ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode81 炎と氷を操る者

俺たちは町に戻ってきた後、希望のはたの近くで別れた。

俺は多くの魔物と戦って少し疲れていたが、荒くれのみんなはまだまだ元気そうだ。

 

「雄也、魔物との戦いに行くならまた呼んでくれ!」

 

「ああ、これからもよろしくな」

 

俺はガロンにそう言った後、アメルダの待つ研究室に向かった。

3人は温泉に行っていて、俺も入りたかったが今はまず、最強の兵器を完成させないといけないな。

研究室の中に入ると、マシンパーツのメモを読んでいたアメルダが話しかけてきた。

 

「雄也、戻ってきたんだね。それで、からくりパーツは見つけたかい?」

 

「ああ、これでマシンパーツが作れるはずだ。今すぐ作ってくるぞ」

 

からくりパーツからマシンパーツを作って、それから最強の兵器を作る。ようがんまじんたちがどこにいるかは分からないが、これで準備は完了するな。

俺はマシンメーカーの前に立って、からくりパーツの他に必要な素材を調べた。

マシンパーツ···からくりパーツ1個、エネルギー物質3個、マグマ電池5個 マシンメーカー

エネルギー物質はまほうインゴットを大量に作ったからなくなっているけど、素材があるから今すぐ作れるな。

俺はまずエネルギー物質を作り、その後マグマ電池やからくりパーツと合体させて、マシンパーツへと変化させた。

 

「これでマシンパーツが出来たな。あとは最強の兵器を作るだけだ」

最強の兵器がどのような物なのかは分からないが、アメルダに聞けば分かるだろう。

俺は作ったマシンパーツを、さっそくアメルダに見せる。

 

「アメルダ、マシンパーツが出来たぞ!」

 

「おお、ついに完成したんだね!これで最強の兵器が作れるよ!」

 

アメルダは、マシンパーツが完成したことをとても驚き、喜んでいた。

魔物の親玉に勝てるようになったからだけでなく、恋人であったラライの発明を完成させられたからもあるだろう。

俺は喜んでいるアメルダに、最強の兵器について聞いた。

 

「それで、マシンパーツから作れる最強の兵器って、どんな物なんだ?」

 

「アタシも初めて知ったんだけど、どうやら乗り物で、敵に激突する兵器みたいなんだ」

 

敵に激突する兵器ってどんな物なんだ?と思っていると、アメルダは俺にマシンパーツのメモの裏側を見せてきた。

そこには、赤色の車体に3つのタイヤがついた、車が書かれていた。前方には角のような物がついており、これで敵を突き刺すのだろう。

 

「何なんだ? この車みたいな物は?」

 

「これに乗り込んで突撃して、敵を吹き飛ばす兵器さ。絶望的なネーミングだけど、超げきとつマシンって言うらしいよ」

 

超げきとつマシンって名前なのか。確かに強そうには見えるけど、まさか車が最強の兵器だとは思っていなかったぜ。

でも、それ以外に最強の兵器なんて思い付かないから、これを作るしかないな。

 

「アタシも思ってたのとは違うけど、これがあればマイラとガライヤの空の闇を晴らせるはずだよ!」

 

「ああ、これを作って、ようがんまじんたちを倒そう」

 

俺はアメルダにはそう言ったが、やっぱり車が最強の兵器と言うのはちょっと不安だな。

とりあえず今はメモに書かれていることを信じて、作り方を調べた。

超げきとつマシン···マシンパーツ1個、まほうインゴット8個、マグマ電池5個 マシンメーカー

今持っている素材で作れるみたいだな。マグマ電池は大砲を作る時に大量に作っておいたし、まほうインゴットは足りなくなると困る素材なので少なくなるたびに作っていた。

この2つの素材とマシンパーツを合わせれば完成できるはずだ。

 

「素材は足りてるみたいだから、今すぐ作ってくるぞ」

 

「ああ、頼んだよ!」

 

俺はマシンメーカーの前に移動し、マシンパーツや他の素材にビルダーの魔法をかける。

すると、素材が次々と合わさっていき、やがて車の形に変化した。

 

「これが、超げきとつマシンと言う奴なのか」

 

