ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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しばらく旅行に出かけていて書けませんでしたが、今日から再開します。

今回もかなり長くなるので、前編と後編に分けました。


Episode65 決死の突入(前編)

俺が大砲を作ったことをガロンに知らせると、ガロンは荒くれのみんなを呼びに行った。

2分くらいたって、ベイパーとギエラを連れ、俺のところへ戻ってくる。

 

「雄也!ついにアネゴを救出するための兵器ができたのだな!」

 

「よくやったわ!今度こそあの牢屋を壊せるはずよ」

 

二人は、ついにアネゴの救出に行けるということを聞き、とても喜んでいた。それと同時に、魔物の城にもう一度乗り込むことへの緊張感も持っていた。

荒くれたちの目標であったアネゴ救出···長い準備があったけどようやく決行できるんだな。そう考えると、俺も緊張がこれまで以上に高まってくる。

 

「俺もみんなも準備完了のはずだ。ガロン、作戦について話してくれ」

 

そして、俺の合図でガロンはアネゴ救出作戦の話を始める。

 

「分かった、話を始めるぜ!救出の方法は簡単だ、もう一度魔物の城に乗り込むぜ!」

 

ガロンの話しを聞き、ベイパーとギエラも納得する。

 

「それで、強力な兵器を使ってアネゴの牢屋を壊すのだな!」

 

「アタシたちなら、必ず成し遂げられるわね」

 

確かに、ガロンの言う通り、アネゴのいる牢屋まで到達し、その牢屋を壊す、とても単純な作戦だ。だが、その遂行は困難を極めるだろう。

今回は魔物も俺たちを警戒していて、城には比べ物にならないほどの敵がいる。

俺はそのことを、みんなに伝えておいた。

 

「そんな簡単ではない。少し見てきたんだけど、この前の何倍も敵がいる。もう潜入は不可能だろうな」

 

だが、そのことを聞いてもベイパーとギエラは恐れる様子は無かった。

 

「心配することではない。何のために筋肉があると思っておるのだ?」

 

「アンタの作ってくれたハンマーで、どんな敵でも倒して見せるわ」

 

まあ、もともとこいつらは筋肉をつけて魔物の群れに突入していくつもりだったからな。

これまで強化してきた筋肉が、ついに役立つ時が来ると来たんだな。

 

「そうだな。俺たちの力があれば、どんな魔物でも必ず倒せるはずだ。準備も出来たし、そろそろ行くか」

俺は改めて魔物を倒し、アネゴを助けると言う決意を固めた。それに続くように、ベイパーとギエラも旅のとびらに向かっていく。

しかし、ガロンはまたしても町に残ろうとしていた。

 

「オレは、みんなの分までここを守ってる!今度こそアネゴを助け出してきてくれよな!」

 

町の守りはゆきのへに任せられるし、今回の作戦では少しでも戦力を増やすことが必要だ。それなのにこいつは、まだ戦う気がないのか?

俺たちはイライラしてきて、ガロンを軽蔑するような冷たい目で見た。

 

「いい加減にしろ、ガロン。あんたは大切な人がの命が懸かっていると言うのに、戦う気がないのか?」

「ガロン、お主のアネゴを思う気持ちはその程度だったのだな」

 

「こんなのがアタシたちの仲間だなんて、恥ずかしいわね」

 

俺たち3人に冷たい目で見られ、ガロンは耐えきれなくなったのか、ついに付いてきてくれると言った。

 

「分かってる!分かってるよ!そんな粗大ゴミを見るような目で、人を見るな!誰あろう、アネゴのためだ!めちゃめちゃ怖えけど、オレも行くぜ!」

 

ついに自分が臆病だということを認めたな。それはともかく、これでこっちは4人で魔物の城に乗り込める。

過酷な戦いになることは変わりないだろうけど、少しは勝ち目が上がるはずだ。

 

「じゃあ、ガロンも加わったところで今度こそ行くぞ!」

俺たち4人は、魔物の城からアネゴを助け出すため、旅のとびらに入っていった。

 

その頃···

 

魔物の王 竜王の間

 

雄也たちがアネゴの救出のため、魔物の城に向かっている時、竜王の城では一体のマイラの魔物が、竜王に謁見していた。

 

「竜王様、マイラの人間どもが我々が捕らえている女を解放しようと動き出した模様です」

 

竜王は、ビルダーがメルキドとリムルダールを復興し、今度はマイラの復興を始めたという情報は聞いていた。

だが、マイラの魔物が強力なのもあり、大して心配はしていなかった。

 

