ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode82 炎と氷が合わさりし者

俺たちがひょうがまじんのすぐ近くまで近づくと、奴も俺たちに気づいて、巨大な氷の塊を投げてきた。

 

「氷を投げてきたな。でも、これくらい簡単にかわせるぜ」

 

ひょうがまじんはようがんまじんを倒した俺たちに怒っているのか、さっきより力強く投げつけてくる。

それでもかわせない程の大きな氷の塊ではなく、俺たちはジャンプして回避した。

そして、回避しながら走っていき、ひょうがまじんの目の前にたどり着いた。

ひょうがまじんと戦っているアメルダも俺に気づいて、話しかけてくる。

 

「アタシたちを助けに来たってことは、ようがんまじんを倒したのかい?」

 

「ああ、最強の兵器のおかげでな。こいつにも超げきとつマシンを使うから、離れてくれ」

 

ひょうがまじんは攻撃が激しいので、普通に近づいて回転斬りなどで倒すことは出来ない。アメルダたちが俺の指示を聞いてひょうがまじんから離れたことを見て、超げきとつマシンへと乗り込んだ。

俺がひょうがまじんに向かって走って行くと、奴も俺を止めようと大量の氷の柱を発生させてくる。だが、柱の大きさなどはようがんまじんとほぼ同じなので、俺はかわしながらスピードを上げて、ひょうがまじんの腕へと激突した。

すると、既にかなりのダメージを受けていたひょうがまじんの腕は大きく破壊され、地中に消えていった。

腕を壊されたことで、ひょうがまじんの顔を少し怯んだ。

 

「これでひょうがまじんの腕は倒せたな」

 

俺がひょうがまじんの腕を倒すと、みんなは残っている顔を倒すために、ひょうがまじんに近づいて行く。

俺もひかりのつるぎとまじんのかなづちの二刀流で、ひょうがまじんへと近づいて行った。

 

「よくやったな雄也!後はこの顔を倒せば終わりだ!」

 

「マイラの空と共に、ガライヤの空も晴らさせてもらうぞ!」

 

「みんなで戦えばこいつも倒せるはずよ!」

 

荒くれたちが突き上がってくる氷の柱を避けながら、ひょうがまじんをまじんのかなづちで殴りつける。

続いてアメルダたちも攻撃に加わろうとしたが、ひょうがまじんはようがんまじんが激しい炎を吐いたように、凍える吹雪を吐いてきた。

 

「ようがんまじんが息の攻撃をしてきたけど、やっぱりこいつも使うんだな」

 

非常に低い温度なので、食らえば全身に凍傷を負ってしまうだろう。ガロンたちは避けることが出来たが、近づくことが難しくなった。

でも、さっきようがんまじんを倒した方法で倒せるはずだな。

 

「みんな、あいつの周りを取り囲んでくれ!ようがんまじんと同じ方法で倒すぞ!」

 

俺の指示で、みんなは凍える吹雪を避けながらひょうがまじんを囲む。

そして、ひょうがまじんの顔のちょうど反対側に俺が来たとき、超げきとつマシンへと乗り込んだ。

 

「もう一度、最高速度を出すぜ!」

 

最高速度を何度も出したら、超げきとつマシンに負担がかかりそうだが、今はそんなことを考えている場合ではない。

そして、俺はアクセルを力強く踏んで、ひょうがまじんの顔へと突撃した。

先端の角の部分が深く突き刺さり、ひょうがまじんは絶大なダメージを受ける。二連砲台と同じくらいの威力があるかもしれない。

 

「ようがんまじんと同じように動きが止まったな。これで倒せるはずだ!」

 

ひょうがまじんの顔が怯んだのを見て、みんなは再びそれぞれの武器を振り上げ、奴に殴りかかって行く。

俺は二度と凍える吹雪を吐けないよう、ひょうがまじんの口に向かって回転斬りを放った。

「回転斬り!」

 

俺の回転斬りやみんなの一斉攻撃で、ひょうがまじんは倒れて地中へ落ちて行った。

しかし、こちらも青い光は放たず、伝説のアイテムの素材も落とさなかった。やはりまだ、完全にとどめをさせていないのだろうか。

とりあえず俺たちは町の中に戻っていったが、少し不安だな。

俺のそんな考えとは反対に、ガロンたちは2体の魔物の親玉を倒せたことを喜んでいた。

 

「ついにやったぜ!マイラとガライヤの魔物の親玉を倒したぞ!」

 

「やはり、ワシの筋肉に敵う奴はいなかったな」

 

「雄也とアネゴが開発した、最強の兵器のおかげね」

 

そんな中で、アメルダも俺と同じことを考えていたようで、俺にそのことを言ってきた。

 

「雄也、これで本当に魔物の親玉を倒せたのかい?まだ空の闇は晴れていないみたいだけど···」

 

「確かに、これで本当に倒せたのか不安だな。魔物の親玉を倒したら空の闇が晴れるんじゃなくて、奴らが落とす伝説のアイテムを修復して使えば空の闇が晴れるんだけど、それも落としていない」

