ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺がラダトームに来て5日目の朝、寝室の外に出て城の中を歩いているとローラ姫に呼び止められた。
「雄也様、少しお話があるのですが、いいですか?」
「今日もすることは決まってないし、もちろん聞くぞ」
ラダトーム城の復興も大分進んできて、魔物たちから守ることも出来ているが、どんな話があるんだろうな?
俺がそう思っていると、ローラ姫は玉座の間を作った時にも言っていたことを話し始めた。
「このラダトームに向かう三賢者を探しているとお伝えしたことを覚えていますか?」
「もちろん覚えてるぞ。竜王を倒すのに必要な3つの道具を持った人たちのことだろ?」
そう言えばこの前も、3人の賢者が竜王を倒すために必要な道具をラダトームに向かっていると言う話をしていたな。
どんな人たちなのか気になり、竜王を倒すための道具も早く手に入れたいと思っていたが、もしかして見つかったのだろうか。
「それで、もしかして三賢者の行方が分かったのか?」
「はい。私は雄也様が城を再建している間に、ムツヘタ、ラスタン、そしてオーレンに三賢者を集めて貰っていたのです」
ラダトームに来てから数日しか経っていないのに、もう見つけられたのか。
オーレンが昨日もうすぐ見つけられると言っていたけど、俺が思っているより早かったな。
彼らの居場所を聞いたら、さっそく迎えに行ってくるか。
「それで、三賢者はそれぞれどこにいるんだ?」
「私は知らないのですが、3人に聞けば分かるでしょう」
ローラ姫は詳しい居場所は教えられていないのか。でも、今日はみんな城の中にいるのですぐに聞きに行けそうだ。
「分かった。さっそくみんなに、三賢者の居場所を聞いてくるぜ」
「お願いします、雄也様。この地を目指している彼らの行方を探し、ここに連れてきてください!」
ローラ姫は最後に俺にそう言って、玉座の間に戻っていった。三賢者を探すのはかなり大変そうだが、必ず見つけてこないといけない。
俺たちは占いの間の近くで話していたので、まずはその中にいるムツヘタに賢者の居場所を聞きに行くことにした。
俺はさっそく部屋の入り口のところまで歩いていき、とびらを開けて中にいるムツヘタに話しかけた。ちょうどムツヘタは作業をしていない状態だったので、邪魔をせずに聞くことが出来るだろう。
「ムツヘタ、聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「もちろんじゃ。何か気になることでもあったか?」
ムツヘタは話を聞いてくれるようなので、俺は占いの間の中に入っていき、さっそく三賢者のことについて聞いた。
「ローラ姫から聞いたんだけど、竜王を倒すための道具を持つ三賢者を探しているんだろ?」
「そうじゃ。じゃが、一向に来ないと言うことは、旅の途中で何かあったのじゃろう···」
そう言えば最初、三賢者はここに自分たちの力で来る予定だったはずだな。そう考えると、三賢者がここに来る途中に足止めされている可能性が高いな。魔物に襲われているのかもしれないし、早めに迎えに行ったほうがよさそうだな。
「そして今日、三賢者の内の一人の居場所を突き止めることができたのじゃ!」
ムツヘタが一人の居場所しか知らないと言うことは、他の二人はラスタンたちに聞かないといけなさそうだ。
でも今は、ムツヘタが居場所を突き止めた三賢者の一人を助けに行こう。
俺はムツヘタに、その賢者の居場所を聞いた。
「それで、その人はどの辺りにいるんだ?」
「ラダトームの近くにある、凍り付いた湖のある砂漠じゃ。砂漠はかなり広いのじゃが、そこに三賢者のうちの一人がいるはずなのじゃ」
凍り付いた湖のある砂漠か···このラダトームの近くにそんな場所があったとは知らなかったぜ。
見たことのない場所だけど、昨日手に入った赤色の旅のとびらを使えば行けるだろう。
「そこなら昨日手に入れた旅のとびらで行けると思うぜ。準備が出来たら、すぐに迎えに行ってくる」
俺はムツヘタから三賢者の居場所を聞いた後、占いの間から出て城の隅の方に赤の旅のとびらを設置する。
これでラダトームでも3つ目の地域に行けるようになったな。
各地方で旅のとびらは3つずつ手に入っているので、ラダトームでもあと一つしか入手できなさそうだ。
