ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode70 灼熱の進軍

マイラに来て10日目、昨日いつもより早く寝たので、俺は朝早くから起きていた。

ガライヤの雪原も一通り探索したので、俺は朝食のサボテンステーキを食べながら何をしようかと悩んでいた。

 

「今日は暇だから、何をしようかな?」

 

フレイムを倒す武器を開発できたし、次はアメルダの言ってた炎と氷を融合させる研究だな。だけど、どうやったら完成させられるのかはまだわからない。

俺がいろいろ考えていると、起きてきたアメルダが調理部屋に入ってきた。

 

「雄也、昨日言ってたラライの研究の秘密について新しいことが分かったんだ」

 

俺もそのことについて考えていたけど、もう進展があったのか。早くその研究も完成させて、マイラの魔物の親玉、ようがんまじんも倒せるようになるといいな。

「どんなことが分かったんだ?」

 

「ラライの発明メモによると、フレイムを倒すと手に入るフレイムドロップという素材が、さらに強力な兵器を作るための素材になる代物らしいんだ」

 

フレイムドロップって変わった名前の素材だな。どんな形をしているのだろうか。

それはともかく、そのフレイムドロップを集めればラライの研究を完成させられるかもしれないってことか。

 

「それを集めてきてほしいのか?」

 

「そうさ、素材の収集と新しい武器の実験を兼ねて、溶岩地帯にいるフレイムをちょっとばかりぶっ倒してきてくれないか?」

 

昨日作ったこおりの弾丸がさっそく役に立つのか。まだ実戦で試したことがなかったし、ちょうどいい機会だな。

「分かった。フレイムを倒して素材を集めてくるぜ」

 

俺はさっそくフレイムを倒しに行くため、サブマシンガンにこおりの弾丸をリロードした。

これで離れた場所からフレイムを撃ち抜いて倒すことができるはずだ。準備が出来ると、俺は青色の旅のとびらに入った。

 

「フレイムは崖を降りたところにいたはずだな」

 

旅のとびらに入ってすぐのところにフレイムはいないので、ブラウニーなどの魔物を避けながらマグマの池の近くへ向かう。

 

「結構な数のフレイムがいるな」

 

そこにたどり着くと、俺の予想通り何体かフレイムが生息していた。そして、俺はフレイムの背後にまわり、サブマシンガンを構えながら近づいていく。

確実に当たる距離まで近づくと、引き金を引いてこおりの弾丸を発射する。

すると、フレイムは氷の力で貫かれ、青い光を放って消えた。

 

「本当にフレイムを倒せるみたいだな」

 

これでこおりの弾丸が本当に使えることが分かったな。

それと、フレイムを倒したところを見ると、燃え盛る炎のような形をした不思議なアイテムが落ちていた。

これがアメルダの言ってたフレイムドロップという奴だろう。俺はフレイムドロップを拾い、ポーチにしまうと次のフレイムを倒しに行った。

 

「もう少し集めて行くか。1つでは足りないかもしれないし」

 

マグマに近づけば近づくほどたくさんのフレイムが生息していて、たくさんのフレイムドロップを集めることができる。

そうやってマグマの池のすぐ近くまで来ると、マグマの中に巨大な腕の形をした魔物がいた。

俺の身長を遥かに越える大きさで、高温の岩石で体が作られていた。

 

「一体何なんだ?あの巨大な腕は」

 

どう考えても勝てそうにないので、俺は見つからないようにその場を立ち去る。

あの巨大な腕は何者なのか分からなかったが、よく考えるとようがんまじんの腕に見える。でも、顔はどこに行ったのだろうか。

腕だけでもかなり強そうだし、フレイムドロップもたくさん集まったので、そいつとは戦わずに帰ろう。

そこまで旅のとびらから離れていない場所だったので、俺は歩いて町まで戻った。

「とりあえず、アメルダにフレイムドロップを見せて来るか」

 

ようがんまじんは腕だけでも強そうだから、早く新しい兵器を開発しないといけないな。

俺はアメルダに会って、フレイムを倒してきたことを伝えた。

 

「アメルダ、フレイムを倒してフレイムドロップを手に入れてきたぞ」

 

「ありがとう、雄也!うん、やっぱりこのこおりの弾丸なら、炎の魔物にかなりの効果がありそうだ!」

 

フレイムをこおりの弾丸で倒せることが確実となり、アメルダも喜んでいる。

フレイムドロップも集めて来たし、新たな兵器の開発にまた一歩近づいたな。

 

「アンタが手に入れたフレイムドロップの力を分析して、この地域を支配する魔物の親玉、ようがんまじんを倒す兵器をなんとか開発しよう!」

腕だけでもものすごく強い魔物だったんだ。本体はもっと強力なモンスターのはずだな。

早く兵器を開発して、マイラの空の闇を晴らしたいぜ。

俺がそんなことを考えていると、アメルダはようがんまじんについての話を始めた。

 

