ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode27 毒の病原体

しばらくして、ケーシーの診察を終えたエルが病室から出てきた。俺は、ケーシーの容態について説明される。

 

「雄也様。この方は先ほどゲンローワ様の言っていた毒の病にかかっています。どくけしそうがないと治すことは出来ないでしょう」

 

どくけしそうはまだ作れないんだよな。これから巨大ドロルを倒して毒の病原体を手に入れてもすぐに薬の開発を出来るわけではない。

だが、ゲンローワや俺が研究をしている間にも、ケーシーはどんどん衰弱していくだろう。なんとかしないといけないな。

 

「まだどくけしそうは作れないぞ。時間もかかるし、どうすればいいんだ?」

 

その話を聞きエルは少し考えて、俺に提案した。

 

「それであれば食べ物や水を与え、体力が尽きないようにするしかないでしょう。もちろんそれでは治らないので、雄也様は薬の研究を急いでくださいね」

 

病人が食べ物を食べるのは難しいだろうが、今はそうやって耐えてもらうしかないな。枝豆なら消化によさそうなので、枝豆と水を与えればよさそうだ。

 

「分かった。食べ物と水をケーシーにあげたら、今度こそ巨大ドロルを倒しにいく」

 

俺はこの前とった豆を料理用たき火で加熱した。あと、脱水症状を防ぐために水が必要だが、これまで水を飲みたいときは手ですくって飲んでいた。しかし病人のところに運ぶために、コップか何かが必要だな。俺は太い枝かあたりでコップが作れないか調べた。

木のコップ···ふとい枝1個

どうやらふとい枝1個だけで作れるようだ。俺は木の作業台でコップを作り、水をくんで枝豆と一緒にケーシーのところへ持っていった。

 

「水と食べ物を持ってきたぞ、食べれるか?」

 

苦しそうだったが、ケーシーは何とか枝豆を食べて水を飲み、再び横になった。体力をわずかに取り戻し、少しは容態が安定したようだ。

 

「ありがとう。少し元気が出たよ。ゆっくり眠ってみる。明日になったらまた様子を見に来ておくれ」

 

「ああ、またな」

 

俺はケーシーが眠ったのを見て病室から出た。今は安定しているとはいえ、早く治さないといけないのはかわりない。

 

「ケーシーのためにも、どくけしそうを作らないとな」

 

俺は今日4度目の外出をした。何度も拠点とフィールドを行き来し、少し疲れてきたが、メルキドで何キロも歩いた俺にとっては、まだまだ余裕だった。

10分ほど経って、ケーシーの倒れていた家のところまで戻ってきた。

 

「ん、メモが置いてあるな」

 

さっきは気づかなかったが、その家の中にメモ用紙が置かれていた。そのメモ用紙には、ロロンドのメモのようにほとんど平仮名で文章が書かれていた。

このさきにどくのやまいをもたらすものがおる。やつからびょうげんたいをさいしゅできれば、どくのやまいをいやせるかもしれぬ。しかし、あのきょだいなドロルには、われわれにんげんではかてないだろう。

 

「これ、ゲンローワが書いた奴みたいだな」

 

この文章を見て、ゲンローワが書いたものだとすぐに分かった。それにしても我々人間では勝てないだろうとロッシのようなことが書いてあることから、この世界の人は人間は弱い生物だと思っているのだろう。

 

「勝てないだろうなんて言ってるが、俺が来たからには倒してやるぜ」

 

そのメモを読み終えると、俺はさらに海辺の道を奥へと進んだ。その道は、途中で内陸のほうへ曲がっていた。

 

「ここで海から離れるな」

 

内陸のほうへ進んでいくと、大きな毒の湖のようなものがあった。その湖には小さな島があり、その島の上に通常の数倍もある巨大なドロルがいた。

 

「あれがゲンローワの言ってた巨大なドロルか。気持ち悪いやつだし、強そうだな」

 

俺は見つからないよう、姿勢を下げて巨大ドロルを見た。今すぐでも倒しに行きたいが、毒の湖に浮かぶ島にいるため、毒沼を埋めていかないといけないが、目の前でそんなことをしたらすぐに気づかれてしまうだろう。

 

「また崖を登らないといけないが、背後から襲うか」

 

正面から行くのは危険すぎるので、俺はつたを使って崖を登り、巨大ドロルの後方にまわった。崖の上にあった土も集めて、俺は島にいくために毒沼に橋をかけていった。

気づかれないようにゆっくりブロックを置いていき、島に到着すると俺はおおきづちを強く振り上げ、巨大ドロルに叩きつけた。

 

「喰らえ、気持ち悪い奴め!」

 

巨大ドロルはまだ倒れず、俺に向かって反撃してきた。巨大ドロルが力を溜めたと思ったら、3つ同時に毒のミサイルのようなものを放ってきた。

 

