デリート・オア・ライフ   作:サカズキ

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今日は。あるいはこんばんは?
どうもサカズキです。

ゴールデンウィーク終わりまして、この話の投稿日前日から私は学校です。
しんどいです。曜日ボケでどこの教室かわからず、友達のいる教室に言って確認しました。はずかった。素で間違ったのがはずかし~

話は変わりますが、アニメ四糸乃ちゃん出ましたね。かわいいですけど、自分の二次でそれがどこまで表現できるか。ファンのひと何か違うようだったらスミマセン!

では本編どうぞ


エンカウント・ハーミット

精霊

 

 

それは我等の存在を肯定するもの

 

 

同時に、我等の敵となるもの

 

 

我等の剣はそれを切り裂き

 

 

我等の盾は世界(ここ)を守る

 

 

我等の意思は、世界の意思

 

 

彼の者達を撃ち破り

 

 

断ち切る事が宿命

 

 

そう………全てを消し去ってでも

 

 

可愛らしい意匠の服を着た少女が、盛大に雨のなかでずっこけているのを見て。

一也は思わず声をあげた。

 

「「あ」」

 

その声が他の声と重なる。どこかで聞いたことのある声だと思い、首を少女と反対の方に向けると。

 

「あ、士道」

 

「一也」

 

一也は歩を進め、士道の隣に立つと肩を叩いた。

 

「あとは、任せた」

 

「えぇーー!何でだよ?!」

 

「実は、子供苦手なんだ。ほら、はやく助けてやれ」

 

そう言うとため息をついて、彼女を抱きかかえるようにする。

するとフードに隠れていた顔が明らかになる。青い髪に、可愛らしい顔立ち。まるで西洋人形のようだ。

少女は目を瞬かせて士道を見ると、ひょいとジャンプするようにして逃れる。足が地面について水しぶきを飛ばす。その足は少し震えているようで、表情は怯えている。

 

「あ、あの……」

 

「こ……こないで………くだ…さい」

 

小さい声で少女は近寄ろうとした士道を拒絶した。

 

「いや、俺は」

 

「いたく……しないで…」

 

彼女はさらに怯えている。

士道はどうするかと考えて、辺りを見回してウサギのパペットを拾い上げる。

 

「これ君の?」

 

「あ………」

 

差し出すようにするが、彼女は近づくかどうかと迷っている。

だか足はゆっくりと近づいて、士道の手のひらからそれを受けとり左手につける。

 

『ぷっはー。いやーありがとうお兄さん。でも、よしのんの色んなとこ触ってくれちゃったよね?正直どうだったどうだった?』

 

腹話術だろうか、少女は左手を前に出してハペットの口をパクパクさせる。

 

『このラッキースケベ!でも、今回は許してア・ゲ・ル。それじゃあまたね~』

 

ウサギ(?)がそう言うと、少女は踵を返して駆けていく。

それを一也と士道は見つめたままだった。

 

「へっくしゅ!!」

 

雨に濡れた体が冷えてくしゃみが出てしまった。彼らは急いで自宅に帰った。

 

一也も勿論自宅に帰ろうとしたが、士道が家が近いからよっていけばいいと言ってくれたので、その厚意に甘える形でお邪魔することに。

五河家の玄関に入ると小さめの靴があり、この家の住人である彼女が在宅なのがわかる。

それを見て琴里かと言ってリビングへ向かう士道。付いていこうとしたら、先にシャワーを浴びて来いと言われた一也。当然断ろうとしたが、士道は聞かずに仕方なく風呂場に向かう。そしてドアを開けると、そこには人がいた。本来この家には士道と琴里の二人が住んでいる。だが目の前の少女は琴里ではない。艶やかな黒髪に綺麗な瞳を持ち、その体は健康的に引き締まっていて胸の大きさもなかなか。

 

「い、いつまで見ているのだぁぁぁぁ!」

 

「ふがっ!」

 

近くにあった洗濯かごを彼女、夜刀神十香に投げつけられる。

勢いで廊下に倒れこみ、ドアをピシャリと閉じられた。かごが直撃した頭を押さえながら、一也は状況を整理する。

 

(ここは五河家だ。で、そこの脱衣所に何故か全裸の十香がいた。これだけじゃファクターが足りない。リビングに行くか)

 

頭をさすりながら立ち上がり、士道がいるであろうリビングへと足を向けようとした。

するとドアが開き、中から当たり前だが服を着た十香が出て来たのだが、顔を赤くして軽く震えている。

 

「み、見たのか?」

 

「ミ、ミテナイヨ?」

 