「そのくらい分かっている。そなたらの力で蹴散らせばいい」

 

竜王はそう言うが、マイラの魔物は必ず勝てるとは思ってはいない。これまで4回、人間の拠点に攻めこんだが、生きて帰った仲間は誰もいなかった。

 

「ですが、竜王様。人間は我々が思っているより屈強です。増援を派遣して頂けないでしょうか」

 

竜王には、しにがみのきしやダースドラゴンと言った、とても強力な直属の部下がいる。彼らを派遣してもらえば、魔物の勝ち目が上がるはずだ。

竜王は、マイラの魔物が思っていた者とは違う手下を派遣した。

 

「それなら、わしの影をマイラの地へと送る。ビルダーの力を、また試したいと思っていたしな」

 

竜王の影はまだ、ビルダーである雄也の戦闘能力を確かめたことがなかった。それを試すのも目的で、竜王は4体の影を放つ。

「ありがとうございます。竜王様」

 

竜王が自身の影を送ってくれると聞き、マイラの魔物は安心して謁見を終えた。

 

 

 

一方、雄也たちは火山地帯を15分くらい歩き続け、魔物の城に続く関所の前にいた。

一つ目の関所には、あくまのきしが2体いる。その先には、さらに多くの敵がいるだろう。

 

「雄也の言う通り、この前より敵が増えているわね」

 

「だが、ワシの筋肉には敵わぬな」

 

それでもベイパーとギエラは恐れずに、ウォーハンマーを持って立ち向かって行こうとする。

しかし、まだガロンは少し怯えている様子だった。

 

「あ、あんな魔物どうやって倒すって言うんだ!?」

 

そう言えばガロンにはまだ、武器を渡していなかったな。でも、俺はガロンがアネゴ救出に来てくれると信じていて、もう一つウォーハンマーを作っていた。

 

「このハンマーを使ってくれ。あんたなら使えるだろ?」

 

「こ、これを使えばいいんだな。なら、やってやるぜ!」

 

ガロンはウォーハンマーを受け取ると、軽々と持ち上げ、関所に向かっていった。俺たちもそれに続き、武器を構えて走り出す。

 

「やはり来たか人間め!ここは絶対に通しはせぬぞ!」

 

俺たちに気づくと、あくまのきしも斧を構えて、斬りかかろうとする。

あくまのきし2体なら、サブマシンガンを使わなくても倒せそうなので、弾を節約するため俺ははがねのつるぎとウォーハンマーを使って戦う。

 

「お前らなら、新しい武器を使わなくても倒せるぜ!」

 

俺は荒くれたちの前に出て、左からの攻撃をウォーハンマーで、右から攻撃をはがねのつるぎで受け止める。

 

「くっ、ビルダーの野郎。我らも負けはせぬぞ!」

 

あくまのきしは俺の武器を弾き飛ばそうと力を入れる。鋼の武器を持っているが、かなり腕に痛みが走った。

このままでは押しきられるが、後ろで3人の荒くれがウォーハンマーを振り上げていた。

 

「別に俺の剣を弾き飛ばせても、お前らに勝ち目はないぜ」

俺がなんとか攻撃を止めている間に、みんなはあくまのきしの頭を殴りつける。

このあくまのきしは鍛えられているようで、兜の形が大きく変形したものの、まだ倒れはしなかった。

だが、そこに俺は回転斬りを放つ。ケッパーから教えてもらったこの技は、本当に強い。

 

「これでも喰らえ、回転斬り!」

 

「ぐはあっ!」

 

しかし、2体同時に倒せると思っていたが一体がもう一体を庇って、回転斬りを受けた。二刀流での回転斬りをまともに受け、そのあくまのきしは倒れた。

しかし、もう一体のあくまのきしは生き残り、仲間が倒されたことに怒り狂っていた。

 

「よくも、よくも我の仲間を殺してくれたな!貴様ら、絶対に生きては返さんぞ!」

 

あくまのきしはもの凄いスピードで俺たちに斧を降り下ろしてくる。この攻撃は、メルキドの5回目の防衛戦でも戦った、狂ったあくまのきしと同じだった。

あくまのきしは魔物ながらも仲間を大切にする気持ちがあるようで、目の前で仲間が殺されると怒り狂う。

 

「くそっ、あくまのきしはこの状態になると手がつけられない」

 

