ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode76 過去の研究

俺たちがマイラの町の8回目の防衛戦に勝った後、荒くれたちがだいまどうを倒したところを見ると、緑色の旅のとびらが落ちていた。

 

「マイラで手に入るのはこれで最後だろうな」

 

メルキドでもリムルダールでも手に入ったのは3色なので、今回もこれが最後だろう。

この前は新しい旅のとびらが手に入ったら、まだ行ったことのないラダトーム地方に行こうかと思っていたが、最強の兵器を作る手がかりがある場所に繋げたほうがよさそうだな。

俺は緑の旅のとびらを拾ってポーチにしまうと、町の中に戻って行った。

 

「疲れたけど、まずはピリンにお礼を言いに行くか」

 

町の中に入ると、俺は作業部屋にいるピリンに、きずぐすりを作ってくれたお礼を言いに行った。

作業部屋に入ると、休んでいたピリンに久しぶりに感謝の言葉を言う。

 

「ピリン、さっきは助けてくれてありがとうな」

 

「みんながケガをしちゃって、何とかしなきゃって思ったの。ヘイザンやコルトも協力してくれたんだ」

 

あの二人も協力してくれていたのか。たとえ直接戦うことは出来なくても、戦いの支援はできるからな。

それに、やっぱりピリンと一緒に来て良かったと思った。

 

「それに、ピリンみたいな仲間と協力出来て本当に良かったと思ってるぜ」

 

「ありがとう!これからもがんばるね!」

 

俺がそう言うと、ピリンも嬉しそうな顔をする。このままピリンと共に、アレフガルドを復興させてやるぜ。

「これからもよろしくな、ピリン!」

 

「うん、雄也!」

 

俺はピリンに言って、作業部屋から出ていった。

戦いで疲れたとは言えまだ正午くらいの時間なので、今日はこれからどうするか考えていると、アメルダに話しかけられた。

 

「なあ、雄也。少し話があるんだ」

 

「新しい兵器の開発のことか?」

 

アメルダの話と言うことは、最強の兵器の開発についての話なのだろうか。

アメルダの過去については分からないが、兵器の開発は続けなければいけない。

 

「今回の襲撃は、敵の数が多いだけでなく、マイラとガライヤに住む魔物の両方が襲ってきただろ?」

俺もそのことには気づいていたけど、こんな事があったのは初めてだよな。これまではマイラの魔物とガライヤの魔物、片方しか襲ってこなかった。

恐らくは、ようがんまじんとひょうがまじんが本格的に協力し始めたのだろうな。

アメルダも、同じようなことを考えているようだった。

 

「これは、ようがんまじんとひょうがまじんが完全に手を組んだってことだね」

 

「ああ、そう考えて間違いないと思う」

 

このままだと、この前アメルダが言っていたように、ようがんまじんとひょうがまじんが合体して強大な魔物になる可能性があるな。

今回の防衛戦を生き残った俺たちでも、そいつを倒すのは難しいだろう。

「だから、早いとこ奴らに対抗する最強の兵器を作り出さないといけないよ!」

 

今の装備ではまだようがんまじんに対抗することはできないんだよな。

どんな兵器かは分からないが、必ず作り出さないといけない。

 

「それで、アンタには行ってきてほしい場所があるんだ」

 

「この前行っていた、ラライの研究所のことか?」

 

俺がそう聞くと、アメルダはうなずいた。この前はラライの研究所に行くことをためらっていたが、そんなことを言っている場合ではないからな。

 

「ああ、そこにならラライが発明しようとしていた最強の兵器の手がかりがあるはずなんだ」

ラライの研究所の場所は分からないが、新しい旅のとびらがあるのですぐに取りに行ける。早く最強の兵器を完成させて、マイラやガライヤの空の闇を晴らしてやりたいな。

 

「それで、ラライの研究所はどこにあるんだ?」

 

「ガライの町の跡地にあるよ。今は行けないはずだけど、新しい旅のとびらが手に入ったんだろ?」

 

アメルダは俺が旅のとびらを拾っていたことも知っているのか。ガライの町がどのような状況になっているか気になるし、行ってみるべきだな。

 

