ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
みんなで集めたブロックを使い、俺はアレフのいる空中の城に入っていく。
やはり城の中は一本道になっており、奥にある広い空間には闇に染まったロトのつるぎとロトの盾を持つ、暗黒の剣士が座っていた。
「この通路の奥にアレフがいるのか…やっぱり強そうだけど、行くしかない」
アレフ…竜王に寝返り、世界を創った精霊をも滅ぼし、2度のアレフガルドの滅亡を引き起こした、裏切りの勇者。
俺は今まで3度も奴と戦ってきたが、いずれの時も倒し切ることは出来なかった。
彼が人類を裏切ったのにも理由はあるが、それでも俺やみんなの脅威になる以上、生かしておくわけにはいかない。
今度こそ決着をつけてやるとより強い思いを持って、俺はアレフのいる空間へと入っていった。
アレフのいる空間は、エンダルゴの間と同じくらいかそれより少し狭いくらいの場所だった。
奥には3つの玉座が並んでおり、中央の玉座にアレフが座っている。
その空間に入って行くと、奴も俺の存在に気づいて、ロトのつるぎと盾を構えて来た。
「お前は…影山雄也…!今まで諦めなかったお前のことだから、必ずここまで来ると思っていたよ」
アレフも、俺がこの上空の城に来ることは考えていたようだな。
奴にルビスが殺された時、俺はもう諦めるしかないと思ったこともあった。
だが、それでも戦いを続けた結果、ルビスが最期に言っていた通り、闇を払う最強の武器を作り、アレフと再び戦いに来ることが出来た。
「本当に厳しい戦いだったけど、アレフガルド中の人々のおかげで勝ち抜くことが出来たんだ。そのみんなのために、あんたを倒しに来た」
「こっちこそ、お前を今度こそ殺してやる…せっかくルビスを殺せたのに、闇に満ちた世界を作り出せたのに…この魔物の楽園で共に過ごした魔物たちも、エンダルゴもいなくなった…お前のせいでな!」
このアレフの城は、魔物の楽園と呼ばれている場所みたいだな。
魔物との大決戦の時に来た滅ぼしの騎士と暗黒魔導は、ここで奴と共に暮らしていた個体なのだろう。
確かに彼らはアレフにとっては大切な仲間だったのかもしれない…だが、俺たちにとっては城を破壊し、人々の命を奪おうとする敵…戦って、倒すしかなかった。
「魔物の楽園か…この前ラダトーム城を襲った滅ぼしの騎士と暗黒魔導も、ここであんたと暮らしていたのか?」
「ああ…あいつらは新たな変異体になるために、オレと一緒に過ごして、修行していたんだ。オレはあいつらのために、玉座も作ってやった。あいつらが強くなって行くたびに、オレも嬉しかったよ…エンダルゴからあいつらが死んだことを聞いた時は、人間どもへの怒りが抑えられなかった…!」
アレフしかいないはずなのに玉座が3つあったのは、あの暗黒魔導と滅ぼしの騎士のための分もあったからみたいだな。
2体の修行を見ていたアレフは、彼らが人間に負けるなど考えていなかっただろう。
アレフは人間への怒りで、さらに語勢を強めて話してくる。
「人間どもは、どこまでもオレの幸せを奪っていく…!勇者として持て囃し、1人で危険な戦いに行かせ…オレをその人間どもから救ってくれた竜王をも殺し、仲間たちやエンダルゴまで奪っていった…お前を殺した後は、人間どもを皆殺しにしてやる…!」
アレフの人間を憎む気持ちは、以前よりも強くなっている。
だが、俺もアレフガルドの復興を続けると決めた以上、奴に負けることは出来ない。
俺はビルダーズハンマーとふめつのつるぎを取り出し、奴に向けた。
「こっちも、ここまで来てあんたに負けるつもりは無い。あんたと今度こそ決着をつけて、ラダトームで待つみんなのところに戻ってやる」
「お前なんかに勝ち目はない…影山雄也、今一度受けるがいい、全ての光を斬り裂く復讐の刃をな…!」
アレフもロトのつるぎを振り上げて、走って俺のところに迫ってくる。
彼をここまで追い詰めたのは俺たち人間だが、だからといって黙って滅ぼされるわけにはいかない。
精霊ルビスを殺したほどの強敵だが、今の俺なら必ず勝機はあるだろう。
そして、俺とアレフとの4度目の戦いが始まった。
アレフは相変わらず見た目からは想像も出来ないほどの素早さで動き、ロトのつるぎを叩きつけて来る。
剣からは凄まじい闇の力が感じられ、一撃でもくらったら大きなダメージを受けるだろう。
俺は素早く動いて奴の攻撃をかわし、両腕の武器で反撃していこうとする。
「やっぱりすごいスピードと攻撃力だな…でも、今なら何とか反撃出来そうだぜ」
以前は剣をかわすのがやっとで攻撃出来ず、ルビスを守ることが出来なかった。
だが、厳しい戦いを何度も乗り越え、ほしふるうでわを装備した今の俺なら、奴の攻撃を回避しながら、剣とハンマーを振り下ろすことが出来ていた。
少しずつではあるが、アレフの身体に傷をつけていく。
暗黒に染まったアレフの身体はかなりの防御力もあるが、伝説を超える武器なら確実にダメージを与えることが出来ていた。
「オレの攻撃を避けながら剣を振るとは…お前も少しは強くなったみたいだな。でも、その程度で勝てると思うなよ…!」
