心が産まれる、魂を創るRPG【テイルズオブクリエイティア】   作:風見 桃李

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王国より、旅立ち

夜も更けきった姫の寝室の前に一人の騎士がいた。

 

 

彼は静かにノックをするとそれもまた声静かに、声を掛け部屋に静かに入る。姫は本を読んでいたらしく、栞を挟んでから閉じると入ってきた者が誰かを確認した。

「ユリエル?どうしましたの?夜も随分とふけ始めてますのに…」

「夜分遅くに申し訳ありません、至急意見と指示を欲しく参りました。それと遅くなりましたが昼間の魔素について報告なのですが…」

「昼間の魔素のことですか?明日では良くなくて?」

「いえ、意見と指示は報告を聞いてもらわなければ決められないことなので…。実はゼクナスが空きビンに魔素を詰めたらしいのです、術式はマナを封じ込めるものとのこと。まず一つ、魔素はマナ、と確定ではありませんが可能性は十分高いと確認できました。」

「魔素がマナ、ですか。やはり、穢れたマナは魔素なのでしょうか…それにマナの浄化が出来てないのですね…」

「マナの、浄化?穢れたマナ?」

 

ユリエルがそう聞くとカディスは先程手にとっていた本とは違う本を取り出し、本を撫でながら、思い出すように説明をする。

「マナの浄化は世界樹の神子とマナの宝女、世に二人必ず現れ、穢れたマナを浄化する、です。本に、書いてありました。それぞれ太古の王国、帝国の地の者として生まれるらしいのです、その役割はマナを蓄えられる、マナを使い穢れたマナを浄化する。精霊達は、その二人を待ち続ける…英雄を止めるために…」

「それは、物語の方ではなく…精霊誕生歴と言われる…」

「時の源元年、精霊戦争は終戦する、人類は二分の一以上消失す。その後、地水火風闇光の力司る者、世に現れる。その者等、英霊の姿をし超人なる力を持つ。月日経ち、新たに時と源、原子の精霊現れる、です。」

「ひ、姫様、待ってください。最初の話…それはつまり、精霊には、大精霊様にはマナの浄化は出来ないのですか?大精霊様はそれが出来ると…!」

 

そう、この世界、パラケルルスでは、大精霊及び四精と言われる地水火風の精霊はマナの浄化ができると言われ、それぞれの精霊の居ると言われてる所や奉る場所等は清んだマナがあると言われている。

 

この国、テセアラ・シルヴァラント王国は現王になってからそれぞれの精霊を奉る正式で立派な場所もある、マナは空気も当然、生活の一部、だからこそ国民は現王が例え少し無茶をしても文句を言わない。

だが王家や騎士の上層部は知らないが実のところ現王では無く国民はユリエル・ディワインドが騎士団長であるから文句を言わないのであるがそれはまた別の話である。

 

つまりそれが精霊信仰にも繋がるのだがその精霊たちがマナの浄化ができないと知ると、世界の常識は覆ってしまうのだ。

「マナの浄化は大精霊達の本来の役割ではないです。現時点では世界樹の神子が居ない、です。大精霊の力も弱くなり、精霊や微精霊達で私達の生活は補われているらしいのです。」

「最近魔術が弱いと言われているのは…」

「大精霊の力が及んでいないのです。その理由が大精霊達がマナの浄化をしているから、しかしその浄化は穢れたマナの量に対し追い付かない程。これは各国の王家や精霊学者の一部しか知りません」

「何故、それを私目に…?」

 

カディスは立ち上がり、ユリエルの目の前に立つと手を取った。

ユリエルはそうされると思っていなかったらしく少し驚いた表情を見せ、少し後退る。

「ゼクナスと共に、行くのでしょう。早急に報告する理由は…明日にでも出ないといけない。私に許可を求めないといけませんもの…」

 

ユリエルはそう聞くと姫の手を優しく外すと姫に聞いた。

「…姫様、もうひとつ、情報を下さいませんか?」

「はい、なんでしょうか?」

「魔素は、世界中に出ておりますか?騎士団の長として、不思議に思ってました、耳に入らないのです。」

「…魔素は、少しずつ世界に広まってますわ。海の向こうまで…。ごめんなさい、私がユリエルに情報を行かないようにしていたの…」

「姫様のことですから、仕事を増やさないように…と思ったのでしょう」

「ごめんなさい…聞いたときには魔素の被害はそこまで酷くなかったの…」

「今だって一部の国民にしか現実味はありません。ですが今後、何かあればお教えください。情報も知識も大切なものです、知らなければいけない時もある、知らなければ守れないものも、あります。」

