呉鎮守府より   作:流星彗

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東地

 

「よーしよし、とどめはもらっていくぜ!」

 

 通話先で東地が威勢よく声を上げ、それに従って戦艦の主砲が唸りを上げる。放たれた弾丸は狙い通り敵の戦艦、扶桑の装甲をぶち抜き、撃沈に成功した。

 

「よっしゃー! これが戦艦の醍醐味だよなぁ、気分いいねえ!」

 

 そう、また凪と東地はあの海戦ゲームをしていた。

 気が向いたらやろうぜ、という風な流れが二人に出来ているので、こうして時間があえば通話しながらゲームをするのもまた日常だった。

 

「これで敵はあと三人か。で、こっちは……さすが、まだ生きてんよ『水門』」

「ってか、一人でかき回して鮮やかに2キルしているし、なんだろうなぁあの人。って待て、向こうも3キルしてる奴がいるぞ。誰だ、この『鬼百合』って」

「さあ? 聞かないプレイヤーやな」

 

 どうやら駆逐艦の神風を使っているようで、戦場を動き回って前線に出てきた戦艦や重巡を密かに処理してきたらしい。動き方が『水門』と似ているらしく、両者は今まで鉢合わせにならず、それぞれの役割を遂行していたようだ。

 凪側はあと四人、数では一人優位に立っているが、それでも状況次第でひっくり返るのがこのゲームだ。

 また、ただ敵を全滅させるだけが勝ちの取り方ではない。

 この広い海だ。隠れている敵を見つけられない事もある。そのため、ポイントが存在している。時間の経過と共にポイントが両陣営に増えていくが、これは敵を倒す事で増減する。

 目標ポイントが達した側が勝利できる、という勝ち方だ。

 勝っている側はこれ以上追撃せず、逃げに徹してポイント勝ちするという戦術も取れる。スマートではないが、これもまた勝つための手段。これは個人戦ではなくチーム戦なのだから、自分がやらかしてしまえばチームメンバーに負け数が増えてしまうという事にもなる。

 さあ、どうするのだろうか、とマップの状況を見てみると、島影から魚雷が複数接近してきていた。それは後ろからきている東地の戦艦を狙ったものらしく、何とか回避行動をとろうとしている。

 凪もそっちへと方向転換し、魚雷を撃った主を探してみると、すぐに敵艦である神風を見つける事が出来た。だが神風はそのまま前進し、隣の島の陰に隠れていく。表示されているプレイヤーネームには『鬼百合』とある。

 見つかったからには何とかしなければならない。駆逐艦は一度見失うと、その高速機動力と、高い隠蔽性によって再発見が困難な事が多い。

 隠蔽性とはゲーム的には発見されない距離の事だ。プレイヤーが見ている画面で、この距離まで近づかなければ見つけられない、という最低距離が艦ごとに決まっている。砲撃すれば露呈してしまうが、逆に砲撃せずに動いているだけならばその最低距離までは全く視認できないのである。

 隠蔽性が高ければ高い程、その最低距離が縮まっていくというわけだ。

 そのため腕のいい駆逐艦プレイヤーは、その隠密行動によって戦場をかき乱していく。『水門』が脅威となっているのはそのせいであり、味方に居れば頼もしい事この上ないプレイヤーと言えよう。

 そしてこの『鬼百合』というプレイヤーも、今まで話題になっていなかったという事は、最近始めたプレイヤーなのだろうか。あるいは別の艦種を乗り回していた可能性もある。

 なんにせよ、一戦で3キルをしてのけたプレイヤーだ。腕がいいのかあるいは偶然か。注意して動かなければならない。

 

「うぉっ!? もう見えん。どこ行った……?」

 

 島の裏側へと回ってみると、もう姿は見えない。向こうに行ったのか、先程まで二人がいた側へと島を回り込んで移動したのか。

 金剛を操作している東地は島の間に入らず、外側を回り込んで挟み撃ちにしようとしているのだろう。だがこちら側にもいない。ならば向こう側へと逃げていったものと考えられるが、どう逃げていったのかがわからないのだ。

