ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode75 氷炎の激戦

マイラに来て13日目の朝、昨日の疲れで遅くまで寝ていて、みんなはもう外に出て活動していた。

 

「これからどんな戦いがあるか分からないし、まほうの弾丸を補充しておくか」

 

俺は起きた後、まず研究室に入った。昨日のようがんまじんの腕との戦いでかなり使ったので、新しい物を作ったほうがいいだろう。

まずまほうインゴットを5個作り、それからまほうの弾丸を100個作る。弾丸は一度に20個出来るから便利だな。

 

「そろそろミスリルが少なくなってきたな」

 

まほうインゴットを作る材料であるミスリルがあと少ししかなくなったので、今日はミスリルを集めに行くか。

俺が研究室から出ると、ガロンが話しかけてきた。

 

「なあ、雄也。ちょっと真面目な話をしていいか?」

 

ガロンが真面目な話をするのは珍しいな。ベイパーと同じで、筋肉の話ばかりしているイメージだ。

 

「真面目な話って、どんなことだ?」

 

「昨日倒した腕じゃなくて、本当のマイラを支配する魔物の親玉であるようがんまじんを倒すための兵器を作るには、アネゴの忘れてえ過去に触れなくちゃならねえはずなんだ」

 

そう言えば、昨日アメルダはラライの研究所に行くことをためらっていたな。

やはり過去に何かあったと言うことだな。

俺はそのことを聞こうと思ったが、その前にガロンは話の続きをした。

 

「だから、お前には過去と向き合うアネゴの支えになってほしいんだ」

 

確かに、自分の忘れたい記憶と向き合うのは辛いだろうから、誰かが支えないといけないな。

それに、俺たちで協力してアメルダを支えて、最強の兵器を作って行くしかようがんまじんを倒す方法はない。

 

「分かった。あんたも協力してくれよな、ガロン」

 

「おう、当然だぜ。アネゴのことを、これからもよろしくな」

 

ガロンたちの協力もあれば、アメルダは過去の傷を乗り越えて、ラライの研究を完成させられるだろう。

そんな時だった、俺たちが話している場所に、アメルダが走ってきた。

「アンタたち、大変なことになっちまった!」

 

アメルダの表情は緊迫していて、恐ろしいことが起きているようだった。

いつも通り魔物が攻めてきたのだろうが、いつも以上の緊張が感じられる。

 

「また魔物が攻めてきたのか?」

 

「ああ、でもこれまでとは敵の数が違う···」

 

どのくらいの敵の数なんだろうかと町の西を見てみると、俺は戦慄してしまった。

先頭には巨大なキラーマシンが立ちはだかっていて、その後ろにはフレイムやブリザード、よろいのきし、あくまのきし、まどうし、メタルハンター、ホークマンと、戦ったことのある魔物だけでなく、ホークマンの上位種で青い翼と鋭い剣を持つ魔物、ガーゴイルもいた。

そして一番後ろには、6回目の襲撃で戦った奴よりさらに強そうなだいまどうがいる。

正確な敵の数は分からないが、7~80体くらいはいるはずだ。

 

「おいおい、冗談じゃねえぞ!?」

 

ガロンもそれを見てとても恐れている。魔物は俺たちがようがんまじんの腕を倒したのを知り、総力を上げて俺たちを潰しに来たようだ。

しかも、マイラとガライヤの魔物両方がいる。

 

「兎に角みんなを呼ぶぜ。負けられないことに変わりはない!」

 

「そうだね。何体いようと、アタシたちが負ける訳ないさ」

 

魔物を倒すため、俺とアメルダは急いでみんなを呼ぶ。激戦が予想されるが、全員の力とこの町の設備を使えば必ず勝てるはずだ。

みんなが集まったころには魔物はすぐ近くまで来ていた。早めに迎撃しなければ、町の中に魔物に入られてしまう。

 

「何体来ようが、ワシの筋肉に敵うはずがないぞ!」

 

「アタシたちを潰しに来たみたいだけど、そうはさせないわよ!」

 

「今まで多くの魔物を倒してきたワシらなら、勝てるに決まってるぜ」

 

「ここで負ける訳には行きませんよ!」

 

最初はみんなも恐ろしい数の敵を見て怖じ気づいていたが、今は戦う気になっている。数が多いだけで慣れている敵が多いし、俺たちなら勝ち残れるはずだ。

そして、俺たち7人は武器を振り上げて魔物の群れに駆けつけていく。マイラと町の8回目の防衛戦、マイラとガライヤの魔物との総力戦が始まった。

先頭にいるキラーマシンは、町に近づくと大量の矢を撃ち放つ。そして、そのキラーマシンの横から大量のフレイムとブリザードが現れて、俺たちに近づいてきた。

 

