ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺がラライからブルーブロックについて教えてもらった後、マイラの町に戻ってくると、もう夜になっていた。
早く最強の兵器を作りたいけど、今日は俺もみんなも疲れているだろうから、ブルーブロックのことを話すのは明日にするか。
「今日は休んで、明日からの戦いに備えておかないとな」
俺が寝室へと向かおうとしていると、まだ起きていたガロンが話しかけてきた。
「なあ、雄也。ラライの野郎から兵器の情報を教えて貰えたか?」
ラライに銀の竪琴を渡すことを提案したのはガロンだから、結果が気になっているのだろう。
最初の作戦とは違ったけど、兵器の手がかりを手に入れることはできたな。
「ああ、詳しくは分からないけど、ブルーブロックって物を教えてもらった。ガロンは何か分かるか?」
「ブルーブロックなんて、オレも聞いたことねえぞ」
俺はブルーブロックのことについてガロンに聞いてみたが、ガロンも知らないようだった。
ラライが教えてくれたんだし、重要な手がかりには間違いないはずだが。
「アネゴなら何か知ってるかもしれねえし、聞いてみたらどうだ?」
「ああ、明日聞いてみるぜ」
アメルダは兵器の研究で疲れていて、今日はもう寝室で寝ていた。
ブルーブロックのことについては、明日聞くしかないな。
それと、ガロンにもうひとつ聞きたいことがあった。
「あと、もう一つ気になるんだけど、どうしてアメルダからの贈り物と言うことにしようと思ったんだ?」
結果嘘だと気づかれてしまったが、ガロンが提案した理由が気になるな。
そのことを聞くと、ガロンは驚くようなことを言った。
「実はな、アネゴとラライは単に発明家と助手の関係じゃなくて、恋人同士だったんだ。だから恋人からの贈り物と言うことにすれば、ラライも喜ぶと思ったんだ」
「あの二人が恋人!?そんな関係だったのか?」
そう言えば、ガライの町の跡地にいたキラーマシンも、そのようなことを言っていたな。
すぐには信じられないことだが、アメルダとずっと共に暮らしてきたガロンが言うのだから、間違いないだろう。
俺が驚いていると、ガロンは二人の過去の話を始めた。
「ああ、何故かは分からねえけど、マイラに生まれたアネゴと、ガライヤに生まれたラライ···この二人は性格まで真逆だったのに、不思議と惹かれあったんだ」
そう言えばガロンの言う通り、アメルダは活発で、ラライは冷静な人と言うイメージだ。
性格が一致していないと、恋人にはなりにくいはずだけど、不思議なこともあるんだな。
でも、今までは明るい話だったが、ガロンは急に真面目な表情になった。
「だけど、ある夜のことだった。アネゴが、ラライを殺したのは」
俺もだいたい分かっていたけど、やっぱりアメルダはラライを殺したんだな。
恋人同士だったはずなのに、どうしてなんだろう。
「やっぱりそうだったんだな···何があったんだ?」
「それはオレも知らねえな。だけどオレは、アネゴのことを信じてるぜ」
俺も勝手な理由でアメルダが人を殺すとは思えない。
リムルダールで戦ったマッドウルスのように、殺さなければいけない理由があったと言うことだろう。
「俺もアメルダのことは信じている。過去に何があったとしても、協力して兵器を作っていくぜ」
「お前ならそう言ってくれると思ってたぜ!兎に角、ありがとうな」
俺はガロンから二人の過去の話を聞き終え、寝室へと入って行く。
アメルダがラライを殺した理由を知りたくはあるけど、無理には聞かないほうがいいな。
とりあえず俺は明日に備えるため、わらベッドで眠りについた。
マイラに来て15日目の朝、俺は起きるとさっそく研究室に行き、アメルダにブルーブロックのことを教えに行った。
アメルダはまだ研究記録を解読している途中だが、なかなか終わらない。
「アメルダ、実はガロンの提案で、ラライ本人から兵器の情報を聞いてきたんだ」
「ガロンから全部聞いたよ。最強の兵器のためだとは言え、余計なことを···」
アメルダももう知っていたようで、驚くことはしなかった。
ガロンは俺より先に起きていたし、俺が目覚める前にそのことを教えていたんだろう。
「それで、アイツが教えてくれた手がかりってのは?」