 急がなければ次の魚雷が飛んでくるだろう。

 焦ってはいけない。どこかに潜んでいるのは間違いない。距離を詰めれば神風は画面に映るのだから。

 

「ん? 『水門』が来てるぞ。向こうから挟み撃ちしてくれるみたいだ」

「三人がかりか。確実性が増していいねえ。これで勝った!」

 

 『水門』が操る峯風が砲撃を始めた。すると撃ち返したようで神風の姿があらわになる。撃ち合いながら東地がいる方へと逃げていく神風。そこで煙幕を使用し、姿を消した。

 だが出始めているときはまだチャンスはある。凪の白露も合流して砲撃をしていくと、数発だけ命中弾があった。金剛も戦場に入っていき、とどめの主砲を撃ちこもうとする。戦艦は巨大であるが故に舵を変えづらい。合流しようとしたら、しばらくはそのまま進むしか出来ない。逃げようとしたときにはもう遅い、という時がままあるので、注意して進まなければならない。

 それ故に、煙幕の中から魚雷が迫ったと気づいた時は玉砕覚悟で突っ込むしかなくなってしまった。

 

「一発は受けてやる! でもこれで終わりだ!」

 

 魚雷が刺さる前に砲撃を行い、それは瀕死になっていた神風を撃沈させる事に成功した。だが次の瞬間、魚雷が金剛へと刺さり、それは誘爆を引き起こして爆沈してしまった。弾薬庫に甚大な被害を受け、たとえ体力が満タンであろうとも一発で轟沈してしまう、という沈み方である。

 東地的には一発ならば耐えられると考えていただろうが、流石に爆沈までは予想できない。あちゃー、と頭を抱えてそうな悲鳴が聞こえてきた。

 しかし『鬼百合』という脅威が去ればこの戦いはもらったも同然だった。

 程なくして勝利を収めることができ、いい気分でゲームを終える事が出来た。

 

「しっかし、『水門』が2キル、『鬼百合』が4キルか。大したもんだよなぁ」

「と言っているお前も、2キルだけどな」

「そういやそうか。……さて、時間も時間だし、落とすか」

 

 母校画面になっているゲームを落とし、通話画面だけにする。時刻は日付が変わったところだ。もう10月になり、実りの秋といえる頃合いになってきている。

 そんな中で、東地は今もなおソロモン海域を警戒している。

 南方棲戦姫が倒されたからといって、ソロモン海域は落ち着いてはいなかった。あの一帯はまだ海が赤く、完全に深海棲艦の支配下にある。

 南方棲戦姫の力によって赤く染まっていたのは、あくまでも彼女が北上してきた海域だけ。ソロモン海域の一部分こそ数日は青さを取り戻していたようだが、すぐにまた赤く塗りつぶされたらしい。

 つまり、ソロモン海域にはまだ何かがいるのだという証でもあった。

 

「調査の手は入っていないのか?」

「深山と一緒に調べてはいるさ。だが、装甲空母姫や装甲空母鬼、そして泊地棲姫が周囲を徘徊してやがるのさ」

「……もうその辺りの奴らはお手軽量産か」

 

 姫や鬼級とはいえ、これらは最初に生み出された存在だ。何度も繰り返して作りあげれば慣れるというもの。もしかすると深海棲艦にとっての長門型や、蒼龍や飛龍あたりの感覚で作られているのではないだろうか。

 これらを警備に回し、その中心で何をしているのか。そこまではわかっていないようだ。

 

「撃破するのは慣れてきてはいるが、だからといってそのまま奥へと突っ込めば何が待っているかわかったものじゃねえ。しっかり準備を整えて一気に攻め滅ぼさねえといけねえ」

「準備、やっぱり資材とか?」

「そうだなぁ。お前さんからすりゃ、呉からこっちまでくる指揮艦の燃料関係もあるだろうからなぁ。……で、何故かもう大和もいるんだって? 上手く資材回せてるのかい?」

「ぼちぼちかねえ。増えてはいるけど、まだ不安だわ。どれくらい溜めればええのよ?」

「どれくらいかって? 各資材、そうだな。2万で十分じゃね?」

「うそやん……」

 

 つい漏れて出た言葉だが、東地はからからと笑って「冗談でもあり、本気でもあるぜ?」と言う。

 

