呉鎮守府より   作:流星彗

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ミッドウェー海戦2

 被害を受けた艦娘は指揮艦へと戻され、修復を受けることとなったが、それでもどうにもならないものはある。大破で留まっていればまだ回復の見込みはある。しかし轟沈ともなれば、そこで終わりだ。回復どころか引き上げることもできない。

 それぞれの指揮艦で艦娘を治療しつつ、モニターで凪たちは被害報告を行う。小破、中破、大破、そして轟沈報告だ。最初の白猫艦載機の時からそれぞれの鎮守府の艦娘に被害は出ていたが、一気に増加したのは最後の撤退の際に放たれた攻撃だった。

 佐世保の由良と初風は白猫艦爆の攻撃に耐えきることはできず、轟沈となってしまった。そのことに旗艦龍田は強い責任を感じた。二水戦から一人ではなく二人同時に喪ってしまったのだ。

 しかも本戦ではなく、前哨戦といっていい戦いでの出来事である。それなのに一部隊から二人も喪われた。龍田が今までに見せたことないほどに重苦しい表情を浮かべるのも無理はなかった。

 だが湊は彼女を責めはしなかった。大切な艦娘が喪われたのは悲しいことだ。しかしその責任を今追及する時ではない。戦いはもう始まっているし、引き返すこともできはしない。今はこれ以上被害を出さないように気を付けつつ、前進するときだ。全てが終わった後、改めて責任を問うかもしれないが、今はただその苦しみを噛みしめ、力に変え、敵を撃滅することを考えるべきである。

 そう諭すと、龍田はしばらく考え込み、了承した。

 だが犠牲者は二人だけではない。白猫艦載機の攻撃は後方にまで及び、しかも指揮艦にまで迫る勢いだった。それを止めるべく、空母などが止めに入ったが、その中で横須賀の翔鶴が轟沈してしまったらしい。

 白猫艦攻から放たれた魚雷を受けつつも、返しの攻撃で白猫艦爆を全て撃墜させる相打ちという形だったようだが、それができなければあわや指揮艦の轟沈まで有り得たという。その可能性を潰した翔鶴の奮戦に、感謝してもしきれない。

 被害報告を終え、北条は瞑目して何事かを考えているようだった。

 現在指揮艦は微速前進でイースタン島を目指している。健在な艦娘が護衛をする形となっているが、ここはまだ敵地のただ中だ。あまり時間をかけてはいられない。一時撤退した深海棲艦らが補給を行い、攻撃をしてくる可能性がある。それを考えれば、速やかに体勢を立て直したいところだった。

 また一部の偵察機が何とか再びイースタン島の様子を窺いに行くと、そこには先ほどの戦艦棲姫に加えて、二人の戦艦棲姫、合計三人がイースタン島の防衛にあたっていることがわかった。

 かの戦艦棲姫を三人揃えているということに、奴らの勝利への意思を感じさせるが、空母棲鬼が一人だけというのは、新たに生まれた存在だからだろうか。ミッドウェー海戦を意識するなら、もう一人くらいは戦艦棲姫のようにイースタン島の防衛に当たらせるものと思ったが、その様子はないようだった。

 つまりイースタン島には中間棲姫、空母棲鬼、戦艦棲姫が三人と、量産型で守りを固めているということになる。それらを崩し、中間棲姫を倒すということに、凪と湊は頭を痛める。

 ソロモン諸島での戦い、ウェーク島での戦いと、戦艦棲姫とは二つの海戦で相対したが、どちらでも強敵と呼べるだけの力を備えていた。ソロモンでは自己治癒を備えていたが、ウェーク島ではそれはなかった。先ほどの個体もまたそれは見られなかったため、あれはソロモンだけの現象だったのだろうかと疑問に思うが、どちらにせよ純粋な戦艦としての力を備えたかの存在は、大きな壁として立ちはだかるだろう。

 

「――これだけの戦力を揃えてくるだけでなく、一時撤退もする。なるほど、どうやら奴らが変化しつつあるという報告、偽りではないらしいね」

 

