ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode95 洞窟に隠れ潜む者

俺たちが旅のとびらを通ってラダトーム城に戻ってきた後、アメルダは歩きながら城にある部屋を眺めていた。

アメルダのこの城を気に入っているようだが、マイラと違って温泉がないのを残念に思っているようだ。

 

「ここ、なかなかいいところだけど、温泉はないみたいだね」

 

「ああ、アレフガルドで温泉があるのはマイラだけだからな」

 

ラダトームはマイラと違って、温泉が沸いている場所がない。

アメルダは温泉がとても好きだと荒くれたちも言っていたので、今でも毎日入らないと気がすまないのかもしれない。

 

「そうかい···残念だけど、仕方ないみたいだね」

でも、ラダトームに住むのが絶対に嫌だとは思っていないようだった。

温泉の話の後、アメルダも俺が竜王を倒しに行くのかと聞いてきた。今まで復興させてきた町の人々はみんな、俺が竜王を倒すと期待しているようだな。

 

「ところで、いよいよアンタが竜王をぶっ倒しに行く時なんだろう?」

 

「ああ、竜王を倒せばアレフガルド全域に光が戻るはずだからな」

 

俺は、ロロンドやエルに聞かれた時と同じように、自分が竜王を倒しにいくと答えた。

ここまでアレフガルドを復興させてきたのだから、闇の元凶である竜王と裏切り勇者を倒さずに終わるのは絶対に嫌だ。

どちらが先でもいいが、2体とも倒さなければアレフガルドに平和が戻ることはないだろう。

アメルダは裏切り勇者のことは知らないようだが、俺が竜王を倒しに行くと聞いて嬉しそうな表情をする。

 

「アンタならそう言ってくれると思っててね、アタシたちはマイラに古くから伝わる伝説の剣、おうじゃのけんの作り方を調べておいたんだ」

 

そう言えばラスタンは、竜王を倒すにはおうじゃのけんと言う伝説の武器が必要だと言っていたな。

おうじゃのけんがあれば確実に勝ち目は高くなるので、必ず作っておいたほうがいいな。

 

「それで、作り方が分かったのか?」

 

「ああ、今すぐアンタに伝えたいけど時間がかかるから、先に旅の疲れを癒させておくれ」

 

おうじゃのけんは今日中に作らないといけない訳ではないので、休んでからでもいいだろう。

アメルダだけでなく、俺も戦いでかなり疲れているので、今日は休んでおいたほうがいいな。

俺が寝室に向かっていると、ローラ姫は三賢者を連れてきたことのお礼を言いたいようで、話しかけてきた。

 

「雄也様、三人の賢者を全員お連れくださったのですね!本当にありがとうこざいます」

 

「ああ、三人は俺の大事な仲間たちだからな、助けることが出来て良かったぜ」

 

最初はあいつらが三賢者だとは思っていなかったけど、また会えたことはとても嬉しいぜ。

ローラ姫は、これで竜王を倒す準備がまた一つ進んだとも言った。

 

「三賢者がラダトームに持ってきたのは、竜王を倒す鍵となる聖なるほこらと虹のしずくを作るのに必要な物だそうです。雄也様の責務である竜王討伐の準備も、達成に近づいてきましたね」

「そうだな。まだ時間がかかりそうだけど、全ての準備が整ったら俺が竜王を倒しにいくぜ」

 

虹のしずくだけでなく、聖なるほこらという物も作らないといけないのか。

聖なるほこらはドラクエ1で虹のしずくを持っている賢者がいた場所のことだから、それを再建しろと言うことなんだろうな。

そして、準備が整ったら竜王の島に行って、奴を倒すと言うことだな。

でも、俺が竜王を倒すと言うとローラ姫は、ルビスが俺は竜王を倒す存在ではないと言っていたことを伝えてきた。

 

「あなたのお仲間の皆様も、雄也様が竜王を倒すと信じておられました。ですが、精霊ルビスはあなたは竜王を倒す存在ではないと言っています」

ルビスは竜王を倒すのは次に現れる勇者だと言っていたが、そうなればその人も人々の重すぎる期待に絶望し、世界を裏切るかもしれない。

そうならないためには、俺が竜王を倒しに行くしかないだろう。

 