「えぇ、わかりましたわ…いいえ、分かっていたいたのに、ですね。何かあればなるべく言うようにします」

「そう、お願いしますね。(さて、これでゼクナスの打ち首は消えたな)では姫様、このユリエル・ディワインド奴と、ゼクナス・ハードヴィックに魔素に関する御命令を…」

 

そう言うとユリエルはカディス姫の前に跪く、それに答えカディスもまた、ふんわりした雰囲気から緊張した面持ちで声に出す。

「魔素はマナ、と言うことがわかりましたが、確定ではありません。」

「はい」

 

「魔素はマナ、と言うことについて確固たる証拠を作りなさい、魔素がマナと分かれば、浄化の道が出来るでしょう。よってレーヴァリア帝国に向かい、どうか帝王にも…この事を伝えてください」

「それは…、和平を結ぶ、と言うことですね?」

「…はい、私は、和平を結びたいのです。ユリエル、お父様…いえ、国王に、全ての許可を貰いに。和平の権限は私にはありませんから。」

「それが、貴女様の命とあれば、私めには拒否権などありません」

 

カディスはユリエルを連れ、深夜の城の廊下を歩く。

その重々しい雰囲気に城内を警備している騎士、明日の支度をしているメイドや執事達は道を開ける、そして数十分もしないうちに王の寝室へと着くと中の灯りが扉越しから少し見える、どうやらまだ起きているようだ。

扉の前の警護をしている騎士は扉の前から少し退くとカディスはノックする、王は返事をした、誰だ、と。

寝巻きの姿ではなく、まだ王の服装をする彼こそ、カディスの父親であり壮年の君主 ヴェルトーナ・ヴェン・テセアラ・シルヴァラント王である。

「カディスか、夜更けにどうかしたか、何かあったのか?」

「はい。昼間の、魔素がイフリート街に出現したことについてお話に来ました」

「…ふむ、魔素がついに街まで…大臣等が言っていたのは本当だったのか」

「イフリート街はイフリート隊の管轄、イフリート隊のハードヴィック隊長が魔素を瓶に詰めて現在保管をしているそうです」

「魔素が瓶に?」

 

ヴェルトーナ王は魔素が瓶に保管されていると言う、前代未聞のことにシワを寄せる、魔素が正体不明だと言うのにどういうことなのだと表情をした。

そこで当事者であるユリエルが説明をする。

昼間に突如魔素が現れ、そこに魔物が現れたと。人間のような魔物の事は証拠もなく跡形もなくなったので謎の魔物が居たと言うことにした、倒したあとゼクナスが瓶にマナを封じ込める術式で魔素を積めていたことを知ったと報告した。

 

ユリエルから話を聞いたあとヴェルトーナ王は少し考えた後、魔素についてユリエルに問う。

「ふむ、謎の魔物が…ディワインド君、魔素は騎士団でも認知はされているな?」

「はい、既に下町配置の騎士達にも認知はされてきています。騎士皆が知るのは時間の問題かと」

「そうか。…ディワインド君、最初、魔素が現れたところは覚えているかね?」

「シルフ側…だったと聞いておりますが」

「そう、シルフ側、正確にはシルフ街側なのだが、そちらの壁の外だ。最初から、いや、最近で思うのは魔素はどうにも外に現れる」

「国の外…魔素…」

「国外は精霊の加護が少ない」

「国の外が穢れていると…?」

「いや、外は魔物がいるがむしろ外の方が綺麗だろう。私は思うのだ、魔素は我々が、人間が生み出しているのではないかと」

「御父様は、何か知っているのですか?」

「全て憶測だ、カディス。魔素は穢れたマナ、精霊はもう我々に加護はしないのでは…全て憶測だ。その憶測を含め、考えて…私は国を守らなければならん。それはわかるな?カディス、ディワインド君。」

「はい、わかっております、御父様」

「はい、わかっています、王様」

 

ヴェルトーナは二人を見て、机に目を向けた。引き出しを引くとヴェルトーナは一枚の手紙を出した。

「ユリエル・ディワインド君、テセアラ・シルヴァラント王国は精霊に依存してしまっている。不甲斐ないが、魔素は我々には何一つ、分析も解析も出来んだろう。出来るのは予測ぐらいだ。故に山を越え、帝国に向かってほしい。」

「や、山越えですか?」

「あぁ、魔導国家にも用があるのだ。ディワインド君、これを。」

 

