ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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かなり予定が遅れましたが、ようやく2章の最終回になります。


Episode50 雨雲の杖

マッドウルスを倒した後、俺は今度こそ、あまぐものつえの部品を手に入れた。

みんなも、激しい戦いに勝つことが出来て安心している。特に、前衛で戦ったゆきのへ、ミノリ、エディはとても喜んでいた。

 

「ついにワシらの力で、ヘルコンドルもマッドウルスも倒したんだな」

 

「どうなるかと思いましたけど、何とか勝てましたね!」

 

「これでこのリムルダールに、光が戻るはずだぜ!」

 

そうか、かなり長い道のりだったけど、ようやくリムルダールの地も光が戻るんだな。周りの湖はまだ毒沼のままだから、完全復活まではまだまだ時間がかかるだろうけど。

 

「あまぐものつえはこれで作れるはずだけど、ゲンローワは大丈夫なのか?」

俺はあまぐものつえを作りに行く前に、病室にいるエルとゲンローワの様子を見に行った。大ケガを負ったゲンローワにいのちのきのみを食べさせたが、効果があったか不安だな。

 

「エル、マッドウルスは倒した。ゲンローワは大丈夫なのか?」

 

病室に入ると、エルがゲンローワの傷を手当てしていた。だが、傷はかなり治りかけていて、やはりいのちのきのみの効果があったようだ。

 

「はい、ゲンローワ様は雄也様の使った木の実のおかげで元気になりました!」

 

いのちのきのみは現実では用途のないアイテムだと思ってたけど、すごい力があったな。

 

「それにしても、雄也様···。ついに、ヘルコンドルも、魔物になったウルス様も倒せたのですね!おお···おお···なんという···なんという···ことでしょう!」

魔物の親玉たちを倒せたことは、エルにとってもものすごく嬉しいことのようで、いつもより強く、なんということでしょうと言った。

 

「これで、リムルダールの地に蔓延する病も根絶できるはずです!」

 

確かに、これでリムルダールに病を振り撒く者はいなくなったな。しかし、まだ病を患っている人が残ってはいるだろう。まだまだ課題は多いな。

 

「ああ、まだ病にかかっている人も、この町でなら必ず治せる」

 

「はい!雄也様、本当にありがとうございました!」

 

エルは俺に改めて感謝の言葉を言うと、あまぐものつえの部品のことを聞いてきた。

 

「ところで、雄也様。先ほどヘルコンドルが落とし、マッドウルスに奪われた不思議な結晶はなんですか?マッドウルスを倒したのですから、取り返したはずです」

「多分伝説のアイテム、あまぐものつえの部品だ。これがあればリムルダールの空を晴らすことができる」

 

「では、早速作っていただいて、空の闇を晴らしてください!」

 

俺も早く、リムルダールの空が晴れるのを見てみたいぜ。

 

「ああ、もちろんだ!」

 

俺はエルに、いつものもちろんだと言う返事をして、病室から出た。病室から出た後、あまぐものつえの形を脳内に浮かべ、作り方を調べた。

あまぐものつえ···あまぐものかざり1個、きれいな水3個、木材2個 いにしえの調合台

今俺が持っている部品は、あまぐものかざりと言うのか。他は木材ときれいな水か。木材はたくさん持っているし、きれいな水は水飲み場ですぐに汲んでこれるな。

だけど、何で薬を作るためのいにしえの調合台で作るんだ?調合ツボの上位種であるいにしえの調合台では、薬以外の物でも作れるのだろうか。

 

「とりあえず、今すぐ作れそうだな」

 

調合台のことは考えても仕方ないので、俺はきれいな水を3回汲み、調合室に向かった。

調合室の中は、今はゲンローワが病室で寝ているため、誰もいなかった。これなら、静かに作れるな。

俺はいにしえの調合台の前に立ち、あまぐものかざり、木材、きれいな水に魔法をかけた。

あまぐものかざりが杖の先端の部分になり、木材が持ち手の部分になる。そして、その二つの素材をきれいな水によって清めていく。

「これも聖なるしずくのように、光り輝いてきたな」

 

やがて、杖はまぶしい光を放ち、伝説のアイテム、あまぐものつえとなった。

 

