デリート・オア・ライフ   作:サカズキ

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更新10日振りですか。お久し振りです。
はじめて読んでいただいた方初めまして。

私ことサカズキです。

今回なぜか作風が書いてて「あれ?おかしいな??」見たいに思ったので、もしかしたら読者にはもっと激しく伝わるかもしれません。

書き終わり、変えるのもなんなので更新します。
では、本編どうぞ


プロテクト・ジョイ

「後手に回るのは嫌いなんだけど」

 

一也は額に流れる汗をぬぐい、手に握る木刀を構えつつ視線の先にいるASTと対峙する。後方ではブリザードが起きていて、そのなかには今士道がいる。それともう一人。

 

「まったく、フラクシナスの面々も僕を過大評価しすぎだよ」

 

握力を少し緩め、もう一度力強く木刀を握り直す。そんな一也の事をAST隊員達は恨みでもあるかのように睨む。いや、それもそうか。前の時も精霊ではなく、まさかの人に邪魔をされたのだから分からなくもない。

 

「それでもちょっと怖すぎるよ。この人たち」

 

睨み合いを続けていると、彼女たちの中の一人。風格からしてリーダかそれに準じるものだろう。その彼女が前に出て口を開いた。

 

「あなたは重要参考人です。ただちに武器を捨て投降しなさい」

 

どうやら先日の件はかなりの大事らしく、ASTがおおっぴらに民間人を捕縛するとは思わなかった一也。とは言え彼女達な秘匿な存在であるのは間違いではないが。

 

「断る……………と言ったら?」

 

「少々手荒く拘束します!」

 

その声と共に脇にいた他のAST隊員が銃口をこちらに向けてくる。その目は殺さんが如くの凄みだ。

 

(いや、これはガチだろ!?)

 

一也はこれ以上にないくらいの危機に狼狽する。 前の時は不意打ちの奇襲でなんとか退かせたが、今回はターゲットに一也も入ってるとなると、彼女たちもそれなりの準備はしている。

 

(なんで、僕が門番みたいな役を…………いや、自分で言ったのだけど)

 

ブリザードに目をやる一也。あのなかには士道とそれから四糸乃がいる。彼女の精霊としての力を封印するのが目的だ。士道からすれば自分の理由が半分くらいだろうけど。

 

(さて。ちょっと頑張ってみるか)

 

一也は肺いっぱいに空気を吸い込み、思いっきり吐き出してぐっと止める。

 

「ここから先は、あの二人のプライベートステージだ。通す気もないし、僕も捕まりはしない。せいぜい怪我しない程度に暴れようぜ!」

 

こんなことになった顛末は数日前のこと。

 

一也は学校からしばらく住むことになった五河家に帰ったとき。

 

「四糸乃?」

 

「ッ!!」

 

彼女は一也の声に驚き、跳ね上がるとそのまま台所にいる作業中の士道に背中に隠れた。

 

「大丈夫だよ四糸乃。この人も君のこと傷つけないから」

 

「……………」

 

四糸乃は顔を少しだけ出して、一也をその綺麗な瞳に捉える。

 

「よ、よう。よろしくな四糸乃」

 

片手をあげて挨拶する。一也の事をじっと見ながら少ししてコクコクと首を縦に振る。取り敢えず警戒はされなかったので、一也はほっとする。

 

そのあと四糸乃にはテレビを見せつつ、男子二人は台所で料理中。男子オンリーとはどこの腐女子得何だ。

 

「そう言えば、一也はなんで子供苦手なんだ?」

 

エプロン姿で炒めものをする士道が思い出したように質問する。

 

「ん?いや、別に理由は無いけど…………そう言えば何でだろ?」

 

「おい!でも琴里は平気だよな」

 

それは妹が子供であると、自然にしかも兄が言っているのだが、気にするのは琴里くらいなので一也はスルーして答える。

 

「あれは子供じゃねぇ。すでに僕たちじゃ計れないくらい子供じゃない」

 

「それは誉めてるのか?」

 

「誉めてるよ。一応………ほい、できた」

 

おかずの盛り付けを終え、テーブルに運ぶ。テーブルにはすでにいくつかの料理が乗っていて、士道の料理が出来れば完成だ。もとは二人で食べる予定だったので、量を少し増やして三人前に。

 

「よし!できた」

 

最後の一品ができて、三人で食卓を囲む。

 

「そう言えば十香は?」

 

彼女は来禅高校の二年生に転校(フラクシナスが行った)して、今日は先に帰っているはずなのにいない。飯の匂いがしたらすぐに飛び付く程なのに、と一也は思っている。

 

「あぁ。入れ違いに令音さんが連れてったよ?」

 

(ん?あの人が十香に用?…………嫌な予感を絶賛受信中なんだが)

 

メディカルチェックなら問題ないが、この間終わったばかりでしばらくはしなくて良いらしいと言うのを聞いていたので途端に震えだしそうになる一也。

 

