デリート・オア・ライフ   作:サカズキ

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キャラクター設定に、この話で、出てくるキャラ足しました。
以上

本編どうぞ


クラウン・カルマ

 

 

 

 

 

……痛い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…痛い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を引き裂く。あるいは、焼き尽くすような感覚が一也の体を支配する。腕を動かそうとしても、激痛で一ミリも動かない。その腕にはベトリとした液体がついているのが分かる。それが何なのかも、直感で分かる。

 

「血か?」

 

この状況でも、一也はいたって冷静だった。それが当たり前のように。

 

「これで終わるのか」

 

一人愚痴るようにつぶやく。

 

「終わることをよしとするか?九十九一也」

 

視界には映らない。だが、すぐ近くから声が聞こえる。聞いたことのある声。だが始めて聞くような気もする。

 

「貴様の命。軽いわけではない。それが終焉か、安寧かを分けるといっても過言ではない」

 

自分の死がどれほど重要なのか、それがわからない一也は言葉を発することをしない。

 

「愚弄が。だが、貴様がそうだからこそ、我は力を振るえるというもの。今暫し眠れ…………」

 

その言葉の後、一也は闇にも近い、だがゆりかごで眠っているような感覚で眠りに落ちる。

 

 

 

 

ダブルデート当日には、いろいろあったが、一也はいつもどおりに学校に登校することができた。もちろん、フラクシナスの面々が治療をしてくれたこともあるが、それよりも彼自身の自己治癒能力が秀でていたおかげだ。いろいろあったせいで、十香のには心配のような、嫉妬のようなことを言われたが。

教室に入ると、そこには普通に狂三がいた。それに違和感を感じるのは、この中でも一也一人なのだろうと。

 

「おはようございます。一也さん」

 

「あぁ。おはよう」

 

軽くそれだけ言うと、一也は自分の席に座る。すると、隣の井崎が話しかけてきた。

 

「聞いたぞ。お前、時崎さんとデートしたらしいな。恨め……羨ましいやつめ」

 

「いま、恨めしいって言おうとしただろ。ったく。そんなんじゃねーよ」

 

むしろ、昨日は散々な目にあったといえるだろう。夢見も悪かった一也は今朝かなり憂鬱だったが、気持ちを切り替えて、登校してきた。狂三のことも含めて。改めて狂三の席に向かい、今日……というか、今後の一番の目的を伝える。

 

「狂三、今日来てくれてありがとな。おかけで、お返しができる」

 

「あら。どのようなお返しがもらえるのか、楽しみですわ」

 

彼女は、どのように捉えたか分からないが、いつものような微笑でいた。

 

「お前を救うとか、世界に受け入れさせる、なんて言う理想論は言わない。お前を、俺が、お仕置きしてやる」

 

一也は笑いながら、そう言うと狂三は少し驚くが、それでもすぐにいつもの顔に戻り、彼女はまた微笑む。

 

「ふふふ。そうですの。それでは、今日の放課後に屋上に来てくださいまし。そこで証明してくださいな」

 

 

 

どろり

そんな音がふさわしい感覚が、一也の肌を這うような感覚がした。

あたりを見回してもおかしな様子はない。もちろん狂三にも。

気にはなったが、気のせいと思いその場は見逃すことにした。

 

「さて、終止符は放課後に打つとするか」

 

小声で放課後の計画を考えながら授業を受けた。

後ろの席で、狂三が笑みを浮かべているのにも気づかずに。

 

この日の授業がすべて終わり、運動部の掛け声が校庭から聞こえてくる。今日は、朝の会話以降に狂三とは話していない。さてどうするかと考えていると、耳につけたインカムから令音の声が聞こえた。

 

『まずは、言われたとおり、屋上に行ってみてはどうかな?話はそこからだ』

 

確かに一也は、朝に狂三は授業が終われば屋上に来るように言われた。ということで、一也は屋上に向かい、扉の前に立つと、軽く深呼吸するとドアノブに手をかけたそのとき。

 

「……っ!!」

 