「これがあまぐものつえか。ゲームでは見たことあるけど、実物を見るのは初めてだな」

 

あまぐものつえは、出来上がった後も光を放っていた。この光があれば、リムルダールの空の闇も晴らすことができそうだな。

俺はあまぐものつえを手に取ると、希望のはたに掲げるために調合室から出ていった。

調合室から出ると、エルも希望のはたの近くにいて、俺のところへ駆けつけてきた。

 

「おお!雄也様!この地の闇を晴らす伝説の杖が出来上がったのですね!とてもきれいな装飾がされていて、光っているようにも見えます」

エルにもあまぐものつえは光って見えるのか。やっぱり、それほど強い力を持つ杖ということなんだろう。

 

「これを希望のはたに掲げる。そうすれば、この地の闇が晴れるはずだ」

 

「はい!私も、早く美しい空が見たいです」

 

俺はあまぐものつえを持ちながら希望のはたの台座に登った。そして、空へと掲げた。

あまぐもの杖は、自然に俺の手を離れ、空高く登っていった。黒い雲のところまで登ると、動きが止まり、強い光が空に広がっていく。

その強い光は、空を覆っていた黒い雲を吹き飛ばし、リムルダールの地に青空を取り戻させた。

ついに、このリムルダールも光を取り戻すことが出来たんだな。今のメルキドのように、明るい光で包まれている。

俺たちが空の光を見て感動していると、久しぶりにルビスの声が聞こえてきた。

 

「雄也よ、よくやりました。これでこの地も竜王の悪しき力から解放され、人々は自らの力で町を浄化していくことでしょう。しかし、忘れてはなりません···。この世界には、あなたの助けを待つ人が、多くいることを···」

 

リムルダールに光が戻ったとは言え、まだこれはアレフガルド復興の第2章なんだよな。メルキド、リムルダールの2つの町を復興させたが、アレフガルドにはあと3つの町がある。全域に光が戻るのは、まだまだ先だな。

俺はこれからのことを考えていたが、みんなはリムルダールに光が戻ったことだけを考え、とても嬉しい表情をしていた。

「雄也様、なんと言うことでしょう!見てください!空に、光が!光が!!」

 

中でも1番感動していたのはやはりエルだった。俺たちがここに来る前から、リムルダールの復興を目指していたからな。

俺も、今はリムルダールの闇が消えたことを喜ぶか。

 

「ああ、これでリムルダールも復活するはずだ!」

 

俺たちは、その日の夜、リムルダール解放を祝って宴を行った。ウルスを初めとしたたくさんの犠牲者が出たことも思い出していたが、みんな笑顔で宴を楽しんでいた。メルキド復興の時のように、夜遅くまで宴は続き、眠りについたのは日にちが変わった後だった。

 

そして、リムルダールに来て22日目の朝、俺はかなり遅くまで寝ていた。外に出ると、みんなはもう起きてるだろうと思ったが、起きていたのはエルだけだった。

 

「おはようございます、雄也様」

 

「ああ、おはよう、エル」

 

俺たちはいつものようにあいさつをする。だが、これまでよりも明るいあいさつができた。これも空の闇が晴れたからだろうな。

 

「ずっと心にかかっていた闇も晴れ、あんなに笑ったのは久しぶりでした」

 

エルにとっては、心の闇を晴らすことでもあったのか。病にあふれた環境では、笑えることなんてほとんどないけど、これからは笑って楽しく暮らせるんだよな。

 

「俺も、本当にリムルダールの闇を晴らせてよかったよ」

 

俺たちはすぐに次の地に行くことになるけど、エルたちだけでもリムルダールを発展させて行けるだろう。

 

「ところで、雄也様。実は私は今朝、北の丘に美しい光が舞い降りるのを見たのです。もしも気になるのであれば、様子を見に行ってはいかがでしょうか」

 

やっぱり、あの場所に光のとびらが出現したのか。最初にノリンを救出しにいった時に見た場所だ。

今回もエルやゲンローワがついて来てくれたら嬉しいが、まだ治療しないといけない病人もいるだろうし、無理そうだな。みんなが起きたら、一応聞いてみるか。エルにも、みんなが起きた時に説明しよう。