だが、アレフも腕に力を集中させて、ロトのつるぎのまわりに闇の刃を発生させていく。
攻撃範囲がさっきより広くなり、俺は反撃するのが難しくなってしまっていた。
それでも腕輪の力を最大限に使い、わずかな隙に攻撃を叩き込んでいく。
アレフは生命力も非常に高いだろうが、少しでも弱らせることは出来ているだろう。
「ほとんど隙がなくなったけど、まだ何とかなりそうだな…」
大きく跳んで回避しながらの戦いなのでかなりの体力を消耗するが、今の武器なら俺が力尽きる前に奴を倒せると信じている。
アレフの攻撃をしのぎながら、俺は剣を振り回し続けていった。
ダメージを与えていくと、アレフは一度剣を振るのを止めて、今まで以上の闇の力を右腕に溜めていく。
「闇の刃を持ってしても、まだ耐えて来るか…ならば、お前と同じこの技を使って、斬り裂いてやるぜ!」
「回転斬りか…必ず避けないとな…」
今までの戦いでもアレフは俺と同様に、回転斬りを使って戦って来ていた。
アレフのロトのつるぎのまわりの闇の刃はさらに巨大になっていき、これが放たれれば絶大な威力と攻撃範囲になるだろう。
俺は必ずかわさなければいけないと思い、すぐに走ってアレフから距離をとっていった。
だが、アレフの回転斬りは溜め時間も短く、素早く走ってもかわしきることは出来ない。
「消え去れ、雄也!」
俺は回転斬りが放たれる瞬間に大きくジャンプして、何とか攻撃範囲から外れようとする。
アレフの回転斬りはエンダルゴの溜め攻撃よりは範囲が狭く、俺は攻撃を受けずに済んだ。
だが、これで俺はアレフから離れた位置に動いたので、早く近づかなければ奴は魔法での攻撃をして来るだろう。
アレフは回転斬りの後に隙が出来ているので、その間に俺は立ち上がり、奴との距離を詰めていこうとした。
「距離が出来てしまったな…今のうちに詰めて、あいつの体力を削っていこう」
今のうちにアレフに近づくことが出来れば、奴に思い切り両腕の武器を叩きつけ、大きなダメージを与えることが出来るだろう。
俺は剣とハンマーを振り上げながら奴に向けて一直線に近づいていき、ふめつのつるぎを胸に向かって、ビルダーズハンマーを頭に向かって振り下ろした。
アレフも体勢を立て直して攻撃を受け止めようとして来るが、俺もすぐにそれに気づいて剣と盾をかわして、奴に渾身の一撃を叩き込む。
「くっ…雄也め…!」
両腕の武器での攻撃を受けて、アレフはかなり苦しそうな表情をした。
奴は頭や心臓の辺りに攻撃を受けても簡単には倒れないが、確実に弱らせることは出来ているだろう。
俺は反撃を受けないために、奴に突き刺したふめつのつるぎを速やかに抜く。
アレフは再び連続して剣を叩きつけて来るので、俺はそれに構えていた。
「ここまで強くなってるとはな…これが、オレの仲間たちやエンダルゴを倒したビルダーの力か。でも、人間どもを全て殺すまではオレも死ねない…!」
「弱って来ても、まだ攻撃速度は落ちてこないか…」
アレフもダメージを受けているはずだが、闇の刃による攻撃の速度は落ちる気配がない。
俺は再び跳んでかわしながら、わずかな隙が出来た時に確実に反撃していった。
俺もアレフの攻撃をまだ受けてはいないが、アレフもなかなか倒れようとはしなかった。
それでもダメージを与えられているのは間違いないので、俺は体力が持つことを祈って奴への攻撃を続けていく。
「ルビスをも殺したオレの攻撃に、ここまで耐えるとはな…だが、どれだけ強い装備を持っていてもお前はただの人間!絶大な闇の力を持つオレに勝てるはずはない!」
だが、弱って来たアレフはそう言いながら、再び全身の力を右腕のロトのつるぎにこめ始める。
先ほどより多くの闇の力が集中しており、エンダルゴをも超える強力な攻撃になりそうだった。
その分溜め時間も長いので、俺はまた力の限り走ってアレフから離れていく。
この空間全体を斬り裂くほどの巨大な闇の刃になっていたので、俺はさっき通って来た通路に逃げこんでいった。
「すごい闇の力だな…あの空間から離れるしかなさそうだぜ」
この魔物の楽園の入り口近くまで逃げた時、アレフは力を解放して今までで最大の闇の刃を放つ。
さすがに俺のいるところにまでは届かなかったが、アレフの座っていた玉座を消し飛ばし、さっきの空間の壁にぶつかっていった。
すると、この魔物の楽園全体が大きく揺れ、俺は体勢を崩してしまう。
「くそっ…かわすことは出来たけど、すごい揺れだな…」
アレフの人間を憎む力が強くなったことで、それだけ奴の闇の力も強くなっているのだろう。
俺はすぐに立ち上がって走り出し、奴のいる空間に戻っていく。
膨大な闇の力を使ったことでアレフもしばらく動けなくなり、また接近することが出来そうだった。
「また近づいて、このままあんたを倒してやるぜ」
「オレの渾身の回転斬りまで避けやがったか…だが、お前はもうオレに近づくことは出来ない…!」
しかし、今度は距離が開きすぎたために至近距離まで迫るまでに、アレフは体勢を立て直してしまっていた。
奴は後ろに大きく跳んでさらに距離を取り、俺を睨みつける。
剣では俺を倒し切れなかったので、今度こそ魔法で攻撃して来ようとしているようだった。