「よくやったよ雄也!今度こそ、ようがんまじんと決着をつけられるね!」

 

最強の兵器が完成したのを見て、アメルダもマシンメーカーのところに来てとても嬉しそうな顔をする。

そして、ラライの発明を完成させたことに改めて感謝の言葉を言った。

 

「ありがとうね···ラライの発明を完成させてくれて」

 

「俺も完成させられて良かったぜ。ラライも喜んでいるといいな」

 

ラライも俺たちが最強の兵器を完成させたことを知れば、喜んでくれるだろう。

 

そう思っている時だった、マイラの町が、突然揺れたのだ。その揺れは、ゴーレムやヘルコンドル、マッドウルスが来た時と同じような揺れだった。

大きな揺れを感じたこと初めてのアメルダは、突然のことにとても驚く。

 

「な、何なんだい!?この揺れは」

 

「多分ようがんまじんがこの町に迫っているんだ。マイラでの最後の戦いの時が来たみたいだな」

ようがんまじんもひょうがまじんも、最強の兵器を完成させた俺たちを潰しに来ようと思っているのだろう。

今回は、2体同時に戦わないといけないかもな。

研究室の外に出てみると、まだようがんまじんたちはいなかったが、もうすぐ現れるだろう。

 

「おいおいっ!何が起きてるんだ!?」

 

温泉に入っていたガロンたちも、突然の揺れに気づいて俺のところに走ってくる。

その後、まじんのかなづちを持ったゆきのへとシェネリも集まってきた。

 

「雄也、何が起こってるんだ?」

 

「こんなに強い揺れが起きるなんて、何があったのでしょう?」

 

戦えるメンバーが全員集まったのを見て、俺はもうすぐようがんまじんが来ることを伝える。

 

「マイラとガライヤを支配する魔物の親玉がもうすぐ攻めてくる。この地での最後の戦いになるはずだぞ」

 

その話を聞くと、みんなは一瞬で真剣な表情になる。

いくら最強の兵器があると言っても、決して油断することは出来ない相手だからな。

 

「ついに決戦の時がきたか。ここまで来たなら絶対に勝ってやるぜ!」

 

「ワシらの力があれば、負けるはずはないぞ!」

 

「アタシたちならどんな敵だって倒せるはずよ!」

 

荒くれたちは大声で言いながらまじんのかなづちを構える。戦いの準備は全員完璧な状態だな。

しばらくして、揺れはさらに激しくなり、町の西にようがんまじん、町の東にひょうがまじんが現れた。

やっぱり、同時に戦わないといけないようだな。でも、俺たちなら倒せるはずだ。

 

「これに勝てばマイラとガライヤの空の闇が晴れるはずだよ!アタシたちならできるさ!」

 

アメルダが大声で叫び、みんなも武器をようがんまじんたちに向ける。そして、マイラでの最後の戦いが始まった。

 

俺たちが身構えていると、ようがんまじんとひょうがまじんは、巨大な岩を投げてきた。

 

「こんな巨大な岩を投げてくるのか。当たったら危険だな」

 

みんなはその岩を回避して、二手に別れて魔物の親玉に立ち向かっていく。荒くれたちはようがんまじんに、アメルダ、ゆきのへ、シェネリはひょうがまじんに殴りかかった。

「俺はさっき作った超げきとつマシンを使ってみるか」

 

俺はさっそく、超げきとつマシンを使ってみることにした。

俺は超げきとつマシンに乗り込んで、まずはようがんまじんへと向かって行く。

すると、ようがんまじんは腕と戦った時のように火柱をあげて来た。

 

「今回も火柱を使ってきたか···でも、車のスピードなら避けられるぜ」

 

超げきとつマシンのスピードはかなり早く、火柱を避けることは難しくなかった。攻撃を避け続けながら、俺はようがんまじんへと近づいて行く。

そして、マシンの速度をさらに上げて奴に激突した。

するとようがんまじんは、巨大な腕を振り上げ、俺をなぎはらおうとする。

超げきとつマシンとようがんまじんの腕がぶつかって、俺の体に強い衝撃が走った。

 

「くっ、やっぱり攻撃力も高いな」

 