ヴェルトーナは懐から一つの透明で紫色の石を出した。ユリエルは受け取り色んな方向から石を見た、怪しいところはなさそうだ。

「魔導国家は山と一体化しているから必ず通るだろう、その石をリージョンステラウスの魔導師にそれを渡してくれ。」

「王様、魔導師とは…所謂ここで言う王様、ですよね?」

「あぁ、お前なら会えるだろう」

「忍び込めと!?いくら同盟国といえ!」

「馬鹿なことを言うな、同盟国だ、正々堂々前から行ける。」

「…それは私に騎士で向かえと言うことですか…」

「ユリエル、何で行くつもりだったんです?」

「旅人ですよ、姫様。普通の旅人、帝国に行く旅人等に紛れ込めればと思ったんですが…」

「しっかり準備をして行くんだ、騎士団長ディワインド、わかったな?」

 

ヴェルトーナはにっこりと笑ってそういうとユリエルは力なく御意と言った。それを見たカディスは苦笑をした。

「ではまずは魔導国家リージョンステラウスの魔導師様にその石を、その次にレーヴァリア帝国に和平の手紙と魔素の瓶を。このユリエル・ディワインド、そして部下ゼクナス・ハードヴィックを連れ任務を遂行いたします。イフリート隊は通常の任務、マクスウェル隊とディワインド隊は城の警護に当てさせます。他の隊にも書き置きも残してあるので平気だと思います。」

「わかった」

「それでは行って参ります、王様、カディス様」

 

そう言うとユリエルは近くの開いてる窓に向かった、なんと窓枠に乗りそこから背を後ろにゆっくりと飛び降りた。カディスとヴェルトーナは窓に向かう、そこには既にユリエルの姿は見えなかった。

「ユリエルっ!?…もう居ませんわ」

「何故国民は彼を好いているんだ…私にはわからない。何故ドアから出なかったんだ…」

「変な所格好良くしたいみたいですから、ユリエルは。民はそういう所が良いのかもしれませんね。」

「はぁ、少しは落ち着かんか…」

 

 

――――――――――――

 

【イフリート街 サランダ宿舎】

もう鳥が鳴き始める早朝、ゼクナスは馬小屋の近くで寝ていた。

「んっ、うぅん…ん?朝か。」

 

起きたゼクナスはゆっくりと立ち上がり魔素を積めた瓶があることを確認してから装備を確認した。剣も防具も、回復アイテムもある、手持ちのお金は少ないがそれは魔物を倒せば手に入る、身軽ですぐにでも帝国に向かえる。だがまだ行けない、まだ騎士団長が来てないのだ。

しばらく待ったが何故か来そうにない、そんなこんなで待っていたら既に騎士達の起床時間を過ぎて出勤時間で宿舎から騎士達がちらほら出てきた。

「…一時間、経った気がする。」

「あぁっ!ゼクナス様!おはようございます!」

「隊長!?おはようございます!」

「あぁ、おはよう、ヴルド、マリク。しばらく私はいないが各々の小隊長がいる。気を抜かずに国民たちを守れ。」

「な、名前を覚えてくれらっしゃる!」

「イフリート隊の隊員だけで何人いるって言うんだよ…三小隊はあるって言うのに…」

「イフリート隊は少ない、三小隊ぐらいだったら覚えられる。ガズアール小隊のヴルド、レグリア小隊のマリク」

 

二人がどこの隊かを言うと二人は歓喜の表情を見せた。そうすると宿舎の影から声か突如聞こえ三人は身構えたがその声は騎士団長のユリエル・ディワインドだった、左手には袋を持っていた。(ゼクナスに頼まれていたグリフォンのモモ肉七切れが入っているため切れそう)

 

格好はちゃんと腰に剣、手に手甲、足にレガースがあり服装からしても騎士とわかる、だがどこか浮いているのはユリエルの出す雰囲気が騎士っぽくないためだろう。

「ゼクナスは俺と違って部下同僚思いだからなぁ、ちゃーんとイフリート隊の顔と名前覚えてるんだろうな。」

「もう公務の時間だ、口調に気を付けろ、閣下」

「おや?それはこちらの台詞ですね、ゼクナス隊長」

 

「あ、あれがユリエル・ディワインド様…この国の騎士団長…すごく強そうですね、マリク先輩」

「ヴルド、俺団長の顔と声覚えてないみたいだ。俺の手見てみろ、声聞こえたときに手に柄握ってそのまんまだから」

「イフリート隊レグリア小隊のマリク・レイセス、ガズアール小隊のヴルド・ノース、しっかり私の顔を覚えておきなさい。もし次にその刃を向けるようなことがあるのなら…」

「そもそも刃を向けていないが。」

「おい!遮るなよ!」

「茶番に付き合わして申し訳ないな。行くぞ、ユリエル」

「上司の襟を持つな!引っ張るな引きずるなー!」

 