「こいつ、遠距離攻撃もできるのか」

 

正面から行かなくて正解だったようだ。見つかっていたら毒沼に土ブロックを置いてある間に喰らってしまうだろう。

だが、遠距離攻撃が出来たとしても行動がかなり遅いので、動きを見極めるのはそれほど難しくもなさそうだ。

俺は巨大ドロルのから逃げるような行動を取り、力を溜める。俺に体当たりしようとしていた巨大ドロルに、俺は強力な一撃を放った。

 

「回転斬り!」

 

「ぐぎゃあああああ!」

 

巨大ドロルは悲鳴をあげ、動きが止まった。おおきづちで全力で殴られ、巨大ドロルの顔は大きく変形していた。リムルダールの魔物にも、回転斬りは有効なようだ。

それに怒った巨大ドロルは、何回も毒のミサイルを連射してくる。それでもメルキドで強力な魔物と戦った俺の敵ではなかった。

 

「動きが遅いんだよ!」

 

ドロルの毒や体当たりをかわして、俺は巨大ドロルの胴体を何発もおおきづちで殴った。かなり弱ってきたところで、俺は巨大ドロルの頭を思い切り叩きつけた。その衝撃で巨大ドロルは倒れ青い光になった。

 

「そんなに強くなかったな。ん?何か落とした」

 

そして、巨大ドロルは何かを落としていった。紫色の奇妙な物体だが、よくみると人間の心臓と同じ形をしていた。

 

「どう見ても心臓だが、これが毒の病原体なのか?」

 

人間とドロルは全く別の生物のはずなのに、心臓の形は同じらしい。俺はその心臓、毒の病原体をポーチに入れ、拠点へと歩き出した。せっかく遠くまで来たので、行きとは違って崖の上を通って帰ることにした。

 

「崖の上はまだ探索しきってしないいんだよな。何かあるかもしれないな」

 

崖の上は拠点の近くの高台と同じように、白い花や綿毛、薬草などが生えていた。特に何もないのか?と思っていたが、変な建物を見つけた。青い城の壁のようなもので作られていて、扉もなく、中に謎の石碑が立っていた。

 

「なんだこの建物、誰も住んでいないよな?」

 

中にある2つの部屋を調べたが、どちらにも人はいなかった。だが、石碑の所に宝箱があり、何かの力で封印されていた。この石碑に開けるヒントが書いてあるのか?と思い見てみると、クイズのようなものが書かれていた。

 

「こんなところに問題が書いてあるとはな、やってみるか」

 

その石碑には、その問題を書いた人であろう、見知らぬ人の名前が書かれていた。

私は、探求者タルバ。知恵あるものよ、そなたの輝きをここに示すがよい。目の前の部屋は双子である。しかし双子は今、双子ではない。双子を、双子たらしめよ。

 

「タルバって誰だ?それに双子の部屋?」

 

タルバと言う名前は聞いたことがないな。でもこの先、会うことになるかもしれない。今は目の前の問題を解こう。

双子と言われて気づいたが、2つの部屋は全く同じ面積であった。それに、同じような家具がおいてある。

 

「でも、右の部屋は家具の数が少ないな」

 

中を詳しく見ると、右の部屋はいけ花と料理用たき火がなく、ツボやたらい、たいまつも数が少なかった。これらを作って、左の部屋と同じように配置すればいいってことだろう。

 

「よく考えれば、簡単な問題だな」

 

幸いにして素材はあるので、俺は必要な物を作り、左の部屋と同じ配置で右の部屋に家具を置いた。そして、全ての家具をおき終えると、宝箱が光り出した。どうやらこれで正解だったようだ。

 

「正解みたいだな。何が入ってるんだ?」

 

俺が宝箱を開けると、1つは石で出来た斧が入っており、もう片方には謎の白いブロックが入っていた。使う機会はなさそうだが、大切なものかもしれないので俺はポーチにしまった。

 

「でも、石で出来た斧は使えそうだな」

 

石で出来た斧はおおきづちよりも強いだろう。ゆきのへも持っていると良さそうなので、俺は魔法で作り方を調べた。

いしのおの···石材1個、木材1個 仕立て台

石材と木材が一個ずつか。両方ともこの地方に来てから手に入れることが出来ていないし、仕立て台というのも見たことがない。

 

「今は作れなさそうだな」

 

だが、俺一人でも持っていれば強力だろう。俺はその建物を後にし、崖の上を歩いていった。しばらく進むと再び崖があり、降りないといけないようだ。だが、ここを降りればもうすぐ拠点だ。

崖を降りると、俺は途中でふとい枝やピンクのキノコを拾いながら、拠点に帰った。拠点についたころには、日がくれる時間になっていた。

 

