ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
がったいまじんが倒れたところを見て、必死に戦っていた荒くれたちとアメルダは、自分たちのアジトを守り抜くことが出来たと大喜びし始めた。
「よっしゃあ!ついにがったいまじんをぶっ倒せたぜ!」
「筋肉の大勝利だな!」
「アタシたちなら勝てるって思ってたわ!」
「よくやったよ雄也!今度こそマイラとガライヤを復活できるね!」
みんなが喜んでいるのを見て、今までケガをして起き上がれなかったゆきのへとシェネリも嬉しそうな顔をした。
超げきとつマシンと言う最強の兵器の力のおかげだけど、俺も本当に倒すことが出来てよかったと思う。
がったいまじんも伝説のアイテムの素材を持っているだろうから、それを修復して使えば、マイラとガライヤの空の闇が晴れるはずだ。
「あいつは何を落としたんだ?」
がったいまじんが倒れたところを見ると、赤色の宝石のような物が落ちていた。
恐らくは、伝説のアイテムのうちまだ手に入れていないたいようのいしの欠片だろう。
俺がそれを拾ってポーチにしまっていると、喜んでいたアメルダが話しかけてきた。
「今アンタが拾った、石みたいな物は何なんだい?」
「多分、たいようのいしって言う伝説のアイテムの欠片だ。これを使えば、マイラとガライヤに光が戻るはずだぜ」
アメルダも、俺がたいようのいしを拾ったところを見ていたようだな。
それを使えば空の闇を晴らすことが出来ると聞き、アメルダはさらに嬉しい表情になる。
「それは本当かい!?だったら、さっそく作ってみておくれ」
「ああ、もちろんだ!」
俺は久しぶりに、もちろんだの返事をした。
もうすぐマイラとガライヤの空の闇を晴らすことが出来る。そうしたら、アレフガルド復興の第3章も終わりになるだろう。
俺も早くマイラの空の光が見たいと思い、伝説のアイテムであるたいようのいしの作り方を調べた。
たいようのいし···くだけた宝玉1個、マグマ岩1個、まほうインゴット3個 マシンメーカー
がったいまじんが落とした欠片は、くだけた宝玉と言う名前なのか。それを、マグマ岩やまほうインゴットと組み合わせれば、たいようのいしを作れるみたいだな。
必要な素材は全て揃っているので、俺はマシンメーカーのある研究室へと入っていく。
そして、俺はマシンメーカーの前に立って、くだけた宝玉、マグマ岩、まほうインゴットに向かってビルダーの魔法をかけた。
すると、くだけた宝玉がもの凄い熱を発して、小さな爆発のようなことが起きた。俺は、巻き込まれないかと少し後ろに下がって、変化の様子を見る。
やがて、爆発が収まっていくと太陽の力が込められたきれいな石が出来ていた。
「太陽の石が完成したみたいだな。これを使えば、マイラとガライヤに光が戻るんだよな」
たいようのいしも、いにしえのメダルやあまぐものつえと同様、実物を見るのは初めてだった。とても熱い石なので、俺はやけどしないようにポーチに入れて、研究室から出た。
「アメルダ、たいようのいしを作ってきたぞ」
「よくやったよ!ついにこの地に光が戻る時が来たんだね!アイツも、ラライも喜んでくれるといいんだけどね···」
俺がアメルダにたいようのいしができたことを伝えると、アメルダはラライの話もしてきた。
ラライも世界の闇を晴らすことを望んでいただろうから、必ず喜んでくれるだろう。
「絶対に喜んでくれるはずだぜ。今からこれを希望のはたに掲げて来るぞ」
「ああ、頼んだよ!」
俺はアメルダとの話を終えると、希望のはたの台座に登ってポーチからたいようのいしを取り出す。
すると、たいようのいしは俺の手を離れて行き、マイラの町の上空へと登っていった。空高くまで上がり、動きが止まった瞬間、たいようのいしは大きな爆発を起こし、空の闇を吹き飛ばして行く。