一也の目線は明らかに明後日を向き、言葉は棒読みで暗に見たと言っているような物だ。

 

「っ~~~~~」

 

「すまん、悪かった」

 

すぐさま土下座で謝り、どうにか許してもらい二人でリビングに行く。

廊下を進み扉を開けて中に入ると、そこには固まった士道に妹モード(リボンが白い)の琴里と、何故か寝巻きの村雨令音解析官の姿が。

 

「あれ?ここってフラクシナスですか?」

 

「いや、ここはシンの家だが」

 

「さも自分の家のように言いますね?!」

 

(なんだよいったい。十香がいて、令音さんがいて)

 

ますます頭が痛くなる一也。取り敢えずびちゃびちゃの服を着替えるため、士道にジャージを借りてテーブルに琴里と令音が並んで座り。反対側に一也と士道。十香はソファに座り、アニメの再放送にかじりついている。しばらくは静かに見ているだろう。

 

「で?なんで家に十香がいるんですか?フラクシナスで暮らしてるんじゃ」

 

「そうなんだが、フラクシナスに居ては色々あってな」

 

「色々とは?」

 

士道の問いに、珍しく言葉を濁らせる令音。それを聞いて一也は飲んでいたコーヒーのコップを置き、掘り下げて聞く。

 

「うむ。一言で言えば、彼女の機嫌が芳しく無いのだ。あそこでは私や琴里ならともかく、他の者とコミュニケーションを上手くとれないでいる。そこで一番安定する君と共に生活させようと言うことだ」

 

令音は人差し指を一也に向けて言う。だかそれでは質問の答えにはなっていない。士道は更に詳細を問いただす。

 

「だからって、なんで家なんですか?それなら一也の家でも」

 

「あぁ言ってなかったかしら。一也のアパートしばらく改装するから、こいつも一緒に住むのよ」

 

「「………は?」」

 

いつの間にかリボンの色が黒にかわった琴里の言葉に、理解が追い付かず、一也と士道は二人して間の抜けた返事をした。それを聞いた琴里はため息をつき、一言一言を強調してもう一度言う。

 

「だから、十香と一也の二人が家で暮らすって言ってんの。お分かり?」

 

「つまり、僕の家はここになると?」

 

そうよと返し腕を組んでのけぞる琴里。無い胸が強調されて、ちょっと残念なことになっている。

 

「フンッ!」

 

「な!?いきなりスプーン投げるな!」

 

「今とてつもなく馬鹿にされた気がしたわ」

 

(思ったのは僕じゃ無いんだけど………)

 

そのあと十香がアニメを見終わったくらいに、フラクシナスのクルーが荷物を五河家に運びいれた。そのなかには、さも当たり前のように一也の私物が含まれていた。

その光景を目の当たりにし、もうこれくらいでは驚かない一也だった。

 

ねっとりとへばり着くような黒い感覚。手をあげようとすると、腕が引っ張られる。いや、引っ付いて取れないような感じ。例えるならそう、ゴキブリホイホイの接着剤のような、スライムのプールにいるような。

ゆっくりと目を開ける。また、途方もない闇が目の前に広がっている。誰もいないし、誰の声も聞こえない。自分の心臓の音でさえも。声を上げようとしたが喉を震わせる事ができず、喋ることができない。いや、声を発したところで誰もいないのだから意味はないのだから。その代わりに目を左右に動かして、目で見える範囲ではあるが身の回りを確認する。

 

(毎回毎回。悪夢にしても質が悪い)

 

最近の一也はこのような夢を見る。だが毎回、何かを見ているのは分かるが夢だと気付くのは覚めてから。今回は少し………いや、かなり違う。何故ならば彼の目の前には自分と瓜二つの顔をした男がいる。違うのはその格好や髪の毛だろう。腰まである長い黒髪にその頭部を覆う黄金の兜。体は血の色にも見える紅い鎧に包まれていて、背に纏うマントも同じ紅。

 

(だれ…………だ?)

 

その心の問に答えるかのように、その男は口を開く。ゆっくりとした動きで、口角をあげて三日月のようにして。

 

「問うまでもない。前にもいっただろう?我は貴様。貴様は我。ただそれだけだ」

 

その声も自分と同じ。かつての井崎に言われたことのある『ドッペルゲンガー 』もう一人の自分に会うと、近日中に死ぬと言うのを思い出したのか、一也の体は動けないのにも関わらず震える。

 

「奥歯をガタガタと鳴らして、恐れるか?怖れるか?畏れるか?如何様にしようと貴様に運命を変えることは出来ない。あの日を越えて、我々は悲願を達成する。でなければ我らの存在意義は……」

 

この声は本当に自分と同じかと、疑問がうかぶほど深くドロリと一也の心の中に入り込んできた。拒絶や嫌悪に似た何かが彼の中に生まれる。そして段々気持ちが悪くなる。この感覚に覚えがある。そう、時々起きるあの気持ち悪い感じに似ている。

 

(こい……つが………げん、いん?)