「まずはこいつらを倒したいけど、あのキラーマシンが厄介だな」

 

まずはそいつらを倒したいが、キラーマシンに守られていて近づくことは難しかった。

俺は先にキラーマシンを倒そうと、まほうの弾丸を連射する。しかし、キラーマシンと戦っている間にもフレイムとブリザードは町のすぐそばまで迫ってきていた。

ここは俺がキラーマシンを引き付けて、みんなでフレイムたちを倒したほうがいいな。

 

「俺がキラーマシンを引き付ける!みんなはフレイムとブリザードを倒してくれ!」

 

「分かったぜ、雄也!そのバカでかい機械はお前に任せた!」

 

俺がみんなに指示を出すと、ガロンが返事をした後、他の5人も動き始める。

俺は奴らと戦っているみんなにキラーマシンの攻撃が行かないようにしないとな。まほうの弾丸を放ちながら近づいて行き、近接攻撃が当たる位置までたどり着くと、ひかりのつるぎとまじんのかなづちの二刀流に持ち変えた。

 

「お前みたいな奴がいくら来ようと、俺たちに勝てると思うなよ!」

 

俺がひかりのつるぎで斬りつけると、キラーマシンも剣を使って受け止める。これまで戦ったキラーマシンより攻撃力は高いようだが、押し返されそうなほどではなかった。

それに、キラーマシンは俺と違って武器を1本しか持っていない。二刀流での攻撃は受け止めきれないはずなので、俺はまじんのかなづちをキラーマシンの装甲に叩きつけた。

 

「俺の攻撃はそう簡単には受け止められないぞ」

 

まじんのかなづちの一撃を受けて、キラーマシンの体は大きくへこんだ。倒れはしなかったが、大きなダメージを与えられたことは間違いない。

いつも思うけど、二刀流はものすごく強いぜ。よほどの敵でもない限り一体一なら倒せそうだ。

そのことに気づかれたのか、キラーマシンを援護するために大量のメタルハンターが俺のところに近づいてきた。

 

「アノオトコヲ、ハイジョスル!」

 

「ビルダーメ、キエサルガイイ!」

 

そして、メタルハンターたちは機械音声を発しながら俺に斬りかかってくる。

俺はその攻撃を避けながら、サブマシンガンでメタルハンターの核を狙って撃ちまくる。これまでサブマシンガンを何度も使ってきているので、狙いを定めることは得意になってきていた。

そうして、メタルハンターを何体も倒して行くが、次々に俺に近づいてくるため倒しきれず、まわりをメタルハンターに囲まれてしまった。

 

「囲まれたか···でも魔法が使えないから、まどうしに囲まれるよりはマシだな」

 

メタルハンターは呪文を唱えられないので、6回目の防衛戦でまどうしに囲まれた時よりは対応しやすい。

サブマシンガンの弾もまだ残っているので、攻撃をかわしながら撃ち続ければ倒せるはずだ。

そんな中、キラーマシンが俺に向かって、巨大なレーザーを放ってきた。食らったら間違いなく体を貫かれてしまうので、俺はジャンプをして回避する。

 

「レーザーか···このくらいなら簡単に避けれるぜ」

 

レーザーを避けることは出来たが、そこにメタルハンターが一斉に斬りつけてくる。

俺はさすがに避けきれず、体を何ヶ所も斬られてしまう。さらに傷をつけられた俺に、回転斬りをため始めたメタルハンターもいた。

 

「くそっ、このままだとやられるぞ!」

 

俺は体の痛みに耐えながら立ち上がり、メタルハンターと同じように腕に力を溜める。

そして、メタルハンターと同時に力を解き放った。

 

「回転斬り!」

 

傷ついた腕に衝撃が加わり、痛みが増していくが、それも我慢してメタルハンターたちを一回転になぎはらった。

回転斬りを放ったメタルハンターだけでなく、俺の近くにいた奴らを巻き込み、多くのメタルハンターを倒すことができた。

しかし、まだメタルハンターとキラーマシンに囲まれている状況に変わりはなかった。

 

その頃みんなは、この前とは比べ物にならないほど大量のフレイムやブリザードに囲まれて火傷や凍傷を負いながらも、なんとか全滅させることが出来ていた。その傷は、メタルハンターやキラーマシンと戦っている雄也より重症だ。

 

「これでフレイムとブリザードの野郎どもは全滅か···?」

 