そして、マイラとガライヤの地に、まぶしい光があふれだしていた。
俺が光が戻った空を見上げていると、精霊ルビスが話しかけてきた。ルビスの声が聞こえたのは、マイラに来た時以来だな。
「雄也よ、よくやりました。これでこの地は、竜王の悪しき力から解放され、人々は自らの力で発展していくことでしょう。しかし、忘れてはなりません。この世界には、あなたを待つ人が、まだ残されていることを···」
ルビスの言う通り、俺たちは4つの地方の光を取り戻してきたけど、まだアレフガルドの全域を復興させた訳ではないんだよな。
次は、ガンダルの本によれば、死の大地と化しているらしいラダトームに行くんだろう。
俺がルビスの話を聞いて、そんなことを考えていると、町のみんなが希望のはたの元へ集まってきていた。
「おお!雄也、本当によくやったよ!空に、光が!光が···!なんて、なんてきれいなんだろう!」
アメルダやみんなは、生まれて初めて見る青空に見とれて、とても感動していた。
俺は3回目だけど、やっぱり空の光が戻る瞬間は嬉しい気分になるぜ。
その日の夜、俺たちはマイラとガライヤに光が戻ったことを祝い、宴を開いた。そこでみんなはたくさんのお酒を飲んでいて、俺も未成年だけどせっかくなので、酔っぱらうまで飲み続けた。
宴がお開きになった後、寝室に戻る途中、俺の目の前にラライの幽霊が見えた。彼の姿が見えているのは俺だけのようだが、嬉しそうな表情をして消えていった。
この世での未練が全てなくなり、昇天していったのだろう。俺はそんなラライの様子を見ながら寝室へと戻り、眠りについた。
マイラに来て16日目の朝、昨日は酔っぱらっていたが、俺は二日酔いなどは起こさなかった。
だが、俺よりたくさんの酒を飲んでいたアメルダは、頭痛がするらしく頭をおさえながら俺に話しかけてきた。
「いてててて···頭がガンガンするよ···さすがに昨日は、飲みすぎちまったみたいだ」
そんなに飲みたくなるほど、嬉しいことだったのだろう。
日本にいた時に俺も酒を飲んだことはあったが大量に飲んだのは初めてだ。
「俺もあんなにたくさん飲んだのは初めてだぜ」
「そう言えば、酔っぱらったからか分からないけど、見えるはずのないアイツの姿が見えたのさ。多分、幻だろうけどね」
アメルダにも、ラライの姿が見えていたのか。アメルダは俺と違って幽霊は見えないから、幻覚の可能性もあるけど、本当に見えていたらいいな。
その話の後、アメルダは俺がこれまで2回見たことのある、光の柱を見たと言った。
「それはそうと、雄也。ガロンがアジトの西の山で、おかしな光を見たらしい」
アメルダの言う町の西の山を見ると、確かに美しい光の柱が出来ていた。
マイラとガライヤを復興させたから、新たな地へと繋がる光のとびらが開いたんだな。
「アメルダ、それについて大事な話があるから、みんなを集めてくれ」
「別にいいけど、その柱について何か知ってるのかい?」
「ああ、みんなが集まったら話すぞ」
マイラのみんなとも仲良くなれたのに、しばらく会えなくなってしまうのか。
まあ、もう二度と会えなくなる訳ではないけどな。竜王を倒せば、自由に行き来できるようになるだろう。
少し待っていると、アメルダは町のみんなを集めて希望のはたのところに戻っていた。
「それで、光の柱についての大切な話ってのは何なんだい?」
マイラの町にいる10人が揃っているようなので、俺は新しい地に行かなければならないことを言った。
「俺たちはマイラとガライヤを復興させたから、まだ復興していない新しい地方に行かないといけないんだ」
「つまり、このアジトを離れちまうってことか!?」
俺がその話をすると、俺と一緒にマイラに来たピリン、ゆきのへ、ヘイザンを除いた全員がびっくりしていた。