「この前のような短期決戦を仕掛けるだけならこれくらいでも足りる。前の出撃前のお前さんの資材状況、どんな感じだった?」

「1万6、7千くらいか」

「帰った後は?」

「1万下回ったものやな」

「という事は、差額はだいたい7千から9千くらいだ。そこから大目に見積もっても、ほれ、2万で足りるだろ?」

「まあ、そうなるな……」

「でも長期戦になるようなら2万に迫るだろうよ。だからそこから余裕を持たせて、3万くらいが今んところの安心圏じゃねえかね」

「3万か……あと1万少し、か」

 

 今の呉鎮守府の資材は1万8千くらいだ。ボーキサイトがまだ1万3千くらいになっているが、こちらは溜めづらいので仕方ない。東地の言う2万で十分なのよ、というラインにはもう少しで届くが、彼の説明からしてもう少し増やしておこうか、という気持ちになってしまった。

 こう話しているという事は、凪自身にはソロモン海域の制圧作戦に参加する意思があるという事だ。友である東地の助けになれるならば、当然助けに行きたいという気持ちがもちろんある。長門の時の借りを返すいい機会でもある。

 それだけでなく、あの大和――南方棲戦姫と戦った戦場でもある。彼女にとっても、過去との因縁にケリをつけられる機会にもなるだろう。自分はもう深海棲艦ではなく、艦娘側の存在となったのだ、と示す事が出来る戦場でもある。

 だがまたあの呼び声とやらが聞こえてきた、という状況にならないという根拠もない。深海棲艦の魂が艦娘と融合したという前例がないのだ。そうなってしまえば、凪自身が大和に手を下さねばならない。それを確かめる意味でも、ソロモン海域にはいかなければならない。

 

「ま、でもソロモンに突撃するのはもう少ししたらってところさ。道筋が見えたら一気に叩く予定さ。それまでに準備整えておいてくれ」

「はいよ」

 

 通話を終え、東地は一息ついて別の通話相手を呼び出していく。しばらく呼び出し音が響き、モニターに映し出されたのは無表情な青年だった。

 無表情というよりぼうっとしたような雰囲気である。眠いというわけではない。彼はいつもこの調子なのだ。

 ぼさぼさな茶髪に翡翠色の瞳、寝間着らしいその服装からして、彼が提督であると誰が想像するだろう。しかし彼こそ、ラバウル基地に所属している深山提督である。

 

「よう、調子どうだい?」

「……変わりはないさ。それで? 要件は……? 世間話をしにきたわけではないだろう?」

「そうだな。……ソロモン海域の突入作戦、お前も参加してもらいたいと考えているんだけど、そろそろ腹ぁ括ったかい?」

「……僕もやれと? そんな物騒な作戦に……?」

「前に言ったよなぁ? 美空大将殿の話。あの人、協調性がない輩はいずれ切り捨てる考えを表明しているって。お前さんも、その候補に挙がってるぜ? 確かにお前さんは偵察を行い、情報を大本営に送っている。資源地の開拓も行った。それは認められている。だが、討伐戦には参加しねえ。……そんなに艦娘を失うのが怖いかい?」

 

 その言葉に深山は沈黙する。

 果敢に戦闘を行うという事は、それによって誰かが犠牲になる可能性が高くなっていくという事になる。守りに徹すれば退避させる事で沈む確率が低くなる。だからこそ深山は防衛ばかりに専念し、攻めていく事はあまりしなかった。

 

「……怖いさ。誰かを失うなんて、自分で育てた娘達を好き好んで沈ませるなんて、誰がするっていうんだい……?」

「確かに艦娘を失う怖さがあるってのは理解出来る。だが、それで閉じこもってばかりいてどうするってんだ? ソロモン海域をさっさと平定しねえと、いつまでもあそこは赤い海のままだぜ? 南方棲戦姫が倒れ、今度はそれ以上に強い深海棲艦が出たら、防衛だけで切り抜ける事なんて出来なくなる時が来るだろうよ」