 今まで瞑目していた北条がそう言いながら顔を上げた。モニター越しに凪と湊を見つめるその瞳は、彼の真剣さが伺えた。

 

「君たちの提出している報告の一部は私も目を通している。深海棲艦が変化しつつあるという話も、私も少なからず感じてはいたが、しかしそれでも眉唾ものだった。あれだけ獣らしい動きをし続けていた存在が、そうまで統率されたような艦隊の動きをするものか? そういった疑念が拭えなかったものでね」

 

 「加えて、私の上の者たちが、ね」と北条は肩をすくめる。西守派閥に属している彼が、そんなそぶりをするとは、と凪と湊は少し驚いたような表情をしてしまう。彼は長く西守派閥に属している提督のはずだ。よもや派閥のトップである西守大将を煩わしく思うような口ぶりをするとは思ってもみなかった。

 

「あれだよ君、現場と上の人間とでは見方が違うというものさ。実際に戦場に出ている人間でなければわからないことってあるだろう? 事実、今回もそうだ。私の目で君たちの言う変化とやらを確認した。あれだけの優位に立ちながら、一時撤退など昔の深海棲艦はやらないことだ。最後まで食らいついてくる、それが奴らだよ」

 

 長く横須賀の提督をしている彼にとって、昔と今を比較できるという蓄積された経験が活きた。大将などの高い立場に座し、挙がってくる報告に目を通すだけではわからない、現場の空気などを感じていた北条は、そんな認識のずれを感じ続けていたのだ。ずれから生まれる上の者たちとの隔たりが年々大きくなるにつれ、心もまた離れ始めていたようだ。

 それが今回の戦いの初戦でダメ押しとなった。深海棲艦は変化している。その証拠を目の当たりにしたことで、西守派閥の中で共有されている深海棲艦は成果を挙げるための獲物という認識は、もはや意味を成さないものとなる。

 派閥の思想との乖離は以前からあったが、奴らは人類の敵、その根幹たる認識を確固たるものとする。なんとしてでも討たねば自分たちが危うい、そんな当たり前のことは、実際に戦場に出なければ得難い感情だ。指揮艦が落とされるかもしれない、そんな一番の危機を、翔鶴に救ってもらったのだから、それを無駄にするわけにはいかない。

 

「命を懸ける、そういうのをあの人たちはしないからねえ。安全な場所で指示を出し続けるだけ、そんな派閥に長く関わってみたまえよ君ぃ。心も離れるというものさ」

「でも、派閥をやめなかったんですよね?」

「そう簡単に言わんでおくれよ。簡単にやめられるものなら、私だってやめてるわぁ! 本音を言えば、近年株を上げてきている美空大将の方に、私だって付けるものなら付きたかったがね! ……でも、わかるだろう? 西守大将と美空大将の関係性をさあ」

 

 二人の大将による派閥は、深海棲艦や艦娘に対する思想的相違によって対立している上、本人同士もまた相手を良く思っていない。というよりむしろ西守大将が美空大将を嫌っている節がある。そんな西守大将の下についている北条も、本心ではこう思ってはいても、美空大将の下に鞍替えするというのは、その後のことを考えると、難しいものだったことは察せられる。

 つい問いかけてしまった湊も、そう言われてしまっては何も言えなくなる。バツが悪そうに視線を逸らすと、北条もこほんと空咳一つして、

 

「ま、そんなわけで私も少なからず思うところは常々あったわけだよ。そして今回ばかりは本当に、全力で敵を潰しにかからないとまずいというのが、先ほどの戦いで判明した。偵察結果からもそれは揺るがないだろう。その上で問おう。海藤君、淵上君、君たちの力をそれまで高めたものは何かね? 先ほどの艦娘の戦い、ただ練度を高めただけではない何かがあるのではないかね?」

 