「だい、じょうぶ……です、か?」

 

一也の左斜め前、士道の向かい側にいる四糸乃が心配そうに聞いてきた。それを受けて一也は少し泣きそうになった。

 

「なぁ。素直っていいよな?」

 

「泣くなよ。みっともない」

 

一也の潤んだ目を見て士道はティッシュの箱を渡して、それを受け取った一也は二、三枚取りだし目を拭いた。

 

 

食後は士道に四糸乃を任せて、一也は皿洗いをしている。耳は後方にいる二人の会話を盗み聞きしているけど、水の音がうるさくてあまり聞き取れない。

 

「…………好きだよ」

 

その声を聞いた瞬間。一也は手にあった皿を落としそうになった。

 

(あれ?士道ってロリコン?………いやいや、今のはラブじゃなくて、ライクの好きだろ。……………多分)

 

ちらっと後ろを向くと、士道がしゃがみ四糸乃の頭に手を乗せて撫でていた。しばらくみていると、何か言ったあと顔を赤くして四糸乃の顔に自分の顔を近づける。

 

「なっ!?まて士道!それは色々とまずい!主にお上の方に世話になる的な!」

 

「それほとんど事実だろ!っておい!うわぁぁぁぁ」

 

一也は士道のうらや…………けしからん行動を止めようとして駆け寄ると、テーブルの足でつまづいて二人に突っ込んだ。

 

「いつっ………わ、悪い。大丈夫…………かぁぁ!?」

 

一也は起き上がり目を開けると、そこにはなんとドアップの士道の顔があった。

 

「??……………なッ!?」

 

それも今にもキスしそうな距離で。

 

「カズヤ、ただいまだぞ!…………何をしているのだ?」

 

「え、十香?いや、これは…………そう!組手だ。特訓だ!」

 

状況を見れば男を押し倒した男の画。この上なく不穏な光景に、この上ないくらいの言い訳。それを聞いた十香は半目で一也を見る。

 

「うっ!………そんな目でみないで!ホントだから!何も変なことはない。ただの特訓だからな?」

 

「う、うむ。そう言うなら」

 

何か納得できないようだが、取り敢えず変な勘繰りは受けなくて良くなった。まぁフラクシナスの司令なら揺すりの種にしそうだが。

 

「そんなことより、十香はどこ行ってたんだ?令音さんと一緒らしいけど」

 

二人は立ち上がり、一也が十香に問いかける。

 

「あぁそれだが『あぁぁ!』な、なんだ!?」

 

十香が答えようとしたが、士道がいきなり声をあげたので二人はそちらを向く。

 

「四糸乃がいない?」

 

どうやらさっきの一悶着のうちにロストしてしまったようだ。

 

「何と言うか、精霊とは不思議だな」

 

「そうだな」

 

一也の呟きになぜか力は無いとはいえ、本来精霊の十香まで同意する。

 

その後の空気は何とも言えず、重たいまま過ごすかと思いきや士道は琴里から連絡がはいった。前にあった戦闘で紛失したパペットが見つかったらしく、取りに行くと言って士道は出掛けた。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

残った二人はソファに座っている。その間は沈黙が支配をしている。

一也はどうやってこの状況を打破するかを考えていた。ちらりと隣の十香を見ると、その手元には何やら紙袋。

 

(どっかで見たことあるような?)

 

そうそれは依然見たことのある袋。いつ見たのかと記憶をたどって行き着いたのは、前に美九の買い物に付き合ったときに持たされたもの。

 

(てことは、十香が買ったのか?いや、令音さんが一緒だったのなら、あの人が見立てたのか?)

 

「な、なんだ?」

 

ちら見のつもりがいつの間にか、凝視するようになっていたので十香が不思議がるように声を出す。一也は十香と会話する意味も含めて、袋について聞いてみることにした。

 

「その袋はなにかなぁーって」

 

「む!これか。これはな」

 

聞かれたのが嬉しかったのか、キラキラした顔で袋に手を入れて服を取り出した。

 

「じゃじゃーん。令音が選んでくれたのだ。これを来たらカズヤが喜ぶと言ってな!」

 

取り出した服は確かに可愛い。今年の流行色を取り入れつつ、それでいてわざとらしくなく、むしろ服のよさを引き立てている。縁に小さくレースが入っているのも良い。総合的に言うと。

 

「十香にすごく似合ってると思うよ?」

 

「ほ、本当か!ふふふ………そうか…………似合ってるか」

 

一也の言葉を聞くと、服を大事そうに抱き締める。ものすごく幸せそうな顔をして。

 

 

一也は雨の降りしきる道を走っている。巨大なウサギのような物体を目指して。

なぜこうなったのかと言うと、家で十香と話をしていると琴里から精霊の出現を知らせる連絡があった。それを聞いた一也は心配そうな十香を説得してここまで来た。

 

「まったく!これ以上ないくらい寒いな」

 

