で、本文ですが少々読みにくくなっているかも。
なんでこうなったと自分で思っています。
それでもよければ、どうぞ。
◇
来禅高校の校庭では、十香と一也の話の最中に乱入してきたASTが、一也と戦って……と言うよりも、上空のガトリング砲から放たれる弾丸の雨を、走ってかわす事をしている。
一也は銃口を向けられてから、コンマ一秒という人間離れした速さで反応する。
「くっ……あいつ本当に人間?あり得ないんだけど」
ASTの隊員が、銃のトリガーを引くのをやめて悪態をつく。
一也は銃弾が止むと、手近にあった残骸から
「どうすんのあれ?威嚇射撃しても退かないし」
「頭がおかしいのか、それとも精霊を守ってるのか」
皮肉を込めて言うASTだが、今の一也は私的に十香と話したいから戦っているのであって、そんな大義ではない。それでも結果的には守ることになっているが。
「関係ない。どうにかして退いてもらう」
今まで黙っていた鳶一折紙がそう言うと、一也に向かって急降下してその時にスラスターや銃器を解除して、その代わりに剣……対精霊用武装を出力を抑え取り出し、切りかかる。
「ヤッバ!」
「ッ…………!」
折紙は、それの一撃を防いだ事を驚いた。
別に一也に驚いたわけではない。驚いたのは彼の持つ鉄パイプだ。
いくら一也が凄くても、対精霊用武装の一撃を防ぐ鉄パイプなんて、普通はあり得ない。
「あなたは………何?」
「僕は僕だ。それ以外あるか?」
「何故、あれを守るの?」
「守ってるわけじゃ無いが、僕も用があるんでね。それが終わるまでは、黙ってて貰いたい」
折紙とそう話している間も一撃を防いで、鍔迫り合いしている一也を訝しげに見ている。それに睨み返すように視線を重ねる一也。
二人の間には、常人なら逃げ出したくなる程の緊張感がある。
「退いて。私はあれを殺さないと」
「だめだ。……残念だが言った通り先約があるんだ。それに殺すなんて簡単に………言うな!」
言い切ると同時に、折紙を弾き返す一也。
だが少し後ろに跳んだ程度で、また走って近づき、一也を切ろうとする。
それを一也はまた鉄パイプで弾く。また切る、また防ぐ。
そんな単純でワンパターンな攻防だが、そのスピードが常人のそれを遥かに越えている。
そんな戦いを仕掛ける方もそうだが防ぐ方、つまり並の人間のはずの一也が出来るのがおかしい。
「に、人間かよ……あれ」
「精霊並みだろ、あの男」
それはここにいるAST隊員も。
「な、なんなのよ……彼は」
「一也………お前は」
上空でモニターしているフラクシナスの琴里や士道も。
「…………………ッ」
そして、教室の窓からそれを見る精霊……十香も。
校庭で繰り広げられる、その戦闘をどう捉えていいのか各々が困惑していた。
そんなとき、十香は背後に殺気を感じた。
「ッ!………」
振り返り防ごうとした瞬間、すでに目の前にミサイルが迫っていた。
一也の戦闘に目を奪われていたせいで、ここまで気付かなかった。
十香はそのまま吹き飛ばされ、派手な音と共に校庭に転がり落ちた。
「くっ!」
「…………ッ!十香ぁぁ!」
多少傷ついてはいるが、すぐに立ち上がる十香に駆け寄る一也。
一也は肩を貸して十香を立ち上がらせる。
「大丈夫か、十香」
「あ、ああ平気だ」
そうして立ち上がり、無事とわかると一也は空にいる彼女らを睨む。
「なぁ……お前ら………理由もなく、襲われる奴の気持ちがわかるか」
「う、うるさい!私達だってこいつに家族や友達を殺された被害者だ」
「そうかもしれないが、それを今やってるのは………どっちだ?殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に最後は平和になるのか?痛みの押し付け合いで、本当に誰かが報われるか?」
「ッ!黙れ!」
一也の言葉に憤った一人が一也と十香に、ガトリングの銃口を向けてトリガーを引いた。
撃ち出された弾丸が、関係無いところにも着弾したため、二人がいた場所から半径五メートル位が土煙に覆われた。
「はぁ…はぁ…はぁ」
「おい、無闇な発砲は……ッ!」
今ので流石に一也の方は死んだと思ったのだろう。