そんなことも考えながら、旅のとびらの中に入っていく。すると、目の前が一瞬真っ白になった後新たな地域へと移動した。
「ここが新しい場所か。この場所のどこかに、三賢者がいるはずなんだよな」
その場所は最初の地域や城の近くと同じで、地面は灰色の死の大地に変化している。ムツヘタは氷の湖がある砂漠に賢者の一人がいると言っていたので、まずは砂漠を見つけないといけないな。
俺は旅のとびらのすぐ近くから、遠くに砂漠が見つけられないか見渡してみた。ムツヘタはかなり大きな砂漠だと行っていたので、離れていても分かる可能性がある。
辺りを眺めていると、旅のとびらから左の方にはそびえ立っている岩山があった。あの岩山の反対側には何かありそうだな。
そして、右側の方には火山地帯と、俺が探していた砂漠があった。氷の湖も見えるし、間違いないだろう。
「砂漠は見つかったけど、ここはこれまで俺が行ってきたどの地域よりもおかしい場所だな」
ここで気づいたが、この地域は各地方が合わさったような不思議な場所だ。
竜王の呪いを強く受けている場所なので、そういったこともあり得るのだろうか。
「とりあえず、砂漠に向かうとするか」
そのことは気になるが、俺は三賢者を助けるため砂漠に歩き始めた。砂漠までは1キロメートルはありそうだが、そんなに時間はかからないだろう。
旅のとびらの近くの灰色の大地を歩いていると、マイラで見た大きな棍棒を持つ魔物、トロルが何体も生息しているのを見つけられた。
「トロルが生息しているのか。倒せるだろうけど、隠れながら行かないとな」
上位種のボストロールを一人で倒したことがあるのでトロルも倒せるだろうが、今は戦う必要がないので見つからないように進んでいく。
それ以外にも、しりょうやスライムベスと言った弱い魔物もたくさんいた。
俺は素材も探しながら歩いていくが、ラダトーム城の近くにあるものしか見つけることが出来なかった。
俺はそこから20分ほど歩き続け、魔物に襲われることなく凍り付いた湖のある砂漠にたどり着くことが出来た。
「やっとムツヘタが言ってた砂漠に来れたな。大変そうだけぞ、三賢者を探すとするか」
まだ俺は疲れていないので、休憩はせず砂漠の中を歩き始める。
ドムドーラの砂漠に比べれば小さいが、ここも結構広い砂漠なので、探すのには時間がかかりそうだな。
砂漠を歩いていると、メルキドの峡谷地帯で見たことのある爆発する岩の魔物である、ばくだんいわがたくさんいた。
「ばくだんいわがいるってことは、まほうの玉やグレネードが作れそうだな。あいつらを狩りながら進んで行くか」
爆弾があれば、守りが固い魔物を倒したり、オリハルコンなどの固い鉱石を採掘したりできる。
俺は素材であるばくだんいしを手に入れるために、ばくだん岩を倒しながら三賢者を探すことにした。
俺は背後からばくだんいわに忍び寄り、右手に持つはがねのつるぎで斬りつける。
岩で出来ている奴らもはがねのつるぎでの攻撃を防ぐことは出来ず、大きなダメージを受ける。
「メルキドの奴らと強さは変わらないみたいだな。このまま倒せそうだぜ」
傷を負ったばくだん岩は、怒って俺に向かって転がりながら突進してきた。
すぐ近くにいるのでかわしきれないと思い、俺は左手に持つおおかなづちで突進を防ぐ。かなり重い一撃だったが、俺は腕に力を入れて弾き返す。
二刀流での攻撃を連続で受け、ばくだんいわは死にかけていた。メルキドの時から、二刀流で戦う方法を思い付いていればよかったな。
「そろそろ追い詰めたな。自爆される前に倒すぜ」
ばくだんいわは最後の力で自爆呪文のメガンテを唱えようとしたが、俺はその前に両腕の武器を奴に叩きつけ、とどめをさす。
奴が倒れたところには、一つのばくだんいしが落ちていた。
「これで1個手に入ったな。まほうの玉とかを作るときはもっと使うし、あと何体か倒しておくか」
俺はばくだんいしをポーチにしまった後、まわりにいるばくだんいわを同じように倒していった。
どのくらい爆弾を使うかは分からないが、10個くらいばくだんいしを手に入れることが出来た。
砂漠の奥の方にはてつのさそりのさらに上位種であるしのさそり、凍り付いた湖の上には青いカニのモンスター、ガニラスと言った魔物もいたが、俺は奴らは避けながら砂漠の探索を続けた。
「かなり探してるけど、三賢者はどこにいるんだ?」
