◇
俺の名前は五河士道
妹を探しに来ていきなり街にクレーターができた。そんなおかしな状況でも今のところは生きている。生きているが、訳のわからない爆発に、巻き込まれかけ。
隣には来禅高校の制服を着ているが、顔の知らないわからない男。
そんな、なにがなんだか分からない現状にいて頭がおかしくなりそうだ。
そして目の前の少女は一体何者なんだ?
斬撃を飛ばしたり、一瞬で目の前に移動したり。
まるで、人間じゃないような行動をとる。
けれど、俺はそんな少女に目を奪われた。
その少女の表情はまるで、今にも泣き出しそうな顔をしていたから。
そんな少女は金属音をたて、剣を握りなおした。
◇
今の状態は非常に危険だ。
なにしろ、前には精霊がいて後ろには座ったままの士道がいる。
この状態で攻撃されたら、避けることは出来ない。それならと僕は、前の世界での士道を見習うことにする。
「おいこら。ちょっとまて」
剣を構え直した彼女に、僕は制止を呼び掛ける。
「……なんだ?」
「そこで不思議そうにしない。てか、なにするんだいきなり!」
「ん?それはもちろん殺そうと」
「次は当然みたいな顔で………なんでそんなこと?」
「そ、そうだ!いきなり殺すなんて」
後ろでようやく士道も立ち上がり、必死に声を発する。
「そう言われても………当然ではないか」
「ーーーおまえたちも、私を殺しに来たんだろう?」
「はーーーーーー?」
「いやいや、無い無い!!」
僕は力一杯否定するように、手を目の前でぶんぶんと振り。
反対に士道はそんな斜め上の解答に、馬鹿みたいに口を開けた。
間抜けだから、その口を三秒でとじてほしいのだけど。
「ーーーーー何?」
そんな僕たちに少女は、どう言うことかと言うような視線を向けてきた。
そんな時に、僕は近づく気配を察知して、空を見上げる。
それと同時に少女と士道も目をそちらに向けた。
「んな………?!」
「ありゃ?やばいな」
僕は少々困った程度の気持ちだが、士道はかなり困惑しているようだ。と言うよりもそれが正しい反応である。
なんといったて、ボディースーツを着て武装した人が空を飛んでいれば、それは驚く。僕も最初はそうだった。そんな人たちは、持っている武器からミサイルを僕たちに向けて、扇状に発射してきた。
「ぅ、わあぁぁぁぁぁぁぁーーッ?!」
「うわ、範囲が広いな。手伝うか」
そう言うと僕は少女の隣に並び、迫り来るミサイルを睨み付ける。
「え…………?」
爆発しないことを不思議に思ったのか、僕や少女のしたこと見て、間抜けな声をあげた。
「……こんなものは無駄だと、何故学習しない」
「マシンガンならともかく、ミサイルは遅いからまだ余裕だな」
僕は自分の横を通り抜けていくミサイルにさっと手を触れる。
するとそのミサイルは、なんと着弾しても《爆発しない》。
そして隣の少女はと言うと、剣の無い手を少し上にあげて握る。
そうすると襲ってきたミサイルが、まるでアルミ缶の様にへっこんで、その場で爆発した。
爆発の規模も小さいようで、こちらに爆風や破片が飛んでは来なかった。
空ののやつらは驚いているが、まだまだのようでさらなる量のミサイルを撃ってきた。
(いけるか?いや、流石にあの量は無理だろ)
僕の力では大量のミサイルからは、自分の身を守ることも出来そうにない。
そのため、下がって少女を盾にするよう事はしたくないが、自分と士道を守ることに徹する。
「ーーふん」
その声を発した時の彼女は先程の、僕たちを殺そうとしたときの顔と同じだった。
「はぁ………………まぁたく」
名もない少女のそんな顔を見た僕は、いつかあった日の事を思い出した。
あの災悪の日に出会ったこの少女の事を。
(でも、違うのだろうな。結局)
目の前の少女は………いや、全ての存在が前とは違う。街も人もそれこそ、その辺にスクラップになった車や街路樹も、全てがあの時とは違う。いい意味でも、悪い意味でも違う。
僕以外は………
「…消えろ、消えろ。……………」
全て消えろと、そう言いながら彼女はその手の剣を空へと構え、ただ心のままに振り下ろす。
そのひと振りと同時に、突風が吹き荒れる。それはまるで彼女の心のように。
「あいつは滅茶苦茶だな!ホントに!」
「……うわ!」
その斬撃は空を分かつように飛び、空を飛んでいた人達はそれをかわしてその場を去る。
それと同時に、今度はいわゆるビームと言うものが少女に向かって放たれるが、それも四散して弾かれる。
「不謹慎だが、ビームいつ見てもガンダムみたいで良いな。それも弾かれてIフィールドみたいだな……」
「そんなこと言ってる場合か!何なんだよさっきから!」
「そう言うな。これか終われば帰れる」