「…………」

「奴らはてめぇの事情なんて知った事じゃねえだろうよ。前回は見逃されても、今度はそうはいかないかもしれねえ。そうなるまでてめぇは、奴らに戦いを挑むことなく、閉じこもり続けるのか? 人任せでやり過ごすってのか? クズいねえ。そんな主を持つ艦娘らの気持ちを考えてみなよ」

「……うるさいよ」

「戦う力があるのに、それを使えない。……かつての艦の生まれ変わりだというのに、もう一度誰かを守るために戦える機会を与えられたはずなのに、閉じこもるばかりの艦娘ってどうなんだろうねえ?」

「黙れ! それでも僕は、彼女達を――」

「――沈ませたくない、と? 佐世保の艦娘らは沈んだぜ? クズい提督に使われて、沈んだよ。かつての呉の艦娘もそうだ。生き残った艦娘らは、泣いたろうさ。仲間を失ってさ。それを、知らんぷりしてやり過ごすと? お前も、戦場に入る事が出来ただろうに」

 

 じっと深山を見据えながら東地は静かに語り続ける。

 深山は無言で体を震わせているようだ。

 失いたくない、という気持ちはよくわかる。それも一種の優しさではあるだろう。だが、それだけで何とかなる程に世界は甘くはない。

 東地の言う通り、敵は待ってはくれない。

 今までは見逃されていたとしても、今度はラバウル基地に一気に侵攻しないという保証などどこにもない。

 

「もう一度言う。その調子だと、てめぇは切られる。そうなりたくねえってんなら、ソロモン海域制圧作戦に参加しろ。沈ませたくねえって言うんなら、てめぇの艦娘達を上手く使え。しっかりと事前準備しろ。それが、提督の腕の見せ所ってやつだろうよ」

「…………」

「おい、聞いてんのか? そこにいるんだろ? 秘書艦の陸奥。お前からもしっかり言い含めておくんだな。でねえと、そこの腑抜けた野郎とお別れする事になるからよ」

「ええ、聞いているわ。……よく、言ってくれたものと私は感心しているの。提督も、そろそろ腹を括る時が来たのね、と私的には喜ばしいことよ」

 

 画面外から聞こえてくる陸奥の声に、はっとした表情で深山が振り返る。そこには信じられない、と言わんばかりの表情がはりついていた。だが陸奥は画面に入ってこないまま深山へと語り掛ける。

 

「私はね? むしろ戦いに出たかったのよ。まともな戦いをせず、謎の爆沈を引き起こしているからね。大事に思われている、という事はわかっているわ。でも、本当に大事に思っているならば、むしろ強くなった力を存分に振るわせてほしいのよ」

「何を言っているんだ、むっちゃん。そんな事、君は一言だって……」

(むっちゃん呼びかよ)

 

 まさかの呼び方に思わず心の中で突っ込んでしまった東地であった。

 

「ええ。強く進言してもあなたは聞かないでしょうからね。でも、こういう機会を私はずっと待っていた。でも、そろそろ限界だったからね、あの子達を抑えるのも。もう少ししたら私から進言する予定ではあったのよ。だから東地さんが言ってくれて本当に助かったわ。これで心おきなく提督に進言できる」

 

 そして陸奥は頭を下げる。その行動を東地は静かに見守っていた。

 呆然としている深山へと、陸奥は静かに願いを告げる。

 

「提督、私達は深海棲艦と戦う兵器。誰かを守るために閉じこもるのではなく、ただ進軍を食い止め続けるだけではない。守るために、我らの敵を討ちに行く事こそ、より多くの命を守れるのよ。だから、私達をかの作戦に参加させて。お願いします」

「…………」

「秘書艦にこんな事言わせている時点で、俺は提督失格だと思うけどな。アカデミーの成績こそ確かに二位だったろうさ。だが、少しばかり優しすぎたな。優しさは時に人を傷つけることがある。それは人だろうと艦娘だろうと変わらねえってこった」

 

 深山という人物は海軍家系に生まれ、当然の流れとしてアカデミーへと進学し、良い成績を収めて提督となった。エリート家系ではあるが、その性格からして他の学生らと違って鼻につくような振る舞いはしなかった。

 それは彼は騒がしさを嫌う人物だったためだ。大人しく従っていれば、良い成績を収めていればうるさく言われることはない。最低限の付き合いしかせず、人との間には壁を作りあげていたのだった。

