ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode91 王都防衛戦

俺がラダトームに来て4日目、昨日は早く寝たので、これまでの疲れがとれていた。

今日もラダトームの再建を続けようと思いながら城の中を歩いていると、外からラスタンと同じような兵士の格好をした男が入ってきて、俺に話しかけてきた。

多分、ラスタンの仲間なんだろうな。

 

「おや、あなたが雄也さんですね。僕はオーレン、ラスタンと同じかつてのラダトームの兵士です」

 

オーレンと名乗ったこの男は、俺のことを知っているようだな。

俺は一度も会った覚えがないのに、どうしてオーレンは俺の名前を知っているんだ?

 

「何で俺の名前を知ってるんだ?」

 

「昨日ラスタンから聞いたんです。ビルダーを名乗る雄也と言う人が宝物庫を作ってくれたと」

 

オーレンもラスタンと同じ時に石化が解除されていたようだけど、俺と話すのが初めてってことか。

恐らくは俺が枯れ木の森や魔物の城に出かけている時にラスタンと会っていて、その後また城の外に出ていったのだろう。

俺がそう思っていると、彼も俺の顔について言ってきた。

 

「それにしても、ラスタンの言う通りあなたは面白い顔をしていますな!魔物を倒したり、まして竜王を倒すなど夢のまた夢といった顔立ちだ!」

 

確かに俺の顔はドラクエの勇者や戦士の顔とはかけ離れているけど、顔と実際の強さは比例しないはずだ。

それに、昨日のラスタンもそうだったけどかつてのラダトームの兵士は誰も俺が竜王を倒すとは思っていないみたいだな。

「いきなり失礼なことを言うな。これまで多くの魔物を倒してきたし、竜王も俺が倒すつもりだ」

 

「さすがにそれはご冗談でしょう!さすがビルダーは冗談を作るのもお上手だ!」

 

俺は本気で言っているのに、冗談だと思っているみたいだな。ラスタン以上にムカつく奴だぜ。

俺がイラついていると、オーレンはこれまで出掛けていた理由を話し始めた。

 

「実は私は、石化が解けた後あなたの留守中にラダトームに戻ったのですが、姫様からのご命令でとある調査のために城から出掛けていたのです」

 

やっぱり俺がいないタイミングでこの城に戻ってきていたのか。もし俺がいたなら、気づかないはずがないからな。

だけど、ローラ姫が命令した調査って、何のことなんだ?

 

「ローラ姫は何を調査してほしいと言ったんだ?」

 

「雄也さんも聞いているかもしれませんが、この地に向かっていると言う三賢者の行方についてです。もう少し時間はかかりますが、いい報告ができそうですよ!」

 

そう言えば、ローラ姫は3人の賢者が竜王を倒すために必要な道具を持ってラダトームに向かっていると言ってたな。

どんな人たちなのかはまだ分からないけど、居場所を突き止めたら迎えに行く必要があるかもな。

オーレンはかなりムカつく奴だけど、協力して探していくしかなさそうだ。

 

「分かった。三賢者の居場所を突き止めたら、教えてくれ」

俺はオーレンとの話を終えて、また城の中を歩き始める。

ラダトームの城も3つの部屋を再建することが出来たし、今日は一日ゆっくり過ごそうかとも考えた。しかしその時、ラダトーム城の南から、魔物の足音が聞こえてきたのだ。

 

「もしかして、魔物の襲撃が来たのか?」

 

魔物の襲撃が来たのかと思い城の南を見ると、ブラッドハンドが8体、しにがみのきしとだいまどうが2体、隊長と思われるオレンジ色の巨大な竜、ダースドラゴンが1体と合計13体の魔物がこの城に近づいてきていた。

魔物の数は少ないが、どれも強力な魔物ばかりだ。野生の奴は簡単に倒せたブラッドハンドも、今回は強い個体が来るだろうから一筋縄ではいかないはずだな。

城の再建を進めている俺たちを見て潰そうと思ったのだろう。

俺はみんなに伝えるために、魔物が来たことを大声で叫ぶ。

 

「みんな、魔物が攻めてきたぞ!戦える人は集まってきてくれ」

 

