ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode89 城の再建(前編)

希望のはたを手に入れて魔物の城からでた後、俺は30分くらい歩いてラダトームの城に戻ってきた。

城の中心にある台座にこの旗を立てれば、ルビスの加護を受けて光が溢れるはずだ。

俺は台座に登り、ポーチから希望のはたを持ち上げる。これから、ラダトームの城の復興が始まって行くんだよな。

そして、俺は台座に希望のはたを突き刺して立てる。すると、ラダトームの城全体に暖かい光が溢れた。

 

「あとはここにみんなを連れて来て、城を再建して行くぜ」

 

俺は、希望のはたを建てたことをみんなに教えるために仮拠点に向かおうとした。俺が歩き始めると、再びルビスの声が聞こえてきた。

 

「雄也よ、よくやりましたね。そこが、この地でのあなたの拠点となるでしょう。あなたには、物を作る力を持つ者として、ここで果たさなければならない使命が二つあります」

 

二つと言うことは、ラダトームの城の再建以外にも、しなければいけないことがあるみたいだな。

 

「一つは王都ラダトームの再建。そしてもう一つは、失われた武器や防具、そして竜王を倒すための道具を新たに作り、この世界を闇に覆われる前の状態に戻すことです」

 

闇に覆われる前ってことは、ドラクエ1で勇者が旅出った時のような状態に戻すってことか。

でも、それだと竜王はまだ倒されていない状態のはずだ。

「待て、その話だと俺が竜王を倒す必要はないということか?」

 

「はい。ビルダーの役目はアレフガルドを復活させることで、竜王を倒すことではありません」

 

ここまで来て初めて聞いたけど、俺の役割はあくまで世界が闇に閉ざされる前の状態に戻すことだけなのか。

でも、これまで復興させてきた町のみんなに約束したので、たとえ自分の責務でなくても俺は竜王を倒すつもりだ。

 

「今はとりあえず、ラダトームの城の復興が先だな」

 

俺はルビスとの話を終えて、仮拠点に繋がる旅のとびらがある場所に向かっていった。魔物を避けながら平原を歩いて、旅のとびらに入った時には、もう午後になっていた。

仮の拠点へと戻ってくると、さっそく俺はみんなに希望のはたを取り返して、城跡に立てたことを教えた。

 

「みんな、ラダトームの城に希望のはたを立ててきたぞ!」

 

そのことを聞くと、みんなは喜んで俺のいる旅のとびらの近くに走ってくる。中でも、ローラ姫とムツヘタはとても嬉しそうな表情をしている。

 

「おお、それは本当か!?ついにこの地にも希望の光が溢れたのじゃな!」

 

「ありがとうございます、雄也様!これで城を再建することができますね!」

 

ムツヘタは暖かい光を見るのが初めてなのだろうし、ローラ姫は早くラダトームの城を復興させたいのだろう。

今日はまだ夜になるまで時間があるので、部屋を一つくらいは作れそうだな。

俺がそう思っていると、ローラ姫はさっそくラダトームの城へ行こうと言った。

 

「それでは雄也様、さっそくなのですが光が溢れるラダトームの城へ参りましょう」

 

確かに復興を始めるのは早いほうがよさそうなので、今すぐみんなで移動した方がいいな。

 

「ああ、みんなも準備が出来たら出発するぞ」

 

みんなも準備は出来ていたようで、俺たち5人はすぐにラダトームの城へ向けて出発することが出来た。

みんな早くラダトームの復興をしたいと思って早足で歩いていったので、15分ほどで城跡にたどり着く。

そして、ローラ姫は久しぶりに自分の城に戻ってこれたことをとても喜んで、走って中に入っていく。

 

「おお!ついに城へと帰ってくることが出来ました。それも、とても暖かい光に包まれています!」

 

俺たちも姫に続いて、光に溢れるラダトームの城の中に入っていった。

みんなは城の中を見回っていたが、俺は魔物たちと戦ったり長い距離を歩いたりして疲れていたので、石の作業台の近くで座って休み始める。

 

「今日は朝から忙しかったけど、やつと休憩できるな」

 

15分くらい休んでいると、一通り崩れた城の中を見終えたローラ姫が俺に話しかけてきた。さっそく城の再建を始めたいようだな。

俺もずっと休んではいられないので、立ち上がってローラ姫の話を聞く。

 

「雄也様、そろそろラダトームの再建を始めたいと思うのですが、少し相談があるのです」

 

再建を始める前に俺に質問って、何を聞きたいのだろう?

