ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺はみんなにまじんのかなづちを渡した後、研究室に戻って再びまほうインゴットを作っていた。
魔法の剣とハンマーはもう作ったが、銃弾や大砲の弾はまだだからな。俺はまほうインゴットを使う銃弾と大砲の弾の作り方を調べる。
まほうの弾丸···まほうインゴット1個 マシンメーカー
まほうの砲弾···まほうインゴット1個、マグマ電池1個 マシンメーカー
普通の銃弾と同じで、作るのは簡単だな。
俺は新しく作ったがまほうインゴットから、まほうの弾丸100発と、まほうの砲弾5発を作った。
「これで俺は準備が出来たな」
俺はそれらをポーチにしまって、研究室の外に出た。これで後は、みんなの準備が出来るのを待つだけだな。
しばらく待っていると、ギエラが話しかけてきた。
「ねえ、雄也。溶岩地帯に乗り込む前に、ひとつアタシからお願いしたいことがあるの!」
「こんな時に、どうしたんだ?」
まじんのかなづちの他に作ってほしい武器でもあるのだろうか。
だが、ギエラの言ったことは俺の予想とはまったく違うことだった。
「いいえ、アンタにもう一度このアジトの温泉をグレードアップしてほしいっていうお願いよ!」
このタイミングで温泉!?魔法の武器が出来てもうすぐようがんまじんの腕を倒しに行くと言うところなのに、なんで温泉なんだ?
戦いが終わってからでもいいと思うのだが。
「何で今温泉のことを言うんだ?」
「みんな、決戦の前に裸でぶつかりあって仲間同士の結束や士気を高める必要があるって言ってたの」
裸でぶつかり合うと言う変な表現が気になるけど、この前のアメルダを救出する時に温泉をグレードアップしようと言っていたのと同じ理由か。
荒くれたちにとっては、温泉に入るのが士気を高める一番の方法だからな。
「それで、見ると気分が高ぶるような物を、温泉の壁に飾ってほしいわね」
「それならこの前も付けただろ。あれ以上に士気が上がる物って何かあるのか?」
今この町の温泉には剣、武器屋、防具屋のカベかけと3種類の壁掛けがある。
それより士気が上がりそうな壁掛けなんて、俺には思い付かないな。
「さっき、アンタがくれたハンマーが描かれている壁掛けがいいわね。それがあれば、ムラムラと···じゃなかった、モリモリと、見るだけで力が沸いてくる気がするの」
ムラムラとか、またギエラは変なことを言ってきた。まあ、少し変態なところがギエラの個性だとは思うが。
それはともかく、さっき俺が渡したハンマーと言うことは、まじんのかなづちが描かれた壁掛けが良いってことだな。
「分かった。作れるか調べてみるぞ」
「お願いするわ。出来たら、温泉の壁に飾ってね」
俺はギエラにそう言うと、まじんのかなづちが描かれた壁掛けの作り方を調べた。
まじんのカベかけ···武器屋のカベかけ1個、まほうインゴット1個 炉と金床
まじんのかなづちが描かれた壁掛けだから、まじんのカベかけと言うのか。
作るのには武器屋のカベかけも必要なので、温泉から回収しないといけないな。
「あの武器屋のカベかけを加工すればいいな」
俺は温泉に入り、武器屋のカベかけをウォーハンマーで回収する。それをポーチにしまうと、今度は作業部屋に向かった。
炉と金床で作れる物は神鉄炉でも作れるので、俺は武器屋の壁掛けとまほうインゴットを入れた。
「まほうインゴットを使うのに炉で作るのか」
まほうインゴットを使った武器は全てマシンメーカーで作るのに、壁掛けは炉で作れるようだ。
ビルダーの魔法をかけて少ししていると、まじんのかなづちが大きく描かれている、2メートル×2メートルの、大きな壁掛けが出来た。
「これがまじんのカベかけか。かなり大きいな」
俺はまじんのカベかけが出来ると、作業部屋から出て温泉に持っていく。
温泉に入ると、奥の壁の中央にまじんのカベかけを設置した。これなら、みんなで集まって眺めることができる。
俺は、さっそくまじんのカベかけを設置したことをギエラに伝えに行った。
「ギエラ、温泉にあんたが言ってた壁掛けを置いたぞ」
俺がそう言うとギエラは温泉の中に入って、まじんのカベかけを見て驚く。
「素敵じゃない!これでようがんまじんに挑むモチベーションも高められるわね!」
ようがんまじんの本体ではなく腕だとしても、かなり強いはずだから、士気を上げておいて損はないんだよな。
温泉に入って戦う気力が高まっているみんなとなら、ようがんまじんの腕くらい、簡単に倒せるかもな。
「雄也、アンタにはいつも世話になってしまって、悪いわね」
「ビルダーとして当然のことだから気にすることないぞ」
ギエラは、俺にばかり温泉の強化を頼んで申し訳なく思っているようだった。
