ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
アメルダの研究室が出来た翌日、マイラに来て12日目の朝、俺はいつも通り朝起きて、朝食を食べに行った。
朝食を食べていると、後から調理部屋に入ってきたアメルダに話しかけられた。
「雄也、話しておきたいことがあった」
「何か分かったのか?」
アメルダは俺がピストンを作っている間にも研究室で発明メモの解読を進めていたからな、何かが分かったのかもしれない。
そして、俺の予想は本当だったようだ。
「アンタと協力して作った新しい作業部屋のおかげで作業が抜群にはかどってね、ついに強力な兵器の開発に繋がるものすごい発明品を作る糸口がつかめたのさ!」
やっぱり研究に進展があったみたいだな。
まだ最強の兵器は作れないけど、それを作るのにも繋がる重要な物ってことか。
「そのものすごい発明品と言うのは、どんな奴なんだ?」
「エネルギー物質って物でね。この物質そのものが強大な力をたくわえてんだ」
エネルギー物質か···そのまんまな名前だけど、アメルダの言う通り強い力が秘められているのだろう。
今回は、そのエネルギー物質の作り方が分かったのかもしれないな。
「エネルギー物質は、どうやったら作れるんだ?」
「メタルハンターやキラーマシンが落とすハンター回路とかいう物と、ブリザードのブリザードロップ、フレイムのフレイムドロップを合わせて作れて、白い色をしているんだ」
この前キラーマシンを倒したらそのハンター回路と言う物をいくつも落としていたし、フレイムからフレイムドロップも集めたから、後はブリザードのブリザードロップとやらを集めればよさそうだな。必要な数も気になるので、俺はビルダーの魔法で調べる。
エネルギー物質···ハンター回路5個、フレイムドロップ3個、ブリザードロップ3個 マシンメーカー
必要な数が多いから、これは一度に作れるパターンだな。2つは揃っているので、あとはブリザードロップを3個取ってこれば作れる。
「それなら、後はブリザードロップを集めれば作れるぜ。取りに行ってくる」
俺がブリザードを倒しに行くため、赤の旅のとびらに向かおうとすると、アメルダは俺を呼び止めてエネルギー物質は加工すれば武器に出来ることも教えてくれた。
「ちょっと待っておくれ。エネルギー物質はミスリルと組み合わせることで、武器を作ることも可能なんだ」
ミスリルって言うのは、雪原で見つけた水色の金属のことだろうな。昨日鉄を取りに行った時にも見つけて、20個ほど持っている。
ミスリルを使った武器がどのくらい強力なのかは分からないが。
「その、ミスリルを使った武器って、どのくらい強いんだ?」
「ミスリルとエネルギー物質を合わせると、まほうインゴットになって、鋼の武器より強いはずなんだ。それだけじゃなくて、フレイムやブリザードも普通に倒せるようになるはずさ」
まほうインゴットって、不思議な名前だな。フレイムやブリザードも倒せる能力があるから、魔法の武器と呼ばれているのだろうか。
兎に角、それを使えば普通にフレイムやブリザードと戦えるようになるってことだな。
またしても大量のフレイムが襲撃してくる可能性もあるので、絶対に作っておくべきだな。全員で魔法の武器を使えば、すぐに奴らを壊滅させられる。
「すごくいい武器だな。どんな物があるか教えてくれ」
「あんまりいいネーミングじゃないけど、4つの武具が作れるみたいだよ」
俺がまほうインゴットで作れる武器を聞くと、アメルダは剣、ハンマー、盾、鎧の作り方を教えてくれた。
俺はまほうインゴットの作り方と共に、それらの武器と防具の作り方を調べる。
まほうインゴット···エネルギー物質1個、ミスリル3個 マシンメーカー
ひかりのつるぎ···まほうインゴット1個 マシンメーカー
まじんのかなづち···まほうインゴット2個、マグマ電池1個 マシンメーカー
まほうのたて···まほうインゴット1個、木材1個 マシンメーカー
まほうのよろい···まほうインゴット2個、ひも1個、イエティの毛皮1個 マシンメーカー
インゴットや武器なのに、炉ではなくマシンメーカーで作るんだな。全員分作るには大量のまほうインゴットが必要だが、何とか揃えないとな。
それと、アメルダはネーミングがいまいちと言っていたけど、そんなにかっこいい名前をつける必要もないと思うが。
「このまほうインゴットを使った武器があれば、マイラを支配する魔物の親玉、ようがんまじんを倒せるかもしれないね」
最強の兵器を作らなくとも、魔法の武器だけでもようがんまじんを倒せる可能性もあるのか。
武器が出来たら、マイラの魔物との決戦が始まるかもな。
「分かった。魔法の武器を作って、必ずようがんまじんを倒そう!」
俺はアメルダにそう言うと、まずはエネルギー物質を作るためのブリザードロップを集めに雪原地帯に行った。サブマシンガンとほのおの弾丸を持ったので、準備は完了だ。
「ブリザードはあの氷の湖にいたはずだな」
俺は雪原に出ると、ブリザードのいる氷の湖に向かうため、魔物を避けながら森を抜けて、奥へ進んで行った。
そして、森を抜けると広大な雪の大地が目の前に広がる。
「ここを1時間くらい歩けばたどり着いたはずだ」
その広大な雪原には、まだたくさんの白い花が咲いているので、この前とは別の場所を通りながら氷の湖を目指した。
すると、途中でとんでもない魔物を見てしまった。
「ギガンテスか···何でこんな場所にいるんだ?」
身長が10メートル近く、俺の身長より大きいかもしれないハンマーを持つ巨人の魔物、ギガンテスが雪原に立っていたのだ。