ゼクナスはユリエルを引きずるように何処かへと立ち去った。それを見た二人は仲が良いのか悪いのかと思ったが何だかんだ団長の顔は嫌がってないので仲が良いと判断した。

「…今日も頑張るか、ヴルド」

「はい!マリク先輩!」

 

 

 

そして何処かへと立ち去ったゼクナス達はウンディーネ地区の近くまで来ていた。

「お前いつまで引きずるの?」

「む、すまない」

「さらにウンディーネって…俺達行くのノーム地区な、王様からこれ届けてほしいと言われてな。和平はそ・の・あ・と!」

 

ユリエルは立ち上がり懐から紫色の石を出した、ユリエルの手からゼクナスは石を色んな方向から見る。何やら思うようがあるらしく石から離れると腕を組み、小さく唸り始めた。

「ふむ…」

「この石を同盟国リージョンステラウスの魔導師に届けなきゃならないんだ。山越えするからな」

「ん?あ、あぁ、了解した」

「ボヤボヤすんなよー?そんじゃっ、ウンディーネ地区からノームに行こう。」

 

二人はノーム地区に向かうべく歩くがここはウンディーネ地区。ウンディーネ地区は貴族や王族の末端、重臣や金持ちが住む地区、貴族出でもイフリート地区に居るゼクナスは少し浮いていた。

「…ふぅ」

「居心地悪い?」

「少し、な。私は平民の暮らしが似合っているな」

「畏まらなくていいからなぁ」

「ユリエルはどこに住んで居るんだ?前はこの地区にいたのだろう?」

「今?城に籠ってるよ、いつ何が起きても良いようにな。私物も今は減らしてる」

「生活感のない部屋になるぞ」

「…良いんだよ、それで。」

 

雑談を幾度繰り返すと突如美しい花が見えてきた、武具職人等が住むノーム地区が見えてきた。ノーム地区は自然が豊かな地区、地も豊かでシルフ地区のほうから農民が田を耕しにも来る人の出入りが多く、雰囲気がイフリート地区に似ているようでゼクナスは少し明るくなった。

「機嫌がよくなったなー、ここで一旦装備でも確認するか。ろくに準備してないからなぁ」

「剣と防具で平気じゃないか?肉もある」

「お前…肉七切れでどう山越えすんだよ…小エネルギー過ぎる体か?」

「…何か、見とくか」

「当たり前だー、バホー」

「バホー?」

「気にすんな、まぁ、国の外にも小さな町やら自治区があるけどな。リージョンステラウスの方だったら確か…山の近くにギルドかレジスタンスが守ってる所があったな…」

「レジスタンス?ギルド?」

「あぁ、お前は国外のこと興味持たないから知らないよな。ギルドはレーヴァリア帝国公認の民間の何でも屋とか傭兵とかの集まりって言えばいいかな。ギルド事にやることが違うんだがまぁ魔物討伐から商品の運搬に赤子の子守、何でもござれ~ってな」

「ほう…ん、ではイフリート地区にいる商人の中には」

「あぁ、居るんじゃないか?商人ギルド、民間の何でも屋だからな、厳しくは規制はしてないよ。傭兵とか武器扱ってる所とか怪しいやつは身分証を必ず掲示してもらってるけど」

「私達とは別の戦いをしているのだな…」

「そーゆこと。そんでレジスタンスはまぁ、奇襲攻撃してきたり、目的のためなら手段を選ばない軍団だな。本来はレーヴァリアの権力やレーヴァリアを侵攻してくる侵略者や魔物に逆らう奴等だったんだが…変わっちまった。今やどこへでも攻撃してくるよ、色んな国の人間がいる」

「危険思想の持ち主達か」

「違う違う、ただ何か探してるらしいってのは確かだよ。一般市民には優しいから俺達が出くわしたら…まぁ、全力で逃げるか全力で戦う、だな。まぁ、こんなもんかな、そんでどうする?ここで装備を整えるか?もう行く?」

 