だが実際に土煙が晴れると、そこには無傷の一也がいた。
一也の半径一メートルほどだけ銃痕が無い状態で。
「なッ!あいつは…化け物か」
「まだ……やるのか?……もう、いいだろ。流石に俺も怒るぞ」
「ひっ……」
一也が十香を攻撃したであろうAST隊員に、低い声でそう言って視線を向ける。
それを受けた彼女はたまらずに、空中でよろめいた。
それもそうだろう。一也の目は彼女たちが見たこともないくらいに暗く、そして見られるだけで痛いくらいに突き刺さるほど。その目はまるで全てを消すことを躊躇わない者の目だ。
「落とす。待ってろ」
ザッと一也は地面を蹴るように駆け出した。
一也は校舎の瓦礫に跳びのって、そのまま飛躍して彼女に迫る。
呆然とした彼女が気がついた時にはすでに一也は、目の前にまで来ており反応ができずに、思わず目をつむり、腕で顔を覆うようにして交差させる。
「ふっ」
「きゃ!」
一也はそうした彼女のスラスターの部分のみを鉄パイプで《切った》。
そうして一也は片膝をついて着地、彼女は飛行能力を失って地面に落ちた。
彼はただ本当に彼女を空から落としただけだった。
「切っ………た?ただの鉄パイプで?」
「退け………これ以上は、手加減できる自信がない」
「くっ………全員撤退だ!」
そう言って彼女たちはその場を去っていった。
それを見送った一也は緊張の糸が切れたのか、その場にへたりこむ。
「あふ………疲れた」
「おい、お前大丈夫か?」
「大丈夫じゃ………ない」
そのまま一也はガクッと倒れこんでしまった。
「おい!おい!しっかりしろ!」
薄れていく意識のなかで、一也は十香のこえをなんとか聞き取ろうとしたが、完全に気を失ってしまう。
◇
ここは、どこだ。前にもこんな事が
《ソロソロ退ケ》
ッ!!誰だお前
《オマエコソナンダ?仮面ゴトキガ》
仮面?僕のことか
《ソウダ。タダノ仮面ガ自我ヲ持チヨッテ》
僕は仮面なんかじゃない
《ハ!我ノ体ヲ勝手ニ使イ、ソレデ自分ヲ語ルカ?》
誰だ……誰なんだお前は
《我ハ貴様。貴様ハ我。ソコニハ差ハ無ク、サレド違イガアル》
僕がお前?何を言って
《サァ今コソ立チ替ワリ、入レ替ワロウ。在ルベキ姿へ》
誰がお前なんかと……俺は俺だ!
《?!……ホゥ、マダカ……ヨカロウ今シバラク、ソノ体ヲ預ズケヨウ》
何だいきなり?
《ダガ忘レルナ?ソノ体は貴様のデハ無イコトヲ》
お、おいお前は
《忘レルナ、痛ミガ、悲シミガ、絶望ガ貴様を満タシタ時ニ全ガ終ワリ、ソシテ始マル》
誰なんだ!
《忘レルナ、我等ガ悲願ヲ》
◇
「まて」
「んな!」
今まで寝ていた一也がいきなり起き上がり、様子を見ていた士道と頭がぶつかり、ゴン!とすごい音がした。
「「痛ってーーー!」」
二人して頭を押さえて唸っていると、部屋の扉が開き軍服を着た琴里と令音が入ってきた。
「何してんのよ、バカなの?」
「カズ、まだ安静にしておけ。異常はないが一応な」
ここはどこかと一也は首を左右に回してみる。
その部屋は、白く清潔な印象を受ける。そう、病院のような。
そこのベッドで寝かされて、その上琴里と令音が軍服を着ていると言うことは。
「ここはフラクシナスか?」
「そうよ。十香の近くにいたあんたを回収するのにどれだけ大変だったか」
十香と言う名を聞いて一也は、気を失うまで側にいた少女を思い出す。
「そうだ、十香は?」
「あんたを拾ったあとにロストしたわよ」
そうかと一也は一つほっと息をはいた。
十香が無事な安堵と、作戦が失敗した落胆を込めて。
「士道、あんたはブリッジに出てなさい」
おもむろにそう言った琴里に、士道は何でかと聞き返す。
だが琴里はいいから行きなさい、と今度は少し強めに言って士道を追い出した。
士道が仕方なく部屋を出ていってから、一也は口を開らく。
「あそこまできつくなくても」
「ああでも言わないと、あんたを心配して出ていかないでしょう?」
「そうだろうけど」
「それに、大事な話なの。察しなさいよ……ばか」
「へ?」
いきなり雰囲気が変わった琴里を前に、一也は呆然とする。
あのフラクシナス司令官の琴里が頬を赤らめて、恥ずかしそうに身をよじっている。