「ムツヘタの言うように、人にはそれぞれ与えられた役割があって、全てはルビスの導きのままにと言うことなのでしょうか?」

 

「それは違うぞ。確かに俺はルビスの導きでアレフガルドに来たけど、町を復興させてきたのは自分の意思だからな」

 

たとえルビスであっても、人の人生を勝手に決める権利は決してない。その権利があったとしたら、精霊でも何でもなく、ただの独裁者のようなものだ。

「雄也様ならそう言ってくれると思っていました。今は兎に角、竜王を倒す準備を進めて行きましょう」

 

俺はローラ姫が喜んでいるのを見てから話を終えて、寝室に戻っていく。

今日はとても疲れたので、午後からは特に何もせずにゆっくり休んでいた。

 

ラダトームに来て7日目の朝、俺は起きた後寝室から出て城の中を歩いていた。今日でラダトームに来てからもう1週間になるんだな。

今日もラダトーム城の再建や、竜王を倒す準備を進めて行こうと思っていると、同じくらいの時間に部屋から出てきたアメルダに話しかけられた。

 

「おはよう、雄也!一晩休んで疲れがとれたし、今日こそアンタに竜王を倒すための伝説の剣、おうじゃのけんの製法を教えるよ」

昨日アメルダはおうじゃのけんの作り方を教えると言っていたが、結局寝てしまって聞くことが出来なかったな。

でも、今日は俺も疲れが取れているので、おうじゃのけんの素材を集めに行くことが出来るだろう。

非常に固い金属なども使いそうだが、まほうの玉があるので採掘できそうだ。

 

「分かった、さっそく作り方を教えてくれ。必要な素材が分かったら、すぐに取りに行ってくるぜ」

 

そう返事をすると、アメルダはおうじゃのけんの形や作り方を俺に教え始めた。

かなりたくさんの素材が要りそうだが、ビルダーの魔法を使えばすぐに作れるだろう。

俺はアメルダから聞いたおうじゃのけんの形を頭に思い浮かべて、必要な素材を調べた。

おうじゃのけん···オリハルコン3個、はがねインゴット2個、金1個、銀1個、染料1個 神鉄炉と金床

はがねインゴット、金、銀はポーチに入っているし、染料もすぐに作れるので、あとはオリハルコンを手に入れれば作れるだろう。

アメルダは、俺に作ることができそうか聞いてくる。

 

「どうだい雄也?おうじゃのけんは作れそうかい?」

 

「オリハルコンって言う固い金属が必要だけど、作れるはずだぞ」

 

オリハルコンは、この前ロロンドを救出しに行った砂漠地帯にある洞窟を調べれば見つかるかもしれないな。

砂漠までは結構距離があるが、強力な武器であるおうじゃのけんを作るためなので行くしかないな。

「それなら、さっそく素材を集めておうじゃのけんを作っておくれ!」

 

「ああ、作ったらすぐに教えるぜ」

 

俺はアメルダにそう言って、赤色の旅のとびらに向かった。とびらを抜けると、各地方が入り混じった不思議な場所にたどり着く。

洞窟がある砂漠地帯までは30分くらいかかるけど、歩いて行けるだろう。

俺は途中にいる魔物たちを回避しながら進んでいき、旅のとびらの右にある砂漠地帯を目指していった。

そして、魔物と戦うことなく無事に砂漠まで来ることが出来た。

 

「少し時間はかかったけど、砂漠地帯に着いたな。でも、洞窟まではもう少し歩かないといけないな」

俺は広い砂漠を岩山に向かって歩いていき、15分くらいで洞窟の入り口へ着いた。

洞窟はかなり奥まで続いており、珍しい金属がたくさん眠っていそうだった。

 

「この洞窟にならオリハルコンもありそうだし、入ってみるか」

 