「確かに俺は新しい旅のとびらを手に入れたぞ」

 

「だったら行けるはずだね。その新しく手に入れた旅のとびらを使って、ラライの研究所から研究記録を探してきておくれ!」

「分かった。今日のうちに取ってくるぜ」

 

今日は疲れているので休むのもいいかと思っていたが、なるべく急いだほうがいい。

俺はそこでアメルダと別れ、緑の旅のとびらを設置しに行った。

 

「これでガライの町に行けるよう願えばいいはずだな」

 

俺は今まで手に入れてきた2つの旅のとびらの隣に緑のとびらを設置する。

そして、ガライの町の跡地に行けるよう願いながら、中に入った。

 

緑の旅のとびらに入ると、目の前が真っ白になって、新たなる場所へと移動する。

移動した先は、赤の扉の先より多くの雪が降り積もっている豪雪地帯だった。かなり寒いが、雪に隠れることで魔物を避けることは簡単そうだ。

ここからガライの町に向かって、研究記録を手に入れないとな。

 

「結構寒い場所だな···ガライの町はどこにあるんだ?」

 

だが、辺りを眺めてみるがガライの町らしき物はなかった。どうやら町から離れた場所に出たようなので、探索しながら見つけるしかないな。

 

「新しい素材も見つけられるかもしれないし、探索開始だな」

 

俺は寒さを我慢しながら豪雪地帯の探索を始める。進んで行くと、さっきの襲撃でも戦った青い翼と剣を持つ魔物、ガーゴイルが生息していた。

ガーゴイルは攻撃力もそれなりに高いし、敵を眠らせる効果を持つ呪文、ラリホーも使えるので、見つかると危険な魔物だ。

 

「ガーゴイルがいるし、寒いけど雪に隠れて進むか」

 

俺は戦いを避けるために冷たい雪で身を隠しながら進んでいく。寒いので歩いて進みたいが、それだとガーゴイルに見つかる可能性がある。

俺は雪に隠れながら10分くらい歩いた。途中、白い花やくすりの葉など、赤の旅のとびらから行ける雪原地帯にもあった薬になる植物があった。それをいくつか集めて行ったが、新しい素材は見つからなかった。

 

「特に新しい素材はないみたいだな。ん?あれは何だ?」

 

さらに奥に行こうとすると、目の前に雪に埋まった建物がいくつかある場所を見つけた。

人の気配が全くない廃墟になっているが、ここがラライの研究所があるガライの町の跡地だろう。

「これがガライの町か。ここも復興させたいけど、住民がいないな」

 

アレフガルドを復活させるために、ガライの町の復興も行いたいが、希望のはたも共に暮らす住民もいない。

ガライヤ出身のコルトとシェネリも、マイラの町に慣れてしまっているので、今さら引っ越すことはしないだろう。

 

「とりあえず、ラライの研究記録を探すか」

 

俺はガライの町の復興のことを考えていたが、今は兎に角ラライの研究記録を見つけなければいけない。

そのために、俺はガライの町の中に入って行った。

町の中は、ブリザードやホークマン、ガーゴイルと言った多くの魔物に占拠されていた。それだけでなく、ひょうがまじんの腕だと思われる氷で出来た巨大な腕も町の近くにいた。

「ひょうがまじんの腕もいるのか···戦うのは大変だし、潜入するか」

 

腕とはいえ、大砲やみんなの力がないと勝てないだろうし、それ以外の魔物もたくさんいる。

魔物の城に潜入した時のように、敵に見つからないように研究記録を探すべきだな。

 

「町の廃墟だから隠れる場所も多いし、そんなに潜入は難しくはなさそうだな」

 

建物の影や雪の中に隠れれば見つからないだろうし、魔物の城に潜入した時より簡単かもしれない。

俺は魔物たちの視界に入らないようにガライの町の中を調べていく。すると、人が生活していた名残と考えられる

カベかけランプや浴槽などが置かれていた。

しかし、研究記録はなかなか見つからなかった。

 

「研究記録はどこにあるんだ?」

 