屋上に足を踏み入れた瞬間。一也は虚脱感と嫌悪感に襲われる。

 

「なん……だ。これ」

 

膝を突くほど酷い物ではない。しかし、ここに居たくないと思わせるのも事実。

そして、一也はこの感覚に覚えがある。《時喰みの城》と思われる。これは、狂三の影を踏んでいる者の寿命……すなわち時間を吸い上げる。

 

「狂三おまえ……」

 

屋上の真ん中辺りにいる狂三に声をかける。フリルの付いたドレスのような霊装を翻し、狂三が振り向いた。

 

「ごきげんよう。一也さん」

 

その顔は、微笑を浮かべて楽しそうにしている.一也は重い足を前へと出し、狂三に近づく。

 

「腐った、性根(しょうね)を叩き直してやる」

 

「は?」

 

狂三は一也の言った言葉を理解できずに、聞き返すようにつぶやいた。

 

「だ・か・ら。お前のその性根を叩き直すって言ったんだ」

 

確実に狂三に近づいていく一也。それを見て狂三は少し動揺した。

 

「な、なにを言ってますの?」

 

「宣言していたはずだ。お前にお仕置きするって。悪い子には、それがお決まりだ」

 

狂三との距離が数歩のところで一也は立ち止まる。狂三は少し苦い顔をすると、そこから離れるように、狂三はバックステップで移動する。さらに、軽くつま先で、地面をトントンと二回叩いた瞬間。あたりに空間震を知らせる警報が鳴り響く。

 

「……おまえ!?」

 

「さ、さぁどうします?(わたくし)か、学校の人間。どちらを選びます?」

 

『カズ。どうやら、君が予想外な行動をしたため、彼女は少し動揺しているようだ』

 

動揺している要因は一也にはさっぱりだが、勝手になっているならそれを利用しようと一也は詰め寄るように狂三に近寄り、言葉を投げかける。

 

「できるならやれ。俺はそれを全力で止める。救うとは言わない。だけど、お前が間違いを犯すなら、俺は何回でもお前を止める」

 

「わ、分かっていませんわね。私は、殺すことも、殺されることも大っっっ好きですの。それでいいんですの」

 

さらに一歩、近づく。

 

「あぁ。構わない。お前が殺そうとしたら、俺が止める。お前が殺されそうなら、守ってやる。俺は、俺が関わったやつが、傷つくのは嫌だ」

 

「そんなこと!!」

 

また一歩

 

「俺は本気だ。人を殺すお前は嫌いだが、人がお前を嫌うのも嫌だ。少なくとも俺はお前が好きだ」

 

「な……で、でも」

 

もう一歩

 

「お前の目的が何なのか、なんて聞いても答えはしないだろう。だから、これからお前の口からそれが聞けるようになりたい。そのためにもお前には、これから俺のそばにいろ」

 

「そ、それは……でも……」

 

一也は狂三の目の前に立ち。その手をつかんだ。その刹那。彼女の身体から手が生えた。否、貫いた。

 

「なってませんわ。そんな言葉で、(ほだ)されるなんて」

 

一也の目の前の少女と、同じ声音で語られる言葉。

 

「わ、た、く、し、は……」

 

彼女を貫いていた手が引き抜かれ、物言わぬ屍と成り果てる。そのかつて狂三だった者の背後にいたのも、時崎狂三。

 

「このころの私は、まだ青かったのですわね」

 

 

「…………」

 

 

「あら?一也さん、意外に冷静ですわね」

 

狂三にはそう見えているのかもしれないが、一也の心臓は早鐘を打っている。一也の力は、精霊に使うにしては効果が薄い。ましてや、分身を殺してまで俺の目の前に来たということは、ここで決着つけるのだろうが、そのために分身を惜しみなく使われたら、一也に勝ち目はない。

 

「さぁて。一也さん。貴方の言葉が、あくまで戯言であることの証明をしましょう」

 

彼女はどこからともなく、長銃を取り出し一也に向かって引き金を引く。

一也はそれを見つめたまま動こうとしない。いや、動けなかった。そのまま一也は銃弾を受けて後ろに身体が吹き飛ばされて、そのまま倒れる。

一也は薄れていく意識の中、ポニーテールのどこかで見たことのある少女を確認した。

 

