デリート・オア・ライフ   作:サカズキ

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ライド・ラタトスク

俺の名前は五河士道

 

妹を探しに来ていきなり街にクレーターができた。そんなおかしな状況でも今のところは生きている。生きているが、訳のわからない爆発に、巻き込まれかけ。

隣には来禅高校の制服を着ているが、顔の知らないわからない男。

そんな、なにがなんだか分からない現状にいて頭がおかしくなりそうだ。

 

そして目の前の少女は一体何者なんだ?

斬撃を飛ばしたり、一瞬で目の前に移動したり。

まるで、人間じゃないような行動をとる。

 

けれど、俺はそんな少女に目を奪われた。

その少女の表情はまるで、今にも泣き出しそうな顔をしていたから。

そんな少女は金属音をたて、剣を握りなおした。

 

今の状態は非常に危険だ。

なにしろ、前には精霊がいて後ろには座ったままの士道がいる。

この状態で攻撃されたら、避けることは出来ない。それならと僕は、前の世界での士道を見習うことにする。

 

「おいこら。ちょっとまて」

 

剣を構え直した彼女に、僕は制止を呼び掛ける。

 

「……なんだ?」

 

「そこで不思議そうにしない。てか、なにするんだいきなり!」

 

「ん?それはもちろん殺そうと」

 

「次は当然みたいな顔で………なんでそんなこと?」

 

「そ、そうだ!いきなり殺すなんて」

 

後ろでようやく士道も立ち上がり、必死に声を発する。

 

「そう言われても………当然ではないか」

 

「ーーーおまえたちも、私を殺しに来たんだろう?」

 

「はーーーーーー?」

 

「いやいや、無い無い!!」

 

僕は力一杯否定するように、手を目の前でぶんぶんと振り。

反対に士道はそんな斜め上の解答に、馬鹿みたいに口を開けた。

間抜けだから、その口を三秒でとじてほしいのだけど。

 

「ーーーーー何?」

 

そんな僕たちに少女は、どう言うことかと言うような視線を向けてきた。

そんな時に、僕は近づく気配を察知して、空を見上げる。

それと同時に少女と士道も目をそちらに向けた。

 

「んな………?!」

 

「ありゃ?やばいな」

 

僕は少々困った程度の気持ちだが、士道はかなり困惑しているようだ。と言うよりもそれが正しい反応である。

なんといったて、ボディースーツを着て武装した人が空を飛んでいれば、それは驚く。僕も最初はそうだった。そんな人たちは、持っている武器からミサイルを僕たちに向けて、扇状に発射してきた。

 

「ぅ、わあぁぁぁぁぁぁぁーーッ?!」

 

「うわ、範囲が広いな。手伝うか」

 

そう言うと僕は少女の隣に並び、迫り来るミサイルを睨み付ける。

 

「え…………?」

 

爆発しないことを不思議に思ったのか、僕や少女のしたこと見て、間抜けな声をあげた。

 

「……こんなものは無駄だと、何故学習しない」

 

「マシンガンならともかく、ミサイルは遅いからまだ余裕だな」

 

僕は自分の横を通り抜けていくミサイルにさっと手を触れる。

するとそのミサイルは、なんと着弾しても《爆発しない》。

そして隣の少女はと言うと、剣の無い手を少し上にあげて握る。

そうすると襲ってきたミサイルが、まるでアルミ缶の様にへっこんで、その場で爆発した。

爆発の規模も小さいようで、こちらに爆風や破片が飛んでは来なかった。

空ののやつらは驚いているが、まだまだのようでさらなる量のミサイルを撃ってきた。

 

(いけるか?いや、流石にあの量は無理だろ)

 

僕の力では大量のミサイルからは、自分の身を守ることも出来そうにない。

そのため、下がって少女を盾にするよう事はしたくないが、自分と士道を守ることに徹する。

 

「ーーふん」

 

その声を発した時の彼女は先程の、僕たちを殺そうとしたときの顔と同じだった。

 

「はぁ………………まぁたく」

 

名もない少女のそんな顔を見た僕は、いつかあった日の事を思い出した。

あの災悪の日に出会ったこの少女の事を。

 

(でも、違うのだろうな。結局)

 

目の前の少女は………いや、全ての存在が前とは違う。街も人もそれこそ、その辺にスクラップになった車や街路樹も、全てがあの時とは違う。いい意味でも、悪い意味でも違う。

僕以外は………

 

「…消えろ、消えろ。……………」

 

全て消えろと、そう言いながら彼女はその手の剣を空へと構え、ただ心のままに振り下ろす。

そのひと振りと同時に、突風が吹き荒れる。それはまるで彼女の心のように。

 

「あいつは滅茶苦茶だな!ホントに!」

 

「……うわ!」

 

その斬撃は空を分かつように飛び、空を飛んでいた人達はそれをかわしてその場を去る。

それと同時に、今度はいわゆるビームと言うものが少女に向かって放たれるが、それも四散して弾かれる。

 

「不謹慎だが、ビームいつ見てもガンダムみたいで良いな。それも弾かれてIフィールドみたいだな……」

 

「そんなこと言ってる場合か!何なんだよさっきから!」

 

「そう言うな。これか終われば帰れる」

 