洞窟に入っていくと、壁は黒い岩でできていて中は少し暗く、いくつかの段差もあって進みにくかった。

途中で道が二手に分かれている場所もあり、どっちにも何かありそうだが、まずは俺は左の道を進んでいく。

そして、その奥へ進んでいくと、オリハルコンや銀の鉱脈がたくさん眠っている場所を見つけた。

それに、オリハルコンや銀だけでなく、リムルダールで見た赤い宝石や、初めて見る青色の金属も埋まっていた。

「やっぱりここにオリハルコンがあったか。赤い宝石や青い金属も何か素材になりそうだし、一緒に採掘しておくか」

 

俺はポーチからまほうの玉を取り出して、それらの鉱脈の近くに設置する。

置いた後はすぐにその場から離れて、3秒くらい経つとまほうの玉は激しく炸裂し、たくさんの鉱脈を砕いていった。

爆発が起こったところを見ると、黒い岩のブロックやオリハルコン、銀、赤い宝石、青色の金属と言った鉱物が大量に落ちている。

これでオリハルコンは3つ以上集まったので、戻ったらすぐにおうじゃのけんを作れるな。

でも、俺は洞窟が二手に別れているところの、右側の道も調べようと思っていた。

 

「これで素材は集められたけど、右の道にも行ってみるか」

 

集めた鉱石をポーチにしまった後、俺は洞窟が別れていたところまで戻り、右側の道へ歩いていった。

左側にはなかった別の素材が見つかるかもしれないので、こっちも調べておいたほうがいいだろう。

しかし、そっちの道は俺の予想と違って一番奥に行っても何も鉱脈が埋まっていなかった。

 

「あれ?こっちには何もないみたいだな」

 

俺は何もないのを見て帰ろうと思っていたが、洞窟の壁から不思議な声が聞こえてきたのだ。

 

「クルナ···クルナ···」

 

魔物の攻撃に怯えている誰かが隠れているのかもしれないな。

来るなとは言っているが、ラダトームの城に連れていけるかもしれないので、俺はおおかなづちで壁を叩き壊す。

すると、そこには毒沼の近くにいるカタツムリ型の魔物、ドロルがいた。

このドロルは喋ることが出来るらしく、俺に話しかけてきた。

 

「おや?竜王様の使者かと思ったら、人間ではないですか」

 

「普通に話しかけてくるってことは、あんたは竜王の味方ではないみたいだな」

 

魔物でありながら竜王に怯えていると言うことは、メルキドのスラタンのように、人間の味方をしているのだろうか?

 

「はい、自分で言うのも何ですが、ワタシは心の優しいドロルでございまして。人間と争うのが嫌でこんなところに身を潜めていたのです」

やっぱりこのドロルは人間の味方のようだな。だから人間と仲良くなるために、人間の言葉を覚えたのだろう。

暗い洞窟の奥にずっと隠れているのも嫌だろうから、ラダトーム城に連れて行けばいいかもしれないな。

 

「それなら、俺たちが作っている城に来ないか?その場所ならここより安全だと思うぞ」

 

「おお、それは本当ですか!?ありがとうございます!この姿ではご不満かもしれませんが、これなら大丈夫でしょう」

 

俺がそのことを言うとドロルはとても喜んで感謝の言葉を言う。

その後、俺は今の姿でも構わないぞと伝えようと思ったが、ドロルは突然人間の兵士の姿へと変わった。

人間と仲良くなるために人間に化けることも身に付けたなんて凄い奴だな。

 

「ワタシは、チョビと言います。サア、あなたたちの城へ連れてってください!」

 

「ああ、人間の味方をしてくれるのなら魔物でも歓迎するぜ!」

 

確かに兵士の姿であれば、城を攻めてくる魔物とも戦うことが出来るだろうから、その方がいいのかもしれないな。

俺はチョビと名乗るドロルと一緒に洞窟から砂漠地帯へ出て、そこから45分くらい歩いて旅のとびらへ戻っていった。

人間の味方だと言うことが分かれば、みんなもチョビを城を再建する仲間として迎え入れてくれるだろう。


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