 

「別にいいけど、何の相談だ?」

 

「実は私は、かつてこの城にあった玉座の間を作りたいのですが、このような時にそんなお部屋を作るのもどうかと思うのです」

 

玉座の間は大きな部屋であり、損壊状況も他の部屋に比べて激しい。

確かに時間はかかりそうだが、ローラ姫が作りたいのなら別に構わない。そこまで急いで復興させる必要もないはずだからな。

だけど、どうしてローラ姫は最初に玉座の間を再建しようと思ったのだろうか。

 

「別にいいけど、どうして玉座の間を最初に作るんだ?」

 

「玉座の間が、ラダトーム再建のシンボルになると思ったのです」

 

確かに玉座の間は城にとって一番大切な部屋かもしれないので、最初にそれを作ることで他の部屋も再建する意欲が湧いてくるかもしれないな。

 

「そう言うことだったのか。なら、さっそく作り始めるぞ」

 

「ありがとうございます、雄也様。あなたはなんとお優しい方なのでしょう」

 

そして、ローラ姫は俺に感謝の言葉を言った後、玉座の間の設計図を渡してきた。

「これが玉座の間の設計図です。これを使って、どうか再建をお願いします」

 

玉座の間の設計図は、俺が見たことのない物も含めてさまざまな物が描かれていた。かなり大量の素材が必要になりそうだが、作れないことはないだろう。

気になるのは、もう国王はいないはずなのに玉座のいすが2つあることだな。裏切り勇者がいつか帰ってくるかもしれないと言う、儚い希望だろうか。

 

「結構大きな部屋だけど、今日中に作れるはずだぜ」

 

俺は姫と別れた後、設計図に書かれている物を詳しく見てみる。必要な物が多いので先に壁を作るとするか。

玉座の間は、これまで俺が建ててきた部屋と違い、壁が3メートルの高さになっていて、一段目が城のカベ・地、二段目と三段目は城のカベと言うブロックで出来ていた。

どっちも見たことのあるブロックだけど、作ったことは一度もないんだよな。俺はビルダーの力を使い、二種類のブロックの作り方を調べた。

城のカベ・地···石材3個、鉄のインゴット1個 神鉄炉と金床

城のカベ···石材3個、鉄のインゴット1個 神鉄炉と金床

どっちも必要な素材は同じみたいだな。一度に10個作れるとしても、城のカベ・地は34個、城のカベは68個必要なので、石材33個、鉄のインゴット11個が必要な計算になる。

 

「鉄のインゴットは足りるけど、石材を集めてこないといけなさそうだな」

 

俺は石材を集めるために、おおきづちを持ってラダトームの城の外に出る。

この近くには大きな石がたくさんあるので、33個集めることも出来るだろう。

俺はまず城のまわりにある大きな石を砕いて石材を集めていき、城のまわりの物がなくなると少し遠くまで歩いていき、大量の石材を回収して行く。

城のカベ以外にも作るのに石材が必要な物があるかもしれないので、50個くらい手に入れて、ポーチにしまった。

 

「これで石材を集めれたし、壁を作りに戻るか」

 

玉座のいすなどを作るのには他の素材も必要だろうが、今は部屋の壁を作るためにラダトームの城に戻る。

石の作業台の前で城のカベを作ろうとビルダーの力を使うと、案の定一度に10個のブロックが出来た。恐らく、どの種類のブロックでも、一度に10個作れるだろうな。

その後、城のカベ・地を合計40個、城のカベを合計70個作り、玉座の間に必要な壁を揃えることが出来た。

 

「これで壁を作ることができたな。さっそく設計図通りに積み上げて来るか」

 

俺は設計図を見ながらかつて玉座の間があった場所に城のカベ・地を置き、その上に城のカベを積み重ねていった。

3メートルの壁は地球では当たり前だが、アレフガルドに来てからはほとんど見ないな。建てるのに、いつもより時間がかかる。

20分ほど作業を続けて、ようやく必要な壁を全て作ることができた。

 

「これで壁を作ることは出来たな。あとは中に置く物を作らないと」

 

壁を積み上げた後、俺は改めて玉座の間の設計図に目を通す。

すると、玉座、城の大柱、大きさの違う2種類のタペストリ、カベしょく台がそれぞれ2個ずつと、入り口に置くはがねの大とびらが必要のようだった。はがねの大とびらを作るには染料がいるから、料理用たき火を作らないといけないな。