「生きて帰れるのかよ。こんな所にいて………?!」
その時、そこに降り立った姿を見て、士道が驚いた顔をする。
それはいわゆる戦闘用パワードスーツみたいなものを着た少女。その手には少々変わった形状の剣を持っていた。それよりも僕は背中の大きなスラスターがかなり気になった。
「もしかしてあそこからミノフスキー粒子が……ぶつぶつ」
「と、
僕の純粋な疑問のボケは無視ですかと突っ込みたくなったが、そう言えばと彼女は士道のクラスメートだと言うことを思い出した。そんな彼の言葉に答えるかのように、鳶一折紙はこっちを一瞥した。
「五河士道……?」
なんで戦場で見つめあってるのだろうか?ここが一年戦争の世界ならジムにやられて死んでるよ?いや、やっぱりザクII 改のジオン側だな。そちらの方が好みだ。
「……は?なんだよその格好」
「で、やっぱりミノフスキー粒子なのか?」
「?……………多分違う」
「ですよねー」
士道の声は聞こえなかったのか、俺の方の質問に答えてくれた。
そのあと折紙は、すぐに顔を僕たちから目をはずした。
「ーーふん」
少女は折紙に剣を振り抜いたが、折紙はすぐに斬撃の飛ぶ場所から離れて、そのまま加速して少女に迫る。
「少女に少女が迫る。誰かを思い出すな」
「そんなこと言ってる場合か!あれどうすんだよ!」
士道は目の前で繰り広げられる、精霊の少女と鳶一折紙の激闘を指差す。
その時二人の剣が触れ合い、突如衝撃波が生まれて、僕たちは吹き飛ばされかけたが何とか耐えた。その後、二人は距離を取って、相変わらずに武器を構えてる。
(止められないなら仕方ないけど。僕たちを挟んで対峙するのは、やめてほしい)
だがそんなことを言えば、声を発した瞬間に睨み合う彼女たちがまた剣を交えるのは必須。
そんな状態で動くこともできず、隣で士道が唾を飲む音が聞こえる。それと同時に、地面を足で擦るような音も聞こえる。大方、逃げようとしているんだろうが、そうは問屋が卸さない。
急に士道のズボンのポケットから、携帯電話の着信音らしきものが響いた。
それを合図に地を蹴り、二人は猛スピードで僕たちの目の前で激突する。
「ぎゃぁぁぁぁっ!」
「うお!よっと」
僕は風に合わせて飛ぶように離脱したが、どうやら士道はそのまま転がり塀に頭をぶつけて気絶したらしい。僕は士道に駆け寄り、介抱しようとした瞬間に突如浮遊感に襲われる。
◇
少し薄暗い艦橋のような部屋の中で、何故か僕は尋問を受けていた。
「で、あなたは何者なの?」
目の前に偉そうに座る赤い髪のツインテール少女が、あまり似合ってない軍服のようなものを着て、チュッパチャップスなる飴をくわえながら聞いてくる。
「言っただろ。僕はただの高校生だ!」
「その割りには生きてるし、ここの事を驚かないし。不自然なところが多いのよ」
「悪いが俺は壁には興味ないんでね」
「壁?……………」
僕の指差した所に彼女は、ゆっくりと視線を下ろしてすぐに自分の胸に合わせる。
「あんた、微塵切りとスライス。どっちが良い?」
顔を戻すと少女らしい笑顔だったが、なんせ眼が笑ってない。
「ははは!冗談じゃないか」
「マジで絞めるわよ。あんた」
「不本意だけど、絞められなれてます」
そう言うと彼女はうわ!みたいな顔をして身を引いた。
(やめてくれ。俺は悪くないんだから)
「……連れてきたよ」
それの声が入り口の扉から聞こえて、白衣をきた二十歳くらいの女性がいた。
その後ろには五河士道が連れだって入ってきた。
「お疲れ様です」
僕もさっき紹介された外国人見たいな鼻梁に、かなりのイケメンの人が挨拶していた。
たしか名前は………
「ここの副司令官の神無月恭平と申します。以後お見知り置きを」
士道は曖昧な返事を返すだけで、あまりピンと来ないらしい。
その神無月さんが俺の目の前の少女を『司令』と呼び掛ける。
「ーー歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」
「歓迎するなら、茶くらい出せよ!」
「……琴里?それにお前も……」
「無視かよ!まぁいい。どうも、改めて始めまして。九十九一也です」
この時のふたつの事に驚く士道の顔が、おかしかったのは本人は言えない。
どうも、サカズキです
突然ですが最近UAの伸びは良いんですが、お気に入りの方が低迷してます。
仕方無いと言えばそれまでですが。
別にお気に入り登録しなくてもいいので、出来れば0でも構わないので評価を付けていただきたい。そのかわりに0の場合は感想がいりますので、それが嫌な人は一を付けてください。どうか、よろしくお願いします。
それでは、また次回