ガライの町を占拠している魔物から隠れることはそこまで難しいことではないが、確実に見つからないと言う保証はない。そう考えると、あまり長居しないほうがいいな。

町の奥の方まで行ってみると、壊れかけたキラーマシンが放置されていた。

人間に追い詰められた魔物だな、と思ったが、そのキラーマシンは紙のような物を持っていた。

 

「このキラーマシン、紙を持っているな。これに研究記録が書かれているのか?」

 

俺がその紙を取ろうとキラーマシンに近づくと、キラーマシンは残った力で話し始めた。

 

「···オマエ、ダレダ?」

 

人間だと分かれば間違いなく攻撃してくるだろうし、まわりの魔物たちにも見つかってしまう。なので俺はそのキラーマシンを破壊するためにひかりのつるぎを抜いた。

すると、キラーマシンは自分は敵ではないと言ってきた。

 

「ワタシハ···敵デハナイ。ラライ様がツクッタ、研究記録ヲ魔物カラマモッテイルンダ」

 

確かにラライは発明家だし、キラーマシンを作ることも出来た可能性もある。俺はキラーマシンの話を信じることにして、ひかりのつるぎをしまった。

 

「その研究記録を貸してほしいんだ。ラライの助手だったアメルダの頼みだ」

俺がアメルダの名前を言うと、キラーマシンは持っていた研究記録の紙を俺に渡してきた。

 

「ソウカ···ラライ様ノ助手ダッタ、アメルダ様ノ仲間カ···ソレナラ、コレヲモッテイケ···」

 

俺に研究記録を渡すと、キラーマシンはついに力尽きて、動かなくなってしまった。

そして、最後の力で俺にこう言った。

 

「アメルダ···ラライ様···愛シタひ···と。守って···ヤッテ···ク···」

 

最後に言い残して、完全にキラーマシンは動かなくなってしまう。キラーマシンの言い方からして、ラライはアメルダのことを大切な人だと思っていたようだな。

もしかしたら、単なる助手ではなく恋人だったのかもしれない。

「ありがとうな···キラーマシン」

 

俺は動かなくなったキラーマシンにお礼を言ってガライの町を出て、キメラのつばさを使った。

魔物の攻撃で破壊されてしまったキラーマシンのためにも、必ずラライの研究を完成させないといけないな。

 

俺はマイラの町に戻ってくると、さっそくキラーマシンからもらったラライの研究記録が書かれた紙をアメルダに見せに行った。

この研究記録が、最強の兵器を作るための手がかりになるといいな。

 

「アメルダ、ガライの町から研究記録を手に入れて来たぞ」

 

「本当かい?さっそく見せておくれ!」

 

俺がラライの研究記録をポーチから取り出すと、アメルダはすぐに受けとる。

これも発明メモと同じように俺が読んでもよく分からないが、アメルダなら解読することができるだろう。

 

「何か重要な手がかりは書かれていたか?」

 

アメルダが研究記録を読み始めたので俺がそう聞くと、何かを見つけたような表情をしていた。

 

「ああ、アイツの炎と氷を合体させる研究の話はしただろ?この研究記録は、その発明をさらに発展させて、最強の兵器を作るための発明メモみたいだ」

 

やはり最強の兵器は炎と氷を合体させる研究を応用した物なんだな。まだ詳しいことは分からないとは言え、まほうインゴットが役に立ちそうだ。

解読が終わったら、すぐ作り始めるとするか。

 

「その研究記録を解読するには、どのくらい時間がかかりそうなんだ?」

 

「今回も結構複雑なことが書かれているからね、もう少しかかると思うよ」

 

少なくとも、今日中には解読はできなさそうだな。ようがんまじんとひょうがまじんが合体するまでに間に合えばいいのだが。

 

「分かった。もし解読が終わったら、すぐに教えてくれ」

 

「もちろんだよ。なるべく急ぐから、もうしばらく待っていておくれ」

 

アメルダはそう言って研究室の中に入って行った。俺には解読は不可能だし、今は待つしかないな。

 

その日は、やはりアメルダの研究記録の解読は終わらないまま、夜を迎えた。だが、徹夜での作業は集中力が切れてしまうし、今日もかなり疲れている。

俺もアメルダもみんなも、夜遅くになる前に眠りについた。


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