怒り狂ったあくまのきしは、俺たちに向かって回転斬りや魔神斬りを放つ。魔物にも感情があるのは分かるが、だからといって殺される訳にはいかない。俺はあくまのきしを止めるため、サブマシンガンを取り出した。

 

「こうなったら、サブマシンガンを使うしかないな」

 

俺はサブマシンガンを連射し、あくまのきしの心臓を狙う。だが、素早く動くのでなかなか当てられなかった。

そんな時、ガロンがあくまのきしの一瞬の隙を見て、殴りかかる。ガロンは短気なので、なかなか倒せないのにいらだって来ているのだろう。

 

「おとなしくしろって言ってるだろうが!」

 

「待て、ガロン!」

 

狂ったあくまのきしは、心臓を潰されようが10秒近く動き続ける。頭を潰されたとしても、それは同じだろう。それで俺は大ケガをしたことがあるので、よく分かっている。

案の定、ガロンはあくまのきしの頭を叩き潰したが、あくまのきしの動きは止まらず至近距離でガロンを斬り裂こうとする。

「危ない!」

 

俺はとっさにあくまのきしの一撃をはがねのつるぎで受け止め、斧を弾き落とす。

やがて、狂ったあくまのきしは力尽き、青い光を放って消えていった。

 

「危なかったけど、何とか倒せたか···」

 

「な、何だったんだよ?あの動きは」

 

ガロンも、あのあくまのきしの動きには驚いていた。

それにしても、あくまのきしは怒らせるとやはりまずいな。潜入した時のように、同時に倒せばいいのだが、今の奴のように仲間を庇う奴がいたら厄介だな。

俺は戦い方を考えながら、荒くれたちと共に一つ目の関所を潜り抜けて次の関所へと向かっていった。

だがその途中、大量のマドハンドが行く手を塞いでいた。

 

「今度はマドハンドか···大して強くはなさそうだけど、数が多いな」

 

10体以上いるので、4人で突っ込んでも囲まれる危険がある。

でも、近くにいるマドハンドを荒くれたちが倒し、遠くにいるマドハンドを俺がサブマシンガンを使って倒す方法なら、勝てるかもしれないな。

マドハンドが次々に近づいてくるので、俺は急いでみんなに作戦を伝えた。

 

「みんなは近くにいる奴らを叩き潰してくれ。俺が遠くにいる奴らを倒す」

 

「分かった。ワシらならこんな腕のような魔物、簡単に倒してやろう」

 

ベイパーが返事をして、それに続いてガロンとギエラもウォーハンマーをマドハンドに降り下ろす。

マドハンドはあくまのきしより弱いはずなので、そこまで苦戦はしないはずだ。

俺はみんなが戦い始めたのを見てサブマシンガンを構え、遠くのマドハンドに向けて撃ち放つ。

マドハンドは何発も銃弾を受けるが、簡単には倒れずに俺のところに向かってきていた。

 

「サブマシンガンではそう簡単には倒せないか」

 

銃ははがねのつるぎやウォーハンマーに比べれば威力は劣るようだが、近づけば囲まれて回転斬りを放つ間もなく叩きつけられまくるだろう。

 

「とりあえず、敵の数を減らさないといけないな」

これまでは全てのマドハンドをなぎはらうように撃ち抜いていたが、一体を集中して撃ったほうがいいかもしれない。

俺はまず、中央にいたマドハンドに向かってサブマシンガンを乱射する。5発くらい当てると、マドハンドは生命力が尽き、倒れていった。

ガロンたちもそれぞれの戦っているマドハンドを倒し、マドハンドの数は残り6体になっている。

 

「オレも戦いには慣れてきたぜ!このまま行くぞ」

 

「所詮はただの腕、ワシらに勝てる者ではない」

 

「このまま全員倒すわよ」

 

荒くれたちは、また次のマドハンドに殴りかかっていく。俺を狙っているマドハンドは三体で、これなら回転斬りで倒せるかもしれない。

俺はサブマシンガンからはがねのつるぎに持ちかえ、力を溜めた。そして、マドハンドが近づいてきたと同時に、力を解放する。

 

「回転斬り!」

 

マドハンドは真っ二つに斬られ、3体とも倒れていく。みんなもマドハンドを叩き潰し、ついには群れを全滅させた。

 

「やっぱり過酷な戦いだな。でも、必ずアネゴを助けないといけない」

 

とても過酷な戦いが続きそうだが、荒くれたちとアネゴを救出すると約束したので、諦める訳にはいかない。

俺たちはマドハンドを倒したところから進んで、二つ目の関所に向かっていった。


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