ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺たちが2つ目の関所にたどり着くと、そこにいたのは通常より大きなまどうしが1体と、炎の魔物、フレイムが4体だった。
マイラの3回目の防衛戦でも襲ってきた、厄介なモンスターだ。防衛戦の時も、かなり苦戦した。
「フレイムの野郎か···厄介な奴が来やがったな」
ガロンも、フレイムを見て困った顔をする。今回は4人で来ているが、フレイムも4体いる。
周りがマグマの池なので、この前みたいにこっそり後ろに回りこむことも出来ない。
「フレイムにはオレたちの攻撃はきかねえ。なんとか操っているまどうしを倒すんだ」
ガロンの言う通り、なんとかして後ろにいるまどうしを倒して、フレイムを消さないといけない。
でも、この荒くれたちならフレイムの猛攻をすり抜け、まどうしを殴り殺せるかもしれない。もしできなかったとしても、俺がサブマシンガンでまどうしの体を撃ち抜いてみせる。
俺たちは武器を構えて、まどうしとフレイムの群れに近づいていった。まどうしは俺たちに気づくと、杖でフレイムを操りだす。
「忌々しい人間どもめ···フレイム!こいつらを焼き尽くせ!」
まどうしの声に反応し、フレイムは俺たちの前に立ちはだかる。
俺たちはフレイムを避けてまどうしに近づこうとしたが、今回のフレイムはかなりスピードが速く、俺たちの動きを止めてきた。
「こいつ、この前のフレイムより強いな」
俺たち4人は全員フレイムに道を防がれていて、まどうしに近づくことができなかった。普通の魔物であれば、誰かが敵全体を引き付ければいいのだが、フレイムには剣で斬っても傷をつけられないので、その作戦も使えない。
だが、俺にはサブマシンガンがあるので、遠くのまどうしを攻撃することが出来る。俺はフレイムの攻撃をかわしながらサブマシンガンを取りだし、まどうしに向けて撃ち放った。
「俺を防げると思うなよ!」
まどうしは急に発射された銃弾を避けることが出来ず、何発か当てることが出来た。しかし、弱らせたことは確かだが、まだ倒れる気配はない。
「よくも、我を攻撃しやがったな···」
傷を負ったまどうしは俺を強く睨み付けてくる。そして、俺に向かってメラの呪文を放った。
「お前など焼き殺してやる!メラ!」
距離があったので、俺はメラの呪文をかわしてさらに銃弾を撃ち込む。10発くらい受けて、まどうしは瀕死の状態になっていたが、まだ抵抗してきた。
「速くビルダーを焼き殺せ!フレイム!」
弱っているとはいえフレイムを操る力はまだ残っているらしく、俺に向かって炎を吐かせた。
かなり広範囲への攻撃で、俺は大きくジャンプしてかわし、フレイムを操っている途中のまどうしにさらにサブマシンガンを乱射する。
「これで終わりだぜ、まどうし!」
まどうしはもう一度メラの魔法を唱えようとしたが、サブマシンガンの連射速度には勝てず、蜂の巣の状態になってまどうしは倒れていった。
それと同時に、まどうしに操られていたフレイムも消えていく。
「かなりの銃弾を使ったけど、なんとか倒せたな」
銃はまどうしのような敵に大しては非常に強い武器だ。銃弾の数が残り50個ほどになったけど、倒せてよかったぜ。
みんなも、フレイムの攻撃でやけどを負わずに済んでいた。そして、フレイムが消えると二つ目の関所を抜け、魔物の城の入り口に向かう。
「もうすぐアネゴのいるところだぞ」
「この調子で行くわよ!」
「オレもどんな奴が来てもアネゴのためなら戦ってやるぜ!」
魔物の城の入り口に着くと、3人は黒い岩を叩き割って中に進んでいく。俺もその後からついて行き、魔物の城の中に入った。入り口近くには敵がいないが、奥で待っているのだろう。
「ここにはいないけど、奥には結構魔物がいるはずだな」
その時、俺はこれまで2回あった異変に気づく。