俺の声を聞いて、ラスタンとオーレンがはがねのつるぎを、ゆきのへがおおかなづちを持って集まってくる。

みんなの武器は、ゆきのへが作ってくれたみたいだな。鉄や鋼の武器を使えば、強力な魔物でも倒しやすくなるはずだ。

戦えるのは俺を含めて4人だけのようだが、ここまで多くの魔物を倒してきた俺たちなら勝てないはずはないだろう。

 

「魔物も我々がラダトーム城を再建していることに気づいたみたいだな。姫様のためにも、魔物どもを倒す!」

「ここまで復興させてきたラダトームの城を壊させはしませんよ!」

 

ラダトームの兵士二人も、迫り来る魔物たちを必ず倒して、この城を守ろうとしていた。

彼らは腹が立つ奴らだけど、一緒に戦わなければいけない。それに、俺が強力な魔物と戦うことが出来るって、証明する必要もありそうだ。

 

「俺もあいつらを倒して、この城を守り抜いてやるぜ!」

 

これまで俺と一緒にアレフガルドを復興させてきたゆきのへも、俺と一緒に強力な魔物たちと戦おうとしている。

 

「行くぞ雄也、ラダトームの魔物は強力だが、ワシらが負けるはずはないぜ!」

 

そして、俺たち4人は魔物の群れへと向かっていく。ラダトームの城の1度目の防衛戦が始まった。

魔物たちの中で遠距離を攻撃できる呪文を使えるだいまどうは、俺たちや城を焼き払おうとメラミの呪文を使ってくる。

 

「この忌まわしき人間どもが!燃えろ、メラミ!」

 

「我々の世界に、貴様らのような存在は必要ない!」

 

メラミはまどうしの使うメラより大きい火球だが、マイラでもだいまどうと戦ったことがあるので、かわすことは難しくなかった。

なので俺は最初にだいまどうを倒そうと両腕に武器を構えて進んでいく。

だが、メラミの呪文を唱えているだいまどうのところへ向かっている途中、8体のブラッドハンドが俺たちの前にたち塞がってきた。

移動の速度だけを見ても、ドロドロ石を集めるために戦った奴よりもかなり早い。囲まれたらかなり危険な状況になりそうだな。

でも、数が8体だけなのでみんなで分断すればそこまで苦戦はしないだろう。

 

「みんな!ブラッドハンドの奴らを分断して一人2体ずつ倒すぞ!」

 

俺の指示を聞いて、みんなは2体のブラッドハンドを斬りつけて引き付ける。そのおかげで、だいまどうは一度に全員を攻撃することが出来なくなり、火球を連続で回避しながら戦う必要もなくなった。

俺もその様子を見て、誰にも引き付けられていない2体のブラッドハンドを斬りつける。

しかし、だいまどうも広範囲に攻撃できるベギラマの呪文を唱えてきた。

 

「まとめて焼きつくしてやる!ベギラマ」

 

俺たちはすぐに気づいて、ベギラマの炎をかわす。ブラッドハンドたちも巻き込まれないよう素早く移動した。

「みんな、もっと離れて戦えば全体を攻撃出来なくなるはずだ!」

 

ベギラマの攻撃範囲は広いが、俺たちがさらに散開すれば全体を攻撃することは出来なくなる。

みんなもその作戦には賛成のようで、ブラッドハンドを引き付けながら移動していった。

誰かがピンチに陥ってもすぐに助けに行けなくなるが、そうならないことを祈るしかないな。

 

「全員散開できたみたいだな。これでブラッドハンドを倒しやすくなったぜ」

 

だいまどうは一人ずつ攻撃するしかなくなり、さっきと同じようにメラミの呪文を連続で放っていく。だいまどうもベギラマよりさらに上位の呪文であるベギラゴンなどは使えないみたいだな。

俺はときどき来る火の球を回避しながら、ブラッドハンドを攻撃する。

ブラッドハンドもすぐに動いて、俺の攻撃をかわして殴り付けようとした。攻撃のスピードは速いが、俺は何とかジャンプでかわすことが出来た。

 

「この前の奴らより強いけど、勝てないことはなさそうだな」

 

俺はブラッドハンドが次の攻撃を行う前に飛びかかり、2体の腕の部分を斬り裂いていく。

はがねのつるぎやおおかなづちでの強力な一撃を受けて、奴らは大きなダメージを負っていた。

しかも、ブラッドハンドたちは怯んで動きが止まり、一気に倒すチャンスが来た。奴らはすぐに立て直そうとするが、俺はその前に腕の力を溜め始める。

二刀流での回転斬りを使えば、ブラッドハンドにとどめをさせるだろう。

 