 

俺たちの中で不安が高まっていたその時、再びマイラの町が大きく揺れた。

やっと倒せたと喜んでいたガロンたちも、異変に気づく。

 

「な、何が起きてるんだ!?2体とも倒れたはずだろ?」

 

やっぱりまだ倒しきれていないみたいだな。

再び2体が戻ってくるのかと思っていると、町の北側にようがんまじんとひょうがまじんの腕が1本ずつ現れ、その後ろに2体が合体した姿の顔が現れた。

その姿を見て、一番驚いているのはアメルダだった。

 

「まさか、ようがんまじんとひょうがまじんが合体して一つになっちまったのかい?」

 

「信じたくないけど、そうとしか思えないな」

 

アメルダが一番恐れていた、2体の魔物の親玉が合体することが起きてしまったようだな。

こうなってしまえば、もう自分たちの手におえないとも言っていた。

 

「アイツをどうしろって言うんだい?いくら最強の兵器でも、倒せるか分からないよ」

 

「間違いなく、これまでで最強の敵だろうな」

 

俺たちが呆気にとられていると、ガロンが大声で言ってきた。

 

「雄也、アネゴ!どんだけ強い奴だろうがあの合体したまじん、がったいまじんを倒さねえとこの町に未来はねえんだ!それにここまで来て、諦める訳にはいかねえだろ!」

 

確かに、どんなに強い奴であろうが立ち向かうしかないんだ。あのがったいまじんとやらも、戦って倒すしか方法はない。

ガロンの言葉を聞いて、アメルダも戦う気になっていた。

 

「アンタの言う通りだね、ガロン。自分たちの力を信じて、立ち向かって行くしかないよ!」

 

「ああ、今度こそ最終決戦だ!あいつを倒して、マイラとガライヤの空の闇を晴らしてやるぜ!」

そして俺たちは、がったいまじんに向かって武器を向けて走って行く。マイラとガライヤを支配する魔物の親玉が合体した、最強の魔物との決戦だ。

 

俺たちががったいまじんの所へ走っていると、奴は両腕を使いマグマ岩の塊と氷の塊を同時に投げつけてきた。

飛んでくる速度はそこまででもないが、やはり攻撃が激しいな。

 

「腕が2本に増えたら結構厄介だぜ」

 

腕が2本と言うことは、両方を破壊しなければ本体を倒すことは出来ないだろう。しかも、がったいまじんの腕の所まで近づくことも難しかった。

俺たちが武器を振り上げて、がったいまじんに殴りかかろうとすると、奴は火柱と氷の柱を同時に突き上げて来る。攻撃の頻度が2倍になっているため、俺たちは避けることで精一杯だった。

「くそっ、攻撃が激しすぎるぜ!どうなってるんだ!?」

 

「炎と氷の力が合わさると、ここまで強くなるのか」

 

「アタシたちでもなかなか近寄れないわね」

 

いつもは攻撃を避けながら敵を叩き潰す3人の荒くれも、今回は敵に近寄ることすら出来ない。

 

「超げきとつマシンを使っても近づけるか分からないけど、速度を上げれば行けそうだな」

 

俺は何とか近づこうと、攻撃を回避した直後に超げきとつマシンに乗り込んで、発車した。

攻撃に当たらないようにするために、いつもより速度を上げていき、がったいまじんに向かって突撃する。腕なら一撃で倒せるかもしれないので、俺はマシンを加速させていき、思いきりぶつかって行く。

すると、がったいまじんは俺に気づいて、両腕を振り上げて力を溜める。そして、激突してきた俺をなぎはらおうとした。

超げきとつマシンはそう簡単には止められないぜ!と思いながら2本の腕に激突したが、奴の攻撃力は予想以上に高く、ぶつかった瞬間激痛が全身に走り、俺は超げきとつマシンから放りだされた。

 

「くっ、ここまで強いのかよ!?」

 

もちろんがったいまじんの腕もダメージを受けていたが、まだ破壊することは出来ない。

俺は痛みに耐えながら何とか立ち上がって、再び火柱や氷の柱を避けていった。

 

俺がそうしていると、アメルダとゆきのへががったいまじんから離れて、町へ戻っていった。

がったいまじんを倒すために、大砲をここに持ってくるつもりのようだ。

 

「大砲を使って、あいつを倒すよ!」

 

「2つあるからな、ワシも運ぶのを手伝うぜ」

 

しかし、がったいまじんはそれに気づいて、アメルダたちに巨大な2つの岩を放り投げる。

荒くれの3人とシェネリはアメルダたちを助けるために、何とか火柱と氷の柱を避けながら、大声を上げてがったいまじんの腕をまじんのかなづちで殴りつけた。

 

「お前なんかにオレたちは止められねえぜ!」

 

「どれだけ強い魔物でも、筋肉の力には敵わぬ!」

 

「必ずアンタを倒して、マイラに光を取り戻して見せるわ!」

「魔物たちなんかに、マイラとガライヤは支配させません!」

 

