ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode60 筋肉増強作戦

俺は町に帰って来ると、鉄が集まったことを荒くれたちに教えに行った。

その後炉を神鉄炉に強化して、鋼の武器を作ったら、アネゴの救出に行くとするか。早ければ、今日中に助け出せるかもしれない。

荒くれたちも、そうしたいだろう。

 

「おい、みんな!鉄を集めて来たぞ」

 

俺の声を聞くと、すぐにガロンたちは走って俺の所に来た。

 

「本当か!?こんなに早く集まったのか?」

 

「ああ。たくさん鉄がある洞窟を見つけて、そこで集めたんだ」

 

ガロンは半日で大量の鉄を集めたことに驚いていた。鉱山の洞窟がなければ一日中採掘作業をしていただろうけど、これなら午後から魔物の城に行ける。

「鉄の武器を使えば、アネゴのいる城の壁を壊せるはずよ!ありがとう、雄也」

 

「では、あとは鉄を加工して、武器さえ作ればアネゴを助けだせるのだな!」

 

ようやくアネゴを助け出せるようになり、ベイパーやギエラも喜んだ。

魔物の城に潜入するときは、一人のほうが見つかりにくいが、こいつらは絶対に一緒に行くと言いそうだ。

 

「ああ、準備が出来たら助けに行くぞ。武器を作ってくるから、しばらく待っててくれ」

 

「おう、ベイパーとギエラはハンマーを使うから、おおかなづちを作ってくれるとありがたいぜ」

 

俺は潜入で行きたいが、やっぱり魔物を全員倒していく気なのか。荒くれ者は本当に好戦的だな。

確かにおおかなづちやウォーハンマーがあれば魔物は倒しやすくなるが、危険なことに変わりはない。でも、万が一見つかった時のために、戦う準備をすることも悪くはないな。

でも、臆病者のガロンはベイパーとギエラの分のおおかなづちと言っているし、今回も来ないんだろう。

 

「ガロン、あんたは今回も来ないのか?」

 

「仕方ねえだろ!オレはアジトから出ると鼻血が止まらなくなるって言っただろうが!」

 

やっぱり仮病で行かないつもりか。まあ、何を言っても聞かないだろうから、もう放っておくけど。

俺は二人と俺の分の武器を作るため、作業部屋に向かおうとした。すると、ベイパーがもう一つ気になったことがあったらしく、呼び止められた。

「待て、雄也。お主はアネゴのいる火山の島に行ってきたのだろう?アネゴの捕まっている城がどんな感じか見てきてはおらぬか?」

 

魔物の城の様子が気になっているのか。確かに、敵の拠点を知ることも潜入においては大事だからな。

 

「詳しくは知らないけど、入り口にはいくつもの関所があって、魔物もたくさんいると思う」

 

「詳しくは知らぬか。まあ、何が待ち受けておろうが、ワシらが倒すがな」

 

どんな魔物が待ち受けているかは分からないが、潜入は困難を極めると思われる。そう考えると、正面から突撃する方法も分からなくはない。

それと、ベイパーは俺にひとつ頼み事をしたいようだった。

「とにかく、雄也。ガロンの言う通りおおかなづちを作ってきてくれ。ワシ

はお主に頼みたいことがあるが、それは後でいい」

 

「それなら、アタシも雄也に作ってほしい物があるわよ」

 

ベイパーに続き、ギエラも頼み事があると言ってくる。アネゴ救出のための大事なことだろうか。

 

「分かった。とりあえず俺は武器を作ってくるから、後で聞くぞ」

 

俺は先に武器を作るため、3人と別れて、作業部屋に入った。まず、全員にウォーハンマーを作りたいが、俺、ゆきのへ、ベイパー、ギエラの4人分作るとしたら、さそりの角が12個必要になる。

だが、今の俺は6個しか持っていなかった。

「先に炉を強化してから集めに行くか」

 

俺は先に炉を神鉄炉にしてから集めに行くことにした。はがねのつるぎがあれば、てつのさそりも軽く斬れるだろう。

確か、神鉄炉の原料は炉と金床、鉄のインゴット、石炭のはずだ。

 

「まずは鉄のインゴットだな」

 

俺はさっき手に入れた鉄を炉に入れ、鉄のインゴットを作った。一度に5個出来るので、何回も作る必要はない。

鉄のインゴットが出来たら、次に炉と金床を取り外し、鉄の作業台を使ってビルダーの魔法を発動させる。

 

