ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺はあまぐものつえを取り返した後、エルを連れてラダトームの城へと戻ってきていた。毒沼の塔から旅のとびらまではかなりの距離があったので、城にたどり着いた頃にはもう夕方になっていた。
ラダトーム城に初めて来たエルは、さっきのロロンドと同じようにいくつかの部屋を見回している。
「おお、ここがラダトームのお城!どこもかしこも雄也様らしい素敵な建物で溢れていますね!」
「ああ、ここの人たちと一緒に復興させてきたんだ」
どうやらエルは気に入ってくれているみたいだな。
みんなの力があれば、ラダトームもこれまでの町と同じくらい発展した場所に出来るだろう。
そんなことを考えていると、エルは俺なら竜王を倒すことが出来ると言ってきた。
「さすがは雄也様ですね。あなたなら必ず竜王も倒せるでしょう!」
「ああ、竜王はとても強いだろうけど必ず倒せるはずだぜ」
これまで何体も強大な魔物を倒してきた俺たちの力があれば、魔物の王である竜王を倒すことも夢ではないだろう。
「今のアレフガルドで竜王を倒すことが出来るのはあなただけだと思います!竜王を倒して、この闇に閉ざされた世界をお救いください」
エルも俺に期待してくれているみたいだし、頑張らないといけないな。
もちろん竜王を倒しても全てが解決する訳ではないが、とりあえずアレフガルド全域に光を取り戻すことが出来るだろう。
「ですが、今日は雄也様もお怪我をしておられるので、休んだ方がよいでしょう」
俺は竜王を倒す話で盛り上がっていたが、エルはそう言った。
今日はあと一人の三賢者も連れてくる予定だったが、傷が完全に治っている訳ではないし、もうすぐ真っ暗な夜になるので休んだほうがいいな。
「確かに、今日は大変だったし休むことにするよ。明日からまた、竜王を倒す準備を進めていこう」
俺はそこでエルと別れて寝室に戻り、残りの三賢者が魔物に襲われていないことを祈りながら眠りについた。
ラダトームに来て5日目の朝、エルが塗ってくれたきずぐすりのおかげで腕の傷はほとんど消えていた。これなら魔物に襲われたとしても思いきり戦うことが出来るだろう。
残りの三賢者の居場所はオーレンが知っているはずなので、俺はさっそく城の中を歩いている彼に話しかけた。
まだ朝早い時間なので、オーレンは眠そうな顔をしている。
「オーレン、朝早くから悪いんだけど、聞きたいことがあるんだ」
「どうなさったのですか、雄也様?」
オーレンが眠そうな顔からいつもの顔に戻るのを見て、俺は三賢者の居場所についての話を始めた。
「あんたがこの前言っていた、三賢者の居場所を教えて欲しいんだ。ローラ姫から、行方を突き止めたって聞いたぞ」
「はい、少し時間はかかりましたが、何とかルビスの命でここに向かう三賢者の一人の居場所が分かりました」
オーレンが行方を知っているのは、マイラの代表としてラダトームに来ている人だろう。
オーレンはさっそく、三賢者の最後の一人の居場所を俺に教えてくれた。
「三賢者は、この城から少し離れた場所にある火山地帯にいるはずです」
ラダトームの近くの火山地帯か···多分、赤色の旅のとびらを抜けたところの右に見えた火山のことだろう。
行ったことはないが、場所は分かるので迷わずに行くことができそうだ。
「分かった。旅のとびらを使えば行ける場所だし、三賢者を探してくるぜ」
「頼みましたよ、雄也殿。火山地帯で三賢者の一人を探してきてください!」
俺はすぐに武器を持って、城の端に置いてある赤色の旅のとびらに入る。
とびらを抜けた後右を見るとかなり遠くに火山地帯があり、たどり着くには結構時間がかかりそうだった。
「火山地帯までは距離があるみたいだけど、歩いて行くしかないな」
三賢者を助けに行くため、俺は火山地帯へ向かって歩き始めた。
旅のとびらから灰色の大地を右に進んでいき、途中にいる魔物たちを避けながらラダトームの火山へと近づいていく。
2キロメートルくらいの距離があり、昨日毒沼に向かった時より時間がかかるが、30分ほど歩き続けて火山地帯にまで来ることが出来た。
「やっとオーレンが言ってた火山地帯に着けたな。ここのどこかに、三人目の賢者がいるはずなんだよな」
火山も砂漠や毒沼と同じくらい広く、人を探すのは大変そうだが、俺はとりあえず探索を開始した。
