デリート・オア・ライフ   作:サカズキ

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ちょとあらすじ言葉を借りすぎた感があるが
それはさておき注意で七巻の内容を織り混ぜてますので、それほど大量ではないですが、ネタバレがいやな方は控えた方がよろしいかと

それでは本編どうぞ


デリート・オア・ライフ

目をさます。

 

けれどなにもない。

 

何もないのはなぜだろう?

 

それともまだ目をさましていないのか?

 

それよりここはどこだ。

 

どうして僕はここにいる。

 

《死ンダカラダ》

 

誰だ?この声。いや文字か?

 

頭に直接響く。

 

《誰デモナイ》

 

あぁでも聞き覚えのある声だ。誰だったっけ?

 

もういいや死んだんだし。そう言えば何で僕は死んだんだっけ?

 

《オマエハ理不尽ナ世界ニ振リ回サレテ死ンダ》

 

理不尽な世界?

 

一瞬何かの映像が頭の中に流れる。懐かしいような感じがする。

 

そうか……()は『・・・・』のために(せいで)死んだんだ(殺されたんだ)

 

《モウ一度ヤリ直シタクハナイカ?》

 

やり……直す?そうだな()あの娘(あいつ)守らなければ(殺さなければ)

 

《ソウカ。ナラモウ一度ダケオマエハ生キロ》

 

そう声が(文字が)聞こえた(見えた)瞬間に体が重くなり、落ちていく感覚に見舞われる。

その落ちていく過程で()の意識はだんだんと薄れていき、最後には完全に失ってしまった。

 

 

 

《サテ、アイツハ生キラレルカナ》

《無理ダ、アイツハマタ死ンデシマウ》

 

《止メラレナイ》

《止マラナイ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《《アイツハマタ死ヌ》》

 

 

 

 

 

 

 

 

カーテンの隙間から差し込む朝の日射し。

それにより目が覚めるが、まだ寝ていたい気分だ。

この頃の陽気は良い具合に二度寝の誘惑をしてくるが、起きなければならないわけだ。

ゆっくりと布団を自分の上からどかして、上体を起こす。六畳程度の部屋にベッドと机。それに本棚もいつもの光景で、ベッドの脇に置いてある目覚まし時計を見ると、いつもの通りの時間だ。

ベッドから出て、まだ覚めきってない頭で着替えようとするが、壁に掛けてある服に触れる前に止めた。だってこの服は

 

「中学の時の制服じゃないか?」

 

まだおかしいのだろうか?頬を自分で叩き目を覚まそうとするが、相変わらずそこにあるのは、僕九十九(つくも)一也(かずや)が中学の時に着ていた制服。

何かの間違いかと、カレンダーを確認するとそこには。

 

「あの日から二年前?」

 

あの日とは僕があの存在を知ることとなった日。

そしてこの頃からあの子がヤバそうになる頃か?

 

「て言うか、あれは夢では無かったのか……」

 

自分の事だが、時間を遡ったのを受け入れて考えている。

 

「時間を遡るか……あいつが聞いたら驚くかな?」

 

ゴシックでロリータなあの子を思い出すが、そんなことよりも大事なことがある。

 

「さて、よく思い出すと色々と覚えているが………どう立ち回るかだが」

 

このままだと僕はまた死んでしまうことになる。

うまくやらなければ、あの時の二の舞になる。

取り柄えずは。

 

「学校だな」

 

難しい事はあとから考えることにして、制服に着替えて、簡単に朝食を済ませて学校に向かうことにする。

 

九十九一也の通う中学は、約30年前に空間震と呼ばれる原因不明、発生する時期も不定期な上に被害も不確定なこの現象。その空間震により更地になった東京の一部と神奈川県が、最新技術のテスト都市として再開発された中にある学校のひとつ。

 

新学期が始まった数日後なので、学校に着くと新しい制服に身を包んだ一年生がちらほらいる。

春の桜も道を通り、靴を履き替えて新しい教室へと向かう。その途中に人だかりが出来ている。

どうやら中のいい人同士でたむろしているようだが、生憎この廊下は狭く邪魔だと思いながらも通ろうとしたら、すっとたむろしていた人たちが《消えた》。

 

(あ……忘れてた俺の力)

 

別にそこにいた生徒が本当に消えたわけではなく、ちゃんとこの世界にいるのが、ただ《此処にたむろしてない》だけなのだ。だから回りは彼らが《此処》から消えても、なんとも思わない。

だって《此処》ではない《何処かに》居るのだから。

 

教室に着いて、記憶を便りに自分の席を探して座る。すると隣から声をかけられ、顔を向けるとそこにはこれから先に高校へと入学しても、つるむ悪友か親友か(どちらかと言えば後者が良いが)になる、井崎と言う男子がいた。

 

「なぁあれ持ってきたか?」

 

「あれ?あれってなんだ」

 

「ひでーなお前!前にいってた月乃ちゃんの新譜だよ」

 

「あ、ああはいはい、あれね。(入れてたっけ?)」

 

この場合買っていなかったっけ?は無い。

何故なら俺はこの時あの子のファンだったから買ってないことはあり得ない。しかもあまぞんで前日配送。

 

「あったあった。ほいこれ」

 

「お!サンキュー」

 

「わかってると思うが、いくら貸し出そうとはいえ、傷付けるなよ」

 

「そんなつもりはないけど、お前また三枚も買ってるんだろ?一枚くらい良いだろ」

 

「あぁまぁそんなんだけど」

 