はがねの大とびら以外は作ったことのない物ばかりなので、俺は魔法の力で作り方を調べる。

玉座···ととのえた布3個、毛皮2個、鉄のインゴット3個、金1個 神鉄炉と金床

カベしょく台···ドロドロ石1個、あおい油1個、鉄のインゴット1個 石の作業台

城の大柱···石材2個、金1個 石の作業台

タペストリ···ととのえた布1個、金1個 石の作業台

大きなタペストリ···ととのえた布2個、金1個 石の作業台

鉄のインゴットや石材はたくさん持っているが、それ以外の素材は持っていないな。でも、あおい油や毛皮は簡単に集められるし、ととのえた布と言うのもこの前まどうしが落とした赤色の布のことだろうから、まどうしを倒せば手に入るだろう。

 

「ドロドロ石と金は、どうやって手に入れるんだ?」

 

ドロドロ石と言う素材は初めて聞くけど、自然に落ちている物ではなさそうなので、魔物が落とすのかもしれない。俺の予測だと、体に血のような色の粘液を纏っている魔物、ブラッドハンドが落としそうだ。

金は珍しい金属でラダトームに来てからは一度も見たことがない。でも、城の近くにある岩山を探せば見つかるかもしれないな。

 

「とりあえず、探しに行ってくるか」

 

俺は玉座の間を作るための素材を集めに、再びラダトームの城から出かけていった。

まず最初に、金を探しに行くために城の北にある岩山へ向かう。岩山の表面には白い岩しかないが、洞窟があるかもしれないからな。

俺はあおい油やあかい油、毛皮も集めるため、途中で見つけたスライムやスライムベス、ブラウニーを倒しながら、岩山に近づいて行く。料理用たき火を作るためのじょうぶな草も、大地をせいすいで浄化して集めていく。

10分くらい経って岩山までたどり着いた時には、必要な数の素材が集まっていた。

 

「ここがラダトームの岩山か。俺が思っていた通り、洞窟があるな」

 

岩山の近くを歩いていると、中に何かありそうな洞窟を見つかった。俺は金を見つけるため、その洞窟に入っていく。

そして、洞窟の一番奥に進むと、たくさんの金や銀の鉱脈がうまっていた。

 

「やっぱり洞窟に金があったのか。今は必要ないけど、銀も採掘しておくか」

 

そこで俺は採掘用のおおきづちを取りだし、金と銀の鉱脈を砕いていく。銀も何かに使えるかもしれないからな。

その洞窟は金の鉱脈の方が数が多く、金を20個、銀を5個くらい手に入れることができた。

俺は採掘を終えた後、手に入れた金属をしまって洞窟から出る。

 

「これで後は、ドロドロ石とととのえた布を集めるだけになったな」

 

俺は洞窟を出た後、ドロドロ石を落とすと思われるブラッドハンドがいる地面が赤い土になっている場所へ向かう。

岩山からそこまでは距離があるが、結構遠くからでも見える鉄と石炭の鉱脈が空中に浮いている塊があるので、迷うことなく行くことができた。

 

血のような赤い土の上を見ると、何体かのブラッドハンドは不気味にうごめいていた。

腕だけの魔物なので、かげのきしやまどうしに比べれば弱そうだが、油断は出来ないな。

 

「俺に気づいていないみたいだし、後ろから襲って倒すか」

 

俺は音を立てないように一体のブラッドハンドの後ろに忍びより、はがねのつるぎで思いきり斬りつける。

一撃で倒せると思ったが、以外に生命力が高いようで倒れずに俺に反撃してきた。

 

「鋼の武器でも一撃では倒せないか。でも、動きは早くないな」

 

大きな赤色の腕を振り回し、俺を叩きつけようとする。でも、他の魔物に比べて動きが遅く、避けることは難しくはなかった。

でも、俺が戦っているのを見て、近くにいた他のブラッドハンドも襲ってきた。さすがに大勢に囲まれると、避けるのは難しくなってくるな。

「こいつらを引き付けて、回転斬りで倒すか」

 

俺は腕を叩きつけてくるブラッドハンドをジャンプで避けて、奴らから距離をとる。今なら囲まれてもいないし、回転斬りが使えるはずだ。

俺は腕に力を溜めて、奴らが至近距離に近づいてきたのと同時に解放する。

 