「まだ言ってなかったけど、ようがんまじんは猛烈に熱い岩でできた巨大な腕の形をした魔物なんだ」

 

あれ?ようがんまじんは腕だけでなく、顔もあったはずだけど。アメルダはそのことを知らないのか、本当に腕だけなのか気になるな。

本当に腕だけなら、さっきマグマの中にいたあいつがマイラの魔物の親玉と言うことになる。

俺はようがんまじんの腕を見たことをアメルダに話した。

 

「そいつなら、さっき火山地帯で見たぞ。あの腕だけの奴がようがんまじんなのか?」

 

「その通りのはずさ。だけど、まだアタシたちじゃあいつを倒せない」

 

アメルダもまだ倒せないと言ってるし、戦わなかったのは正解だったな。でも、あれがようがんまじんだと言うのは、やっぱり納得できないな。

だが、アメルダの言っていることだし、あの巨大な腕を倒すことを目標にするか。

 

「もう少しラライの発明メモを見て、兵器の作り方を考えてみるよ!」

 

フレイムドロップを手に入れたとは言え、新しい兵器はまだ開発段階だ。アメルダがアイディアを思い付くのを待つしかなさそうだな。

「分かった。思い付いたら俺に教えてくれ」

 

俺はアメルダが兵器を思い付いたら、それをすぐに形にしよう。

話を終えて、アメルダが兵器のことを考えに行こうとしていたその時だった。

町の西側から、またしても魔物の足音が聞こえてきた。アメルダもそれに気づき、町の西側を見る。

すると、フレイムが12体、まどうしが6体、あくまのきしが6体いた。だが、まどうしは6体とも普通の奴で、フレイムを操ってはいなかった。

 

「何がフレイムを操っているんだ?」

 

俺が魔物の群れをよく見ていると、一番後ろに黄色の衣を纏う杖を持った魔物がいた。姿は同じだが、まどうしではない。

「あれは、だいまどうか。ヤバい奴が来たな」

 

それはまどうしの上位種、だいまどうだった。奴ほどの魔力があれば一度にフレイムを12体操ることもできるだろう。

合計25体のマイラの魔物たちが、この町に迫ってきていた。

 

「これはまずいことになったね···!魔物はアタシたちがこおりの弾丸を開発したことに焦っているみたいだ」

 

フレイムを倒せる武器を手に入れた俺たちは魔物にとって脅威だから潰しにきたのか。

今回はこれまでと比べて敵の数が多いし、魔物が焦っているのは間違いない。

ここは何とか防ぎきらないといけないが、さっきこおりの弾丸を使いきったから新しいものを作ってこないと行けない。それに、シェネリはまだおおかなづちを装備しているから、ウォーハンマーを作らないといけない。

 

「俺は今すぐこおりの弾丸を作ってくる。アメルダはみんなを呼んでくれ」

 

俺はそう言って作業部屋に駆け込み、こおりの弾丸20個とシェネリの分のウォーハンマーを作った。

本当は大砲の弾も作りたかったが、さすがにそれは時間がなかった。

 

「もうみんな集まってるだろうな」

 

俺が作業部屋の外に出ると、戦えるメンバーは全員アメルダの元に集まっていた。コルトはシェネリと違い、部屋に隠れているようだった。

 

「アメルダ、こおりの弾丸を作ってきた。それと、シェネリにはウォーハンマーを作った」

 

俺はシェネリにウォーハンマーを渡し、サブマシンガンにこおりの弾丸を入れる。

魔物の群れももう目前まで迫っているので俺たちはすぐに迎撃態勢を取る。マイラの町の6回目の防衛戦が始まった。

 

今回は大砲が使えないので、武器を使って倒していくしかない。不幸中の幸いで、トロルのような巨体の魔物がいなかったのはよかったな。

俺たちが前衛で襲いかかってくるあくまのきしに斬りかかろうとすると、だいまどうがフレイムを操りだした。

 

「フレイムどもよ、今度こそこの町を焼き払い、愚かな人間どもを消し去るのだ」

 

フレイムが12体もいたら、今までなら絶望的な状況だが、こおりの弾丸を入手した今なら違う。

俺はサブマシンガンを構え、フレイムたちに連射していく。

「フレイムだろうが何だろうが、俺たちなら倒せるぜ」

 

これでフレイムを6体倒し、残り半分になる。だが、こんな簡単に倒せると言うことは、奴らはこおりの弾丸を手に入れたことに気がついていないのだろうか。

おかしいと思っていると、俺に向かっていきなり大量の火球が飛んできた。

 

「我らに騙されたな、ビルダーよ」

 

6つの方向からメラの呪文を唱えられて、俺は回避しきれずウォーハンマーとはがねのつるぎを使って受け止める。

だが、炎を防ぎきることは出来ず俺は軽いやけどを負ってしまう。

フレイムはただのおとりで、俺がフレイムと戦っている途中にまどうしたちが囲むつもりだったようだ。

「くそっ、6体に囲まれてしまったか」

 