 その言葉に凪は小さく頷いた。弾着観測射撃のことと、自分が装備を改装することで、艦娘ごとに合った微調整の成果により、よりダメージを通しやすくなっていることを説明する。弾着観測射撃は美空大将にも報告を上げていたのだが、北条のところにまでは届いていなかったらしい。それもまた、派閥による対立の影響だろう。

 

「装備の調整ね。さすがは元第三課といったところかね。そのような小技も盛り込むとは。しかしそれで成果を挙げるのだから大したものだ。なるほど、君を採用した美空大将の慧眼というやつかね」

「どうでしょう。私としましては、自分の好きなことをやっていただけですので。自分にできること、それをやりつくした結果です」

「謙遜かね。だが、納得はいく。装備の質が高まれば、自然と敵に対する有効打も増えよう。それに加えてより中るような技術が加わるのならば、君たちが積み重ねた戦果にも納得だ。やはり若者こそが新しい風を次々と呼び寄せるのだね」

 

 しみじみと頷く北条だが、凪と湊を若者と言うほど彼も年を重ねているわけではないのではないか、と心の中でぼやく凪だった。

 そうこうしている間に艦娘たちの修復も終わり、再び出撃できるようになった。これまでの間、敵からの攻撃がなかったのが気にかかるが、またイースタン島へと攻め込むことになる。だが、敵戦力のことを考えると、何らかの作戦が欲しいところだろう。

 そのことを打ち合わせすることになると、北条は意を決したように肘掛けを叩く。

 

「まだ早いと思ってはいたが、ここで出すしかあるまいよ。私は大和、武蔵を出撃させる」

「確かに決戦に相応しい艦娘ですが、大和と武蔵を用いてどのように?」

「……火力こそパワー! あの二人の火力を最大限に活かせるように、空母もまた充実させ、護衛する。その上で大和型主砲を叩き込む! 以上だ」

 

 なるほど、わかりやすい。わかりやすいが、それでいいのだろうか? と凪と湊は目を細めてしまう。そんな二人の視線を受けて「仕方がなかろう! 私は君たちの提示した二つのものがないのだからねえ!」と、弾着観測射撃と装備の件をボヤいた。

 

「第一のやり方としては大和型の力を叩き込むことだが、それ以外については臨機応変としか言えないね。それぞれがカバーしあい、戦いを進めていくしかあるまいよ。細かいところは各々の判断に任せよう」

「……それしかないですね」

 

 北条の艦娘たちとのコンビネーションは、湊の艦娘たちほど上手くいくとは思えない。佐世保とは交流しているが、横須賀とは全くなかったのだ。初対面の状態で、戦場でいきなり息を合わせて動けるとはとても思えない。

 だから大まかの方針だけ決めておき、ある程度合わせるように動くしかないだろう。

 一つの方針という柱を立て、それを支えるように臨機応変に対応すれば、突破口が開けるだろう。そう信じて今は動くしかない。北条は大和と武蔵を加えた編成を組み、改めて連合艦隊を出撃させることにした。

 二度目の出撃、これがイースタン島における、ミッドウェー海戦の戦いの終わりを飾るものでありますように。そう願うばかりだった。

 

 

「補給、修復は終わったか。なら、まだ行けるネ?」

 

 北米提督は帰還したウエストバージニアに対し、そう問いかける。彼女は小さく頷き、自らの体の具合を確かめる。初戦で受けた傷はなくなり、消費された弾薬も補給されている。

 だが共に戦った仲間たちの大半は沈んでいる。とはいえ深海棲艦にとって、ただ沈むだけでは終わらない。残骸は回収され、このイースタン島の深海に築かれた仮拠点に収められている。その際に、前哨戦で撃沈した由良、初風、翔鶴の亡骸も回収され、運ばれてきた。

 北米提督にとって轟沈した艦娘に対してあまり興味はないのだが、事前の中部提督との打ち合わせの際に、もしも艦娘を撃沈させたならば、その亡骸も回収するように頼まれていた。どうやら中部提督はラバウルの霧島のように、何かに使えるだろうという算段があるようだが、詳しいことは北米提督にとってよくわからない。