ロロンドを救出した時や、ウルスの研究所に行った時のように、空が暗闇に包まれてきていたのだ。
これは、竜王の影が現れる前兆だな。もし竜王の影に見つかれば、アネゴの救出どころではなくなるので、荒くれたちにそのことを伝えた。
「おい、空が暗くなってきている。竜王の影って言う強力な魔物が来るかもしれない」
俺はそう言って警戒するが、ガロンは何よりもアネゴの救出が最優先らしく、気にせずに進んでいった。
「竜王の影なんて言われれば強そうだが、今はとにかく、アネゴを救出するんだ!」
「まあ、すぐにアネゴを救出すれば、隠れる時間もあるはずだな」
本気で戦うことにならないか心配だが、まだ奴らが俺たちを見つけるのには時間がかかるだろうから、見つかる前にアネゴを救出して隠れれば、何とかやりすごせそうだ。
なので、俺は無理にガロンたちを止めずに、魔物の城の奥について行った。
俺たちが魔物の城の大広間までたどり着くと、そこにはあくまのきしとまどうしが10体ずつくらいと、この前発明メモを守っていたトロルがいた。
「やっぱり結構な数の魔物がいるな」
20体を越える魔物と戦うのはかなり難しい。サブマシンガンを使っても、途中で弾切れになってしまうだろう。
「どうするんだ、雄也?」
ベイパーも突っ込んではいかず、魔物たちの様子を見ながら俺に聞く。
トロルは巨大な魔物で、正面から挑んだら叩き潰されてしまうな。でも、銃で撃っても効果は少なそうだ。
「こうなったら、大砲を使うしかないな」
トロルを安全に倒すためには、アネゴの牢屋を壊すために作った兵器、大砲を使うしかないだろう。大砲の弾は5個持っているので、4回は撃つことが出来る。
大砲を使うことには、ガロンとギエラも賛成していた。
「いいわね。大砲を使えば、どんな敵も吹き飛ぶはずよ」
「マシンメーカーで作った兵器の力を、試してみるのもいいかもな」
俺は大砲を置くために、魔物の群れの目の前に出た。すると、魔物たちは俺に気づいて身構える。
「人間め!また来たのか!」
敵の中央にいたトロルはそう言い、棍棒を振り上げながら俺に近づいてくる。動きは遅いものの、物凄い威力がありそうだ。
大砲が確実に命中しそうな距離まで来ると、俺は大砲の弾をセットし、トロルに向けて発射した。
「魔物ども!これでも喰らえ!」
俺が放った大砲はトロルの腹で炸裂し、回りにいたあくまのきしやまどうしを巻き込んだ。そして、あくまのきしとまどうしは何体か倒れ、トロルは大ダメージを負うが生きていた。
「よくもやりやがったな···許さんぞ!」
俺はもう一発放とうとするがトロルは大砲が当たらない場所に移動してから、俺に近づき始める。
さらに、今の大砲で倒れなかったあくまのきしとまどうしが、俺に集中攻撃をしてきた。
「よくも我らにここまで刃向かったな!」
「ビルダーめ、焼き尽くしてやる!メラ!」
あくまのきしの強力な斬撃やまどうしのメラの呪文が一斉に俺に向かってくる。俺は回避して近くにあったバリケードの裏に隠れたが、反撃はできそうにもなかった。
でも、3人の荒くれという強力な仲間が俺にはいる。3人は俺がピンチなのを見て、ウォーハンマーで魔物を殴り付けた。
「アネゴ救出の邪魔はさせねえって言ってるだろ!」
「ワシの筋肉の力を見せつけてやる!」
「アタシもアンタたちを一人残らず叩き潰すわ」
ガロンは近くにいるあくまのきしを、ベイパーとギエラは遠くにいるまどうしをウォーハンマーで殴り倒し、少しずつ数を減らしていった。
だが、数が多くて倒しきれず、俺のところにも魔物が近づいてきて、3人もしだいに追い込まれていった。攻撃を避けきれずいくつも傷を負っている。
「やっぱり数が多すぎる。二刀流に戻すか」
俺は態勢を立て直すため、二刀流にして力を溜めた。そして、俺の近くにいる魔物の近くで、渾身の回転斬りを放つ。
「回転斬り!」
斧を振り回していたあくまのきしたちは体を引き裂かれた後に殴りつけられ、一撃で倒されていった。二刀流での回転斬りは、本当に強力だ。
