けた。

 

「一つ聞くが…もし、俺が怒って正拳突きをしたらどう出る?」

 

「俺なら受けて立つぞ‼かの愚地独歩と一戦交えるのだからな!」

「近接では私は手が出ません。ドラグノフを盾にして防ぐしか方法はありません…」

「えっと…持っている縄かベルトで腕を絞めて一本折ります。正当防衛ですから」

 

 ノブツナ達の答えに独歩は唸る様に考え込み、再び煙草を一服した。一息煙を吐いた独歩は渋い顔で視線を向けた。

 

「まあ60点ぐらいか…ドリアンなら隠し持っているアラミド繊維で俺の手首を切断だ」

 

 キョトンとしているノブツナに独歩はそのままかつてドリアンと戦った時の事全て話した。アラミド繊維でて首を切断されたこと、門下生達が戦って敗れた事、そして顔面に爆弾を叩き込まれたこと、覚えている事限り全てを語った。

 

「あいつは中国拳法だけでなく、ワイヤーや手榴弾、武器を仕込んで戦う。わかるか?ドリアンは手段を選ばず殺しにかかってくる。お前さん達の様な、殺しを禁じられた武偵、剰え血みどろな戦いを知らねえ武偵のガキじゃ捕えることはできねえ」

 

 独歩の言葉にノブツナは何も言わず、じっと独歩を見つめた。そんな彼の視線に独歩はやれやれとため息をついて頭を搔く。

 

「まあ…本部のとこの坊やならそれぐらいは心得ているだろうな。ドリアンが今どうなっているかは知ったこっちゃねえが、元死刑囚と言えども、ご老体と言えども手を抜くな。俺が知っている限りは以上だ」

 

「独歩さん…ありがとうございます」

 

 ノブツナは深く頭を下げた。律儀すぎると独歩は苦笑いをしてノブツナに尋ねた。

 

「逆に聞くが…今のご時世に戻ってきたといっても、ドリアンは何をしようとしているんだろうな?」

 

 それは独歩でもノブツナでも分からなかった。ドリアンは何故、再び東京に戻ってきたか。神心会への再戦なのか、または復讐か、それとも別の理由を抱えているのか、目的が見えない。

 

「リベンジなんなら喜んで受けて立つんだが…お前さん達も十分気を付けてることだな」

「独歩さん、一応渋川さんにも話したんですがくれぐれも再戦だとか言って乱入しないでくださいよ?」

「ははは‼その時は武偵の誇りにかけて全力で止めるんだな」

 

 絶対に暴れないで欲しいとノブツナは頭を抱えた。死刑囚ドリアンだけでなく愚地独歩までも巻き込んできたらたまったものじゃない。

 

 一先ず情報収集することはできた。後は先手を打たれる前にドリアンを見つけて捕えるしかないだろう。後はジークや鳰、レキと連携を取って探していく。ノブツナは独歩に一礼して部屋を出ようとした。しかし、ジークはもう帰るのかと言わんばかりに嫌そうな顔をしてきた。

 

「もう帰るのかノブツナ‼せめて神心会と一緒にカラーテを教えてもらうじゃないか!」

「おいジーク、目的はそれじゃないってば」

 

「うちのせがれは新しく武偵向けに空手教室を開こうかと考えてたところだ。今入門すれば月謝は30%オフに…」

「独歩さん、勧誘しないでください…」

 

___

 

 それから数日が経過した。ノブツナはレキと共にドリアンが潜んでいそうな廃墟のビルや無人になった地下のバーやアパートを捜索して探していた。しかしどこもいる気配がないどころかまったく見つからなかった。

 

「はー…ここも外れだったな」

「これで15件目ですね…」

 

 ボディーアーマーを身に着け、刀を提げ、LARグリズリーの他、スタングレネードやらと重装備で備えて向かっているがどこも空振りに終わってしまった。レキは無表情で見据え、ノブツナは大きくため息をついて項垂れた。

 

 鳰には無人の工場やら廃墟やらと場所の情報と目撃情報を収集させ、ジークにはハワコネ社の製造したUAVを使って探索してもらっているがどれも手応えがなかった。レキの鷹の目をもってしても見つからないとなると本当に潜んでいるのかどうかと疑ってしまう。何かいい手はないかとノブツナは唸りながら悩みだす。

 

 

「あんたが犬塚信綱ね?」

 

 ノブツナが頭が痛くなるほど悩んでいるところに、少し高い音程のアニメ声な少女の声がかかる。面倒くさそうに振り向くと、キンジの部屋で居候しているピンクツインテロリこと神崎・H・アリアがこちらを睨み付けながら歩み寄ってきていた。

 

「何だお前か…今は奴隷の勧誘はお断りだし、すごく頭が痛いから後にしてくんね?」

 

「あんたをあたしの奴隷にしに来たわけじゃないわ」

 