「これでどうだ、回転斬り!」

 

回転斬りが直撃し、俺と戦っていたブラッドハンドは青い光になって倒れる。この前も手に入れたドロドロ石を落としていたが、今はそんなことを気にしてはいられない。

 

「みんなはまだブラッドハンドと戦っているみたいだし、援護しに行くか」

 

俺がみんなの様子を見るとまだブラッドハンドと戦っているようだった。

3人とも苦戦はしていないようだが、後ろから強大な魔物であるしにがみのきしやダースドラゴンが迫ってきているので、ブラッドハンドは今のうちに倒しておきたい。

俺はまず、ゆきのへが戦っている2体のブラッドハンドに強力な一撃を叩き込んだ。奴らはすでにゆきのへの攻撃で弱っているようで、俺の攻撃によって生命力が尽きて消えていった。

あとはラスタンとオーレンが戦っている奴らを倒せばブラッドハンドは全滅させられるな。

 

「援護してくれてありがとうな、雄也!あの兵士たちが戦っている奴も倒しに行くぜ」

 

「ああ、二人と戦っているブラッドハンドも弱っているはずだ」

 

しかしその時、今まで遠くにいた2体のだいまどうが俺たちの近くに移動して、ベギラマの呪文を放ってきた。

 

「ビルダーも鍛冶屋も、まとめて燃やす!」

「竜王様に逆らう貴様らなど、我らが焼き殺してやる!」

 

ブラッドハンドを倒して油断しているところを狙ってきたみたいだな。

俺とゆきのへはベギラマをかわすために大きくジャンプする。何とか攻撃範囲を外れることができ、火傷を負うことはなかった。

だが、近づかれてしまったので、ラスタンたちを援護に向かう前に奴らを倒さなければならなさそうだ。ゆきのへもそう思ったようで、おおかなづちを片手にだいまどうに殴りかかる。

 

「雄也、このだいまどうどもを先に倒すぞ!」

 

「ああ、近づかれたからそうするしかないな」

 

だいまどうはすぐ近くにいるので、俺ももう一体のだいまどうを攻撃した。

だいまどうは自身が近接戦闘が苦手なことが分かっているはずなので、俺たちを一撃で倒すか、動けなく出来ると思って近づいたのだろう。

でも、俺たちを倒すことは出来なかったので、苦手な近接戦闘に持ち込まれることになった。

 

「おのれ人間め···絶対に許さぬぞ!」

 

だいまどうは何とか抵抗しようと、持っている杖で俺を殴り付けようとする。ブラッドハンドの叩き付け程度の威力はあったが、俺ははがねのつるぎで弾き返した。

そして、奴が体勢を崩したところで全力で頭におおかなづちを降り下ろした。

 

「やっぱり近接戦闘には弱いのか、このまま倒せそうだな」

 

おおかなづちの一撃では倒れなかったが、俺は体勢を立て直される前にだいまどうの体を真っ二つに叩き斬った。

さすがにだいまどうは耐えきれず、死んでいった。

ゆきのへも力のこもった攻撃でだいまどうを弱らせていき、俺と同時くらいのタイミングでとどめをさしていた。

しかし、油断している暇はなく、だいまどうを倒した直後、奴らの背後にいるしにがみのきしが斧を降り下ろしながら飛びかかってきた。

 

「今度はしにがみのきしか···倒したことのある相手だから勝てるだろうけどな」

 

俺とゆきのへはすぐに武器を構え直し、しにがみのきしの攻撃を受け止める。

魔物の城で戦った奴らと同じくらいの強さであり勝てないことはないのだが、魔物の軍団の隊長であるダースドラゴンも俺たちに迫ってきていたのだ。

 

「くそっ、ダースドラゴンも近づいてきたな」

 

しにがみのきしとダースドラゴンを同時に相手するのは俺やゆきのへでもかなり厳しいだろう。

そう思っていると、ラスタンとオーレンが駆けつけてきて、しにがみのきしを斬りつけたのだ。

どうやら俺たちがだいまどうと戦っている間に、ブラッドハンドたちを倒したみたいだな。

 

「雄也にゆきのへ、こいつらは私たちが倒す!」

 