ばくだんいしを集めた後、俺は三賢者を探すため海の近くまで歩いた。
すると、俺がメルキドに来てすぐのころに見たことがある変わった形の建築物を見つけることが出来た。
「メルキドでロロンドが捕まっていた建築物に似てるな。もしかして、三賢者がここに捕まっているのか?」
形は似ているが、今回は石垣で作られていて中央には竜王の顔が書かれた旗が立っている。誰かいるかもしれないので、俺は石垣を叩いて返事があるか試してみた。
そうすると、俺が聞き慣れた声で返事が聞こえてきたのだ。
「ぬおお!そこに誰かおるのか!?不届きな魔物どもに襲われて、硬い岩の中に閉じ込められてしまってな」
その声は、どう考えてもロロンドの声だった。ロロンドが捕まっていた建築物に似ていると思っていたが、まさか本人がいるとはな。
そうなるとロロンドが三賢者の一人と言うことになる。もしかしたら他の二人も、これまで復興させてきた町の住民なのかもしれない。
でも、いまいち信じられないのでロロンドなのか確認した。
「あんた、もしかしてロロンドか?」
「おお、その声は雄也ではないか!頼む、我輩をここから出してくれ!」
俺を知っているみたいだし、本当にロロンドみたいだな。
確かにロロンドは幻の書物であるメルキド録を解読して、彼のおかげで城塞都市メルキドを復興させられたと言っても過言ではないけど、三賢者の一人だとは思っていなかった。
俺はロロンドを救出するため、すぐに石垣を破壊しようとする。だが、ロロンドはこう言った。
「分かった。ロロンド、今すぐ助けてやるぞ」
「待ってくれ、雄也。我輩の真上はとても固い岩で閉ざされているのだ。だが、ゴーレムを倒すのに使ったまほうの玉を使えば壊れる気がするぞ!」
魔物も今回はロロンドが簡単に出られないようにしたみたいだな。
まほうの玉を使えばロロンドも巻き込まれそうだけど、固い岩を吹き飛ばしたことで爆風も弱まるだろう。
彼をを待たせることになるけど、まほうの玉を作ってくるしかなさそうだな。でも、走って往復すれば30分もかからずにロロンドのところに戻ってこれそうだ。
「それならすぐにまほうの玉を作ってくる。少し時間はかかるけど、待っててくれ」
俺はそう言って、走りながら旅のとびらのところに向かっていく。
走っていると魔物に見つかる可能性があるので、魔物があまり生息していない場所を選んで移動していった。
そして、15分もかからずにラダトームの城に戻ってくることが出来た。
「やっと帰ってこれたか。すぐにまほうの玉を作って、ロロンドのところに持っていかないと」
城に戻ってきてからも休みはせず、すぐに石の作業台を使ってまほうの玉を作る。まほうの玉は一度に10個作ることが出来るので、これからも使っていけそうだ。
まほうの玉が完成すると俺は赤色の旅のとびらに入り、砂漠地帯へと向かっていく。
ロロンドが閉じ込められている空間の酸素がなくなる前に助けないといけないので、今度はさらに早い速度で走っていった。
ロロンドのいる場所にたどり着くと、まほうの玉を作ってきたことを伝えて、すぐに設置する。
「ロロンド!まほうの玉を作ってきたぞ!」
「では、さっそく使って硬い岩を壊してくれ!」
まほうの玉は置いて数秒で爆発し、ロロンドを閉じ込めていた硬い岩を破壊して吹き飛ばす。
ロロンドが巻き込まれることもなく、彼は爆発が終わった後に閉じ込められていた空間から出てきた。
「よくやったぞ、雄也!お主のおかげで助かった!」
「ああ、助けられて本当に良かったぜ。それと、久しぶりだな、ロロンド!」
ロロンドを助けることが出来て本当に良かった。メルキドでの大切な仲間と再会できたこともあるし、すごく嬉しいぜ。
しかし、俺たちの背後から魔物の声が聞こえてきた。
「すげえ、爆発だったな。何が起きてんだ?」
その方向を振り向くと、そこにいたのは一体の小さなスライムだった。メルキドの峡谷地帯にいたスラタンみたいに、喋ることが出来るスライムのようだな。
ロロンドはあのスライムが持っていたいにしえのメダルを奪ったと言う。
「あいつは我輩がメルキドから持ってきたいにしえのメダルを奪ったのだ。あいつを倒して、メダルを取り戻すのだ」
ロロンドがいにしえのメダルを持ってきたと言うことは、もしかして竜王を倒すのに必要な道具と言うのは各地の空の闇を晴らすのに使ったアイテムのことなのか?