俺はまず、自分を狙っていた魔物を倒すと、次はガロンを救援に行った。
「ガロン、今助けるぞ!」
俺はガロンを斬りつけようとしているあくまのきしの心臓を背後から突き刺したり、ウォーハンマーで全身をボロボロにしたりして、倒していった。
「助かったぜ、雄也!」
あくまのきしの数が減ると、ガロンも体勢を立て直してハンマーを降りかざす。そして、あくまのきしの群れを全滅させ次にベイパーとギエラを助けに行こうとする。
しかし、二人のところに向かおうとしていた俺にトロルが棍棒を降り下ろした。
俺は気づくのが遅れ、回避は不可能だと思い左手のウォーハンマーでトロルの攻撃を受け止める。叩き潰されずには済んだが、俺の左腕にとてつもない激痛が走る。
トロルの巨大な棍棒を受け止めて、骨折したかもしれない。だが、今はきずぐすりも持っておらず、このまま戦うしかない。
「くそっ、なんて威力なんだ!?」
俺はトロルに狙われているが、まどうしと戦うベイパーとギエラも助けに向かわないといけない。俺がどうしようかと考えていると、ガロンがトロルを引き付けてくれていた。
「雄也、このデカいのはオレが引き付ける。二人を助けてやってくれ!」
一人でトロルと戦うのは心配だが、今は二人を助けることに集中しないとな。俺は右手にサブマシンガンを構え、まどうしに向かって撃ち放つ。
二人に遠くからメラを放とうとしていたまどうしたちを俺が倒していき、二人も近くにいたまどうしを潰した。
「これでまどうしも全滅させたぞ!」
「あとはトロルを倒せばいいわね」
まどうしを倒し終えると、俺たちはトロルと戦うガロンのところに向かう。ガロンはかなり苦戦していたが、トロルにもダメージを与えられていた。もう少しで倒せるだろう。ガロンも、トロルが弱っているだろうと言った。
「こいつはもうすぐ倒せるぜ。みんな、行くぞ!」
トロルは必死に棍棒を振り回すが、動きが遅いので簡単にかわされてしまう。さっきのような不意の一撃でもない限り、喰らうことはなさそうだな。
そして、荒くれたちの猛攻でついにトロルは、足を潰され体勢を大きく崩す。そこに俺は、はがねのつるぎでの回転斬りを放つ。
「とどめだ、回転斬り!」
二刀流の回転斬りに比べれば威力は劣るが、弱っているトロルの生命力を狩り取るほどの威力はある。
トロルは大きな青い光を放ち、消えていった。
「何とか倒したか···先を急ごう」
厳しい戦いだったし、左腕もまだ激しく痛んでいる。少し休みたいのだが、そんなことをしている時間はないので走って魔物の城の奥へ進んでいった。
ゆっくりしていると、竜王の影が来るかもしれない。
その先の通路には、もう敵がおらず、楽に進むことができた。戦力をさっきの場所に集中させていたのだろう。
「ついに、アネゴの牢屋までたどり着いたな」
そして、大広間から走って1分くらいたって、アネゴの捕まっている牢屋の前にたどり着いた。ようやく助け出せると、荒くれたちは喜んでいる。
「ついにここまで来たぜ!雄也、大砲を使って牢屋を壊してくれ!」
「ああ、もちろんだ!」
俺は牢屋の前に大砲を設置し、弾を発射した。トロルに大ダメージを与えた大砲の一撃はとても固い壁でも耐えることはできず、崩れ去った。
牢屋が壊れると、中には角のついた帽子を被った、荒くれ者のような女がいた。彼女が、荒くれのアネゴと呼ばれている人なのか。
俺はその女の人を縛られていた鎖から解放し、話しかける。
「おい、大丈夫なのか?かなり弱っているみたいだけど」
アネゴは話すことも立ち上がることもできるようで、大砲で牢屋を壊したことを驚いていた。
「へへ···ド派手に決めてくれたね。アンタ、なかなかカッコいいじゃないか」
アネゴも、まだ大砲は作ったことがなかったんだろうな。そう言えば、荒くれたちはアネゴと読んでいたけど、本名はなんて言うんだろうか?