「ブルーブロックって言う青一色のブロックの作り方を教えてくれたんだ。それを使って、弱き物を描けって言ってた」
俺はアメルダに、ブルーブロックのことについて聞いた。
俺にはラライの言っていた言葉の意味は分からないけど、アメルダなら知っているかもしれない。
そして、アメルダは少し考えた後、何かを思い付いたようだった。
「それなら心当たりがあるね。ラライが倉庫として使っていた建物があるんだ」
ラライの倉庫か···それなら、研究を進めるための重要な情報やアイテムが見つかるかもしれないな。
それを手に入れるために、ブルーブロックが必要なのだろう。
「そのラライの倉庫って、どこにあるんだ?」
「ガライの町の近くの氷原を越えた先にある、岩山の上さ。この前の旅のとびらから行けるはずだよ」
昨日ラライの墓に向かう途中に見つけたあの岩山のことか。そこに向かうまで結構な時間がかかるけど、場所は分かっているから迷わず行けるな。
「そこでブルーブロックを使えば、何かが起きるはずだよ!調べてきておくれ」
「分かった。何か見つけたらすぐに教えるぜ」
ブルーブロックを作ったら、すぐに出発できるな。俺はビルダーの魔法で、ブルーブロックの作り方を調べる。
ブルーブロック···エネルギー物質1個、氷3個 マシンメーカー
青一色のブロックだから、作るのはそんなに難しくはないな。それに、今俺はマシンメーカーのある研究室にいるので、すぐに作ることが出来る。
そして、俺はエネルギー物質と氷を合体させて、ブルーブロックを作った。
「これがブルーブロックか···一度に10個も出来るんだな」
ブルーブロックはラライから聞いた通り、青一色のブロックだった。
それと、氷ブロックを3つしか使っていないのに、一度に10個も作ることが出来た。
「もう10個くらい作っておくか」
10個のブルーブロックをポーチにしまった後、念のためにもう1セット作り、合計で20個にした。
万が一ブロックが足りないと言うことになって、戻ってくるのは嫌だからな。
「これでブルーブロックも作れたし、そろそろ出発するか」
俺は研究室から出て、緑の旅のとびらに向かった。ラライの倉庫まではかなり歩かないといけないだろうが、長距離を歩くのは慣れているので平気だ。
旅のとびらに入ると、昨日も来たガライの町の近くへと移動する。
そこから俺は左にある岩山を登って、反対側にある広大な氷原へと移動した。
「この氷原を越えれば、ラライの倉庫がある岩山だぜ」
ここから見ても、氷原の反対側にかなり高い岩山が見える。今俺が越えた岩山と同じくらいの高さだ。
俺は魔物が少ない場所を選んで氷原を進んで行き、45分くらいで目指していた岩山の前までたどり着いた。
2~3キロメートルほど歩いたが、まだ崖を登る力は残っている。
「ブロックを置いていけば簡単に登れるな」
俺はガライの町の近くの岩山を登った時と同じように、土などのブロックで足場を作って登っていく。
ブロックは幅が1メートルあるので、結構安全に登ることができるんだよな。
岩山の上は、かなり多くの雪が積もっていて、調べるのが大変そうだった。
「ラライの倉庫はどこにあるんだ?」
普通に歩いていくと雪で動きづらくなるので、俺は積もっている雪を除去しながら、ラライの倉庫を探して歩いて行った。
すると、カベかけ松明がいくつもかけられている、遺跡の入口のような場所も見つけた。
その入口から中に入ると下に降りる階段があり、降りた先の部屋には立て札と封印された宝箱がある。
「ここがラライの倉庫みたいだけど、宝箱が封印されてるな」
恐らくここがラライの倉庫で、ブルーブロックを使えば宝箱の封印が解けるのだろう。
「もしかしたら、あの立て札にヒントが書いてあるのかもな」
ブルーブロックをどうやって使うかが分からないので、俺は中にある立て札を読んでみた。
すると、そこにはこう書いてあった。
ブルーブロックを持つものは弱き者を地に描け。
持たざる者は、ここより立ち去れ。
その立て札の横には、ブルーブロックをはめるためだと思われる、15ブロック分の窪みがあった。
そこにブルーブロックをはめていけば、弱き者と言うのが描けるのだろう。
俺はその窪みに一つずつ、ブロックをはめていく。すると、顔のような絵が出来上がっていった。