 わからないことを考えるのは北米提督の性分ではなかった。ただ頼まれたからこうして回収だけはしておこう。そう考え、撤退の際に回収を指示しておいた。そして戦いが終わるまではどうにもしないということで、拠点の隅に放置されることとなる。

 

「艦載機の補給の完了、これで次の戦いも問題はなくなる。敵も恐らく先ほど以上の戦力が来るに違いない。……前線の対処に必死で、ミッドウェーまで攻撃が届かなかったというのが気になるが……ま、それだけ奴らは慎重になっているということだろうネ」

 

 北米提督の推測では、前線の戦いに対処しつつも、一部の艦載機は中間棲姫まで送るかもしれないと考えていたのだが、その気配は全くなかった。彼らが慎重になっていたということもあるが、恐らく中部提督が開発した白猫艦載機の影響もあるだろう。

 

「新型艦載機、か。ふん、ギークがこれだけの性能に仕上げてくるとは。やはりこれに関しては自分も認めざるを得ない。前世はどれだけの腕利きの技師だったのやら。……ま、自分が深く気にすることはないんだけどネ! HAHAHA!」

 

 少しだけ真剣な表情で中部提督に思いを馳せたかと思いきや、ころっとテンションを切り替えて笑い飛ばしてしまう。それだけ彼にとって中部提督という存在は、あまり興味の対象となっていない証だ。

 では何が彼を動かすのか。所謂亡霊の歪みは、北米提督の中ではどのようなものなのか。それは中部提督、北方提督も詳しくは知らない。ミッドウェー海戦の作戦に参戦しているが、二人は北米提督のことをそれほど詳しくは知らないのだ。

 ただ陽気で、色々なことを笑い飛ばす、深海勢力に属しているのに奇妙なほどに明るい人物。そう認識されている。だが彼はかの米国を相手にそれなりに長く戦っている深海提督であることは間違いない。その経歴が彼の実力を証明しているのだ。

 

「ではウエストバージニア、君もミッドウェーの防衛を。コロラド、メリーランドと共に壁となるんだ。でも、気が乗ったら先ほどの戦いの借りを返すべく、前に出てもいい。そこは君の判断に任せるよ」

「……ワカリマシタ。ソノヨウニ」

「OK! Good luck!」

 

 陽気に指を鳴らして両手で彼女を指さすと、そんな彼に苦笑を浮かべ、一礼して浮上していくウエストバージニア。彼女を見送った北米提督は、モニターを切り替えて中部提督に通信を繋ぐことにした。数度のコールの後、モニターに中部提督の姿が映る。彼は岩に座っているようで、北米提督と同じように複数のモニターを眺めているようだった。

 

「どうかしたかな?」

「こっちは初戦を終えたところだ、ギーク。三隻の撃沈、回収を行っている」

「へえ、さすがは北米さん。初戦からそのような戦果を挙げるなんて、大したものです」

「いやいや、そう褒めても回収した三隻ぐらいしかやるものはないってね。それで? そっちの戦況はどのような? そっちもパーティタイムしているんだろう?」

「ええ。間もなく交戦開始(エンゲージ)ってところですよ。北方さんからの連絡はありませんが、手筈通りなら向こうも始めている頃合いでしょう。作戦は成功です」

「それは何より。では、自分らはもう少し奴らに手傷を負わせるとするかね」

 

 確認すべきことはした、とばかりに通信を遠慮なく切ると、再び戦場へと映像を切り替える。こうしたすぱっとした対応もまた、北米提督の特徴だった。元より彼は中部提督を「ギーク」と呼んでいるところから見ても、格下と捉えている。似たような意味合いの言葉がもう一つあるが、ギークと呼ぶという点からして、白猫艦載機だけでなく、それ以前でも成果を挙げている点に関しては、中部提督のことを認めてはいる。

 認めてはいるが、それでも自分より後に生まれた深海提督であり、自分と比較して戦果はそれほどないのは間違いない。そこを踏まえた上でのギーク呼びだった。

 