「これで神鉄炉になるはずだな」

 

しかし、いくらビルダーの魔法をかけても炉が神鉄炉に変化しなかった。メルキドの時は、この材料で作れたはずだ。

 

「あれ、どうなってるんだ?」

 

俺は慌てて、神鉄炉を作るのに必要な素材を確かめる。前に神鉄炉を作ったのはかなり前だから、忘れているのかもしれない。

神鉄炉と金床···炉と金床1個、鉄のインゴット5個、石炭3個 石の作業台

       石材10個、鉄5個、石炭5個 石の作業台

そういうことか!神鉄炉には二通りの作り方があるが、どちらも石の作業台でないと作れないようだ。鉄の作業台しかないマイラでは、神鉄炉は無理なのか。

だが、これって結構マズいことだな。マイラには間違いなくメルキドより強力な魔物がいる。それなのに鉄製の武器までしか作れないとなると、戦いに勝てなくなる可能性が大きい。

「鋼の武器は必要なのに!クソッ!」

 

俺がどうしたらいいか悩んでいると、ヘイザンが作業部屋の中に入ってきて、話しかけてきた。

 

「雄也、大声が聞こえたんだけど、どうしたんだ?」

 

俺が鋼の武器を作れないことにいら立って出した声は外にも聞こえていたのか。でも、鍛冶屋のヘイザンやゆきのへに頼めば何とかなるかもしれない。

 

「ヘイザン、俺のビルダーの魔法じゃ鉄の作業台で神鉄炉を作れないんだ。鍛冶屋のあんたならなんとか出来るか?」

 

「それならもちろん出来るぞ。親方にも手伝って貰えば、一日で出来るはずだ」

 

ビルダーの魔法がダメなら、他の人も無理かもしれないとも思ったが、さすがは伝説の鍛冶屋の子孫とその弟子だな。

時間がかかってしまうが、それでも作れることに変わりはない。本当に良かったな。

 

「ありがとう、ヘイザン。神鉄炉が作れないって分かったときは、どうしようかって思ったぜ」

 

「別に気にしなくていい。雄也には、病気の時助けてもらったからな」

 

別に気にしなくていいと言われても、感謝せずにはいられない。改めてゆきのへとヘイザンのスゴさを実感するな。

 

「では、ワタシは親方を呼んでくるぞ。ちょっと待っていてくれ」

 

神鉄炉を作るために、ヘイザンはゆきのへを呼びに行った。二人が神鉄炉を作っている間に、ギエラとベイパーの頼みを聞いたり、さそりの角を集めに行ったりするか。

俺はヘイザンとゆきのへを待つ間にてつのつるぎを作り、鉄のさそりに対抗しやすいようにした。

 

「雄也!親方を連れて来たぞ!」

 

2分くらい待って、ゆきのへを連れてヘイザンが戻ってきた。

ゆきのへは、俺が困っていることを聞いたようで、そのことについて話した。

 

「ヘイザンから聞いたぜ。神鉄炉が作れなくて困ってるんだろ?」

 

「ああ、鋼の武器がないとこれからの戦いには勝てないと思う」

 

ゆきのへも防衛戦で苦戦することがあるし、鋼の武器が必要だと思っているはずだ。

そして、ゆきのへはもちろん作るぞと言った。

 

「それならワシらに任せてくれ。お前さんが作ったのと同じくらい立派なものにして見せるぜ」

同じものどころか、ゆきのへが作った物のほうが凄そうだ。何しろ、伝説の鍛冶屋の子孫だからな。炉を作る腕も一流に決まっている。

 

「明日には完成するだろうから、その間は素材を集めていてくれ。あいつらが言ってた、アネゴって奴の救出が遅れちまうってのは申し訳ねえが」

 

アネゴも、今日か明日に殺される訳ではないはずなので、それでも大丈夫だろう。ベイパーとギエラの頼みを聞いているうちに、日が暮れる可能性もあるし。

さっそく二人は作業を始めて、俺はその邪魔をしないよう外に出た。

 

「今日のうちに、二人の頼みを聞いておくか」

 

外に出た後、俺は近くにいたベイパーの頼みを聞きに行った。アネゴ救出のために大事なことだと思うので、聞いておかないとな。

 

「なあ、ベイパー。さっき言ってた頼み事って言うのは何なんだ?」

 

「おお、雄也か。武器を作ってからと聞いたが、予定を変えたのか?」

 