 それなら様がないなら帰れと言いたかったが、どうせ言ったとしてもこういうツンツンした奴は人の話を聞かないと察していた。アリアはムスッとした顔でノブツナに指をさす。

 

「率直に言うわ。レキをよこしなさい」

「はぁ?」

 

 いきなりのことでノブツナは眉をひそめて睨み返した。それにカチンと来たのかアリアは声を荒げながら話を続けた。

 

「もともとレキはあたしと組む予定だったのに…あんたはそれを横取りしたのよ‼今はレキの力が欲しい所なんだから何も言わずよこしなさい!」

「あのさぁ。レキとはこちとら一年間バディを組んでたし、レキは俺の大事なパートナーだ。誰にもやらんぞ!」

「うるさいわね!貸しなさいと言ったら貸しなさいよ‼レキ、あんたはどうなのよ‼」

 

 ノブツナとアリアはギャーギャーと口喧嘩を繰り広げる。そこでアリアはレキの意見は聞こうと鋭い視線を向ける。レキはこくりと頷いて静かに口を開いた。

 

「私は…ノブツナさんのモノです。今はノブツナさんに従います」

「ほれみろ。喧しいやつにレキは渡さん」

「なっ…あんた変な事をレキに吹き込んだでしょ‼もう!こうなったらあんたたちにデュランダル探しを無理矢理でも協力してもらうわよ‼」

 

 アリアはやけくそに喚きだした。『デュランダル』という言葉にノブツナはさらに眉をひそめた。最近噂されている武偵校にある超能力捜査研究科(SSR)の武偵の中でも攻撃的な超能力を持つ者、所謂超能力者(ステルス)の武偵、超偵を攫う誘拐犯のことである。いるのかどうか、存在しているのかどうか疑わしい都市伝説レベルの話だ。

 

 最近我が武偵校の生徒会長である星伽白雪に脅迫状が送られたと話題に上がっていた。そのデュランダルを捕えるために、白雪を守るためにアリアとキンジがボディーガードを務めていると武藤から聞いていた。しかし今のアリアはキンジや白雪と同行してしないし護衛すらしていない。ノブツナはジト目でアリアを見つめる。

 

「お前…白雪の護衛はどうした?」

「あっ…えと…捜査よ捜査‼」

 

 焦るアリアに正直に話せと問い詰めたところ、アリアは直感でデュランダルの存在を信じているがキンジは全く信じておらず、口論になりキンジから白雪の護衛を外されてしまったとの事だった。それを聞いたノブツナは呆れてため息をついた。

 

「馬鹿じゃねえの。護衛の任務をほっぽいて単独で探すなんてよ。てかちゃんと護衛をしろよ。キンジだけじゃぜってーヤバいから」

「だからあんた達に頼んでいるんでしょ‼」

 

 ああ言えばこう言う。ノブツナは面倒くさそうに頭を掻く。こっちだって脱獄囚したという危険な元死刑囚を探しているというのに余計面倒な事を持ち込んでくるなと。適当に言って追い払おうとしてもうんともすんとも言わないだろう。どうしようか考えていると携帯電話が鳴った。電話の主は鳰のようで情報でも入ってきたのかとノブツナは携帯を取る。

 

『もしもーし。ノブちゃん大変そうッスねー♪』

「おまえ…遠くでみてやがるな?」

 

 冷やかしだけならこのまますぐに切ってやろうかと思ったところ鳰はノブツナを止める。

 

『ノブちゃん、ピンクツインテロリの件はうちに任せるっスよ』

「鳰…お前いいのか?」

 

 鳰の言葉にノブツナはぴくりと止まり、尋ねる。鳰はクスクスと笑いながら話を続けた。

 

『デュランダル…その件ならうちは知ってるっス。前にも話したッスよね、うちの故郷の事』

「ああ…葛葉のことだな」

 

 ノブツナは鳰と最初に組んだ時に鳰から自分の正体ことを話していた。元々鳰は関西にあると言われる暗殺に長けた暗部『葛葉』の一族である。『東のアズマ、西の葛葉、北の暁座、南の百地』と呼ばれるほどの暗殺の名門であった。しかし、数年前にイ・ウーという秘密結社の襲撃を受けて故郷は滅茶苦茶にされ一族は離散され、ほうかいされてしまったという。

 

『うちの故郷を滅茶苦茶にしてくれたイ・ファッキン・ウーの中にデュランダルという奴がいたッス。奴を捕まるというのなら、うちは喜んで力を貸してあげますっスよ?』

 

 鳰の証言からデュランダルは存在している事が分かった。しかし、鳰をアリアのわがままに付き合わされるとこちらのドリアン探しがさらに困難になってくる。けれどもアリアを納得させるには鳰に任せるしかない。あとはジークのUAVに期待しつつ、自力で探すしかない。ノブツナは頷いて鳰に指示を出す。

 

「わかった…鳰、面倒をかけてしまうがそっちも頼んだ」

『りょーかいッス‼その代わりメチャクチャ美味しいっていわれる銀座のメロンパンを5個用意するッスよー♪』

 