「次なるステップに至るためにも、自分たちも実戦を積まなきゃならない。この戦いはその一つでしかない。コロラド、メリーランド、ウエストバージニア……どれでも構わない。小さな兆候を見せてくれたなら、自分は次に進める……!」

 

 北米提督がこの戦いに参戦した理由がこれだ。深海提督もまた、何らかの先がある。ただの亡霊から前世の記憶を思い出し、歪みを抱えながらも自己を確立する。それは中部提督だけでなく、北米提督もまたそれが存在している。

 だが深海提督にはその先があるという話だ。それは北方提督や欧州提督のように、両目からオーラが立ち昇り、より深い闇を抱える姿から見ても明らかだろう。だがそれは北方提督が、元が艦という影響も少なからずあるのだが、それを北米提督は知る由もない。

 しかし北米提督は信じている。

 自分が深海で蘇り、かつての祖国を相手に戦っているのには理由があるのだと。こうして二面性のある顔を持ちながら、深海で活動し続けているのは蘇った意味を求めているからだ。

 死からの復活は、かつて信仰していた宗教にもあるように、一種の救済の側面がある。善き人も悪しき人も、等しく死からの復活し、何らかの救済がもたらされる。善き人は新たなる命の復活へ、悪しき人は裁きを受け、罪を洗い流す。

 では自分は? 昏い海の底で死から復活した自分の今の行いは何だろう?

 沈んでも蘇る異形の存在に囲まれる自分は、深海から人類へと差し向けられる、死への誘いの手をもたらすものだろうか? ならば全ての人類に等しく死を与え、自分と同じように死からの復活をもたらす先兵となったのだろうか?

 そんなことを、思考の片隅に置いているのだ。

 でも何かがおかしくないだろうか? いいや、おかしくない。死が救済をもたらすための第一歩ならば、等しく祖国の人類たちにも与えるべきだろう。

 信仰していた神がおわすならば、どうして大地の上ではなく、海の下で自分は目覚めたのだろう? 神は存在する。稀に自分に囁きかけるかの声が、神託でなくて何だというのか。

 そんな二つの思考が、声が、時に北米提督を惑わすことがあった。だからこそたまに彼は、死からの復活の意味を問う。その瞳の光が明滅し、ぼうっと虚空を見つめながら動きを止め、やがて何もなかったかのように、深く考えることはないと笑い飛ばすのだ。

 それが彼の歪み。

 生前から持ち続けていた信仰。彼の祖国では当たり前のように国民が信仰していた一つの宗教から生まれる考えに引きずられ、今の自分に疑問を持つことによって生まれた歪み。

 それが彼の性格と合わさることでより「北米提督」という人の思考が乖離し、より歪みを促進させていた。

 だが彼はそれを気に留めない。ただ深海提督の一人として、自分のやるべきことを遂行する。そうすることで、自分が抱いている疑問を思考の隅へと追いやる。中部提督などと同じように、深く気にする事柄ではないと処理してしまうのだ。

 しかし名残はある。一度額に指を当て、軽く手を組み、頭を垂れて祈りを捧げる。無意識ではあるが、時に指がそうして祈りを形作る。それだけ生前は信心深かったことを窺わせる。記憶としては復帰しているが、彼の信仰心はかつての神と、今の自分を存在せしめた何かに向けられている。二つのものは両立することはないが、ふと過去に引きずられたときは、戦いの前にかつての神へと祈りを捧げるような仕草をするようになっている。

 祈りを終えればモニターに映る戦場を見据え、再び彼は指を鳴らして宣言する。

 

「Let’s party! 艦娘どもを歓迎しようじゃないか! メインディッシュを見極め、たらふく食らいつくしてやれ! 総員、戦闘開始!」

 

 北米提督の声が響き、海上の深海棲艦たちが声を上げる。

 ミッドウェー海戦は本格的な戦闘状態へと移行した。

 


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