ベイパーに話しかけると、まだ俺が武器を作っていない理由を聞かれた。俺も作りたいんだが、想定外のことが起きたからな。

 

「いや、実はビルダーの魔法でも鉄の作業台じゃ鋼の武器を作るために必要な、神鉄炉というものが作れないんだ。それで、鍛冶屋のゆきのへとヘイザンに作ってもらっている」

 

「ボディビルダーの魔法と言うのはよく分からないが、まあいい。では、ワシの頼みを話すぞ」

 

俺がビルダーの魔法のことを話すと、またボディビルダーと間違えられた。いくら修正してもボディビルダーといい続けそうだし、もう俺は気にしないことにする。

「アネゴの救出が迫っているとあって、我々の士気は高い···だが、しかし···」

 

「今よりも士気を上げたいってことか?」

 

全員がアネゴの救出という一つの目標に向かって頑張っている。それだけでも十分士気は高いと思うが、まだ足りないと言うのだろうか。

 

「いや、いざ魔物の城に乗り込むとしたら、こんな筋肉で足りるのかどうしても不安でな」

 

なんだ、足りないのは士気じゃなくて筋肉だったか。ベイパーは筋肉のことにうるさいが、アネゴがピンチの時にまで言うとはな。

それに、士気と同じで筋肉もベイパーには十分あると思うが。ベイパーの筋肉が多いの基準は、全く理解できない。

 

「またしても筋肉の話か···これ以上つける必要はないと思うけどな。それで、トレーニングの道具でも作って欲しいのか?」

 

これ以上筋肉を付けるとなれば、トレーニングのための道具を作ってくれと言いたいのだろうか。

 

「確かにそれもいいが、トレーニングをしている時間はない。だから、サボテンステーキを遥かに凌ぐ筋肉作りを活発化する料理を作って欲しいのだ!」

 

また料理を作ってほしいのか。でも、サボテンステーキを越える料理って、肉料理しかないと思うぞ。ベイパーはベジタリアンだし、何を作ればいいんだ?

 

「聞くところでは、火山の島にはとうがらしなる辛い食材があるという。その食材で、ベジタリアンのワシも満足な肉汁したたる、肉料理を作ってくれ!」

 

は!?ベイパーはベジタリアンじゃなかったのか!?今思いっきり、肉料理って言ってたな。

俺は一瞬耳を疑ったが、どういうことなのか聞いてみた。

 

「あんた、ベジタリアンじゃなかったのか?」

 

「だから何だ?お主、ベジタリアンと筋肉と、いや、ベジタリアンとアネゴと、どちらが大切なのだ?」

 

「確かに、アネゴの方が大事だよな。その肉料理は、どんな見た目なんだ?」

 

ベイパーも、アネゴのためならベジタリアンをやめると言うほど、アネゴを大切に思ってるんだな。俺は肉料理をビルダーの力で作るため、ベイパーに見た目を聞いた。

 

「溶岩ステーキと言うものでな。大きな肉を、大量のとうがらしで味付けしたものだ」

溶岩ステーキって、名前からしてすごそうだな。口の中から火を吹くほど辛いみたいな意味だろうか。

俺は溶岩ステーキの見た目を思い浮かべ、作り方を調べる。

溶岩ステーキ···ぶあつい肉1個、とうがらし3個、石炭1個 料理用たき火

足りないのはぶあつい肉だけか。ぶあつい肉は、いっかくうさぎが落とす普通の肉より大きいはずなので、恐らくは上位種のアルミラージが落とすのだろう。てつのさそりとついでに狩りに行くか。

それ以外の素材は揃っている。料理に石炭を使うのはもったいない気がするが、仕方ないな。

 

「ベイパー、時間がかかりそうだけど、作れそうだぞ。待っていてくれ」

 

俺はベイパーにそう言い。アルミラージやてつのさそりを狩りに町から出た。バリケードの先の荒野に行くのは面倒だが、歩いて行った。

 

「夕方になるまで狩るか」

 

俺は荒野でまず、アルミラージを狙ってしゃがんで後ろから近づく。そして、思いきりてつのつるぎを降り下ろした。

アルミラージは体毛が厚く、心臓までは刺さらず、反撃してきた。体に力をためて、俺に向かって突進をする。

 

「これくらい余裕で避けれるな」

 