俺はいにしえのメダルを取り返すために、スライムに剣を持って近づく。すると、スライムは初めて俺に気づいたようで、とても驚いていた。
「2人も人間がいたぞ!それにこいつ、伝説のビルダーって奴じゃないのか!?」
どうやら俺がビルダーであることにも気づいているようだ。スライムもビルダーである俺やその仲間のロロンドを倒したいと思っているのだろうが、俺たちがスライムに負ける訳がない。
だが、奴もそれを分かっているようで、先生と呼ばれる魔物を呼び出した。
「こいつらを倒せばお手柄だ!先生、やっちまって下さい!」
先生ってどんな奴なんだと思っていると、目の前に王冠を被った巨大なスライム、キングスライムが現れた。
スライムの中でも強力な魔物であるキングスライムが現れ、俺もロロンドも武器を構えて戦いに備える。
「キングスライムか···ロロンド、一緒にあいつを倒すぞ!」
「分かっておる。久々に一緒に戦うが、必ず魔物を倒そうぞ!」
俺とロロンドは共にメルキドの強力な魔物と何度も戦ってきた。キングスライムに負けるはずはないだろう。
俺たちが武器を構えていると、キングスライムは体当たりをしようと近づいてくる。でも、体が大きくて重いためか、動きはあまり早くないので、俺たちは簡単にかわすことが出来た。
すぐに次の攻撃が来るはずなので、俺はキングスライムに向かってはがねのつるぎとおおかなづちを降り下ろす。
ロロンドも、メルキド復興の時から使っていたはがねのつるぎで、奴の体を斬り裂いていた。
「お前くらいの魔物に負ける訳がないぜ!」
「お主を倒して、いにしえのメダルを取り替えさせて貰うぞ!」
大きな傷を受けたキングスライムは、怯んで動きが止まっていた。だが、話すことの出来るようで、怒った口調で俺たちに向かって言う。
「人間なのに魔物に逆らうと言うのは、決して許されないことだぞ!」
そう言った後、キングスライムは二刀流で攻撃していた俺に向かって、思いきり体当たりをする。俺はすぐに受け止めたが、奴はかなり攻撃力が高いので押し返されそうだった。
「くっ、スライムの癖に結構強いな」
俺は腕に力を入れて、キングスライムの攻撃を受け止めきろうとする。
そして、俺の様子に気づいたロロンドも俺の隣に移動して、キングスライムの攻撃を弾き返そうとする。
「雄也、今援護しにいくぞ!」
ロロンドの力も加わり、キングスライムはさずかに押しきれず、体勢を崩して動きを止める。
俺はその間に力を貯めて、動けなくなっている奴に向かって回転斬りを叩き込んだ。
「回転斬り!」
「よくやったぞ雄也!これであいつも弱っているはずだ!」
二刀流での回転斬りを受けて、キングスライムは非常に大きなダメージを受けた。これなら、あと一撃を食らわせれば倒せるだろう。
俺が回転斬りの直後で動きが止まっている間に、キングスライムは何とか体勢を立て直し飛び上がって俺たちを押し潰そうとする。
だが、そこにロロンドが後ろから全力で斬りつけて、キングスライムは生命力が尽きて、消えていった。
「ついにやったな、雄也!キングスライムを打ち倒したぞ」
「ああ、これでいにしえのメダルを取り返せる」
俺はキングスライムの後ろに隠れていたスライムに近づき、はがねのつるぎを振り上げる。すると、奴は命乞いのようなことをしてきた。
「すいません、すいませんでした!だから、絞るのはやめてください!僕のあおい油は臭くて不味いですよ!」
「別にあおい油は持ってるからいらないけど、あんたを逃がす訳にはいかない」
もしここでスライムを逃がしてしまえば、上位の魔物や竜王に報告されて大量の魔物の軍勢がラダトーム城に押し寄せてくるかもしれない。俺たちは逃げようとした魔物を生きて帰したこともないしな。
そして、俺はスライムに向かってはがねのつるぎを降り下ろす。すると、奴が倒れたところにいにしえのメダルが落ちていた。
「よし、これでいにしえのメダルを取り返せたな」
俺はいにしえのメダルを拾って、ロロンドに見せに行く。俺はロロンドに渡そうと思ったが、俺が持っていていいと言う。
「ロロンド、いにしえのメダルを取り返して来たぞ」
「それはお主が持っていてくれ。精霊ルビスからのお告げによれば、そのメダルは竜王を倒すために必要な、虹のしずくと言う物を作る鍵となる物なのだ」
ムツヘタは竜王の島に行くのに虹のしずくが必要だと言っていたが、いにしえのメダルはその素材だったのか。
恐らく残りの二人の賢者も、虹のしずくの素材になる伝説のアイテムを持っているんだろうな。
俺がいにしえのメダルをポーチにしまうと、ロロンドは話を変えた。
「それと、いにしえのメダルを取り返せたところで、お主が復興させているラダトームの町に向かいたいと思う。それでいいか?」
「もちろんだ。ロロンドがいれば、ラダトームの復興も進むだろうからな」
ロロンドはとても心強い仲間なので、もちろんだの返事をした。ロロンドなら、俺が竜王を倒すことにも賛成してくれるだろう。
俺たちは歩いて、ラダトームの城に繋がる赤色の旅のとびらに向かった。