そこにはマイラでも見たことのあるとうがらしが生えていて、魔物は多くの触手を持つメーダとその上位種のメーダロード、キャタピラーの色違いのかえんムカデが生息していた。
「初めて見る魔物も結構いるな。強い魔物だらけだし、戦いは避けて行こう」
俺はいつも通り魔物の群れを避けながら、たくさん生えているとうがらしを集めていく。
とうがらしはラダトームでは貴重な食材なので、今の内に集めておいたほうが良さそうだからな。
でも、とうがらしはいくらでも見つけられるが三賢者は見つからない。
「マグマの近くにも探しにいってみるか」
俺は三賢者を見つけるために、マグマの近くへ歩いていった。
すると、マグマの池の中に魔物の城のような物が建っており、そこへ登っていく長い階段を見つけられた。
上の様子を見ることは出来ないが、三賢者が魔物と戦っているかもしれないな。
「こんなところにも魔物の城があるのか。ここに三賢者がいるかもしれないし、行ってみるか」
魔物がいるだろうから、俺は武器を構えて目の前にある階段を登っていく。何十段もある階段だったが、俺は疲れずに登ることが出来た。
階段の上には奥の建物に続く道があり、そこに荒くれのリーダー、アメルダの姿があった。
アメルダの後ろには大砲が置いてあり、彼女がマイラから持ってきたものだろう。
アメルダは3体のメーダに襲われていたが、ひかりのつるぎを持っているのに戦おうとせず、怯えているだけだった。
「マイラからはアメルダが来てたのか。メーダに襲われてるみたいだから、助けに行かないとな」
どうしてアメルダがメーダと戦おうとしないのかは分からないが、兎に角助けに向かわないと危ない。
俺ははがねのつるぎとおおかなづちを構えて、メーダの群れに向かって行った。
「アメルダ、今助けるぞ!」
俺がアメルダの所に向かっていくと、メーダたちは俺に気づいてビームを放ってくる。
リムルダールで農業の記録を守っていた奴より小さい個体なので、かわすことは簡単だった。
俺はビームを避けてメーダの背後にまわり、思いきり武器を叩きつける。次の攻撃が来る前に何度も斬り裂き、1体を倒すことが出来た。
「メーダはそんなに強くないみたいだな。残りの2体も倒してやるぜ」
これなら、すぐにメーダを全滅させてアメルダを助けられるだろう。
しかし、メーダと戦っている俺の耳に別の魔物が呪文を唱える声が聞こえてきた。
「ベギラマ!」
その瞬間、俺の左右から大きな炎が飛んでくる。俺はすぐに気づいて炎を避けることが出来たが、誰が呪文を唱えたんだ?
見てみると、俺がいる場所の左右にも足場があり、そこにいるだいまどうがベギラマの呪文を唱えていたようだ。
それにだいまどうだけでなく、俺がいる場所の奥と右の足場に1体、左の足場に2体、合計4体のメーダロードがいた。
「だいまどうとメーダロードもいるのか···厄介なモンスターだらけだな」
俺たちが奴らの攻撃を避けていると、俺に気づいたアメルダが10発のまほうの砲弾を渡してきた。
「ア、アンタは雄也かい?この砲弾を使って奴らを倒しておくれ。アタシはメーダが苦手で戦えないのさ」
だからアメルダはメーダやメーダロードと戦えなかったのか。あんなに強い荒くれのリーダーなのに苦手な魔物がいるとは知らなかったぜ。
一人で戦わなければいけなさそうだが、まほうの砲弾があれば左右の足場にいる魔物も倒すことが出来るだろう。
俺はまほうの砲弾をさっそく使おうと思うが、近くにいるメーダが至近距離でビームを放ってくる。
「先に近くにいるメーダを倒さないといけなさそうだな」
俺は残り2体のメーダを倒すために、大きくジャンプして奴らの後ろへ回り込む。
そして、だいまどうのベギラマをかわした後の一瞬の隙に力を溜めて、回転斬りを叩き込む。
「回転斬り!」
二刀流での回転斬りを受けて、2体のメーダは青い光に変わって消える。
しかし、すぐに次の攻撃が来るので俺は大砲にまほうの砲弾をセットして、通路の奥にいるメーダロードに向かって撃ち放った。
「メーダを倒せたところだし、あいつらも大砲で吹き飛ばしてやるぜ」
メーダロードはまほうの砲弾が直撃し、大きなダメージを受ける。しかし、かなり防御力が高いようで一撃では死ななかった。
メーダロードが攻撃されたことに怒っただいまどうたちは、さっきより激しくベギラマの呪文を唱えてくる。