だが、がったいまじんはさっき俺をなぎはらった時と同じ攻撃を溜めていた。2本の腕に同時になぎはらわれば、さすがに4人でも防ぐことは出来ないだろう。

俺もがったいまじんの腕をとめるため、二刀流で力を溜めながら近づき、回転斬りを放った。

 

「回転斬り!」

 

みんなも同時にまじんのかなづちを叩きつけたが、攻撃を止めることはできなかった。

がったいまじんの腕は俺たち5人をなぎはらい、遠くへ吹き飛ばした。武器のおかげで威力を軽減することは出来たが、さっき超げきとつマシンでぶつかった時と同じような衝撃が走った。

俺はしばらく動けなくなってしまったが、後ろから聞こえたアメルダの声を聞いて、立ち上がってその場を離れた。

 

「二連砲台をここまで持ってきたよ!すぐに撃つから離れておくれ!」

 

すでにまほうの砲弾がセットされているようで、俺たち5人が離れるのを見るとアメルダはすぐに発射ボタンを押す。

すると、がったいまじんの両腕に直撃しそうだったが、氷の腕の方が前に出て防いだので、マグマの腕を倒すことはできなかった。

だが、まほうの砲弾の威力のおかげで、がったいまじんは少し怯み、マグマの腕にもかなりのダメージを与えていた。

 

「今のうちに、もう片方の腕も倒しておかないとな」

 

俺はその間に再び超げきとつマシンに乗り込み、マグマの腕へと突撃する。

そして、大砲で壊れかけているマグマの腕を先端の角で破壊し、残りを顔だけにした。

 

「あとは顔だけだな。もう少しで倒せそうだぜ」

 

だが、がったいまじんは体内で恐ろしいほどの炎の力と氷の力を発生させ、それを融合させていた。

俺もそれに気づいて、超げきとつマシンから飛び降りる。

恐らくこいつが放つのは炎と氷を融合させた最強の呪文、メドローアだろう。それも、とてつもなく巨大なものだ。

 

「みんな、強力な攻撃が来るから避けてくれ!」

 

俺の声を聞いて、みんなはがったいまじんのところから離れる。しかし、その直後に、がったいまじんは巨大なメドローアの呪文を放った。

食らったら間違いなく即死する威力なので、何とかかわそうと俺たちは大きくジャンプする。

そして、メドローアが直撃することは避けられたが、奴の目の前にあった2つの大砲は跡形もなく消え去り、温泉や研究室もほとんどが消しとんだ。

マッドウルスのドルモーアなどとは比べ物にならない威力だ。

 

「みんな、生きてるのか?」

 

俺はそんな心配をしていたが、全員無事なようだった。だが、直撃は避けられてもとてつもない衝撃でみんなは壁などにぶつかり、重症をおっていた。

だが、がったいまじんの攻撃が止まることはなく、奴はついに町の光の中に入ってくる。もう腕は倒しているが、またメドローアを使えば町を破壊することが出来る。

今度使われれば、この町は完全に壊滅してしまうだろう。

 

しかし、そんな中でもこのマイラの町を大切に思っている荒くれの3人とアメルダは、何としてもがったいまじんを倒そうと立ち上がったのだ。

4人とも俺と同じようにかなりのケガをしていて、全力で戦うのは難しい状

態だ。

 

「これ以上オレたちのアジトをこわすんじゃねえぜ!」

 

「筋肉は決して···決して死なず!」

 

「アンタにアタシたちを倒せるなんて思わないでほしいわね!」

 

「ここはアタシたちが作り上げてきたアジトだからね。そう簡単に壊させる訳にはいかないよ!」

 

4人は、再び突き上げられる火柱と氷の柱を避けながら、がったいまじんへと近づいていく。アジトを守りたいと言う気持ちからか、さっきと同じくらいの力を出せていた。

「俺も、ここで負ける訳にはいかないな」

 

俺は意識を失いかけていたが、みんなの姿を見てもう一度超げきとつマシンに乗り込む。町を作ってその町を守るのがビルダーの役目だからな、絶対にがったいまじんを倒さないといけない。

俺はがったいまじんの背後にいたので、今なら倒せるかもしれない。俺は速度を上げていき、奴の後頭部へ進んでいく。

しかし、がったいまじんはそのことに気づき、俺に向かって2発目のメドローアを撃とうと力を溜め始めた。

俺はマシンから降りてもかわせない位置にいて、発射される前に奴に激突するしか方法はなかった。

 

「頼む!間に合ってくれよ」

 

俺はさっきようがんまじんとひょうがまじんを撃退した時のスピードをさらに越えるために、アクセルが壊れるほど強く踏む。

そして、メドローアを発射する寸前のがったいまじんの口を、全力で貫いた。

メドローアは阻止され、がったいまじんの体内で過剰なエネルギーが溜まっていく。

 

「これで俺たちの勝ちだな、がったいまじん!」

 

最後には、奴の体内でエネルギーが大爆発を起こし、がったいまじんは巨大な青い光を放ち、消えていった。


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