 彼にとって他人は他人であり、家族であったとしても自らの領域外の存在として認識している。親によって道を定められたが、彼にとってそれは別に構わない事。だがラバウル基地へと配属となった事は、ある意味で彼にとっての救いだった。

 日本を離れ、遠く離れたニューブリテン島へと配属する。自分の事を知っている人が周りにいない。いるのは自分が生み出した艦娘だけ。それはすなわち、自分に何かを指示する人が誰もおらず、ただ自分の命に従ってくれるだけの存在がいるという事だ。

 誰も自分を否定せず、誰も自分を責めない。

 うるさい人の喧噪もなく、毎日静かに暮らしていける場所。

 ラバウル基地とは深山にとっての楽園であり、ここさえ守り続け、最低限の仕事さえすれば楽園は崩壊する事はない。

 

 だが、今その楽園は静かに崩壊していく。

 

 陸奥が自分に反抗した。

 大事に守り続けていたはずの艦娘が、自ら戦場に出ていきたいと自分に願い出てきた。

 

「…………本当に、戦うつもりかい?」

「ええ。ソロモン海域が落ち着けば、本当の意味で静かな日常が提督に訪れるわ。いつまでも緊張状態で日々を過ごすのも疲れるでしょう? 守りの時間は終わり。今は、攻める時よ」

 

 配属された当初こそソロモン海域は落ち着いていた。あそこが荒れだしたのは今年に入ってからだ。その時点で彼にとっての静かな日常が崩壊していただろうが、完全に侵されないように守りを固めることに専念。

 そうして彼にとっての楽園を守り続けようとしたのだろう。そこから外へと自分と艦娘を出させないように。

 沈ませたくない、という優しさを含んだ楽園という名の牢獄。

 それが深山のラバウル基地であった。

 

「……わかった。……参加する。すれば、いいんだろう……?」

「おう。……そう嫌そうな顔をすんな。沈ませないための最大限の努力、それをしっかりやれば何も問題はねえ。てめぇの提督としての力で、守ってやることだな。ほら、ここに参戦の意思を示してくれ。また封鎖とかで参加しました、とか言われても困るからな」

 

 メールでソロモン海域へ攻め入る意思を表明する、という書類を送り付ける。そこにはちゃんとしっかり戦います、という一文が書かれている。これでは前回の南方棲戦姫の時のような参加の仕方は出来ない。

 すぐにサインが書かれ、返信される。それを確認し、東地は頷いた。

 ただ支援するだけではなく、しっかりと戦場に出るという意味での参戦。参戦者が増えるだけでも成功率は上がるだろう。戦力になってくれるならば、という話だが。

 

「じゃあ、作戦開始の日時は追って連絡する。それまで準備はしておけよ」

 

 そこで通話を切り、東地は一息ついた。

 これで参加者は三人だろうか。

 戦力は多い方がいい。南方棲戦姫の時のような大物が出ないという保証はない。備えられる事はしっかりとしていくことで、被害を極力抑える事が出来るのだから。

 こういう作業は凪には向かない。東地は東地の出来る事をしっかりとやっていくのだ。

 もう一人呼べるとするならば、佐世保に就任した淵上だろうが、彼女の場合はまだ一、二か月しか鎮守府を運営していない。それだけでかのソロモン海域を潜り抜けられるのか、という不安がある。

 そこは彼女の力量でどれだけ艦娘を育てることが出来たかによるだろう。それさえわかれば、参戦してもいいか悪いか、判断できるのだから。

 

「さてさて、あのソロモンだからなぁ……準備しすぎるって言われるくらい備えても、なにもおかしいことはねえだろうが。あと何が足りねえかねえ……」

 

 東地はそれからも資料や情報を睨み続け、それは間もなく日が昇る頃合いまで続くのであった。

 

 

 




某ゲームでは日本語ボイスに切り替えること出来るようになってますが
やっぱりバイタル抜くとボンサーイと言いたくなりますね。


そういえば夏イベは中規模とは言われてますが、
まだ舞台って明らかになっていませんよね?
どうなるのでしょうか……。

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