「我らの仲間を攻撃するとは許せぬ! 燃え尽きろ、ビルダーめ!」
だいまどうは防御力が低そうなので、まほうの砲弾を使えば一撃で倒すことが出来そうだ。一撃で死ななくても、衝撃でマグマに落ちて燃えるだろう。
メーダロードよりも先にだいまどうを倒した方がよさそうなので、俺はおおかなづちで大砲を回収する。
そして、だいまどうの前に設置した瞬間に発射スイッチを押す。
「だいまどう、燃え尽きるのはお前のほうだぜ!」
だいまどうも直前にベギラマを放ったがまほうの砲弾を防ぐことは出来ず、奴は吹き飛ばされてマグマに落ちていく。
だいまどうはマグマによって燃やされ、光を放って死んでいった。
「だいまどうもあと一体になったな。あいつもこの大砲で吹き飛ばしてやるぜ」
反対側にいるだいまどうは、俺の大砲を食らわないために移動しながらベギラマの呪文を唱え続ける。
だが、呪文の使いすぎで魔力が尽きて、ベギラマが使えなくなり、だいまどう自身の動きも鈍くなっていた。
俺は今がチャンスだと思い、奴に向かって大砲を発射した。
「お前もマグマの池に落としてやるぜ!」
その一撃をだいまどうは避けきれず、爆風でマグマに落ちていく。
これで、俺の目の前にいるのは4体のメーダロードだけになった。
「あとはメーダロードだけだな。まほうの砲弾を使って1体ずつ倒していくか」
左右にいるメーダロードは大砲を使わないと倒せなさそうだが、通路の奥にいる奴は弱っているし、剣でも倒せそうだ。
俺はメーダロード放つのビームを避けたり、武器を使って防いだりしながら近づいていき、奴の目にはがねのつるぎを突き刺す。
目に深いダメージを負ったメーダロードは生命力が尽きて消えていく。これで、あとは左右にいる奴らだけだ。
「まほうの砲弾はまだ残っているし、このまま倒してやるぜ」
俺は大砲を移動させながらメーダロードを撃っていき、次々に撃ち倒していく。
奴らもさっきのだいまどうのようにビームの撃ちすぎで動きが鈍っていたので、大砲を回避することは出来ない。
防御力は高いがまほうの砲弾を2発受けると耐えられず、3体とも倒れて消えていった。
魔物たちが全滅したのを見て、怯えていたアメルダが俺に近づいてきた。
「さすがだよ、雄也!メーダたちを全滅させることが出来たみたいだね!」
「ああ、結構強い奴らだったけど、何とか倒すことが出来たぜ」
メーダロードを全て倒した時にはまほうの砲弾は残り一つになっていて、俺も動き続けてすごく疲れたぜ。
でもこれで、三賢者を全員見つけることが出来たな。
俺がそう思っていると、アメルダはメーダに怯えていたことを謝る。
「でも、メーダが怖くて雄也に任せっきりになって、本当に悪かったね···」
「別に気にしなくていいぞ。まほうの砲弾が残り1個になったけど、無事に倒すことが出来たからな」
アメルダは申し訳なく思っているようだが、俺はそこまで気にしていない。
誰にでも苦手なものはあるはずなので、仕方のないことだろう。
「それならよかったよ。ところで、どうしてアンタはここに来たんだい?」
「竜王を倒す伝説の道具を持った三賢者を探しているんだけど、あんたがそうみたいだな」
俺はアメルダに、自分が三賢者を探しにここに来たことを伝える。
アメルダは、マイラの空の闇を晴らすのに使ったたいようのいしを持っているのだろう。
俺は一緒にラダトームの城へ帰ろうと思ったが、アメルダはたいようのいしが魔物に奪われていると言ってきた。
「実はそのことなんだけど、アンタに渡すために持ってきたたいようのいしを魔物どもに奪われちまってね。この奥の建物の中に隠されているはずなんだ」
それなら、ラダトームに戻る前にたいようのいしを取り返しておくべきだな。
俺は疲れているが、一度戻ってしまうと竜王は再びここに魔物を派遣するだろう。
「じゃあ、たいようのいしを手に入れたらラダトームの城に行こう」
「ああ、一緒に戦うのは久しぶりだけど、アタシたちなら取り返せるはずだよ」
俺はたいようのいしを取り返すために建物の中に入っていった。建物の中は一本道で、奥の部屋に宝箱が置かれている。
魔物の姿はないのだが、恐らくは宝箱を開けると出現する仕組みになっているのだろう。
「アメルダ、あの宝箱を開けたら魔物が出てくるはずだから、気をつけてくれ」
「ああ、どんな魔物が出るか分からないけど、アタシたちなら勝てないはずはないよ」