ユリエルから説明を聞き終わり、次にどうするかを聞かれゼクナスは装備を整えることにした。

「少し回復アイテムが少ない気がしてな」

「スペクタクルズも必要だな、相手のことがわかっていると倒しやすいだろ?」

「そうだな、それとガードだったか。」

「国の外出たらまた戦闘に教えてやるよ。護衛時の戦闘のことばかりしか教えてなかったからな、一人で戦う分には申し分ないだろうが団体になるわけだからなぁ…。団体戦について次は教えよう」

「あぁ、ご教授よろしくお願いする」

「ふっふっふー、畏まりました、ゼクナス嬢」

「やめろ、気色悪い」

「酷い!」

 

そう言いながらもユリエルはゼクナスを見ると二人は少し笑う、少しすると歩き武具店へと向かう。

「ゼクナスに残念なお知らせ」

「なんだ」

「俺、昨日の装備置いていかなきゃならんことになってさ」

「また弓の点検日忘れたのか」

「そうそう、だから今あるのは自分で点検出きる短刀と手甲とレガースしかないわけ、だから近距離しかないわけよ」

「…弓ぐらいなら買うぞ?」

「じゃあ、そのお金、今からパーティ資金な、俺も足すから。ほら!」

 

ゼクナスは1000ガルド、ユリエルは5000ガルド、二人で合計6000ガルドを持っていた。既に武具店に着いているので武具店で変形弓を探していた。

「中々無いな…」

「まあな、変形弓は魔族戦線前の武器だし使い手も少ないからな…流石に武具職人の地区でもないか…」

 

ボソッと言った言葉がどうやら小さな店で聞こえたらしい、店主の職人が腕めくりしながらカウンターを乗り出しながらユリエルに向かって喋りかけた。

「おっと、騎士様、武具職人の地区をナメんなよ!おらたちは騎士剣から刀まで造る職人達よ!変形弓ぐらい今作ってやる!好きな弓と剣を持ってきな!」

「おー、すっげぇな、煽るつもりじゃなかったんだが…じゃあこのロングソードとスモールボウで」

「あいよ!へへ、まかせな!」

「長いのと短いので元通りか」

「ロングな所短くするからどうかなぁ」

「ほら、出来たぜにいちゃん」

 

それは早業であった、出来た変形弓 ソードボウを持ち本当に出来てるかを確認するとユリエルは驚きの表情をする。見たところ不備がないのだ。

「えっ、早い…俺驚き」

「既製品の改造だからな、ほら、余った部品もやるよ。あとこれ、持ってきな」

「これは…地属性の紋章の板?」

「見たことあるぞ、武具店に持っていくと出きる範囲の改造をしてくれんじゃないか?」

「そうだ、それは武具職人が認めた客にしか渡さん証よ。それがあれば世界どこでも同じサービスが受けれる優れものよ!まぁ、出来の良いものが出きるかは職人の腕にもよるがな」

「ほう、便利だな。ありがとうな、おっさん」

「良いってことよ、騎士様にはもっと職人達を認めてほしいからな」

「はは、は…すまないな…」

「騎士様のえれぇやつに会ったら騎士様ヨロシクな!」

 

武具店から出るとユリエルは明らか落ち込んでいた、別に認めない訳ではないのだが確かにあまり良くしてない認識があったのだろう。任務が終わり次第何かしようと決めたのであった。

そして数分後、道具屋に寄り道具を整え壁の付近の扉前に着いた。

「騎士団長!」

「任務で国を出る、極秘なのでな、あまり知らされてないが後日不在が伝わるだろう。それまで私と彼女が居ないのは誰にも喋るな。」

「了解しました!御武運を!閣下!主席殿!」

 

二人の騎士がゆっくり扉が開くとそこにはどこまでも広大な平原、ガノス平原が広がっていた。その奥には少し間で見える霊峰 アマデトワールが見える。その上のほうが少し光って見えるのは国があるからだろう。

「さぁて、そこそこ長い旅になる。気を抜くなよ?」

「それはこちらの台詞だ」

「そんじゃ…行くか」

 

 

テセアラ・シルヴァラント王国より、騎士団長ユリエル・ディワインド及びイフリート隊 隊長ゼクナス・ハードウィック出国。




ガズアール小隊のマリク・レイセス
騎士歴五年のそこそこの手慣れ、騎士団長にあまり興味がないから覚えてなかった。少し大きな騎士剣を使うパワータイプの騎士。イフリート地区出身。

レグリア小隊のヴルド・ノース
騎士歴二年のまだ弱い騎士、騎士団長と家の近くの騎士だったマリクに憧れて騎士になった。騎士剣を使う。マリクに憧れて力を付けてる最中。そこからさらに上を目指そうとしている向上心ある騎士。イフリート地区出身。



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