だが、ようがんまじんの腕にかなりのダメージを与えられたことも確かだ。

でも、ようがんまじんはすぐに体勢を立て直し、まだ激突マシンを発車させていない俺に火柱を突き上げてきた。

俺は間に合わないと思い、超激突マシンから飛び降りて回避した。

 

「こんなに早く体勢を立て直したのか。さすがは魔物の親玉だな」

 

激突して怯んだところで、顔にも攻撃を当てようと思っていたが、そう上手くは行かないようだ。

火柱の攻撃が止んだ後俺はすぐに超げきとつマシンに乗り直そうとするが、ようがんまじんは腕を降り下ろし、俺を叩き潰そうとしていた。

すると、走ってようがんまじんの所にたどり着いたガロンたちが、ようがんまじんの腕に向かってまじんのかなづちを叩きつけた。

 

「雄也のマシンはすげえけど、やっぱり筋肉の力も必要だぜ!」

 

「いくら巨大な腕であろうが、ワシらを潰すことは出来んぞ!」

 

「でも、この攻撃は結構キツいわね···」

 

ようがんまじんは、攻撃の対象を俺から荒くれの3人に変える。

荒くれたちは力一杯にまじんのかなづちで攻撃するが、ようがんまじんの力が強すぎて3人の筋肉の力でも潰されそうだった。

なので俺はすぐにポーチから2つの魔法の武器を取りだし、横に回っで力を溜めた。

 

「俺には筋肉はないけど、行くぜ、回転斬り!」

 

ひかりのつるぎとまじんのかなづちでの回転斬りが当たり、ようがんまじんは少し動きが止まる。

でも、すぐに体勢を立て直すはずなので、俺はさらに二刀流での追撃を加える。

 

「よくやったぜ雄也!オレたちもこの腕をへし折ってやるぞ!」

 

俺がようがんまじんの腕を止めている間に、荒くれの3人もまじんのかなづちで殴りまくる。

4人で殴り続けられ、ようがんまじんの腕はかなり弱っていた。すると、ようがんまじんの顔の方が俺たちに激しい炎を吐いてくる。

俺たちはすぐにそれに気づいてかわすが、正面から攻撃は出来なくなった。

「オレたちの筋肉でも、こいつは防げねえな」

 

ガロンたちの筋肉の力を使っても、さすがに炎を防ぐことは出来ない。

ようがんまじんの激しい炎はなかなか止まらず、俺たちは避け続けるしかなかった。

しかも、俺たちを追い詰めながらようがんまじんは次々とマイラの町に近づいていく。奴らは俺たちを倒して、町も破壊するつもりなのだろう。

 

「ようがんまじんは町に近づいているわね。なんとかしないといけないわ」

 

ギエラもそのことに気づいて、何とかしようとする。

このままだと町の建物を壊されるだけではなく、戦うことの出来ないピリンやヘイザン、コルトも危険にさらされてしまうだろう。

でも、離れていた場所にいたようがんまじんが近づいてきて、二連砲台の射程範囲に入ってきた。まほうの砲弾を放てば、あいつも止められるかもしれないな。

 

「みんな、大砲を使ってあいつを攻撃するぞ、離れてくれ!」

 

俺はみんなにそう言って、砲台に立って2つの大砲にまほうの砲弾をセットする。セットしている間にようがんまじんは町のすぐそばまで来ていたので、俺は即座に発射スイッチを踏んだ。

 

「俺たちの町に入らせはしないぜ!」

 

そして、同時に発射された2つの魔法の砲弾は、目の前にいたようがんまじんに向かって飛んでいく。

すると、ようがんまじんは自分の腕を犠牲に砲弾を防いだのだった。いくら巨大な腕だとは言え、まほうの砲弾を一度に2発も受ければ耐えることは出来ず、破壊されて地面に消えて行った。

しかし、顔を倒すことは出来ず、ようがんまじんは再び激しい炎を吐き始めた。

 

「くそっ、まだ倒せなかったか」

 

まほうの砲弾はまだ残っているが、砲台に向かって激しい炎を吐いているため、撃つことが出来ない。

誰かに他の方向にようがんまじんを引き付けてもらうことも出来るが、それだとその人が砲弾に巻き込まれてしまうだろう。

俺がどうすればいいか考えていると、ガロンが作戦を提案してきた。

 