「今日も忙しかった日だが、もう夕方か」

 

俺は病室も覗いたが、ケーシーはさっきと同じように眠っていた。俺はひとまず安心して、ゲンローワのいる調合室に入る。

 

「ゲンローワ、毒の病原体を取ってきたぞ。これでいいか?」

 

本当にドロルの心臓が毒の病原体なのか心配だったが、それであっていたようだ。ゲンローワは興味津々に毒の病原体を見る。

 

「これが毒の病原体か!雄也よ、よくぞ持って来てくれた」

 

そこまで苦労はしなかったが、これでどくけしそうが作れるようになるだろう。俺は毒の病原体をゲンローワに渡した。

 

「今毒の病にかかっている人もいるからな、急いでくれよ」

 

「ああ、なるべく早く解析しよう」

 

ゲンローワは調合室に入っていった。俺も手伝いたいが、薬に詳しくない自分が入っても、邪魔になるだけだろう。

中からは、

 

「ふむふむ。ここの構造がああなってこうなって」

 

というゲンローワの声が聞こえた。

待っていると時間がかかりそうなので、俺はエルにピンクのキノコのことを聞きにいった。食べれるキノコだといいんだが。

 

「なあ、エル。このキノコを知ってるか」

 

俺はエルにピンク色のキノコを見せた。

 

「それはニガキノコというキノコです。焼けば食べることは出来ますが、とても苦いのです」

 

ニガキノコなんて、名前からして苦そうだな。俺は試しにニガキノコを料理用たき火で加熱し、食べてみた。

 

「ん?やっぱり何か苦いな」

 

最初は大丈夫だったが、しばらくして口の中全体に苦い味が広がった。たくさん手にはいる食材だが、あまり食べたくないな。

俺は食べた後、寝室に入って寝た。ゲンローワの毒の病原体の解析は、明日には出来るだろう。

 

翌日、リムルダールに来て4日目、俺が思っていたより毒の病原体の解析がうまくいったらしく、俺はゲンローワに呼び出された。

 

「雄也よ、毒の成分の分析が終わった。どくけしそうの作り方も分かったのじゃ」

 

これでケーシーを治療できるってことか。1日も待たせてしまったからな。さすがにスネークの名言、待たせたな。を言うほどでもないが。

 

「良かった。さっそく教えてくれ」

 

俺はゲンローワにどくけしそうの作り方を教えてもらった。そして、俺は材料を確認する。

どくけしそう···くすりの葉1個、ピンクの花びら1個、ねばつく液体1個 調合ツボ

くすりの葉ってなんだ?と思ったが名前からして恐らく薬草のことだろう。薬に使うとかんがえれば、それしか思いつかない。ねばつく液体は、ドロルあたりが落としそうだな。なぜどくけしそうに毒のような物が必要なのかは分からないが。

 

「雄也よ、作り方は理解できたかのう?」

 

「ああ、さっそく素材を集めに行ってくる」

 

せっかくゲンローワが作り方を教えてくれたし、必ず作らないと。俺は町の近くにいたドロルを倒しにいった。後ろからいしのおのの回転斬りを放てば、一撃で倒すことが出来る。ドロルは青い光になって、紫色の液体を落とした。

 

「やっぱり、こいつがねばつく液体を落とすのか」

 

俺はねばつく液体を回収すると、ゲンローワのいる調合室に入って、3つの素材に魔法をかけた。すると、細かく切られた草のような形に変化する。

 

「おお、どくけしそうができたのか!さっそく毒の病の患者に与えるのじゃ」

 

後ろで見ていたゲンローワも、どくけしそうの完成を驚いていた。いずれゲンローワも物を作る力を完全に取り戻して普通に作れるようになるだろう。

俺はゲンローワに言われた通り、ケーシーにどくけしそうを与えに、病室に入った。

 

「薬を作ってきたぞ。飲んでくれ」

 

苦そうだったが、ケーシーは俺のあげたどくけしそうを飲んだ。彼女の容態は、昨日よりも安定したものになった。

 

「これが、どくけしそう?死んだじいちゃんの手招きが見えて、もうだめだと思ったけど、助かったみたいだね。もうしばらく、休ませておくれ」

 

さすがにどくけしそうを与えたからと言って、すぐに歩けるほどには回復しないよな。もう何日か待たないといけなさそうだ。

 

「分かった。ゆっくり休んでくれ」

 

俺は話をした後、病室から出た。今日は特に予定はないな。自分のしたかったことが出来そうだ。

その日と翌日、俺たちはようやく作業部屋と調理部屋を作った。これで作業な食事がしやすくなるな。ケーシーの体力も徐々に回復していき、もうすぐベッドから出られそうだった。地球でいうところの、退院ってやつだな。


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