そう言えばこの頃の僕は、アイドル歌手・宵待月乃にはまっていた事を徐々に思い出してきた。親からの小遣いはほぼ彼女のCDを観賞用、飾る用、貸し出す用に三枚も買うほどに費やしているが、それ程彼女の歌が好きだった。

これから起きるであろう事から、ファンをやめてしまったが、本来はするべきではなかった。そして、そんなことは今回はしない。

彼女を『精霊』になる前に救う。

 

「……ーい。おーい。聞いてるのか?」

 

「ん?え、あぁ悪い悪い。でなんの『ホームルームだ席につけ。他の教室のやつもかえれ』先生だ」

 

「おっと。CDありがとな」

 

そう言うと井崎は視線を入ってきた若い眼鏡の教師に向ける。

こいつは本来こんな良い子ではないが、成績が著しくないので親から折半されかけたらしい。こいつの親は元官僚だが回りの汚職などでうんざりして、今はなんか厳しい仕事をしている元祖頑固親父みたいな人で、一年の最初の期末でヤバかったら勘当物らしい。苦労しているんだこいつも。

 

時間は過ぎて、昼食時。クラスでするのは大体宵待月乃の話だが、語るのはほとんど井崎で回りはそれに相づちを打ったり、女子のなかには気持ち悪がる人もいるが、井崎のこれは半分病気だ。

 

「おい!病気ってなんだよそれ!」

 

「あれ?声出てたか」

 

「出てたよ?はっきり言ってた!」

 

「いやでもそうだろ?お前の語り様は」

 

「そう言うお前もCD三枚買うとか……」

 

「俺は歌が好きなだけで、誘宵み……月乃には可愛いな程度しか思わないが…」

 

「それなら握手会のチケくれよぉぉぉ!今月金無いんだ」

 

「今月始まってすぐに金欠かよ。残念だがあげられない。これはこれで行くからな」

 

「どっちなんだよっ!」

 

「もったいないだろ?あぁそれと今度の新曲ライブも行くから」

 

「お前中学生でどんだけ金あるんだよ?」

 

「お前の方が……って厳しいんだっけ。お前の親」

 

「そうだぜ毎月千円はきついだろ!」

 

(あ、まだ千円なんだ井崎の小遣い)

 

そのうえどうたらこうたら言ってはいるが、何だかんだでこいつは何をどーやったか知らないが、僕が渡した、要らないものをわらしべ長者みたいに数日後には即売で千円程度のものにしてくる。

 

(本当に井崎のハングリー精神と、コネはどこまであるんだ?)

 

聞いてみたいが、怖いし、聞かない方が身のためっぽいので聞かないでおく。

目の前の井崎は小遣いの少ないことに文句を言っているが、もうそろそろ昼休みが終わる頃だ。

 

 

放課後になり、午後のホームルームも終わり生徒たちがちらほら帰りはじめて、僕もその中の一人となるが、今日の日の事を振り返っていた。

 

(確かに、僕はこの日を経験している。それは間違いない。この日の前日にAmazonから荷物が届いて、宵待月乃のCDを聞きながら、明日に備えていた事も覚えている。やっぱり僕はこの日からやり直しているのか?いやなんで…………やっぱりあの(文字)?)

 

それを考えようとすると、ズキンと頭が痛む。

実は登校中も考えようとしていたが、同じようになり断念した。

 

(仕方ないか………なら当面の目的を決めるかな?)

 

それからしばらくして、彼女………宵待月乃にとって、最低最悪な事が起きる。

証拠の無いスキャンダル。できたことの無い自分の子供を殺したと、殺人者呼ばわり。

今までのファンが一変、匿名を良いことに汚い言葉で彼女を罵倒し始めた。

 

今日はそんななかでの握手会の日

前に来たときよりも、格段に人が減ってその上来た人も彼女に聞くに耐えない事を吐いて去っていく。

あいつらのあの顔はまるで、自分が正しいと言っているような顔だった。

けど前の俺もそんなんだったんだろうな……

 

「次の方」

 

呼ばれて彼女の前に出るが、流石にプロだ。ふとみれば分からないようにしているが、僕には分かる。彼女は無理をしている。

ここで話せる時間は短いので手短に話をまとめて、差し出された手を優しく握り、彼女と握手する。

 

「よろしくお願いしますぅ」

 

「はい。いつもあなたの曲を聞いてます。『誘宵美九』さん」

 

最後は小声で彼女にしか聞こえないように呟いた。

 

「はい。ありがと……え?どうして私の……」

 

それを聞いて面食らう彼女だが、気にしないでそのまま話し続ける。

 

「酷い事を言うやつもいますけど、頑張って。絶対に今度のライブも行くから」

 

「あっ、あのあなたは……」

 

「それじゃまたライブで」

 

彼女の制止も聞かずに手を離してその場を後にする。

さて後やることは、ライブで彼女の事を救うだけだ。

 

(今さらだが、出来る……………いや、やらなきゃいけないんだ!)




えぇこんな感じで始まりました。

逆行と言うより、正しくは2巡目感覚で書いていきます。

一巡目の回想も、なんかこうフラッシュバックみたいな感じで書きたいですね

ここでデート・ア・ライブの困ったこと。
1つ原作を一巻だけですが見直すと、詳しい年月日が書いて無いようなのです。

詳しく書いてある巻があれば教えていていただきたいです。
それではまた次回!!(投稿夜中なのにテンション高い

追記:一話にてまだ中学生なのに、高校生と記述しておりました。混乱を招いたことをお詫びします。すでに訂正はしております。

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