「アンタが、荒くれのアネゴだろ?名前はなんて言うんだ?」
「確かにアタシは、アネゴって呼ばれてるね。アンタは、アメルダって呼んでくれればいいさ」
アメルダって名前なのか。彼女の名前を聞いたところで、俺の名前を言おうとしたが、ガロンたちが駆け込んできた。
「アネゴオオオオ!会いたかったぜ!」
ガロンはそう叫んで、アメルダに抱きつく。やっぱりガロンは、誰よりもアメルダのことを大切に思ってるんだろうな。
「アネゴ、無事で良かったぞ!」
「ようやく助け出せたわね」
「アタシも、アンタたちが生きてて良かったよ」
荒くれたちは、アネゴを助け出せたことを、アメルダは、荒くれたちが生きていたことをとても喜んでいた。俺も、無事に助け出すことが出来て一安心する。
だが、今は感動の再会をしている場合ではない。一刻も早くここを離脱しないと。
「みんな、続きは後にしてくれ。竜王と同じ姿の魔物、竜王の影がここに迫っている」
「だったら、今すぐここを抜け出さないと。竜王の影と戦えば、勝ち目はないはず」
アメルダも竜王の影のことは知っているようだ。危険な存在だと言うことが分かっているので、俺に続いて今すぐ離脱しようと言った。
俺たちは帰るために、後ろを振り向いた。だが、そこでもう俺たちは竜王の影に見つかっていることに気づく。
4体の竜王の影が、俺たち5人のすぐそばまで迫ってきていた。
「どうやら、もう見つかっているみたいだね」
「どどど、どうすりゃいいんだ!?」
これまで勇気を出して頑張っていたガロンも、俺とアメルダから竜王の影が非常に危険だという話を聞いてビビり始めた。
竜王の影は、さっきのトロルなんかよりも、よっぽど危険なはずだからな。
兎に角、今戦っても勝てるはずがないので、逃げるしかない。旅のとびらまでたどりつけば、諦めて帰るはずだ。
「逃げるしかない。なんとか旅のとびらまで行くぞ!」
俺の声で、みんなは全力で走り出す。竜王の影は、とても早い速度で移動し、俺たちに向かって強力な炎の魔法を放った。
「メラミ!」
「メラゾーマ!」
小さな竜王の影はメラミを、大きな竜王の影はメラゾーマを放つ。ドラクエ1の竜王はこんな呪文を使わないので、パワーアップしていると言うことだろう。
俺たちは巨大な火球を避けて、魔物の城の外に出る。関所があるところまで来たが、またしても前に回りこまれてしまった。
「やっぱり、戦って倒すしかないんじゃねえか!?」
ガロンはもう逃げ切れないと思ったのか、竜王の影の1体をウォーハンマーで殴り付ける。
竜王の影は僅かに怯んだが、すぐに体勢を立て直してガロンを杖で叩きつける。すると、ガロンは大きな傷を受けて吹き飛んだ。
「くっ!なんて奴なんだよ!」
ガロンへの攻撃は一回に止まらす、もう一度杖を叩きつけようとする。今度喰らったら、本当に死ぬかもしれない。
「ガロン!早く起き上がれ!」
俺も手を貸して、ガロンを起き上がらせてひたすら走り続ける。火事場の馬鹿力という奴か、もう数百メートルも全力疾走しているのに、疲れてこなかった。
「このまま逃げ切れそうだな」
だが、俺たちの目の前には崖が立ちはだかる場所があった。しばらく時間を稼がないと、みんなは逃げられない。
他の人にこんな危険なことをさせる訳にはいかないので、俺が竜王の影を引き付けることにした。
「くそっ、あんたたちは先に逃げてくれ!」
「アタシも手伝うよ!」
俺がそう言うと、アメルダも竜王の影を引き付けてくれるようだ。荒くれのリーダーとして、仲間の安全が最優先なのだろう。
俺とアメルダは、3人が崖を登っている間に竜王の影の動きが少しでも止まるように攻撃した。
途中、大きな竜王の影は俺に向かってオーラを纏って突進してきた。これをまともに喰らうとまずいので、俺は回転斬りでなんとか食い止める。
「回転斬り!」
アメルダはてつのつるぎを持っていて、それを使って竜王の影を怯ませていた。怯ませるだけで、倒すことはできなさそうだが。
少し経って、荒くれたちが全員崖を登りきったので、俺たちも竜王の影の攻撃を避けながら崖を登り、旅のとびらに向かって走る。
旅のとびらに近づいても、竜王の影はメラミやメラゾーマの呪文を撃ってくる。
「もう少しで逃げ切れる!」
俺は体の限界を越えるほどのスピードで走り、アメルダも同じくらいのスピードで走り続ける。そして、旅のとびらが見えた瞬間、俺たちはその中に飛び込んだ。