「オレたちがアイツを4方向から囲めばいいんじゃねえか?」

 

確かにその方法はまだ試していなかった。東西南北から囲まれれば、さすがのようがんまじんも対応しきれないかもしれない。

 

「分かった。みんな、あいつを4方向から囲んで倒すぞ!」

 

俺は大声で言ってベイパーとギエラにも伝え、作戦を開始した。俺たちはまだ吐き続けられる激しい炎をかわしながら、ようがんまじんを取り囲む。

今はようがんまじんは俺のいる方角を向いているので、後ろにいるガロンを攻撃することは出来ないだろう。

 

「これでお前も終わりだぜ、ようがんまじん!」

 

そう言って、ガロンようがんまじんに殴りかかる。だが、俺もみんなも攻撃が成功すると思っていたのに、期待は裏切られた。

ようがんまじんは顔を思っていた以上に素早く回転させて、俺たち4人を一気に激しい炎で焼き付くそうとしたのだ。

攻撃をしようとしていたガロンは、大きくジャンプして激しい炎をかわしたが、ダメージを与えることは出来なかった。

 

「くそっ、この作戦でもダメなのか!?」

 

俺たちが走って近づこうとすると、すぐにようがんまじんの激しい炎に当たってしまう。

そこで思い付いたが、超げきとつマシンの最高速度で突撃すれば、激しい炎が回ってくる前に突撃できるかもしれない。少しでも遅ければ炎が直撃してしまうが、それしか方法はないな。

 

「超げきとつマシンを使うしかないな」

 

俺は、ようがんまじんの炎を避けた後、すぐに超げきとつマシンに乗って、アクセルを思いきり踏んで最高速度で突撃した。

その速度は、高速道路を走る車より遥かに早いスピードで、一直線にようがんまじんの後頭部に向かって行く。時速200キロは越えているだろう。

そして、俺のところに激しい炎が来る直前に、ようがんまじんに先端についた角を突き刺すことが出来た。

スピードが早かったので、腕にぶつかった時より威力が上がり、ようがんまじんは大きく怯む。

 

「さすがは最強の兵器だぜ!ようがんまじんは弱ってるし、とどめだ!」

 

最強の兵器が車だなんて大丈夫か?と思っていたが、ここまで強いとはな。超げきとつマシンを作っておいてよかったぜ。

また体勢を立て直されると大変なので、俺は怯んだようがんまじんの顔に全力で二刀流の回転斬りを放った。

「とどめだ、回転斬り!」

 

俺の回転斬りと一緒に、みんなもようがんまじんに向かってまじんのかなづちを思いきり降り下ろす。

そして、ついにようがんまじんは倒れて、地面の中に消えていった。しかし、青い光は発生せず、伝説のアイテムを落とすこともなかった。

もしかして、まだ倒れていないのかと思ったが、今はひょうがまじんと戦っている3人の援護に行かないとな。

 

ひょうがまじんは俺たちとは離れている場所にいるので、走って町の東へと向かっていく。

奴と戦っている3人は、さっきの俺たちのようにかなり苦戦していた。

ひょうがまじんは氷の柱を突き上げたり、腕を叩きつけたりしながら、3人を追い詰めていく。

 

「この腕も結構弱ってるはずだけど、まだ倒れないね···」

 

でも、次々に突き上げられる氷の柱を避けながらひょうがまじんの腕を魔法の武器で攻撃し、かなりのダメージを与えることが出来ていた。

何とかひょうがまじんの腕を倒そうと、ゆきのへとシェネリもまじんのかなづちを叩きつける。

 

「お前さんのような奴に、ワシらの町は攻めさせねえぜ」

 

「みんなと一緒に、この町を守ります!」

 

しかし、ひょうがまじんの腕や氷の柱を避けながら攻撃をしていた3人は、さすがに体力の限界で動きが鈍ってきていた。

 

「早くアネゴたちを助けないとまずいぜ!」

 

俺たちは早く助けに行こうと、ひょうがまじんの元へと走って行った。


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