「この顔は、スライムか···?でも、人間の顔にも思えるな」
弱き者と言うのは、ドラクエで最弱の魔物のスライムのことなのかと思ったが、人間の顔の絵にも見える。
メルキドでは味方同士で争い、リムルダールでは死を恐れ魔物化の研究を行い、マイラでは魔物たちに敗北の危機にある、それらを考えれば、弱き者と言うのは人間を表しているとも考えられるな。
そんなことを思いながら、ブルーブロックをはめ続けていき、15個全ての窪みを埋めることが出来た。
「これで宝箱の封印が解除されるはずだな。何が入ってるんだ?」
だが、俺が宝箱に近づこうとすると、突然目の前に3体のキラーマシンが現れた。
ここがラライの倉庫と言うことを考えれば、ガライの町にいたような人間の味方のキラーマシンだろう。
「ここにもキラーマシンか。魔物に奪われたら困るから当然かもしれないけど」
しかし、俺が宝箱に近づくと3体のキラーマシンは俺に斬りかかってきたのだ。
俺はすぐ近くにいた中央のキラーマシンの攻撃を受け止めて、後ろに下がる。
「どうなってるんだ!?こいつらはラライの味方じゃないのか?」
もし魔物の仲間のキラーマシンなら、すでに宝箱の中身を奪っているはずだ。なので、ラライの仲間のキラーマシンのはずだが、何故か俺を攻撃してくる。
「とりあえず、倒すしかなさそうだな」
兎に角倒さないと最強の兵器の手がかりを手に入れることはできない。
俺はサブマシンガンを取り出して、キラーマシンに向かって撃つ。
この前の襲撃でもキラーマシンとは戦ったので、戦い慣れている相手だ。
「お前らキラーマシンとは戦い慣れているんだぞ!」
サブマシンガンを扱いもかなり上達してきたので、敵を早く倒せるようになって来ている。
「コノタカラハ、ワタサンゾ!」
「シンニュウシャハ、ハイジョスル!」
中央のキラーマシンの核へ向かってまほうの弾丸を撃っていると、左右のキラーマシンが機械音を発しながら俺に向かって矢を放ってくる。
俺は発射された直後にジャンプして回避し、矢を放ってきたキラーマシンに向けても、サブマシンガンを乱射した。
まほうの弾丸もまだかなりの数があるので、弾切れになる前に倒すことができそうだな。
「キラーマシンも、そろそろ弱って来ているな」
奴らは核を何発か撃ち抜かれ、かなりのダメージを受けているようだった。
しかし、このまままほうの弾丸を避けていれば倒せそうだと思っていると、中央のキラーマシンが左右のキラーマシンをかばいながら近づいてきた。
「タカラヲワタスワケニハ、イカナイ!」
普通に戦っても勝つことは出来ないと判断したのだろう。
中央のキラーマシンは左右の奴らより大きいので、まずはそいつを倒さないといけないな。
「仲間をかばったところで、勝てると思ってるのか?」
俺はサブマシンガンを中央のキラーマシンの核に狙いを定めて撃ち続け、内部の機械を破壊していく。
そして、最後には中央のキラーマシンは火花を出して、青い光になって消えて行った。
「これで後は2体になったな」
そいつらもサブマシンガンで倒そうと思ったが、俺のすぐ近くまで迫っていて、左右から俺に剣を降り下ろしてきた。
なので俺は、右手にひかりのつるぎ、左手にまじんのかなづちの二刀流に持ち変える。
今回のキラーマシンの剣は、この前の襲撃できた奴らと同じくらいの強さで、魔法の武器の一撃で弾き返すことができた。
二体いて、どちらも弱っているので、回転斬りを使って斬り裂くべきだな。
「これでとどめだな、回転斬り!」
俺は腕に溜まった力を解放し、体と両手に持った武器を一回転させる。その一撃は、弱っていたキラーマシンたちの核を斬り刻んで、青い光へと変えさせた。
「これで倒せたか···まさか戦いになるとは思っていなかったぜ」
どうしてラライの倉庫にいるキラーマシンが襲ってきたのかは分からないが、これで宝箱の中身を手に入れられるはずだ。
俺は宝箱に開けて、中に入っている物を取り出した。
「これは、また紙だな。マシンパーツとか言うのが書いてある」
そこには発明メモや研究記録と同じような紙が入っていて、マシンパーツと言う歯車のような物が描かれていた。
恐らくは、これが最強の兵器を作る部品になるんだろうな。
俺はそのマシンパーツが書かれた紙をアメルダに見せるため、倉庫から出て町へ戻って行った。