「あなたたちはダースドラゴンの相手をしてください!」

 

俺にもダースドラゴンを倒してくれと言っているので、強力な魔物を倒せると分かってくれたみたいだな。

二人がしにがみのきしを引き付けているので、今ならダースドラゴンと戦える。

「お前らはラダトームの兵士か···ならばお前らも斬り捨ててやろう!」

 

しにがみのきしも本気でラスタンたちと戦っているが、二人が負けることはないはずだ。

俺とゆきのへがダースドラゴンの近くに行くと、奴は灼熱の炎を吐いてくる。

だが、ようがんまじんのように高速で回転させながらは出来ないようなので、ゆきのへが前でダースドラゴンを引き付けている間に俺は後ろに周り、両手に持つ武器で思いきり攻撃する。

鉄や鋼で作られた武器なので、ダースドラゴンの硬い鱗も突き破ることができた。

まだ倒すことは出来ないが、かなりのダメージを与えられたはずだ。

 

「かなり効いてるな。これなら倒せるかもしれない」

ダースドラゴンの吐く炎も一時的に止まり、ゆきのへは奴の頭を殴り付けることができた。

もうすぐ倒せそうだと思っていると、ダースドラゴンは突然体に力をため始めた。どんな攻撃が来るのかと思っていたが、奴は体を一回転させて俺たちをなぎはらってきた。

 

「くっ、回転攻撃か!?」

 

炎を吐きながら回転は出来なくても、力を溜めての回転攻撃は出来るみたいだな。

俺はかわしきれないと思い、慌てて受け止めるが、魔物の城で受けたしにがみのきしの突進を越える威力で、俺の腕は骨が折れたような痛みが走る。

俺は動けなくなりそうだが、ダースドラゴンは俺に鋭い歯で噛みついてきたので、俺は痛みに耐えて避けた。

だが、すぐにダースドラゴンは動きを変えて、俺に向かって炎を吐き出した。このままでは危険なので、俺は一度下がって体勢を立て直す。

ラスタンもオーレンもまだしにがみのきしと戦っているので、ダースドラゴンは俺が倒さないといけないな。それに、こいつも倒せないようなら竜王を倒すことも出来ないだろう。

 

「腕がすごく痛いけど、休んではいられないぜ」

 

俺は立ち上がって、ダースドラゴンの横に回ろうと動き始める。

奴も炎を吐いて俺を倒そうとしてくるが、ゆきのへがおおかなづちで動きを止めてくれた。

ゆきのへは奴の回転攻撃を受け止めきれずかなりの傷を負っていたが、まだ戦えるようだな。

 

「ダースドラゴンめ、雄也に手は出させねえぜ!」

 

ダースドラゴンも、やはり二人を同時に相手するのは難しいようだな。奴はすぐに俺への攻撃を再開しようとしたが、動きが止まった一瞬の隙に近づき、腕に残った力をこめて、強大な威力の回転斬りを放つ。

 

「お前みたいな魔物でも、俺たちには勝てないぜ!回転斬り!」

 

ダースドラゴンは体内を深く引き裂かれ、悲鳴を上げて動きを止める。

それでもすぐに起き上がられそうだったが、ラスタンたちがしにがみのきしを倒したようで、ゆきのへと一緒にダースドラゴンを攻撃して行った。

 

「あとはこいつを倒せば勝利だぞ!」

 

「このままラダトームの城を守りきりますよ!」

 

ダースドラゴンは再び回転攻撃を溜め始めるが、俺は一度動きを見たことがあるのですぐに気づいた。

使われる前に倒そうと、俺は大きくジャンプして飛び上がり、ダースドラゴンの背中に奥深くまではがねのつるぎを突き刺す。

 

「まだ死なないのか、でも次で倒してやる!」

 

それでも奴はまだ生きていたが、左手に持ったおおかなづちで背骨を思いきり砕かれ、とどめをさされて倒れていった。

俺も反動で腕にさらに激痛が走ったが、敵は全滅したのできずぐすりやくすりの葉を使えば治るだろう。

 

「厳しい戦いだったけど、勝てたみたいだな」

 

町に戻る前にダースドラゴンを倒したところを見ると、赤色の旅のとびらが落ちていた。

探索に行きたいけど、傷はすぐには治らないから明日からのほうがいいな。


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