別に俺はビルダーとして当たり前だと思うので、気にしてはいなかったが。
「そうだわ!せめてものお礼に、アタシのとっておきの技、筋肉ぱふぱふをやってあげる!」
何だ、筋肉ぱふぱふって?詳しくは分からないが、ものすごく嫌な予感がする。
ぱふぱふと言われたらしてもらいたいと思うが、それに筋肉って言葉がつくと一気にイメージが変わる。
俺が嫌そうな表情をしていることは、ギエラも気づいた。
「雄也ったら、何を期待してそんな顔をしているの?筋肉ぱふぱふはまだおあずけよ。魔物の親玉を倒したらやってあげるわ」
全然期待していないのに、何故か誤解されている。
今はしないと言うところで、逆に安心するぜ。
「今はみんなと温泉に入ってくるわ。雄也も戦いの準備をしながら待っててね」
「分かったけど、ようがんまじんを倒しても筋肉ぱふぱふはお断りだぞ!」
ギエラは、ガロンやベイパーと俺が強化した温泉に入りに行った。
俺は筋肉ぱふぱふは嫌だと伝えたかったが、ギエラは走りさって行ってしまった。
とりあえず、あの3人が温泉から出てきたら、ようがんまじんの腕を倒しに行くことになるだろう。
俺は準備が完了しているので、3人が上がってくるのを待っていた。
すると、5分くらい経ってこの前のように町の西から、魔物が歩いてくる音がした。
もしかしたらと思い西の方を見ると、やはり大量の魔物が、この町に向かって攻めてきていた。
ブリザード12体、ホークマン6体、メタルハンター6体、キラーマシン3体の合計27体だ。キラーマシンの内の一体は大きく、この軍団の隊長ようだ。
「今回の魔物は、いつもの奴らとは違うな」
しかし、気になったのはいつも攻めてくるあくまのきしやまどうしがいないことだった。
今回来たのは、マイラではなく、ガライヤ地方に生息する魔物ばかりだ。
何でこいつらが襲ってきたのかは分からないが、ようがんまじんの腕を倒しに行くためにも、倒さないといけないな。
俺はいつものように大声でみんなを呼んだ。
「みんな、魔物が攻めてきたぞ!」
俺の声を聞き、まずゆきのへとシェネリが出てきた。
「これで何度目だ?本当に戦いが多すぎるぜ」
「ここは魔物が多くて大変ですね」
ゆきのへとシェネリは、マイラでの襲撃の多さに困っているようだ。
二人の後に、温泉に入っていた荒くれたちや、アメルダも俺のところに集まってきた。
「アタシたちがようがんまじんを倒そうとしているのが、魔物たちに知られたみたいだね」
攻めてきた理由は、アメルダが言っているので間違いないだろう。だが、それだとどうしてガライヤの魔物が来るんだ?
それが気になるが、今はこいつらを倒さないといけない。
「でも、魔法の武器があれば楽勝なはずだよ!さっさと倒して、火山地帯に向かおう」
確かに、ブリザードは魔法の武器で斬れば一撃だろうし、他の魔物にも大きなダメージを与えられるはずだ。
でも、この前のように魔物も作戦を立てている可能性もあるので、無闇に突っ込んで行くことも出来ない。
俺たちは武器を構えて、マイラの町の7回目の防衛戦が始まった。
魔物たちの中で、ブリザードが先に俺たちの町に近づいてきていた。魔法の武器を使えば簡単に倒せる敵だけど、油断は出来ないな。
「また囲まれると困るから、みんなで行くぞ」
俺がそう言うと、みんなが12体のブリザードに斬りかかって行く。俺たちは7人なので2体同時に戦わないといけないこともあるが、苦戦はしないだろう。
俺のところにも2体のブリザードが来て、吹雪を吐いてきた。
だが、吹雪と言ってもあまり範囲は広くなく、俺でもかわすのは難しいことではなかった。
そして、かわしてすぐに、俺はひかりのつるぎでブリザードをなぎはらった。
「これくらいの吹雪、簡単によけられるぜ」
ひかりのつるぎの一撃を受けると、ブリザードはすぐに青い光を放って消える。
魔法の武器はほのおの弾丸のように使えばなくなる訳でもないので、何体でも倒せるから便利だな。
「もう一体も倒してやるぜ」
俺はブリザードを倒すと、もう片方のブリザードの吹雪も避けて思いきり斬り裂く。
みんなも魔法の武器でブリザードを次々に倒していき、すぐにブリザード軍団は全滅していった。
アメルダの言う通り、ブリザードには楽勝で勝てたな。だが、その背後にはさらに強力なモンスターが迫っていた。
「ブリザードは倒せたけど、あいつらには苦戦するだろうな」
俺たちのところに、後ろにいるホークマン、メタルハンター、キラーマシンが一度に襲いかかってきた。その中でも、ホークマンは動きが早く、すぐに町のすぐそばに来た。
合計で15体であり、それぞれがかなり強いはずなので、正面から戦ったらかなりきついな。
だが、ガロンたちはウォーハンマーで、翼を羽ばたかせて素早く動くホークマンに殴りかかかって行った。