こんな状況を士道に見せたらどんな顔をするか。かくいう一也自身も自分の表情がどうなっているのか、よく分からないのだが。
「…………」
「…………」
数分か、数十秒かも知れないが沈黙が部屋に漂う。
一也と琴里は見つめ合い、琴里の少し後ろにいる令音は、軍服の上に羽織った白衣のポケットに両手を入れ、明後日の方向を向いている。
「……………」
「…………ぷっ」
突然琴里が吹き出して大笑いし出した。
一也はまたもや意味が分からずに、相変わらず呆然する。
「あはははは!あぁー笑った。か~ずや、何本気にしているの?」
いつもの嫌みの三割増しでニヤニヤしている琴里を見て、ようやく一也は自分がからかわれたと分かった。
「この小鳥が!僕の純情を還せ!」
「なんか今ものすごく馬鹿にされた気が」
「それは気のせいだ」
「目を泳がせて言っても全然説得力無いけど………まぁおふざけはこれでおしまい。ここからが本題よ。あなた………九十九一也の力について、ね?」
「………………」
「全部モニターしてたわ。……貴方は何者なのか、どんな力を持っているのか」
「後者はお前たちは知っているだろ」
「えぇ、知っていることを知っているわ」
「中学生か!」
「中学生よ?」
そう言われればそうだったと、一也は勝手に自滅したのに落ち込んで布団を被り籠った。
「どっちが中学生よ……いえ、小学生ね」
呆れる琴里の声が聞こえるが、そんなのはどうでもいいと布団から出る気の無い一也。
仕方ないと琴里はその状態で話を続ける。
「まず、あんたのおかしい所は、あの身体能力。あれはまぁ、色々理由が付くとして、次にASTのスラスターを切った鉄パイプ。あれも一応回収したけど、変な細工は無かった。だとすれば残るのは、貴方の力だけよ。これをどう説明するの?」
「……………」
「……………」
黙っていても何も進まないので、一也は仕方なく布団を退けて体を出す。
そして琴里に向き合うようにして、ベッドに座る。
「えっと…………魔法?」
一也がその場を逃れようと、適当に言うと琴里が携帯を取り出してどこかにコールし出した。
「あ、もしもし。誘宵美九さんのお電話ですか?」
「うんがぁぁぁぁぁぁ!!」
美九の名前が出た瞬間に、琴里から携帯を取り上げようとしたが、令音に羽交い締めにされて阻止された。
「はい、はい実はですね、九十九一也さんについてなんですけど」
(死んだ。明日には僕死んだ)
「では替わりますね。ほい」
そう言って放り出された携帯を解放された手で受けとめ、受話器を耳に当てる。
「かぁ~~~くん!無事だった?怪我無い?記憶ある?浮気してない?」
「ひ、久しぶりだな。無事だし、怪我してないし、記憶もある。最後はする相手がいない」
本当に久しぶりな気がする、来禅高校に入るちょっと前から連絡そのものをしていなくて、その上十香と始めて合った日に携帯電話が多分戦闘のせいで壊れてしまい、二人が話すのは本当に久し振りだが。
「よかった~。空間震があったからまさかと思ってましたけど」
「そこまで間抜けじゃないさ」
「でも連絡とれなかったですし~。それに……」
電話の間、美九がどれほど心配していたかを聞いた一也は、すまなかったまた会う時間を作ると言って電話を切り、琴里に携帯を返す。
「ありがとうな」
「別にいいわよ。そのかわりに」
「わかってる。言うよ、ちゃんと」
腹をくくり、話す覚悟を決めた一也。
その顔を見ると、二人は手近にあった椅子に座る。
一也は二人の顔を見て、重い口を開く。
「僕の………力、それは」
「……………」
「……………」
琴里も令音も真剣な顔つきで、一也に視線を向ける。
一也は小さく息を吸って溜め、その一言を絞り出した。
「それは、《事象の反転》させる力」
見ましたアニメ。
なにあの疾走感………終わらせる気満々な気がする
ゲームのPVはなかなか良かったです。
ドラマガでの特集でも情報のってましたが、期待度はなかなか高いです。
予約特典の方が私的に楽しみですけど。
あとは、DVDとBlu-rayの特典とOVAですな。
6月は貯金がぶっ飛びますな(汗
それでは私は学校があるので、更新速度落ちますが次回もお楽しみに。