ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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今回から2章のリムルダール編に入って行きます。
原作とはちょっと違う展開になる予定です。


2章 リムルダール編
Episode22 病に侵された大地


ゴーレムを倒した翌日、俺が起きると、昨日までにはなかったまぶしい朝日が見えた。自分たちで取り戻した景色なので、余計にキレイに見える。

 

「目が覚めたようだな、雄也よ!」

 

俺がその景色を眺めていると、ロロンドに声をかけられた。俺が一番最初に起きたと思っていたが、先にロロンドが起きたようだ。

 

「ロロンド、何時もより早いな。どうしたんだ?」

 

「興奮して眠れなくてな、気づいたら朝だったんだ。それにしても、昨日の夜は久しぶりに腹を抱えて笑ったな!」

 

そういえば昨日の夜は、ロロンドが一番盛り上がっていた。あのロッシとも、ワイワイ楽しんでた。

 

「ロッシがあんなにひょうきんな奴だとは思わなかった!今思えば、追放しなくて良かったな!」

 

「ああ、これからはみんなが仲良く暮らせる町になって行けそうだ」

 

みんなで楽しく暮らせる町を作る。その目的は達成できたようだな。

 

「ところで雄也よ。今日我輩は奇妙なものを見つけたのだ」

 

「奇妙なものって何だ?」

 

せっかくゴーレムを倒したというのに、またなにかあるのだろうか?

 

「東の岩山の向こう。我輩が最初魔物に閉じ込められていた場所の近くに、まぶしい光が降り注ぐのを見たのだ。」

 

俺もその方向を見てみたが、確かに光の柱のようなものが見えた。希望の旗をさす前に台座から出ていた光に似ている。

 

「ひょっとしたら何かあるのかもしれん。もしも気になるなら行ってみるといい」

 

でも光ってことは竜王とかじゃなくて、ルビスが俺を呼ぼうとしているのかもしれない。行って見るべきだな。

 

「分かった。朝食を食べたら見に行ってみる。」

 

俺とロロンドはその後もう一度部屋に戻り、みんなが起きて来る頃にまた部屋から出た。ピリン達と朝食を済ませた後、あの光の柱へ向けて出発した。

 

「あれは何があるんだろうな?」

 

3週間くらい前に、ロロンドを救出したときに歩いた道を進んだ。昔のロロンドの家と思われる家も残っていたが、もう使われることはないだろう。みんなの町があるからな。

 

「この先の森を越えたあたりだろう」

 

俺はロロンドが捕まっている森に入り、さらに奥のほうへ進んでいく。町の近くでありながら、ここにはまだ行ったことが無かった。

 

「ここから光が出てきていたのか」

 

そして、俺が光の元にたどり着くと、謎の壊れた遺跡のようなものがあった。その遺跡の中心から、光の柱が登っていた。

 

「これは何なんだ?」

 

俺が不思議そうにその遺跡を見ていると、突然ルビスの声が聞こえてきた。

 

「その光は、次なる地へとあなたを運ぶ光のとびらです」

 

次なる地ってことは、ついにメルキド以外の場所に行けるってことか?

 

「ここと別の場所に行って、今度はそこを復興させろと言うことか」

 

「そう言うことです。ここからは、リムルダールと言う地に繋がっています」

 

リムルダールか、水に囲まれたきれいな町だったけど、今はどうなっているんだろうな。

 

「なら、さっそく行くか。リムルダールがどんな感じなのか気になるし」

 

俺がその光の中に入っていこうとすると、ルビスに止められた。

 

「待ってください。実は、重大な問題があるのです。」

 

重大な問題?ここに入るとまずいのだろうか。

 

「重大な問題?」

 

「実は、竜王の力によって、このとびらをくぐると全ての持ち物を失ってしまい、もう戻れなくなるのです」

 

持ち物が無くなって一度入ると戻れないか。確かに重大な問題だな。行くときは覚悟を決めて行かないと。

それと、俺はそれについて気になったことがあった。

 

「それなら、メルキドの町の仲間は連れて行けるのか?もし最初からになっても、仲間がいれば少しは安心だ」

 

現地で出会う人もいるであろうが、今まで協力してきた仲間もいればもっと心強い。

 

「できないことはありません。ですが、仲間の持ち物もなくなってしまいますし、仲間にも事情があるので、よく話し合って決めてくださいね」

 

確かにみんながついては来れないよな。この町を離れるあいさつもしたいから、一旦町に戻ろう。

 

「ああ、また後でここに来る」

 

俺はキメラのつばさを使い、メルキドの町へ戻った。ここに戻るのも、しばらくは無いんだろうな。

 