「ブリザードの野郎といい、お前といい、人が温泉入ってる時に邪魔すんなよ!」
「もうすぐようがんまじんを倒しに行くところだ、邪魔はさせぬぞ」
「アタシたちを怒らせないほうがいいわよ!」
荒くれたちは温泉に入っていたところを邪魔されて、とても怒っているようだった。
本当にこいつらは温泉が好きだなと、改めて思う。
3人はホークマンの持つ剣を叩き割り、その次に体を叩き潰した。どんなに強い魔物でも、あの筋肉の力には勝てないだろう。
「3人がいるから大砲は使えないし、俺たちは後ろのメタルハンターを倒しに行くぞ」
俺とアメルダ、ゆきのへ、シェネリは大砲を使って敵を殲滅しようと思っていたが、ここで撃ったら荒くれたちを巻き込んでしまう。
ゲームでは味方には当たらないようになってたりするけど、現実ではそうは行かないからな。
「大砲を使いたいけど、あいつらがいて使えないからね。確かに、剣で戦うしかなさそうだね」
ホークマンは荒くれ3人に任せられそうなので、俺たちはその後ろにいるメタルハンターを倒せばいいな。
俺たち4人は、メタルハンターに向かって武器を構えて走っていく。
その時だった、俺たちに向かって大きな弓矢が飛んできたのだ。それは、ホークマンと戦っているガロンたちのところにも飛んで、3人はとっさに避けた。
「いきなり何なんだ?」
俺がそう思って見ると、まだ少し離れた場所にいるキラーマシンが、弓を使って攻撃してきていた。
「アタシたちを狙ってるみたいね」
「あいつ、射撃精度が高いな···」
「どうすればよいのでしょう?」
俺たちは何とか魔物の群れに近づこうとするが、キラーマシンは連続で弓矢を撃ってきて、みんなも避け続けることしか出来ない。
俺はとっさにサブマシンガンを取り出して連射するが、キラーマシンはなかなか倒れなかった。
「まほうの弾丸もあんまり効果がないな」
でも、それ以外に倒す方法はなさそうなので、俺はキラーマシンの核に向かってサブマシンガンを撃ちまくる。
さすがに15発くらい当てると、キラーマシンはボロボロになっていき、もうすぐ倒せそうだった。
しかし、後衛だった6体のメタルハンターが俺の前にたち塞がってきたのだ。
「ここはアタシに任せて、あのキラーマシンどもを撃ち抜きな!」
「あんな機械、簡単に壊してやるぜ」
「この前のように、私のハンマーで倒せるはずです!」
奴らは、アメルダたちが止めてくれるようだ。だが、メタルハンターが6体なので一度に2体相手しないといけず、かなり厳しい状況だな。
「早くキラーマシンどもを倒さないとな」
俺はみんながメタルハンターを引き付けている間にキラーマシンに向かってさらにまほうの弾丸を撃ち放つ。
俺も何回も銃を使ってきたので、最初の頃よりは扱いが上手くなってきている。そして、2体のキラーマシンの核を何度も撃ち抜いて倒すことができた。
「あとは隊長のキラーマシンだけだな」
小型の2体のキラーマシンは簡単に倒せたが、隊長のキラーマシンはなかなか死なない。
みんなの様子を見ると、もう荒くれたちはホークマンを倒し終わっており、アメルダたちと共にメタルハンターと戦っていた。
「ガロンたち、もうホークマンを全滅させたのか」
ホークマンはそこまで強い魔物でもないけど、短時間で6体を3人で倒すのはすごい。この調子なら、メタルハンター軍団を全滅させられるだろう。
俺も目の前にいるキラーマシンに向けてまほうの弾丸を撃ちまくる。しかし、傷をつけてはいるのだが倒れなかった。
このままサブマシンガンで撃ちまくっても弾切れを起こす可能性があるので、俺はひかりのつるぎとまじんのかなづちの二刀流で隊長のキラーマシンに向かっていった。
俺のひかりのつるぎでの攻撃を受け止め、キラーマシンは回転斬りを使おうとする。
「こいつも回転斬りを使うのか。なら、こっちも使って防がないとな」
俺はキラーマシンの回転斬りの予備動作を見て、両腕に力を溜める。そして、奴が回転斬りを放ったと同時に俺も力を解放した。
「回転斬り!」
キラーマシンの剣と俺のひかりのつるぎがぶつかりあい、火花のような物ができる。
このままだと互角の戦いだが、俺は左手に持つまじんのかなづちでも思いきりキラーマシンを殴り付けた。
すると、キラーマシンは一部がへこんで大きく怯む。
「キラーマシン、これでとどめだな」
俺はキラーマシンの核にひかりのつるぎを突き刺してえぐった。
キラーマシンは機械なので、内部の部品を破壊されるとさすがに動かなくなる。最後には、青い光を放ちつつ消えていった。
「よし、これで倒したか」
ブリザードには楽勝だったが、キラーマシンには苦戦させられたな。
みんなもメタルハンターを全滅させていて、今回も勝つことができたようだ。
戦いが終わると、みんなで町の中に戻って行った。