これまで俺たちと暮らしていたのに、急に離れてしまうと言うのはすぐには信じられないのだろう。
「ああ、そう言うことだ。この中で、俺と一緒に新しい地に行きたい人はいるか?」
俺はいつものように、一緒に来る人がいないか聞いた。仲間は多い方が、復興させていきやすいからな。
マイラのみんなは考え始めるが、ピリンたちはすぐに一緒に行くと言ってくれた。
「わたしはもっとみんなの役に立ちたいから、雄也についていくよ」
「アレフガルドの復興が終わるまでは、鍛冶屋を続けていくぜ」
「ワタシも親方について行くぞ」
やっぱりこの3人は頼もしい仲間だな。この先に待ち受けているのがどんな大変なことでも、乗り越えて行けそうだ。
マイラの住民のみんなは、しばらく考えた後、どうするかを言った。
「オレは、このぶっ壊れちまったアジトを直して、発展させていくつもりだ。だから、雄也と一緒には行けねえな」
「ワシも、ガロンと共にこのアジトの復興を続けようと思う」
「アタシも、二人を手伝うつもりよ」
アジトであるマイラの町を復興させていく必要があるのは分かるが、荒くれたちと別れるのはやっぱり残念だな。
アメルダも、荒くれのリーダーとしてここに残ると言った。
「アタシは荒くれのリーダーだからね。こいつらを置いてはいけないよ」
ガライヤに住む二人もここに残ると言い、新しい地に行くのは俺たち4人だけのようだ。
恐らく次は死の大地になっているラダトームに行くのだから、仲間は多いほうがいいのだが、無理に連れていくことも出来ないな。
「分かった。そっちにも都合があるもんな」
話を終えると、俺たち4人は新たな地方へ出発するために準備をする。
そして、準備を終えると、光の柱が立っている町の西の山に向かって歩いていく。
「みんな、もう会えない訳じゃないから、またな!」
俺が手をふってあいさつをすると、みんなも別れの言葉を言ってくる。
「おう、必ず戻ってこいよ!」
「ワシも応援しておるぞ!」
「アンタには筋肉はないけど、必ずやれるはずよ!」
「負けたりしたら、アタシが許さないからね!」
「頑張ってくださいね、雄也さん!」
「必ずこの世界全てに、光を取り戻してください!」
俺たちはマイラの町の人々に見送られながら、光の柱へと進んでいく。多くの人を救ってきた俺たちなら、必ずアレフガルド全域を復興できるだろう。
そう思いながら10分ほど町の西へ進み山を登ると、光の柱が上がっている場所のすぐ近くまで来た。
すると、俺の耳に再びルビスの声が聞こえてきた。
「雄也、そのとびらが通じる先は、私の力も及ばぬ死の大地、ラダトーム。あなたはその運命の地で、自らに課せられた使命を果たさなければなりません。あなたの役割も、そこで終わりを迎えるでしょう。覚悟が出来たら、光の渦の中に飛び込むのです」
やっぱりこの次はラダトームに行くんだな。ルビスの力も及ばないと言うのは、相当酷い状態になっているのだろう。
これまで4つの地域を復興させてきたから、ルビスの言う通り最後に復興させる場所になるだろう。
急にそんな場所に行くと驚くだろうから、俺はみんなにラダトームに行くことを伝えた。
「ルビスから聞いたんだけど、これから俺たちは死の大地になったラダトームに行くらしい。みんなも覚悟は出来てるか?」
だが、その話を聞いてもみんなは恐れることはしなかった。
「別に、わたしは雄也と一緒なら、どこへ行ってもいいよ!」
「ワシも伝説の鍛冶屋の子孫としてな、最後まで復興に付き合うぜ」
「ワタシも親方の弟子として、共にラダトームへ向かうぞ」
さすがは今まで一緒に復興させてきた仲間たちだな。この3人となら、死の大地になったラダトームにも必ず光を取り戻せるはずだ。
そして、俺たちはラダトームに向かうため、光のとびらに飛び込んだ。