「ワシの筋肉の力を持ってしても、ここまで苦戦するとはな」

 

「アタシも、こんなにケガをしたのは初めてよ···」

 

それでも6人は傷を我慢して、魔物の群れに向かって行こうとする。そんな時、後ろから二人の女と、一人の男の声が聞こえた。

 

「みんな、これを使って!」

 

「戦いには参加できなくても、何とか手伝えないか考えたんだ」

 

「大切な恋人やみんなのために、薬を作ってきましたよ」

 

いつもは戦いの時身を隠しているピリンとヘイザン、コルトが、きずぐすりを持ってガロンたちを支援しようとしていた。

3人は戦いの時に何とか役立てるようきずぐすりをたくさん作っていて、みんながピンチなのを見て持ってきてくれた。

 

「これは、きずぐすりだね。ありがとう、これでまた戦えるよ」

 

「さすがはワシの弟子だぜ!」

 

「恋人じゃないけど、おかげて助かりました!」

 

アメルダとゆきのへ、シェネリはそう言ってきずぐすりを受け取り、傷を受けたところに塗っていく。傷がすぐ治る訳ではないが、痛みはすぐに消えていった。

3人の荒くれもきずぐすりを使って、また戦える状態になった。ホークマンやまどうしが迫ってきていたので、すぐにまじんのかなづちを持って攻撃を始める。

残りの3人もすぐに戦いに向かおうとするが、ピリンはアメルダを引き留めた。

 

「アメルダ!これは雄也の分だから、渡してあげて!」

 

「ああ、ここらの魔物を倒したら雄也を助けにいくさ」

 

ピリンは雄也がメタルハンターに傷を負わされたのを見て、雄也の分のきずぐすりも持ってきていた。アメルダはそれを受け取って、5人と共にまどうしやホークマンと戦いに行く。

ずっとここにいると危険なので、ピリンたちは建物の中に戻っていった。

 

「痛みも消えたし、このまま奴らをぶっ潰すぜ!」

 

「筋肉は決して死なず!このアジトを守り抜くぞ!」

 

「敵もかなり減ってきたし、押しきれるはずよ!」

 

「あの3人を守るためにも、魔物は倒さないとね」

 

「これまでで一番の激戦だが、生き残ってやるぜ!」

 

「私たちならやれるはずです!」

 

6人は大声で言いながら、ホークマンやまどうしを倒していく。こいつらは戦いなれている上にフレイムやブリザードより数が少ないので、あまり傷を負うことなく倒せた。

だが、みんながホークマンやまどうしと戦っている間に、よろいのきしたちはピリンたちを殺すために町に入ろうとしていた。

 

「あの小娘どもめ!あいつらも始末してやる!」

 

「我らに歯向かう者どもを支援するとは決して許さぬぞ!」

 

ガロンはそれに気づいて止めにいこうと思うが、目の前のホークマンと戦うので精一杯で、よろいのきしの所に向かうことは出来なかった。

 

「おい、野郎ども!オレたちのアジトに入るんじゃねえよ!」

 

そんなガロンの叫びも聞かず、よろいのきしは町の光の中に入り、ピリンたちのいる建物に向かおうとした。

その時、よろいのきしたちの目の前にあったブロックから箱が飛び出し、奴らをまとめて吹き飛ばしたのだ。

ピストンバリアが作動したおかげで、よろいのきしが町の中に入ることは防がれたようだ。

 

 

 

その頃、雄也は···

 

俺は回転斬りでメタルハンターの数をかなり減らした後、またサブマシンガンに持ち変えて奴らの核を撃ち抜いていた。

「それにしても、まだ数が多いな」

 

しかし、メタルハンターはまだ10体近くいて、全滅させるにはまだまだ時間がかかる。サブマシンガンの弾はもう少しあるものの、動きすぎて体が疲れてきていた。

それでも、攻撃を続けないとやられるので、俺はサブマシンガンを使ってメタルハンターをひたすら撃っていく。

だが、残りすこしで全滅させられると言うところで俺のまわりに青い光が現れ、俺は戦いの途中なのに突然眠くなってきてしまった。

どうやら後ろにいるガーゴイルがラリホーの呪文を唱えたようだ。俺は何とか意識を保とうとするが、呪文による催眠効果は非常に強力で、俺はその場で眠ってしまいそうになる。

「おい、起きろ!しっかりしろ、雄也!」

 

すると、俺の耳にガロンの声が聞こえてきて、顔に強い衝撃が走った。俺はそこで眠気が消えて、意識がはっきりしてくれ。

 

「お前が魔法で眠りそうになっていたから、叩き起こしに来たぜ」

 