「回転斬り!」

 

背後からの攻撃を耐えたブラッドハンドも、高威力の回転斬りには耐えられず、青い光を放って消えていった。

奴らが倒れたところを見ると、変な感触の白い石が落ちていた。見た目もドロドロしているので、これがドロドロ石で間違いないだろう。

 

「これでドロドロ石も手に入ったから、あとはととのえた布だな」

 

俺は全てのドロドロ石を集めて、まどうしのいる枯れ木の森に向かっていく。

野生の魔物は城にいる奴より弱いはずなので、近づくことが出来れば簡単に倒せるはずだ。

枯れ木の森に入ると、さっそく視界にまどうしの姿が映る。すぐに俺ははがねのつるぎを使って、まどうしに斬りかかっていった。

まどうしも俺に気づくと、メラの呪文を放ってくる。

 

「来たな人間め、メラ!」

 

「それくらいの呪文、かわすのは慣れてるぜ」

 

マイラやラダトームでまどうしと多く戦っているので、メラの火球を避けるのは慣れている。

俺はメラに当たらないように近づき、まどうしの体を斬り裂く。やはり近接戦闘は苦手なようなので、近づけばすぐに倒すことが出来た。

まどうしが倒れたところを見ると、魔物の城でも手に入れた赤色の布が落ちている。

 

「これがととのえた布だろうな。他の奴も倒してたくさん集めるぜ」

 

俺はととのえた布を拾った後、他のまどうしたちを倒し始める。夕方になるまで奴らを倒し続け、魔物の城で手に入れたのも合わせれば15枚以上ととのえた布を集めることが出来た。

 

「このくらい集めれば足りるだろうな。戻って作り始めるか」

 

俺は枯れ木の森から歩いてラダトームの城に戻っていった。今日は戦いや探索が続いてとても疲れているが、もうひとがんばりだな。

俺は石の作業台の前に立って、ビルダーの魔法で必要な物を作り始める。まずは今日集めた素材で玉座、城の大柱を2個ずつ作っていった。

他の物も2つ必要だが、タペストリとカベしょく台は一度に5つ、大きなタペストリは一度に2つ出来たので、一回で必要な数を揃えることができた。

余ったタペストリとカベしょく台は、他の部屋に使うかもしれないし、とっておいたほうがいいな。

次に、料理用たき火を作り、それを使ってあかい油とあおい油を染料への変化させる。

最後にはがねインゴットと染料を使って、はがねの大とびらを作り上げた。

 

「ついに玉座の間に必要な物が全部作れたな。ビルダーの魔法を使っても、結構時間がかかったぜ」

 

もうすぐ真っ暗な夜になるが、今日の内に玉座の間を完成させておきたい。

俺は設計図を見ながら玉座や城の大柱などを配置していく。そして、ようやくローラ姫の書いた設計図通りの玉座の間が完成した。

俺はさっそく、ローラ姫にそのことを伝える。

 

「ローラ姫、玉座の間が何とか完成したぞ」

 

俺の声を聞いて、ローラ姫は玉座の間の入り口のところへ走ってくる。彼女は、完成した玉座の間を見てとても驚いていた。

 

「おお、雄也様!もう玉座の間が完成したのですか!この部屋があれば、ラダトーム再建のシンボルになりそうですね!」

 

まだラダトームの再建は始まったばかりだが、豪華に作られた玉座の間はローラ姫の言う通り再建のシンボルになりそうだ。

俺がそんなことを思っていると、ローラ姫は話題を変えてきた。

 

「ところで雄也様。実はこの地に来る前、ルビスからお告げがあり、竜王を倒す特別な道具を持つ3人の賢者がここに向かっているそうです」

 

ルビスからそんなお告げがあったとは知らなかったぜ。その3人の賢者って、どんな人たちなんだろうな。

 

「3人の賢者と言うのは、誰のこと何だ?」

 

「私にも今は分かりません。ですが、雄也様のお役に立つべく、三賢者の行方を探してみることにします」

 

その人たちも、ラダトームの復興に協力してくれるといいな。

でも、彼らがどこにいるかはまだ分からないみたいだから、もう少し待つしかなさそうだ。

 

「何か分かったら、また教えてくれ」

 

その日はもう夜になっていたので、俺たちに明日からのラダトームの復興に備えて、眠りについた。

 


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