突進の速度はそこまで速くはなく、普通のいっかくうさぎと同じくらいだった。だが、途中では止まらずアルミラージは、角を土ブロックに突き刺してしまった。

「今のうちだな」

 

アルミラージの角は一度刺さるとなかなか抜けない。俺は今度は心臓に突き刺せると思い、アルミラージの体に思いきり剣を刺した。

角を抜く暇もなく、アルミラージの体は青い光になって消えていき、大きな生肉を落とした。

 

「やっぱり肉を落としたか。これで溶岩ステーキを作れる」

 

アルミラージを倒した後は、ウォーハンマーの素材を手に入れるためてつのさそりを倒したり、俺も溶岩ステーキを食べてみたいので他のアルミラージを狩ったりした。また、キメラのつばさを作りたいので、キメラも倒した。

てつのさそりは、回転斬りを使えば一撃で倒せるようになった。これからの襲撃でてつのさそりが来ても、簡単に倒すことができる。

キメラは、メラを使われる前に速攻で倒せるようになっていた。夕方になるころには、全員分のウォーハンマーを作れる分のさそりの角と、キメラのつばさを15個くらい作れる量のキメラのはねが集まった。

 

「素材も集まったし、そろそろ帰るか」

 

俺はさそりの角とぶあつい肉を全てポーチにしまうと、マイラの町に戻っていった。

町に戻ると、溶岩ステーキを作る前にゆきのへとヘイザンが神鉄炉を作っている途中の作業部屋を覗いてみた。

中で二人は、汗を流しながら熱い炉を加工している。今は半分くらいが出来上がっているようだった。

 

「やっぱりあの二人はすごいな」

 

その様子を見て、俺も手伝いたいと思うが、俺には鍛冶の知識はほぼないので、何も出来なかった。俺は作業部屋の扉を閉じて、調理部屋に入った。

 

「俺の分とベイパーの分で2つだな」

 

俺もベイパーと一緒に食べたかったので、溶岩ステーキを2個作る。

溶岩ステーキの味付けは、とうがらし100%で、ものすごく辛そうだった。俺は辛いのはまあまあ得意だが、食えるか不安になってきた。

 

「辛そうだけど、ベイパーに届けてくるか」

 

俺は溶岩ステーキが完成すると、ベイパーのところに持って行った。ベイパーは、お腹が減っているようで休んでいた。

 

「ベイパー、あんたの言ってた溶岩ステーキを作ってきたぞ」

「では、さっそくワシにくれ!腹が減って限界だったんだ」

 

素材集めをしていたとは言え、かなり待たせてしまったな。でも、腹が減った時に食べるほうがうまく感じる。

俺は1つをベイパーに渡し、一緒に食べ始めた。

溶岩ステーキはやはりものすごく辛いが、肉の味ととうがらしの辛さが合わさって、とてもうまかった。この世界に来てから、一番うまいかもしれない。

 

「ううむ!ううむ!うまいぞおおおおっ!これだけで心なしか、筋肉がついた気がするぞおおお!」

 

「こんなにうまいものが、アレフガルドで食えるとは思ってなかったぜ」

 

俺たちは一緒に溶岩ステーキを食べながら話を始めた。そして、ベイパーは衝撃なことを言った。

「実はな、雄也。ワシのベジタリアン宣言は今回で37回目なのだ」

 

ベジタリアン宣言が37回目だと!?もしかして、ベイパーは普通に肉を食べているのか?

 

「じゃあ、肉を食べたくなったらいつも、ベジタリアンをやめるって言ってるのか?」

 

「その通りだ。禁を破るのは慣れておる。それに、そもそもワシはベジタリアンではない」

 

やっぱりそうだったのか。本物のベジタリアンなら、そう簡単にやめたりはしない。

 

「アネゴの真似して、ベジタリアンまがいのことをしてみておるが、最高の筋肉を求めるワシには、やはり良質な肉料理が必要なのだ」

 

そう言って、ベイパーは溶岩ステーキを食べ終えた。今聞いたが、アネゴがベジタリアンだから、ベイパーもそれに合わせようとしたけど、やっぱりやめたと言うことか。

まあ、好きなものを我慢する必要はないと思うな。ベイパーが食べ終えて5分くらい後に、俺も食べ終えた。食べ終えた頃には、もう夜になっていた。

 

その日は、まだゆきのへたちの作っているし神鉄炉も完成せず、明日続きをすることになった。

俺たちも明日こそアネゴの救出に行くと思い、早めに眠りについた。


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