「おお雄也、あの光の柱は何だったんだ?」

 

俺が帰ると、気になったロロンドが光の柱について聞いてきた。

 

「実はその光について大事な話がある。みんなを集めてくれ。その時にロロンドにも言う」

 

不思議に思いながら、ロロンドはみんなを呼んできた。

 

「どうしたの、雄也?」

 

「みんなを呼ぶってことは、何かあったんだな?」

 

全員集まったのを見て、俺は話を始めた。

 

「俺はこれからリムルダールって言う場所に旅立つことになった。あの光のとびらはそこに俺を運ぶための物らしい」

 

急に俺が旅立つという話をしたため、みんな驚きを隠せない。

 

「雄也よ、本当に行くのか?ここにずっといればいいだろ」

 

ロロンドは俺を止めようとしているが、ビルダーとして復興を止める訳にはいかない。

 

「そっちでも困っている人がいるだろうから、そう言う訳にはいかない。そこでだ、誰か俺についてきたい奴はいるか?」

 

俺がそう言うと、みんなはしばらく考え始めた。何分かたって、ようやく結論が出たようだ。

 

「すまぬが、我輩はこの町に残りたいと思う」

 

「オレも昨日、ロロンドとこの町の町長になるって話をしてたから、無理だな」

 

俺の予想通り、ロロンドとロッシはこの町に残るようだな。昨日の宴で、大町長や町長になるって話をしていた。

 

「僕もこの町を守るために、ここに残るよ」

 

ケッパーもメルキドの衛兵の子孫として、ここに残るようだ。また新しい特技を教えてもらえたりしてほしかったが、仕方ないな。

 

「わたしは、雄也についていこうかな」

 

3人はここに残ると言っていたが、ピリンは俺に付いてきたいようだ。最初から助け合ってきた大切な仲間だもんな。

 

「ワシも行くぜ。鍛冶屋の知識で、アレフガルドの復興を手伝いたいんだ。それに、リムルダールにはワシの弟子が住んでいてな。そいつのことが気になる」

 

ゆきのへもついてきてくれるようだ。まあ、自分の弟子の安否は気になるよな。そいつも、俺たちを助けてくれるかもしれないし。

 

「これ以上抜けると良くないですし、私はここに残りますね」

 

「私は何の取り柄もないし、ついていっても足手まといになると思うから、ここに残るわ」

 

ショーターやチェリコもここに残るようで、リムルダールに向かうのは俺、ピリン、ゆきのへだった。もっといれば良さそうだが、ショーターの言う通り、メルキドの人口が5人になってしまうのでこれ以上は行かないほうがいいな。

 

「リムルダールに着けば、竜王の力で持ち物や武器が無くなるらしい。それでもいいか?」

 

俺はルビスから聞いたそのことを話した。急に装備が無くなって混乱されても困るしな。

 

「もちろんよ!」

 

「当たり前だぜ!」

 

ピリンとゆきのへは、そのことを知ってもなお、俺についてくるようだ。

俺たちは、別れのあいさつをして、再び光のとびらに向かった。

 

「元気でな、お前ら!」

 

俺がそう言うと、みんなも手を降って見送る。

 

「次の場所に行っても、頑張れよ!」

 

「雄也、君の活躍を楽しみにしてるよ」

 

「またどこかで会いましょう、雄也さん」

 

「アレフガルドの復活を頑張ってね」

 

「僕、雄也のことを忘れないよ」

 

スライムのスラタンまであいさつをしてくれたが、ロロンドは大泣きしていて、別れの言葉を言えなかった。

みんなを見送られて、光のとびらに着いた時、ルビスの声が聞こえてきた。

 

「先ほども言ったように、ここをくぐれば、竜王の力によって全ての持ち物を失います。簡単な装備は向こうに着いたら支給しますが、ここで作ったものは全て無くなります。雄也よ、それでもこの世界の闇を払いたいというのなら、この光の中に飛び込むのです」

 

もちろんだ。覚悟はできている。俺たちは、光のとびらへ足を踏み出した。その時だった、後ろからロロンドが走ってきたのだ。

 

「さっき言えなかったから、今言うが、我輩は思い知ったぞ。壊れた町など幾らでも直せる。大切なのは、そこに暮らすにんげ···。やはり止めておこう。こう言う時だからといってそれらしい話をするのは!さあ、行くのだ雄也!この世界にはビルダーであるお主を待つものがたくさんいるのだからな!さらばだ!」

 

「ああ、行ってくる!」

 

メルキドの復興で、俺も大切なことを学んだ。それを胸に、リムルダールの復興も頑張ろう。

俺たち3人は、光のとびらへ飛び込んだ。

 