俺はアメルダがひかりのつるぎを構えたのを見て、宝箱を開く。すると、案の定罠だったようで、5体のかげのきしが俺たちの回りに現れた。
だが、それだけでなく宝箱自体も魔物だったようで、鋭い牙を持つ箱型の魔物、ミミックに変化した。
「かげのきしとミミックか···かげのきしは戦ったことがある奴らだし、倒せそうだな」
俺のところにはミミックとかげのきしが2体が、アメルダのところにはかげのきしが3体襲いかかってきた。
かげのきしは鋭い剣で斬りかかってきて、ミミックは牙で噛みついてくる。
「たいようのいしは渡さんぞ!」
「ビルダーも荒くれの女も、ここでオレたちが斬り刻んでやるぜ!」
俺は両側から斬りつけてくる2体のかげのきしを、はがねのつるぎとおおかなづちで受け止める。
希望のはたがあった魔物の城にいたかげのきしと強さはあまり変わらないが、ミミックの攻撃が来たため弾き返すことは出来なかった。
俺は後ろに飛んで回転斬りを使おうとしてみるが、ミミックは予想以上に早く移動してきて、力を溜めることが出来ない。
「回転斬りも使えないようだから、攻撃を避けながら少しずつ削っていくしかなさそうだな」
俺は少しづつ奴らを攻撃していく作戦に変えて、かげのきしの剣やミミックの牙を回避しながら、何度も武器を降り下ろしていった。
だが、奴らもそう簡単に倒れることはなく、俺に向かって素早い連続攻撃を放ってくる。
さっきの戦いの疲れもあって、俺は動きが鈍くなってきていた。
「やっぱりそう簡単に倒せる相手じゃないみたいだな。回転斬りを決められるチャンスでもあればいいんだけどな」
俺も苦戦しているが、アメルダは3体のかげのきしに囲まれて厳しい状況になっていた。
マイラの魔物も非常に強い奴だらけだったけど、竜王の城に近いラダトームの魔物はそれ以上の強さがあるからな。
アメルダはひかりのつるぎで確実にかげのきしたちにダメージを与えてはいるが、反撃を受けて何ヵ所か傷を負っていた。
「ここの魔物は、思っていたより強いみたいだね」
俺も攻撃を避けてかげのきしやミミックを攻撃し、弱らせてきてはいるが倒すのにはまだかかるだろう。
それまでに俺の体力が持つかどうか分からないし、アメルダも追い詰められているので、何とかしないといけないな。
「まほうの砲弾が一つ残っていたはずだから、それを使ってあいつらを倒すか」
メーダロードを倒した時に残ったあと一つの砲弾を使うしかなさそうだな。
俺はかげのきしたちの攻撃をかわしながら、アメルダにまほうの砲弾を使うことを伝えた。
「アメルダ、このままだと勝てないかもしれないから、最後のまほうの砲弾を使うぞ!」
「まほうの砲弾をラダトームに持って行きたかったけど、こうなったら仕方ないみたいだね」
俺たちは走って魔物たちから離れて、奴らに向かってまほうの砲弾を設置する。あいつらも弱っているはずなので、大砲を使えば一気に倒すことができるだろう。
そして、俺がまほうの砲弾をセットした次の瞬間、アメルダが大砲の発射スイッチを押す。
まほうの砲弾は迫ってくる魔物たちに直撃し、弱っていたかげのきしは全てバラバラに砕けて倒れた。
しかし、ミミックを倒しきることは出来ず、俺たちを噛み潰そうとしてきた。
「ミミックはまだ倒せなかったか、攻撃を防ぐしかないな」
俺はミミックの上の牙にはがねのつるぎを、下の牙におおかなづちを当てて噛みつきを防ぐ。
俺の腕がへし折られそうになる威力だったが、力を腕にためて耐え抜いた。
ミミックも弱っているので、そこまでの力は出せないようだった。
「雄也、アタシがとどめをさすよ!」
俺が攻撃が防いでいるのを見て、アメルダはミミックの口の中にひかりのつるぎを突き刺し、思いきり引き裂く。
そこでミミックは生命力が全て尽き、たいようのいしを残して消えていった。
「まほうの砲弾がなくなっちまったけど、たいようのいしを取り返せたみたいだね!」
「ああ、ミミックは強敵だったけど、これで倒すことが出来たぜ!」
アメルダは大砲を、俺はたいようのいしを回収して建物から出る。その後、アメルダは俺と一緒にラダトームに住むと言った。
「さて、たいようのいしを取り返したところだし、アンタの住んでいるラダトームの城に案内しておくれ」
「もちろんだ。俺もアメルダが協力してくれるなら心強いからな」
そして、俺とアメルダは30分ほど歩いて旅のとびらに入り、ラダトーム城に戻ってきた。