1時間くらい経って、ようやくみんなが起きてきた。みんなは、昨日騒ぎすぎてまだ眠そうな顔をしている。

 

「みんな、大事な話がある。聞いてくれ」

 

みんなは、眠そうな顔をしていたが、大事な話と聞いた瞬間、真剣な表情になった。

 

「雄也様、もしかして北の丘に出来た光の柱に関してですか?」

 

「ああ、そのことだ」

 

全員が俺の周りに集まったのを見て、俺は話を始める。

 

「俺たちはリムルダールを復興させた。だから俺は次の地に行くことになる。一度次の地に行くと、しばらく会えなくなる」

 

俺が急にリムルダールを去ると言う話を聞いて、ピリン、ゆきのへを除くみんなが動揺した。

 

「しばらくと言うのは、どのくらいの期間なのですか?」

 

「分からない。あと1ヵ月くらいかもしれないし、1年以上かかるかもしれない」

1年は言い過ぎかもしれないが、今度帰ってこれるのは竜王を倒してからだろう。

 

「それで、誰か俺と一緒に次の地についてくる人はいないか?仲間は多い方が復興も早くなる」

 

メルキドの時のように、みんなは少し悩んだが、俺に着いていくかを決めたようだ。

 

「わたしはもちろん雄也についていくよ!」

 

「わしもだ。もう歳だが、最後まで雄也の旅に同行するぜ」

 

メルキドから一緒に来たピリンとゆきのへは付いてくるようだ。ゆきのへは鍛冶屋を引退するようなことを言っていたけど、アレフガルドが完全復活するまでは続けるってことか。

 

「私はできれば雄也様について行きたいのですが、まだリムルダールの地には患者様がたくさんおられますので、ここに残るつもりです」

 

「わしも、薬師がここを離れては病人の治療が出来なくなるのでな、行くわけには行かぬのじゃ」

 

やはりエルとゲンローワはここに残るつもりなのか。確かに、病人を残した状態でリムルダールを離れるのは無理だよな。

 

「あたしも、この町を守る役目があるので、残りますね!」

 

「オレもだ。魔物の残党がまだいるだろうからな」

 

ミノリとエディもここに残るのか。メルキドに残ったケッパーのような理由だな。兵士だから仕方ないんだろうけど。

ノリン、ケーシー、ケン、イルマ、ザッコもこの町を発展させていくために残ると言った。

次の地にはまた3人でいくのかと思ったが、ゆきのへの弟子のヘイザンはこう言った。

「ワタシは、親方や雄也と一緒に、鍛冶屋の知識を広めようと思う。それでいいか?」

 

ヘイザンは付いてきてくれるのか。戦闘は出来ないとはいえ、鍛冶屋が2人もいれば、武器もたくさん作れるようになるだろう。

 

「ああ、もちろん歓迎だぜ」

 

俺とピリンとゆきのへとヘイザンの4人は、町の北の丘に向かって歩き始めた。

 

「また会う時まで、元気でな!」

 

俺が最後にお別れのあいさつをすると、みんなも手を振って俺たちを見送る。

 

「さようなら、皆様!次の地でもがんばってください!」

 

「またいつか戻ってくるのじゃぞ!」

 

これからもっと戦いも過酷になっていくだろう。だが、リムルダールのみんなのためにも、必ずアレフガルドを復興させてみせるぜ!

俺たちは町の東の崖から丘の上に登り、光のとびらへと向かった。魔物の活動も穏やかになっていて、隠れて進まずにすんだので、15分くらいでたどりついた。

 

「またこれをくぐる時が来たんだね!」

 

「これが旅のとびらか。きれいな物だな」

 

「今度はどこに繋がってるんだろうな」

 

3人は、新たな地に行くのにわくわくしていた。まだ俺たちが行っていないのは、マイラ、ガライ、ラダトームの3つの町だな。ゆきのへの言う通り、どこに行くのか気になるぜ。

 

「じゃあ、そろそろ入るぞ。みんな、いいか?」

 

俺が最後にそう聞くと、3人は同時にうなずいた。俺も、新たな地へいく覚悟を決め、光のとびらに入っていった。


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