 

 現金な奴だとノブツナは苦笑いをして電話を切る。ちらりと面倒くさそうにアリアに視線を向けた。

 

「アリア、俺達は別の捜査をしているから手を貸せん。その代わり、そっちに詳しい奴をつけてやるからそれでチャラにしてくれるか?」

「…仕方ないわね。あまり使えない奴だったらすぐに文句を言ってやるわ」

 

 今のお前と組んでいる相棒よりも何倍も頼りになる奴なんだけどなとノブツナは怒りを抑えてニッコリとした。

 

「その代わり、捜査だけだからな。そいつとは電話でやりとりしろ」

 

 ノブツナは鳰の電話番号を書いた紙切れをアリアに渡した。アリアはふんと言ってひったくるように受け取りトコトコと去っていった。

 

「ったく…キンジはなんであんなツンツンした奴とひとつ屋根の下で住んでいるのやら」

 

 こっちは何を考えているのかよく分からないけど可愛らしい奴とひとつ屋根の下だけどなと、ニヤニヤしながらレキの頭を撫でた。しかしレキは一体どうしたと首を傾げたままだった。

 

 

___

 

 この後もドリアン探しにあちこち探し回ったが、結局見つけることはできなかった。ノブツナはへとへとになりながらも夕陽に照らされている男子寮へと帰ってきた。

 

「見つかんねぇ…‼」

「なかなかいませんね…」

 

 レキは全く疲れの色を見せておらず、ホントにタフだとノブツナは項垂れる。このまま見つからないと人のことが言えなくなってしまう。そして先にアリア達がデュランダルを見つけしまうとなるともっと惨めになってしまう。

 

「このままだとアリアに笑われちまう…ああ、鳰をそっちに回すんじゃなかった‼」

 

 何の手掛りもつかめておらず焦りを感じていた。一体何処に潜んでいるのか、何を企んでいるのか、掴めないまま終わってしまうのかとノブツナは悩んでいた。階段を上がり、やっと自分の部屋が見えたと思った時、ノブツナはピタリと止まった。

 

「‥‥?」

 

 自分の部屋のドアが見えている。このままドアを開けて、すぐに寝たい、と見える前までは考えていたのだが違和感を感じていた。レキもそれを察していたようでお互い階段の上で立ち止まったままだった。

 

「なあレキ。俺、出掛ける前に()()()()()()()()()()?」

 

 レキは無言でこくりと頷いた。確かに戸締りして出掛けた。これだけは覚えているのに、明らかにドアのロックが外れているのがわかる。

 

「…レキ、後ろを頼む」

「ノブツナさん、気を付けて」

 

 ノブツナとレキはお互い頷き、ノブツナはホルスターからLARグリズリーを取り出しリロードした後慎重にドアへと進み、レキはドラグノフに銃剣を取り付け、ノブツナと背中合わせであたりを警戒しながら進んで行った。

 

 ドアの前に立つとノブツナは指で『3秒数えて突撃する』とレキに合図をした。レキが静かに頷いたのを見て指でカウントをする。3秒のカウントをし、0でドアを蹴り開けてサイドへ。音もなく、何も起きらない事を確認すると慎重に暗い部屋の中へと入っていく。

 

 目を凝らしてもワイヤーは張っておらず、それに誰もいる気配がない。ノブツナが先頭に進み、レキが後続して入っていく。しかし誰の姿も見えなかった。

 

「‥‥いませんね」

「いねえな。もしかしたらジークのいたずら…」

 

 どうせジークの悪戯だろと言おうとして後ろを振り向いた瞬間にノブツナは血の気が一気に引いた。脱衣所の戸が開き、そこから長身で体格のでかい、グレーのフード付きのジャージと黒のズボンを着た白髪に白鬚の男がゆっくりと出て来てレキの背後から大きな拳を振り下ろそうとしていた。

 

「レキ‼あぶねえっ‼」

 

 ノブツナは咄嗟にレキをこちらへと引っ張って後ろへと倒れる。レキを引っ張った数秒後、男の拳は空を切り、床へと叩きつけた。大きな音を立てて大きな穴を開けた。男は大きく息を吐き、ギョッとしているノブツナにニッコリと笑顔を向けた。

 

「ふむ…日本の武偵はどうもセキュリティが甘すぎる。特に坊や達ような武偵の子供はもっと甘すぎる」

 

 男は床に大名を開けた拳をゆっくりと引き抜き、立ち上がる。拳をさすりながら、大男はにこやかにノブツナとレキに軽く会釈をした。

 

「初めまして、私が君達のお探しの元死刑囚、ドリアンだ」





死刑囚編だけじゃなく、その先の中国武闘会編もやってほしい…(切実

 武偵校の学生寮もセキュリティが甘い気が…なんたって誘拐犯が盗聴器つけてもばれない程だものね

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