先程から四糸乃の天使と思われるウサギに近付けば近づくほど、回りに雪が降りしきるは、道路は凍りついてるはで、寒いことこの上ない。

 

「やっと追い付いた!」

 

だがそのときには既に四糸乃は円形に広がった、ブリザードと言えるような言えないような、そんなところに引きこもっていた。

 

「はぁはぁはぁ…………え?一也?」

 

後ろから少し遅れて士道がやってくる。一也のいることに驚いているようだ。

 

「僕がいるのは取り敢えず置いといて。助けるんだろ?四糸乃のこと」

 

その問いかけに、士道は顔を引き締めてうなずく。

 

「悪いけど、一也………」

 

「分かってる。僕がお前の進路も退路も確保しておく。士道はゆっくりお姫様とお話ししてこい」

 

その言葉を聞くと、申し訳なさそうにもう一度悪いと言って頭を下げた。一也は頭を上げさせて、あそこに入り込む算段をたてる。

士道を待機させているとき、いきなり琴里から連絡がはいった。

 

『なんで、止めなかったの?』

 

琴里の声はいつものような毒舌ではなく、どこか責めるような口調だ。

 

「なんでって?士道がそうしたいなら。それに、サポートだからって僕は手を抜いたりしない」

 

『そう。……………………士道を頼んだわよ』

 

一言あと。琴里は暫しの沈黙の後に、絞り出すような感じで言葉を出す。

 

「あぁ。まかせろ!」

 

不安なんて無いような声で返し、同時にブリザード手前にいるAST隊員に向かって駆け出す。

 

ここまでが冒頭に至った経緯である。そして一也の目の前には、ビルの瓦礫を使い、ブリザードごと四糸乃を潰そうとする鳶一折紙がいる。

 

「大人しくして」

 

「断る。だからわざわざ僕は、ここにいるんだ」

 

目を細めて厳しい視線を浴びせる折紙。それに怯みもせず、一也は木刀を構えたまま動かない。しびれを切らしたのは折紙だった。彼女はそのまま瓦礫を投げつけてきた。一也はそれを『斬る』。

 

「くっ!」

 

「ここから先は行かせない。お前たちにも撃つべき理由があるんだろ。けど、逆に僕には守るべき理由がある!!」

 

 

ここまで豪語しているが、実はさっきから脚が震えている。だが、力があるものがそれを行使しないのは、ただの怠慢である。この言葉を胸に刻んでいる一也は、自分の力は守るためにと決めている。そのために自分を奮い立たせる。

 

「そうですか。では、少し手荒く行きます!」

 

当てるつもりのない威嚇射撃だが、それでも一般人が受ければ怯むようなものを、一也は受けても彼女たちを見据えたまま動じない。

 

(銃口が外れているのは、分かっている。それなら!)

 

グッと柄を握り力を込め、弾丸の雨を潜るように走り抜けて、そのまま逃げるように彼女たちの下を通りすぎる。

 

「クッ!追え!」

 

そのまま一也を追うようにして飛んでくる。一也はあっちらこっちらと逃げ回る。

 

「戦う気はないのか!」

 

「僕的には話し合いをしたいのだけど」

 

一也の言葉を聞いた一人が、一也に向かって本気で撃ってきた。

 

「うっわ!あぶね~」

 

「くそ!こいつ!こいつ!」

 

彼女は後方の仲間の声もきかず、少しずつ隊列を乱して、前に出るような状態になる。

 

「おい。あまり離れるな。……………ッ!?まさか!」

 

そう。一也は彼女達を倒すつもりもなく、ただあの場所から離れさせるのが狙いだった。その思惑にようやく気付いた様子だが、もうかなりの距離を離れているのでいま気付いても遅い。

一也は事前にフラクシナスに連絡して、あらかじめ開けさせておいた地下道への階段を下りる。それと同時にシャッターが閉まる。

 

「ちっ!なんで開いてんのよ!?」

 

外からそんな怒号が聞こえてきて、一也は一瞬だけ後ろを向いたがすぐに前を向き階段を下る。

そのあと1時間後一也の元に琴里から、四糸乃の精霊としての力は封印できたらしいと連絡があった。




この書き方が合っているのか分かりません。
ですので、今回は特に感想を善し悪しを問わずいただければ幸いです。

さて、作者本人が言うのも何ですが…………はやっ!
3、4話で終わらせるつもりが、まさかのハイスピード疾走。
ですが安心を。ここで予告をするなら、セフィロトの美九が抜けた一枠を埋める話を長めにします。(決定です。オリキャラも考えています。)

そして次回からはようやく俺の嫁こと時崎狂三様が登場。それにともないあの妹も出ます。……………………あれ?こんなにキャラを動かせるのか私

と、とにかくガンバります!何か「こんな風に書いてみては?」などのアドバイスがあれば気兼ねなく言ってください。

それでは、また次回

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