 

「覚醒の時は近い。奴等の全てを(ころ)して。(ころ)して。(ころ)して。(ころ)し尽くす」

 

(奴等って!?お前は誰だ!)

 

一也は心のなかで叫ぶ。これまでのやり取りで、此方は喋れなくても心を飲んでいるだろうと仮定したのだが、それは当たっていたようで目の前の男はマントを翻し、また嫌な笑い方で語る。

 

「我は『残虐公』(ベリト)。全ての精霊を穿つ者。さぁ狂乱の宴はもうすぐぞ」

 

その声を最後に奴ーーーー『残虐公』(ベリト)は姿を消した。それと同時に一也の体は軽くなり、意識が覚醒に向かう。

 

目をさますと目の前には超の付く美少女が、ワイシャツのみで寝ている。見たことのある顔だが、一也はあるはず無いと一度目をつむりまた開ける。それでも目の前には彼女こと夜刀神十香が寝ている。

 

(んなアホな………)

 

いや、無いわけではない。事実昨日の強制引っ越しの後、琴里がありとあらゆる方法で、所謂ギャルゲのうれしはずかしイベントを引き起こそうと躍起になっていた。それを一也は何とか回避、あるいは対処して罰ゲーム。否!デスゲームを回避した。回避したのだが、朝起きたらまさかの隣に十香が投下されていた。

 

(そんなことよりこの状況…………どう回避する!?)

 

幸か不幸か一也はいたって普通に寝ている。手が十香の胸を揉んでいるなんてことはなく、普通にべっどの上にある。とは言え十香が目を覚ませば一大事はまぬがれない。一也はゆっくりと体をベッドの外へと持っていこうとする。だがそれを起きていないはずの十香が、腕を掴んであまつさせ腕を絡めてきた。

 

(え!?十香さん寝てるんですよね!?)

 

「うぅぅ~コッペパン~」

 

どうやら十香は起きておらず、一也を抱き枕がわりにしているようだ。状況が悪化したのは言うまでもないが。

 

「十香ぁ~。コッペパンは抱きついたら食べられないぞ~」

 

そうやって耳元で囁いて、何とか離れてもらおうとするが、そんなことで離れるわけもなく。むしろさらに強く抱きついてきた。

 

(はぁ~。なんだって僕がこんなこと)

 

心のなかでこんなことをした奴ら。恐らくいや、十中八九琴里がやったんだろう。が未だに抱き付いてくる十香を見ると、ふとした既視感がある。何となく一也は彼女を思い出す。彼の大切で、一番守りたいもの。

 

《偽りの仮面》

 

その言葉が頭をよぎる。誰でもない一也の頭に。

 

「なんだよ、まったく………」

 

気にしないようにしていた言葉。最近になってこの言葉が胸に突き刺さる。例えば美九に好きだと言われたときや一也が美九を愛しいと思ったときに、それは偽りの愛情ではと思考に割り込んでくる。そんなことは無いと強く思っても、それは今日まで消えてはいない。

 

「んん~~ふぁ~~~」

 

間延びしたあくびが聞こえる。どうやら十香が起きたようだ。だがこの状況をどうしたものか、相変わらず最悪の状況。しかも琴里が仕掛けたのなら、失敗のペナルティーは美九への浮気の情報の横流し。

 

(いや、浮気してないから)

 

誰にでもなく心で反論する。大体は琴里の他には無いんだが。

 

「んん~………んん?……な、な、なんでカズヤが私の寝床に!?」

 

(ほら、こうなる。収拾が着くだろうか?)

 

只今絶賛枕で殴られ中の一也は、この状態の回避の仕方を思案した。




………………接触はしましたよ?

ですから全然出てないなどの苦情は受け付けない!
(口調が違うなどは良いです。むしろそっちを聞きたいです)

これからはハーミットことよしのn………四糸乃が全面です。
ネタバレと言うか、察しの良い方は分かってるかもですが、四糸乃は一也ではなく士道がデレさせます。

さらりとハーレムタグないですし。やり過ぎたらかぁくん殺されかねません。誰とは言いません。誰とは……
でもこれだと短編のやつできないんですよね。例の王様ゲームですよ。
あれもできれば入れたい。…………まぁなんとかなるか!

それでは、また次回。

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