町の南の荒野にいるボストロールと同じで、ようがんまじんよりも格が上だと思われる魔物だ。ガライヤの魔物の親玉にしても、ギガンテスより強い奴だとは思えない。
もしギガンテスに見つかったら、すぐに足で踏み潰されそうなので、俺はすみやかにギガンテスから離れて、湖へ進んでいった。ギガンテスがいた場所から30分くらい歩いて、ようやくブリザードのいる凍り付いた湖にたどり着くことができた。
「ここまでたどり着くことができたな。さっそくブリザードを倒すか」
湖に到着すると、俺はサブマシンガンにほのおの弾丸を入れる。そして、冷たい氷の上でブリザードに忍び寄り、サブマシンガンの引き金を引いた。
ほのおの銃弾を当てると、ブリザードは溶けていくように青い光を放って消えていき、フレイムドロップに似た青い素材を落とした。
「これがブリザードロップか、あと2つだな」
俺はブリザードロップをポーチにしまい、近くにいた別のブリザードにサブマシンガンを向ける。
湖にはかなりの数が生息していたので、10体以上のブリザードを倒すことができた。何故かは分からないが、かき氷を落とす奴もいた。
「何で魔物がかき氷を持ってるんだ?」
ブリザードロップはフレイムドロップのように100%手に入れることは出来ないようだが、必要な数が揃ったので俺はキメラのつばさを使い町に戻って行く。
町に戻って来ると、エネルギー物質を作るため、研究室に入った。
研究室では、アメルダがラライのメモを読んでいて、俺に気づくと話しかけてきた。
「雄也じゃないか。エネルギー物質の素材が集まったのかい?」
「ああ、これからみんなの分の魔法の武器を作る」
俺はマシンメーカーの前に立って、エネルギー物質をビルダーの力で作り出す。エネルギー物質は、1回で10個も作ることができ、一度作れば不足することは当分なさそうだ。
エネルギー物質は、白い不思議な形のする、強い力を感じられる物質だった。
「エネルギー物質が出来たから、次はまほうインゴットをだな」
エネルギー物質を作った俺は、今度はそれをミスリルと合体させ、まほうインゴットを作る。
全員分の武器が作れるように、エネルギー物質3個と、ミスリル9個を使い、まほうインゴットを15個作る。
「これがまほうインゴットか、ミスリルとは色が違うな」
アメルダからも聞いていたので知っていたが、まほうインゴットはミスリルを使っているのに水色ではない。エネルギー物質の色と同じになっている。
それはともかく、まほうインゴットが完成すると、俺はそれを加工して俺、アメルダの分のひかりのつるぎ2つと俺、ガロン、ベイパー、ギエラ、ゆきのへ、シェネリの分野のまじんのかなづち6つを作った。
「これで魔法の武器も作ることが出来たな。みんなに渡して来るか」
俺はまず、自分の分のひかりのつるぎとまじんのかなづちをしまい、近くにいたアメルダにもう1本のひかりのつるぎを渡した。
「アメルダ、みんなの分の魔法の武器が出来た。これがアメルダの分だ」
「これはひかりのつるぎか、実物を見るのは初めてだけど、ものすごく強そうだ···ありがとね、雄也!」
俺がひかりのつるぎを見せると、アメルダは喜んでそれを受けとる。
ひかりのつるぎを受け取った後、アメルダはラライの研究についての話を始めた。
「アンタに教えたエネルギー物質は、炎と氷の力を合わせ持つ物でね、ラライの研究していた物の試作品みたいな物さ」
確かに、エネルギー物質はフレイムとブリザードの素材を使っているから、両方の性質を持つことになっている。
でも試作品ってことは、もっと強力な物もあるってことだろうな。
「試作品ってことは、改良された物もあるってことか?」
「いいや、炎と氷を合わせることで、爆発的なエネルギーが得られるらしいけど、結局アイツは研究を完成できずに死んじまったよ」
炎と氷を本当に合わせることが出来たら、メドローアのような強力な攻撃が出来るようになるだろうけど、完成はさせられなかったのか。
俺たちの力で作ることが出来ればいいんだけどな。
「その研究だけど、魔物たちも同じことをしたがっているようなんだ。何を企んでいやがるのかは、分からないけどね」
魔物もその力が欲しいからアメルダを誘拐していたんだよな。
魔物が強力な兵器の研究を完成させてしまうことは、何としても阻止しないといけない。
アメルダもそう思っているようで、火山地帯に乗り込んでようがんまじんの腕を倒すつもりのようだ。
「兎に角、魔法の武器があれば勝ったも同然さ。みんなにも武器を渡して来て、準備が出来たらこの地を支配するようがんまじんを倒しに、火山地帯に乗り込もうじゃないか!」
あれがようがんまじんの本体とはとても思えないのだが、アメルダを信じてあいつを倒すしかないか。
俺はアメルダと別れた後は、5人にまじんのかなづちを渡し、ようがんまじんの腕を倒しに行くことを伝えた。
「俺とアメルダで新しい武器を作った。これがあれば、ようがんまじんも倒せるはずだから、準備が出来たら火山地帯に行くぞ」
俺の話を聞くと、みんなは急に真剣な表情になった。ようがんまじんを倒しに行くと聞き、緊張しているようだ。
「分かったぜ。まだどんな奴か見たこともないが、絶対に倒してやる」
ガロンはまだあのようがんまじんの腕も見ていないのか。
ガロンだけでなくみんなは、アメルダがようがんまじんは腕一本だけの魔物と言っているのを信じるのだろうか。俺は絶対に違う気がするんだよな。
俺がいろいろ考えている間に、荒くれたちは戦いの準備をしに行った。