「生きて帰れるのかよ。こんな所にいて………?!」

 

その時、そこに降り立った姿を見て、士道が驚いた顔をする。

それはいわゆる戦闘用パワードスーツみたいなものを着た少女。その手には少々変わった形状の剣を持っていた。それよりも僕は背中の大きなスラスターがかなり気になった。

 

「もしかしてあそこからミノフスキー粒子が……ぶつぶつ」

 

「と、鳶一(とびいち)ーー折紙(おりがみ)……?」

 

僕の純粋な疑問のボケは無視ですかと突っ込みたくなったが、そう言えばと彼女は士道のクラスメートだと言うことを思い出した。そんな彼の言葉に答えるかのように、鳶一折紙はこっちを一瞥した。

 

「五河士道……?」

 

なんで戦場で見つめあってるのだろうか?ここが一年戦争の世界ならジムにやられて死んでるよ?いや、やっぱりザクII 改のジオン側だな。そちらの方が好みだ。

 

「……は?なんだよその格好」

 

「で、やっぱりミノフスキー粒子なのか?」

 

「?……………多分違う」

 

「ですよねー」

 

士道の声は聞こえなかったのか、俺の方の質問に答えてくれた。

そのあと折紙は、すぐに顔を僕たちから目をはずした。

 

「ーーふん」

 

少女は折紙に剣を振り抜いたが、折紙はすぐに斬撃の飛ぶ場所から離れて、そのまま加速して少女に迫る。

 

「少女に少女が迫る。誰かを思い出すな」

 

「そんなこと言ってる場合か!あれどうすんだよ!」

 

士道は目の前で繰り広げられる、精霊の少女と鳶一折紙の激闘を指差す。

その時二人の剣が触れ合い、突如衝撃波が生まれて、僕たちは吹き飛ばされかけたが何とか耐えた。その後、二人は距離を取って、相変わらずに武器を構えてる。

 

(止められないなら仕方ないけど。僕たちを挟んで対峙するのは、やめてほしい)

 

だがそんなことを言えば、声を発した瞬間に睨み合う彼女たちがまた剣を交えるのは必須。

そんな状態で動くこともできず、隣で士道が唾を飲む音が聞こえる。それと同時に、地面を足で擦るような音も聞こえる。大方、逃げようとしているんだろうが、そうは問屋が卸さない。

急に士道のズボンのポケットから、携帯電話の着信音らしきものが響いた。

 

それを合図に地を蹴り、二人は猛スピードで僕たちの目の前で激突する。

 

「ぎゃぁぁぁぁっ!」

 

「うお!よっと」

 

僕は風に合わせて飛ぶように離脱したが、どうやら士道はそのまま転がり塀に頭をぶつけて気絶したらしい。僕は士道に駆け寄り、介抱しようとした瞬間に突如浮遊感に襲われる。

 

 

 

少し薄暗い艦橋のような部屋の中で、何故か僕は尋問を受けていた。

 

「で、あなたは何者なの?」

 

目の前に偉そうに座る赤い髪のツインテール少女が、あまり似合ってない軍服のようなものを着て、チュッパチャップスなる飴をくわえながら聞いてくる。

 

「言っただろ。僕はただの高校生だ!」

 

「その割りには生きてるし、ここの事を驚かないし。不自然なところが多いのよ」

 

「悪いが俺は壁には興味ないんでね」

 

「壁?……………」

 

僕の指差した所に彼女は、ゆっくりと視線を下ろしてすぐに自分の胸に合わせる。

 

「あんた、微塵切りとスライス。どっちが良い?」

 

顔を戻すと少女らしい笑顔だったが、なんせ眼が笑ってない。

 

「ははは!冗談じゃないか」

 

「マジで絞めるわよ。あんた」

 

「不本意だけど、絞められなれてます」

 

そう言うと彼女はうわ!みたいな顔をして身を引いた。

 

(やめてくれ。俺は悪くないんだから)

 

「……連れてきたよ」

 

それの声が入り口の扉から聞こえて、白衣をきた二十歳くらいの女性がいた。

その後ろには五河士道が連れだって入ってきた。

 

「お疲れ様です」

 

僕もさっき紹介された外国人見たいな鼻梁に、かなりのイケメンの人が挨拶していた。

たしか名前は………

 

「ここの副司令官の神無月恭平と申します。以後お見知り置きを」

 

士道は曖昧な返事を返すだけで、あまりピンと来ないらしい。

その神無月さんが俺の目の前の少女を『司令』と呼び掛ける。

 

「ーー歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」

 

「歓迎するなら、茶くらい出せよ!」

 

「……琴里?それにお前も……」

 

「無視かよ!まぁいい。どうも、改めて始めまして。九十九一也です」

 

この時のふたつの事に驚く士道の顔が、おかしかったのは本人は言えない。




どうも、サカズキです

突然ですが最近UAの伸びは良いんですが、お気に入りの方が低迷してます。
仕方無いと言えばそれまでですが。

別にお気に入り登録しなくてもいいので、出来れば0でも構わないので評価を付けていただきたい。そのかわりに0の場合は感想がいりますので、それが嫌な人は一を付けてください。どうか、よろしくお願いします。

それでは、また次回

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