 

 

普段の旅の扉より長い時間目の前が真っ白になり、俺たちは見知らぬ場所に飛ばされた。

 

「ここが、リムルダールか?」

 

俺が目をさましたとき、俺たちは紫色の沼に囲まれた場所にいた。毒沼に浮かんでいる島のようだ。

 

「なんか、メルキドより空気がきたないね」

 

「なんかヤバそうな雰囲気がするぜ」

 

ピリンやゆきのへも気づいたようだ。それにしても、俺の記憶ではリムルダールはキレイな水に囲まれた島だったはずなんだが。

 

「ルビスの奴、行き先を間違えたのか?」

 

俺はそう疑ったが、地形などは俺が知っているドラクエ1のリムルダールと同じだった。ただ、水は汚染されていた。

 

「いいえ、雄也。ここは本当にリムルダール。あなたが次に救うべき場所です。遥か昔、この地には豊かな水に囲まれた美しい町がありましたが、今ではおぞましい毒に侵され、わずかに残された人々も病の恐怖に怯えています。」

 

毒だけでなく、病気まであるのかよ···。メルキドは自然は破壊されていなかったが、ここは環境がかわり過ぎている。

 

「さあ、あそこに見える光さす地を目指しなさい。そして、新たな希望の旗を立てるのですあなたにはこれを渡しておきましょう」

 

すると、俺がメルキドの洞窟から出たときと同じように、目の前に旗が落ちてきた。メルキドのものと違い、緑色をしている。

 

「雄也、それってメルキドに刺さってるのと似てるね」

 

ピリンが新しい希望のはたを見て言う。

 

「多分、これをあの台座に立てればメルキドのように暖かい光が溢れるんだろう」

 

かつてリムルダールの町があった場所の中心に、旗を立てるための台座があり、そこから光が出ている。

 

「じゃあ、まずはそこを目指そうぜ」

 

俺たちは、リムルダールの跡地へ向かった。ルビスの言ったように強力な武器は無くなり、俺はこんぼうとおおきづち、ゆきのへはおおきづちのみを持っており、戦闘能力を持たないピリンにおいては手ぶらだった。

 

「それにしても、毒沼を埋めないと進めないな」

 

今俺たちは毒沼の上の島にいる。流石に毒沼を泳いで行くわけにもいかないので、その小島にあった土ブロックで埋めて行くことにした。

 

「お前ら、落ちるなよ」

 

「うん、気を付けるね」

 

「こんな沼に落ちたら、何が起こるか分からんからな」

 

土ブロックを毒沼に付けると、毒沼の水を吸い込んで紫色に変化した。触ったりするのではなく、上を歩くだけなら大丈夫だろう。

俺たちは紫色の土の上を歩いていき、リムルダールの町がある場所に上陸した。

 

「着いたな。まずは何があるか調べないと」

 

俺たちは、リムルダールの跡地を見回った。そこには、2つのわらベッドが置いてある廃墟があったり、石の作業台とは違う木で出来た作業台もあった。

 

「これが魔法で調べた時に出た木の作業台って奴か。どんな物が作れるかは知らないけど」

 

石の作業台とは、別の物も作れそうだ。そんなことを考えていると、別の場所を見ていたピリンが俺を呼んだ。

 

「ねえねえ雄也。この水色のブロックってなあに?」

 

ピリンの所に行くと毒沼ではないきれいな水がある場所があり、そこに水色の不思議なブロックが置いてあった。

 

「何だこれ?意味のないものでは無さそうだな。もしかしてこの水色のブロックのおかげでここだけ水がきれいなのかもな」

 

「へえ、だったら喉がかわいたらここに飲みにこようっと」

 

料理や飲み水には、ここの水を使えばよさそうだな。ピリンと話をしていると、ゆきのへも、このリムルダールの跡地を一通り回って、俺の所へ集まった。

 

「あっちには、骨やたき火があったぜ」

 

たき火と骨か、どっちも人がいた痕跡だな。回りには人の気配はないけど、誰か生きているといいな。

これでひとまず、リムルダールの跡地を調べ終わったな。そろそろ希望のはたを立てるか。

 

「二人ともありがとう。俺は希望のはたを立ててくる」

 

俺は緑色の希望のはたを持ち、台座に登った。そして、その旗を光の中へ突き刺した。

すると、メルキドの時と同じように、暖かい光が辺りに溢れ出した。

 

「うわあ、あったかい。初めて雄也と出会った時みたい」

 

「ワシはその時のことは知らんが、こんな感じだったのか」

 

「よし、リムルダールの復興を始めるぞ!」

 

そして、アレフガルド復興の第2章が始まった。


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