(……どうでもいい。俺は死ぬんだ)

 

 

 

~思考~

 

 

いつの世も、人の命は儚く、無力。

 

 

故。我々(・・)はその人の武と成らねばならぬ。

 

 

それがいかに無意味で、無価値であろうと。

 

 

我々(・・)には、それをしなければならぬ、義務いや、責任がある。

 

 

世界の秩序と混沌を推し量り、仇名すものは排除していかねばならん。

 

 

そう…………

 

 

『精霊』という名の害を、世界から消し去るのだ。

 

 

 

 

 

 

屋上には変わらず………いや、分身で増えているが狂三と、一也が撃たれた直後に来た真那と、その後に来た、士道。さらにその後に、十香と折紙がここに来たのだが。

 

「この程度で、私を殺した気でいるのでしたら、大間違いですわ」

 

狂三の()に押し切られて、成す術がなく取り押さえられ。

 

「……狂三」

 

「それでは、先に士道さんからいただきますわ」

 

そういって、狂三が手を伸ばした瞬間。その腕が、吹き飛んだ。

 

「よくもここまで、でかい顔をしてくれたものだな。精霊が……」

 

「な、何ですの?この感じは……」

 

狂三だけでなく、士道もその様子に釘付けになる。

 

「かず……や?」

 

確かにそこにいたのは一也だった。しかし、漂う雰囲気と、視線が違う。彼の目は、冷たく凍りつくような視線だと、士道は思った。その彼が士道の言葉から、数秒して口を開いた。

 

「阿呆が。それはわれの仮面の名。我名は『残虐公』(ベリト)……この世界に、迷いこんだ精霊をすべて葬る者」

 

「くっ!……忌々しい感じですわ。消えなさい、刻々帝(ザァァスキエェェル)!!」

 

「天使……か。無意味なことを。刻め全業(カルマ)

 

彼がそう言うと、その手が、霧に包まれて一秒もしない内に晴れると、その手には、彼の身の丈以上もあり、切っ先の掛けた黒の大剣が握られていた。

狂三が放った弾丸を彼はその剣を、まるで布を振るうように軽々と使い弾丸をはじく。それを見た狂三が、目を見開く。

 

「あ、ありえませんわ。刻々帝(ザフキエル)の力が、効かない!?」

 

「言っただろう?我は、貴様らを葬ってやる。と」

 

「っ!私たち、彼を捕えなさい!!」

 

その声とともに、一斉に彼に向かって飛び掛るが、彼の横薙ぎによってそのすべての狂三が胴を境に真っ二つに斬られた。死体には目をくれずに、彼のその視線は、狂三を射抜く。

 

「さて……まだ無意味な抵抗をするか?貴様では我には勝てぬ」

 

「どうやらそのようですわね…………なぁんて言うとでも思いまして!?」

 

引く態度を見せたと思わせた瞬間、彼女は両手の長と短の歩兵銃を彼めがけて連射する。

彼はそれをかわそうともせずに、ただ立ち続ける。

 

「あははははははははっはーーー!これではさすがに……なっ!?」

 

弾丸によって、巻き起こった砂煙が晴れると、そこには無傷の彼が立っていた。

彼は軽く準備運動のように肩を回す。

 

「ふぅ。身体ならしも、大分できた。さぁ……我らの戦争(デート)を始めようか?」




お久しぶりです。
いきなりですが、『デート・ア・ライブ』二期製作決定!!!

いや、まさに感無量。一巻発売(初版)からのファンとしてはその限りです。
一期が決定しただけでも、テンションあがっていたので二期ということで二倍(あるいは1.5倍)なくらいです!!

みくみくの声優は、やっぱり歌うから、そう言う声優さんが起用されそう予感……
(もちろんキャラソンありで)

今から楽しみです。とかいいいつつも、今期のアニメも見なければ!
では、また次回














あ、誤字(語用語)・脱字はあったら報告してね?

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