「助かったのか···ありがとうな、ガロン」

 

まわりを見ると、俺を囲んでいたメタルハンターはほぼいなくなっており、俺を叩き起こすためにガロンが倒してくれたようだ。

ガロンは前までは臆病者だったのに、今では勇敢になったな。

俺がそんなことを思っていると、後ろからアメルダの声が聞こえた。

 

「雄也、ガロン!大砲を撃つから集まっておくれ!」

 

後ろを見ると、みんなは砲台の前に集まっていた。

敵の数がかなり少なくなってきているので、大砲を使って一気に撃破するつもりのようだな。

 

「分かった。今すぐ行くぜ!」

 

俺はアメルダが大砲を発射できるように、砲弾のところへ走っていく。後ろからよろいのきし、あくまのきし、ホークマン、ガーゴイル、メタルハンター、キラーマシンが追いかけてくるが、追い付かれないよう必死で走った。

 

「ビルダーめ、逃がさんぞ!」

 

「我々に二度と逆らえぬようにしてやる!」

 

なんとしても俺を殺そうとしているようだが、逃げ切れそうだ。

そして、俺が砲弾にたどり着いた瞬間、アメルダは床用スイッチを踏んだ。

二つの大砲から発射した砲弾は、雄也たちを追いかけていた魔物の群れに直撃する。

すると、俺やガロンの攻撃で弱っていたキラーマシンがついに倒れて、それ以外にも多くの魔物を倒すことが出来た。その代わりに、町の西側の地面まで巻き込んで壊してしまったが。

 

「やったね!これでもう少しだよ!」

 

残っているのはだいまどうと、重症を負ったあくまのきしとガーゴイルだけだ。残り10体くらいなので、全員でかかれば勝てるだろう。

 

「みんな、あいつらを全滅させてこの町を守りきるぞ!」

 

俺は大声でそう言い、みんなと共に魔物たちに斬りかかって行こうとする。すると、アメルダが俺を呼び止めた。

「雄也、あのピリンって子がアンタのためにきずぐすりを作ってくれたよ。これを使ってから行きな」

 

そう言ってアメルダは、俺に一つのきずぐすりを渡す。ピリンは俺たちの大切な仲間だったけど、戦いの時に支援してくれるとはな。

俺はメタルハンターから受けた傷にきずぐすりを塗った後、ひかりのつるぎとまじんのかなづちを構えた。

 

「ピリンに感謝しないといけないけど、あいつらを倒してからだな」

 

「ああ、早くあいつらを倒すよ!」

 

そして、俺とアメルダは残っている魔物の群れに向かって行く。いつもならだいまどうはメラミの呪文で妨害してくるが、ガロンたち3人の荒くれと戦っているため、俺の妨害は出来なかった。

 

「この筋肉野郎どもが!ようがんまじん様を怒らせてただで済むとは思うなよ!」

 

「そいつだって、オレらがぶっ倒してやるぜ!」

 

「そんな魔物、ワシは恐れんぞ」

 

「ようがんまじんを倒すためにも、まずはアンタからね」

 

だいまどうは防御力が低いので、あの3人なら簡単に押しきれるだろう。

なので、俺はだいまどうと戦う3人を狙うガーゴイルにひかりのつるぎを降り下ろす。

 

「あの3人の邪魔はさせないぜ!」

 

ガーゴイルは弱っているところを背後から斬られ、青い光を放って消えていく。すると、それに気づいた別のガーゴイルたちが俺を狙って突進してきた。

 

「このくらいの突進なら受け止められるな」

 

俺はガーゴイルたちの突進を二刀流で受け止めていく。ホークマンの攻撃より威力が高く、かなり腕か痛んだが、すべてのガーゴイルの突進を止めることができた。

突進を止められたガーゴイルは、怯んで動きが止まっている。倒すなら今しかないな。

俺はガーゴイルたちに止めをさすために、さっきのように腕に力を溜める。

そして、最大まで力が溜まったところで渾身の一撃を放った。

 

「これで終わりだ、回転斬り!」

 

ガーゴイルたちは回転斬りが直撃し、全て地面に落ちて倒れて行った。ラリホーも使われて強い魔物だったけど、大砲と二刀流を使えば倒すことができた。

みんなも、アメルダたちはあくまのきしを、3人の荒くれたちはだいまどうをそれぞれの武器でとどめをさしていた。

 

「どうやら、町を守りきれたようだな」

 

ついに俺たちは襲ってきた全ての魔物を撃破し、マイラとガライヤの魔物との総力戦に勝つことができた。


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