こおりの弾丸が出来たからと言って、調子に乗りすぎたようだな。

みんなはあくまのきしに足止めされていて、俺のところにたどり着けない。

 

「筋肉野郎どもめ、貴様らの相手は我らがしよう」

 

「女だからと言って、決して容赦はしないぞ」

 

あくまのきしは戦い慣れているが、倒すのにはすこし時間がかかる。

 

「ここを通せよ!雄也を助けに行くぜ!」

 

「ワシの邪魔をするのなら、こちらも容赦はせぬぞ!」

 

「今日もアンタたちを叩き潰すわよ!」

 

荒くれたちは筋肉の力であくまのきしに大きなダメージを与えているが、まだ倒せていない。

俺は6体のまどうしに囲まれ、ピンチに陥っていた。1体ずつ倒して数を減らして行くしか方法はないな。

 

「たとえ囲まれても、必ずお前たちを倒してやるぜ!」

 

俺ははがねのつるぎとサブマシンガンを持ち、まどうしに斬りかかっていく。

俺は次々に飛んでくるメラの魔法を避けながらまどうしの一体を斬りつけた。回転斬りを使えば一撃で倒せるかもしれないが、攻撃を溜める時間もない。

一体を斬りつけてすぐに後ろを振り向き、まわりのまどうしをサブマシンガンで撃ち抜いていく。

弾を入れ換える時間もないので、俺はこおりの弾丸でまどうしを撃った。だが、フレイムをせる唯一の武器であるこおりの銃弾を無くすのは困るので、6発は残しておいた。

一体につき1~2発しか当てられなかったが、まどうしにもこおりの弾丸の方が効果があるようで、動きを止めることができた。

「これでまずは一体だな」

 

そして、まどうし全員が怯んだところで俺ははがねのつるぎで斬りつけた目の前にいるまどうしを、思いきり引き裂く。

それでもまだ5体に囲まれているが、こいつらはさっきからメラを連発しているし、そろそろ魔力が尽きそうだな。

しかし、俺の思い通りにはいかなかった。

 

「この前も今回も、どこまで我らの仲間を殺せば済むのだ。決して許さぬぞ!」

 

そう言った後、まどうしたちは一斉にメラの呪文を放つ。俺もかわしつづけて、体が疲れてきていた。

みんなは、あくまのきしを倒せたのだが、俺の倒しそこねたフレイムに行く手を妨げられている。

 

「フレイムは今度はみんなを妨害しているな···撃ち抜いてやるか」

 

残っている6発の銃弾で、みんなと戦っているフレイムを倒さないとな。攻撃が効かないフレイムに圧倒され、6人とも苦戦している。

俺は何とかまどうしの放つメラをかわして、フレイムに向かってこおりの弾丸を放つ。

そして、フレイムが倒されて動けるようになった6人は、俺を助けるためにまどうしに武器を向けた。

 

「今すぐ助けに行くぜ、雄也!」

 

「この筋肉の力を見せつけてやるぞ!」

 

「アンタたち、アタシたちを焼き殺そうなんて許さないわよ!」

 

「雄也、今助けに行くよ!」

 

「鍛冶屋の力って物をなめるなよ」

 

「私もこの町を守って見せます!」

 

だが、そんなみんなに向かって、大きな火の玉が飛んできた。

 

「せっかくビルダーを騙せたと言うのに···!メラミ!」

 

隊長であるだいまどうが、6人に向かってメラミの呪文を唱えた。あの竜王の影も使っていた呪文だ。

しかし、竜王の影のものほど威力は高くなく、6人は回避してまどうしのところに向かう。

まどうしは5体なので、アメルダはだいまどうに斬りかかって行った。そして、残りの5人はまどうしにウォーハンマーで殴りかかり、大きなダメージを与える。

俺は回避のしすぎで体力の限界だったが、俺もみんなを助けないといけないので立ち上がり、それぞれが押さえつけているまどうしを斬り裂いていく。

 

「よくも俺を騙したな。一体も残らず斬り裂いてやる!」

 

みんながまどうしを押さえつけているので、俺はその間にまどうしの心臓をはがねのつるぎで突き刺して行く。

次々にまどうしはその数を減らしていき、後はアメルダの戦うだいまどうだけだ。

 

「このだいまどう、結構強いね···」

 

アメルダもだいまどうのメラミを避けるのに一苦労で、あまり反撃は出来ていなかった。

だが、俺たち全員でかかれば押しきれるだろう。

 

「みんな、あのだいまどうを集中攻撃するぞ!」

 

「おう、アネゴだけを戦わせる訳にはいかねえからな!」

 

ガロンの返事で、俺たちはだいまどうに殴りかかる。みんながウォーハンマーで奴の背中を殴りつけ、とどめにアメルダが頭から真っ二つにする。

 

「どれだけ強くても、アタシたちには勝てないよ!」

 

奴らの作戦にはまってしまったこともあって、今回は今まで以上に苦戦したな。

とりあえず勝つことが出来たので、俺たちは町の中に戻って行った。


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